限界のその先の16乗   作:鯛じゃ

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安心しろ峰打ちだ

ソノオタウン近くの花畑には、ポケ1倍欲張りなロズレイドがいた

ロズレイドは綺麗な物や煌びやかな物を好み、それらを身に着けた者が現れれば、奪い取り自らの住処に飾り付けた

 

ロズレイドは強かった

この花畑にいる誰よりも強かった

その強さに沢山のポケモンが自らに従い、手足のように働いてくれる

 

隣のしみったれた発電所や製鉄所にもそれなりの奴らはいるが、それでも組織力や自らの能力はそれらを上回り最強の名を恣にしていた

 

 

いつものように同胞(手下)達を従え、花畑を歩いているとそこには普段見ないポケモンが人間と共にいた

 

そのポケモンは輝いていた

全身を覆う黒と青の毛皮は光を反射し輝いていた

その頭に生えた金色の角の輝きは今まで見てきたどんなものよりも美しかった

 

欲しい、欲張りなロズレイドはそう思った

だからロズレイドは同胞達に命令した

 

―いつも通りだ、アレを我に献上せよ―

―お前たちで周囲を囲み、四方から毒と種で塗れさせ動けなくさせろ。後は我直々に皮をはがし角を折ろうではないか―

 

悪辣な笑みを浮かべ、ロズレイドは同胞達を向かわせる

同胞の1匹が聞いてくる

 

―横にいるニンゲンはいかがしますか?―

―いらん。適当に毒に漬けて発電所の奴らにでもくれてやれ―

 

花畑の合間を器用に移動しながら同胞達は位置に着く

未だあのポケモンと人間はこちらに気づいていない

突然だ、ここは我らにとって庭のようなもの

 

―一斉掃射!さぁ、蹂躙の時間だ!―

 

ロズレイドは真っ赤な花を咲かせた腕を標的に向け、一目見て危険とわかるような毒液をポケモンと人間に向かって打ち出す

それを開戦の合図として四方に散らばった同胞達は、毒の粉を電磁波をやどりぎのタネをと思い思いに打ち出す

 

ロズレイドはこの後起こる惨状と、己の頭にあの黄金の冠を載せている姿を想いながら、高らかに笑った

 

 

しかし、それが起こることはなかった

一斉に攻撃が放たれた地点には、人間に覆いかぶさるあのポケモンがいるが、それ以外は何も変わりがなかった

ロズレイドは眉を顰める

おかしい、何故奴らは倒れない?

あの量の攻撃を受ければ一溜まりもないはずだ

だというのに奴らには傷1つ存在していない

 

人間は恐らくあのポケモンに守られたからなのだろうが、それなら何故あのポケモンは傷1つないのだ?

 

周囲の同胞たちも動揺していた

今までこんなことはなかった

 

何かの間違いだ

そうだそうに決まっている

 

―もう一度だ!―

 

ロズレイドはそう言うと再び赤い花の腕から毒液を発射する

先程よりも強い毒を

同胞達も同じように先程よりも強めに技を放つ

そして今度はしっかりと当たるのを見届ける

 

ロズレイドの毒液があのポケモンに当たる

が、相手を溶かすこともなく弾かれる

同胞達のやどりぎのタネがあのポケモンに当たる

が、相手に寄生することもなく弾かれる

同胞達の電気ショックがあのポケモンに当たる

が、毛皮を逸れていくように弾かれる

 

他にも数々の技があのポケモンに直撃するが、全てダメージにならずに弾かれた

 

―は?―

 

全ての技を無効化する、だと?

そんなポケモンが存在するのか?

森の方に似たような奴はいたが、あれは毒で殺せた

ではなんだ?

 

「―…?――。」

「ペル。」

 

あのポケモンと人間が何やら話している

ポケモンは人間の言葉に頷くとゆっくりとこちらに体を向ける

その顔には怒りも苦しみの感情はなく、ただ何気なしにコチラを見据えていた

 

だがその顔が、ロズレイドの逆鱗に触れた

 

ロズレイドは最強である

常に自分側が挑まれる側であり、相手は挑戦者でなければならない

だというのに、どうだ?

