限界のその先の16乗   作:鯛じゃ

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擬人化要素があります


周囲のヒト達

「ただいま〜。」

「ペル〜。」

「おー戻ったか。じゃあ手ぇ洗ったら、アイツの手伝いしろ。」

 

家に戻ると、ソファーでグダーっと寝そべっている推定成人女性に声をかけられる

彼女はガルちゃん

俺の母親…ではない

彼女と俺に血縁的な関係は無いし、何なら同じ種族ですら無い

彼女はポケモン、それもお母さんの手持ちポケモンである

種族はヘルガー

少しクセのある黒髪に気の強そうなツリ目、赤い瞳にギラリと輝く鋭そうな八重歯

普段は機嫌の悪そうな表情で、ガラの悪いお姉さんといった感じの雰囲気を醸し出しているが、今は休日にこれといって何もせずただグダグダしているだけのダメそうな人になっている

 

………

 

この世界には3種類のポケモンが存在する

1つは、普通のポケモン

これは俺達がよく知る姿のポケモンのことである

 

もう一つは、人の形をしたポケモン

これは、そのポケモンにあった特徴や雰囲気を持つ人間のような存在である

2つの状態で違いがあり、通常時はほぼ人間同然である

例えば、ガルちゃんは目の色や歯はヘルガーっぽい感じだが、頭には白い曲がった角は生えてないし、矢印型の尻尾も付いていない

服装もヘルガー味のある感じではなく、少しよれた半袖半ズボンとかいう如何にも部屋着ですみたいな服(というか部屋着)を着ており、とてもではないがヘルガーの人化した姿とは思えない格好である

 

だが、戦闘態勢や警戒状態の時は一変する

角と尻尾は生えるし、姿もパンクファッションみたいな感じで全体的に黒の服に、至る所にチェーンとかピアスだとかが追加され、ヘルガーの擬人化って感じの格好に変化するのである

 

最初、通常時の状態を見た時は何か違う…とガッカリしたが、バトル時に突然変身した時はおぉ!とテンションが上がったものである

 

この人型ポケモン達は野生で生息しており、普通のポケモン達と同じような生態をしている

貴重な存在というわけでもないし、ポケモン同士の卵から生まれるし、技も使える

進化方法なんかも同じなので、人語を話す以外はポケモンと全く同じ存在である

 

そしてそれに対して誰一人気にした様子がない

 

俺が生まれて1番に躓いたのがここだった

どう見ても人間みたいな存在が草むらや水辺で暮らしていたり、ポケモンとバトルしていたりするのだ

滅茶苦茶違和感があったし、訳がわからなかった

後はテレビとか授業で、人型ポケモンが食われている映像が当然のように流されたりして正気を疑ったこともある

 

以前、トレーナーズスクールにオーキド博士が来て質問できる機会があり、そこで聞いたこともあった

 

「通常の種類とは全く姿形の違う、殆ど人間と同じ存在なのにどうして誰も気にしないんですか?」

「ん?()()()()()()()()()

 

俺の言ったことが心底分からないと、横にいる筋肉モリモリマッチョマンの変態(ケンタロス)と困った顔をしていた

 

そう、この世界の人間達にとって人型ポケモンは普通のポケモンと全く同一の存在なのである

精々が身長差とか喋れるかどうかぐらいで、人かどうかは一切気にしていないのだ

それがこの世界の常識なのである

 

正直今でも受け入れきれてない部分はあるが、ある程度受け入れられるようになってきている…つもりだ

エンペルト(ツァーリ)が俺と同じようにこの世界に疑念を持ってくれて、同じ考えを持つものがいるというのがわかっているので多少気は楽ではある

 

…いやぁでも、ポケモンオタクとか名乗るような輩が人型ポケモンで手持ち揃えてるのとか見たりすると嘘だろって思っちゃうんだよなぁ…

 

あ、3種類目は普通のポケモンと人型ポケモン両方になれるポケモンだ

これはツァーリのみが該当する

というか、ツァーリ以外で身体を変化させているポケモンを見たことがない

 

