ダンジョンはつらいよどこまでも   作:たっぷり

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・010 流石ファンタジー金属最高峰!

────

 

 

 

 

 

 地面を蹴り付ける脚が少し痛い。そんな思考が右から左へ流れて消える。

 

 一房に()わえられた処女雪のような白い頭髪をたなびかせ、幼さを残す容貌に覚悟と決意を映して、少女が駆けていく。

 

 視界に捉え続けるは巨大な大猿。白い毛皮を全身に持ちながらも、明確な弱点と言える部位を内包するモンスターを相手に、少女は臆することなく向かっていった。

 

 その右手に握った自らの主神から手渡された一振りを握って。

 

 新米の冒険者などただの一撃で絶命に至らせるほどの膂力を誇る腕と脚。未だLv.1かつ冒険者歴1ヶ月未満の彼女では、直撃などしてしまえば乾いた枝のように骨が折れて使い物にならなくなるだろう。駆け出しの少女が戦うべきではない。

 

 本来はそういったモンスターなのだ。

 

 しかし彼女は戦う選択をした。シルバーバックと呼称されるそのモンスターは他の民衆や冒険者に一切興味を向ける事なく、自分の腕の中にいる主神を狙い続けていたからだ。

 

 戦域とした現在地へ来るまでに、他の冒険者が来てくれるかもしれない、という考えはもう捨てている。

 

 神を狙い、今なおそれを成し遂げられないシルバーバックは、己の目標を阻むベル・クラネルという少女を完全に敵と認識した。

 

 向けられる殺意に心が竦んだ。今まで対峙したことの無いような巨躯を見て足が震えた。

 

 それでも自分のステイタスを更新し、背に抱えた武器を手渡してくれた主神の前に立ったのだ。

 

 登録初日に自らの担当アドバイザーから言われた「冒険者は冒険してはいけない」、という言葉が脳裏を過ぎったが、それを今は敢えて無視する。

 

「……もう、勝てる」

 

 数分間の戦闘により、目の前のシルバーバックを拘束していた器具は大半が地面に落下しており、ムチのように使用していた鎖もその根元から切断し無力化していた。

 

 それ程までに少女の持つ短剣の切れ味は鋭く、どこまでも少女の手に馴染む。

 

 なにより、ここ最近とことんまで体に叩き込まれていた拳や蹴り、それを直撃させる為でありながら同時に相手の攻撃をすかさせるためのステップワーク。

 

 これに加えて一度だけ、そう一度だけでありながら今も瞼を閉じれば思い出せる光景がある。武器を振るう基礎動作。

 

 狼人(ウェアウルフ)に刻み込まれ、憧憬に与えられたその技術は未だ稚拙。

 

 しかしいま、確かに芽吹き始めている。

 

 彼女の勝利に、そう時間は掛からなかった。

 

 

 ────

 ──

 

 

 美神の権能。文字通り人知を超えた存在が行使可能な力であるそれは、在り方ゆえに見逃される(ふし)がある。

 

 されど力であることに違いはなく、振るえば効力を発揮するのだ。

 

 人が人を相手に武器(ちから)を手にするように、神の行使する力であればそれは神にすら効く。これによって美神は処女神とその眷属の1人を遠ざけた。神に残した僅かな残滓を大猿に追わせることにより。

 

 少女が死ぬとはチリ程にも考えていない。

 

 理由は単純で、彼の後輩だから。

 

 聞いた話ではたった1日しか鍛えられていないという話であったが、それでも遠目から見た処女雪の少女は既に駆け出し程度に収まらぬ実力を持っている。であればこそ、時間稼ぎには最低限の実力は必要不可欠。

 

 上層でも深い域に生息しているモンスターを差し向けたのはその為だった。

 

 そして現在、神であるが故の感覚器官がシルバーバックの敗北を拾うが、それが認識へ伝わる前に掻き消える。

 

 視線の先で戦う漆黒髪の少年が、いま、蒼い焔に()まれたのだから。

 

 宙を舞う彼の上着と、そこに付与されていたであろう燐光が空へと消えていった。

 

 少年の勇姿に涙が頬を伝う。

 

「……()けないで」

 

 誰がこんな状況にしたのか。そんな些事は既に彼女の中には残っていなかった。

 

 

 

 

 

────

 

 

 

 

 

 光の膜に覆われている少女が反射的に顔を両の腕で覆う。小竜(インファント・ドラゴン)が放つ攻撃は既に何度もこの膜へと届いていた。それでも未だに乱れぬ光の星域。

 

 鎖も尻尾も爪も息吹(ブレス)も。()の暴虐の化身のような存在と成った上層最強の竜種であっても、ここに展開された光の領域へ侵犯するに能わない。

 

 それ程までの強度でありながら、その強度を知っている身でありながら町娘が反応してしまったのは当然、この星域を展開しているはずの少年が、ナインが今しがた蒼い焔の中に()み込まれてしまったからだ。