今自分はあのポケモンにダメージすら与えられず頭を抱えているのに、あのポケモンは何とも思っていない

敵だとすら思われてい

 

―ふざけるなよ…!―

 

プライドを酷く傷つけられたロズレイドは、自身の周りに妖しく輝く黒い葉を生み出していく

 

マジカルリーフ

ロズレイドにとって最も得意とする、必中必殺の一撃である

 

ロズレイドの頭には既にあのポケモンの角のことなど無くなっていた

ただ自らのプライドのために技を行使しようとしていた

 

しかし

 

 

「 ペ ル 」

 

 

黒い葉達がロズレイドの指示で標的に向かうことはなかった

標的はロズレイドの目の前にまで接近していたからだ

 

あまりの速さにロズレイドは息をするのも忘れ、目の前の存在を注目する

自分を見下ろす存在は目の前で滞空している黒い葉に目もくれずただ、ロズレイドだけを見ていた

 

いつの間に近づいた?

先程までいた地点からここまでを一歩や二歩で来るなんてことはできないし、できたとしてもその間に立ち塞がる同胞達をどうにかできなければ近づくことすらできないはずだ

 

「ペル。」

 

目の前のナニカは、ただロズレイドを見下ろしていた

一切の敵意も殺意もなく、見つめていた

 

ロズレイドは目の前のナニカに恐怖していた

さっきまではただの綺麗な角のポケモンにしか見えなかった

自分が手に入れるに値する輝きを持っているだけのポケモン(獲物)でしかなかった

 

だが今はどうだ

いかなる攻撃にも傷つかぬ体

目の前にあるこの威容

息をするのもままならないほどの重圧

そしてあの平坦な目

 

パラパラと黒い葉が地面へと落ちていく

ロズレイドは理解した

自分は間違えたのだと

 

獲物だと思っていたものは、触れてはいけないモノだったのだと

目の前にいるものは、ただポケモンの姿をしただけのバケモノなのだと

 

これまで感じたことのない恐怖と、己の行った行為への後悔で、既に立つことすらままならなくなったロズレイドはその場にへたり込み項垂れる

 

「ペル」

 

視線の先では目の前のバケモノが片翼を上に向けている姿が見えた

 

―あぁ、自分は死ぬのだ―

 

どうしようもない間違いを犯した自分への罰が今下されるのだ

 

上から風を切るような音がした

抵抗する気力など湧くはずもないロズレイドは全てを悟り、ただその場で目を閉じた

 

 

 

その日、ポケ1倍欲張りなロズレイドはこの世から消え去った

_____________________________________

 

・ロズレイド

欲張りなロズレイド

キラキラしたものが好きで住処に集めて飾っている

人のモノだろうがポケモンそのものだろうが関係なく、気に入ったものは必ず手に入れようとする

なので今までこのロズレイドのせいで、それなりの数の人やポケモンが被害を受けている

 

今回、世界のバグに無謀にも襲いかかり、当然のように処された

どれくらい無謀だったかといえば、

立体機動装置や雷槍無しで光の巨人に挑むくらい無謀

 

・エンペルト

ツァーリ

主人公と共にソノオタウンの花畑を散歩していたら、いきなり攻撃されてビックリした

周囲に野生のポケモンが集まってきているのはわかっていたが、前世と違って草むら以外でも野生が生息してるんだなぁとしか思っておらず、まさか襲われるとは考えていなかった

最後にロズレイドに放ったのは峰打ち(威力40、瀕死にならない)

 

・主人公

トレーナーズスクールの校外学習でソノオタウンに来ていた

自由時間中に花畑を散歩していたらポケモンに襲われた

今回の件に関しては、群れバトルって現実だとこうなるんだなぁ程度の感想

 

・ロズレイドの同胞

ツァーリがロズレイドに近づく際に、序に処理された

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