初めてツァーリが擬人化した時は驚いた

寝て起きたら本来ツァーリのいる場所に、知らない人が寝ていたのだ

不審者か?と思い、咄嗟に枕元にあったツァーリのモンスターボールを投げつけたらボールの中に入ったので、それがツァーリであると気づくことができた

 

一番驚いていたのはツァーリ本人だった

なんじゃこりゃあ!?と全身くまなく見て頭の上に大量の?を浮かべていた

特に、頭以外に毛が全く生えていないことが信じられなかったらしい

 

「これじゃあ、相棒を温めてやれないじゃないか!」

 

時々、俺の背後に立ってひっついていたのは温めていたからか、なんて思いながら、じゃあ元の体に戻ればいいんじゃん?なんて言った覚えがある

 

因みに、ポケモンから人間に変わる姿を家族に見せた時の反応は何もなかった

 

………

 

「ガルちゃんは手伝わないの?」

「アタイはさっきお前らを呼びに行ったからもういいんだよ。」

「ペルル。」

「うっせ。黙って皿でも並べとけ。」

 

質問してくる俺等にシッシッと手をひらひらさせるガルちゃんを横目に俺等は手を洗いにリビングを出る

 

「む!これはこれは、大将殿!ツァーリ殿!お邪魔しております!」

「あれ、リオル君じゃん。どしたの?」

「ペルッ?」

 

キッチンに行くとそこには、俺と同い年くらいの活発青髪少年がせっせと動き回っていた

少年は俺等の前で止まると、ピシッと姿勢を正し深々とお辞儀をした

 

この少年はリオル

俺の友達の手持ちポケモンの1人である

真面目で礼儀正しく、そしていつも元気で声の大きい子である

何故か俺のことを大将と呼んでくる

 

「はい!今日は我が主が大将殿と遊ぶためにお家にお邪魔したところ、お昼をご一緒させてもらえることになりまして、今はお手伝いを致しております!」

「そうなんだ。遊びに来たのに雑用なんてさせちゃってゴメンね。」

「大丈夫です!むしろドンドン頼ってください!あ、話が主をお呼びしてきますね。少々お待ち下さい!」

 

リオル君は再びお辞儀をすると、主殿〜!とまた忙しなく行ってしまった

どうやら今日のお昼ご飯は賑やかになりそうである

 

「俺達も行こうか、ツァーリ。」

「ペル!」

 

キッチンの方から聞こえる友達の声と、リオル君ではないまた別のポケモンの声を聞きながら、俺達はキッチンへと入っていった

 

 

_____________________________________

・主人公

ポケモンと擬人化したポケモンが存在する光景に未だ慣れきっていない転生者

教育番組で初めて人型ポケモンがポケモンに食われるシーンを見たときは、頭から離れず夜眠れなくなった

ツァーリに手加減特訓をさせている理由の1つに、人型ポケモンの悲惨な死体を見たくないというのがあったりする

 

・ツァーリ

エンペルト

今までポケモンとして生きてたのに、起きたら突然人間になってて滅茶苦茶ビックリした

現在では、普段はポケモン体で活動し、何か相棒とお話したい時は人間体になる

人間体でも力はそのまま

 

・ガルちゃん

ヘルガー♀

主人公の母親の手持ちポケモン

人型ポケモン

目つきが悪く、いつも不機嫌そうに見えるがそれがデフォ

基本的にはグータラでいつも家のソファを占領している

着ている服はパートナー(母親)の物を勝手に自分用にして着ている

昔はやんちゃしており、そこそこ強い

主人公のことは弟分くらいに思っている

 

・リオル君

リオル♀

人型ポケモン

主人公の友達の手持ちポケモン

素直で真面目、それでいて元気いっぱい

礼儀正しく声がデカい

見た目は中性的な青髪少女(主人公は少年と勘違いしている)

主人公のことを大将と呼び、トレーナー(友達)のことは主と呼んでいる

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