 

 これは魔法。であればこそ、使用者の存在は必須事項。その当人が焔に()まれてしまった。もうこれは解除されてしまい、自分は目の前に迫る焔の余波に焦がされてしまうのだろう。

 

 しかし、白い小竜(インファント・ドラゴン)が放った蒼炎(ナパーム)の勢いは凄まじく、そんな思考が追い付くよりも前に()まれる。そう思えてしまうほどに、自分の元まで届いたモノは、ただの余波とは言えない威力を誇っていた。

 

 だが、シルの瞳に映るのは未だ健在な光の星域。その輝きは失われるどころか、更に輝度を上げていく。

 

 膜を挟んだ先に立つ少年の背を見た自分の心拍数とどちらが上なのか。それは当人にしか分からないだろう。

 

 

 

 

 

────

 

 

 

 

 

(……流石に焦り過ぎたな。上着と剣に魔力を流し過ぎだ……)

 

 チラリと背後を見たナインの視界には心配そうでありながら頬を朱に染めるシルと、ヒビの入った剣。半ばまで地面に突き刺さっているそれにはナインの付与魔法(エンチャント)が掛けられているのだが、その光自体には()したる効果など無い。切れ味が向上したり、硬度が増したり、刃渡りが伸びたりなどは決して存在しない。

 

 ただ光るだけ。それがナインの魔法の本質だ。

 

 だが、光るということは()()()()()()()()()()()()()とも取れる。ナインはそこに目を付けた。【星の怒り】(ボンバイエ)による仮想の質量は、本来ナイン本人にしか適用されない()()()()()()()。しかし、起動鍵(スペルキー)を唱えることによって、本人という枠組みの解釈を広げ、ナインから放たれる光をナイン(本人)とさせたのだ。

 

 そうすることにより、外へ放出され続ける光すらも【星の怒り】(ボンバイエ)の効果対象となる。

 

 あとは簡単だ。物質に纏わせた光に【星の怒り】(スキル)を適応させれば、任意のタイミングで仮想の質量を持たせられ、相手にぶつけることによる威力の底上げが可能になるのだ。

 

(問題は装備本来の強度ってところかな……)

 

 しかし、ギルド貸し出しの装備などそこら辺の武器(乱造品)と同程度。付与魔法(エンチャント)で掛かる負荷はその性質上、無いに等しいほどだがスキルの方はまた別。その強大過ぎる効果ゆえに、掛かる負荷も非常に大きい。

 

 現に剣にはヒビが入り、蒼炎(ナパーム)を防ぐために盾代わりに使った上着は炎に煽られたからではなく、流し込まれた魔力に耐え切れずに塵へと帰ったのだ。

 

(下手にこれ以上剣に魔力を込めたら、そのまま壊れて【星と化せ】(クレセリア)も解除されるか……。

 と言っても手詰まり。脇差もさっきのでガタが来てるし、かと言ってまだ並行詠唱は難しい。失敗すりゃあ、負債を負うのは俺だけじゃないしな……。

 どうするか……、────ッ!!)

 

 ナインは次の手を考えていた。対峙する白い小竜(インファント・ドラゴン)は目の前で急に出来上がった強靭なカーテンの所為で逆流した焔の熱に狼狽(うろた)えながら、それでもと言わんばかりに頭部を前へ、その血走った視線で以ってナインを睨み付ける。

 

 だがどうだろうか、その先に立っているナインは小竜(インファント・ドラゴン)など見てはいない。

 

 遠く、同時に()して離れていない場所にあるそれらを感じ取っていたのだ。

 

神の血(イコル)……、ヘスティア神……。

 ベルと、短剣と…………、お前が、そうなんだな?」

 

 まるで今目の前で起きていることなど些事と言わんばかりに小竜(インファント・ドラゴン)を無視していた。

 

 実際は無視などしていないが、それでも後回しにしている。

 

 先程まで感じなかった距離にいる自らの主神と後輩。そしてベルが持つ短剣と、運んでいたヘスティアが眠ってしまったからだろう、地面に横たわるおおよそ1メドルと十数セルチの物体を、ナインは自らの勘のようなモノで捉えていた。

 

 ナインの魔法と神の血(イコル)の相乗効果であることなど、今は関係ない。

 

 ただ、ナインはそれを見て確信したのだ。この場の勝者が誰になるのかを。

 

 だから呟く。小さく。それでも確かに。確実に。

 

「──────おいで……」

 

 微笑みを湛えたナイン。そしてそんな彼に無視されていると判断し、自分の目標の邪魔をしておきながら、あまつさえ目を外すという暴挙に怒り狂った白き小竜(インファント・ドラゴン)が再度喉に力を籠める。

 

 次の瞬間、ナインどころか周囲一帯を燃やし尽くさんとばかりの蒼い焔が決河の勢いで迫りくる。

 

 しかしナインの表情が恐怖に(ゆが)むことなど無い。微笑みを湛えながら地を踏みしめ、口ずさむ様に唱えた。

 

「位相反転────、【星と化せ】(クレセリア)

 

 そうして発生するは、ナインと白い竜を閉じ込める半径20メドルに及ぶ光の半球。

 

 内部で吹き荒ぶは蒼に染まった焔の地獄。外部に漏れることなく渦巻く熱量はその余波だけで常人を死に向かわせるだろう。

 

 しかし結界の内外は遮られたまま。焔の一片、空気の流れすらも外には漏れない。内で荒れ狂うことだけは許してやると言いたげに、その光の膜は煌々(こうこう)と存在していた。

 

 そこへ、一条の流星が()ちる。

 

 異物ではないがゆえに、結界は(ソレ)を招き入れた。

 

 

 ────

 ──

 

 

 金糸の影が空を舞うようにして駆けていく。

 

 少女の持つ第一級冒険者としての脚は、走路を地上だけに制限しない。目の前に出来た人垣を強引に突破する為に家屋の壁や屋根の上を駆けて走り続けていた。

 

 彼女の名はアイズ・ヴァレンシュタイン。【ロキ・ファミリア】に所属するLv.5。神々からは【剣姫】という異名を頂くほどに麗らかな容貌と雰囲気を持つ剣士だ。

 

 そんな彼女が今現在都市の中を駆けている理由は脱走したモンスターを排除する為。怪物祭(モンスター・フィリア)のメインイベント用に用意されたモンスター達が、【ガネーシャ・ファミリア】の管理下から解き放たれ、街中に被害を齎している。

 

 ギルドの職員が早急な対処を求めた結果、上級冒険者を募っていたところに丁度居合わせた彼女の主神(ロキ)彼女(ほんにん)が助力しているのだ。

 

 しかし突如として出現した蛇のような未知のモンスター。これに同じ派閥の仲間が襲われていたことから、即座に参戦。しかし何時もの武装を持ち合わせていなかったアイズでは本領の発揮は難しく、対して本気とばかりに全容を晒した花のようなモンスター。

 

 魔力に対して異常なまでの反応を示すそのモンスターに苦戦を強いられる。しかし仲間の1人が、彼女にだけ許されるレアマジック(ぶっこわれ)を用いて討伐を完了。

 

 討伐後は主神(ロキ)によって、各々に役割を課されることとなる。

 

 未知なるモンスターの出現場所であろう地下水路の調査。

 

 負傷の激しかった妖精(エルフ)は治療に専念。

 

 最後にアイズはまだ街中で暴れまわっているモンスターの掃討。

 

 アイズはそれに対し1も2も無く頷き、モンスターを討伐し続けていた。モンスターと言えどその脅威度はピンからキリまで。怪物祭(モンスター・フィリア)の為に用意されるモンスターは強力なモノでも中層域までのモンスター。Lv.5という冒険者の中でも一握りの実力者である彼女にとっては脅威とはなり得ない。

 

 単純に絶命させるでも、モンスターが内包する魔石を砕くでも、数秒も経たずしてモンスターを灰へと変えるのだ。

 

「……あと、1体」

 

 ギルドの職員から伝えられたモンスターの数から引き算していけば、残りは1体。途中で起きた異常事態(イレギュラー)は考慮に入れることなく、アイズはその脚で未だに騒ぎの起きているであろう喧騒へと向かっていた。

 

「────ッ?!」

 

 しかしその道中、あと十数メドル走れば目的地も見えるであろう家屋の上で、アイズはその健脚を止める。

 

 いや、止めざるを得なかった。

 

「止まれ」

 

 今だ収まらぬ喧騒の最中、それでも自己の主張を絶対とする静かな声が投じられる。

 

 もう間もなく喧騒の中心であるはずの現場をその視界に捉えるだろう、その絶妙なタイミングで、アイズの脚を止めたのだ。

 

 屋根の上で均一に並ぶ軽量でありながら硬いレンガの上で停止したアイズと、そこへ現れた2メドルを超す巨躯の猪人(ボアズ)。アイズ・ヴァレンシュタインを切れ味に特化させた細身の(つるぎ)とするならば、彼女の前に立つ(いわお)は全てを破断する重量級の大剣。

 

 折れず、曲がらず、砕けぬ一振りを思わせる鋼のように鍛え上げらえた肉体。逆に相対するモノを折り、曲げ、砕く。そんな存在がアイズの前を塞いでいた。

 

「……どいて」

 

「断る。この先にはあの方が見定めし者が闘っている。

 ────それに、俺個人としても興味がある。どちらにせよ、干渉は許さん」

 

 普段は無表情を映すアイズの顔に険が立つ。モンスターの討伐を邪魔されていることへの苛立ちに、この状況への不可解さが加算された結果ではあるのだが、彼女の第一級冒険者としての聴覚が未だに戦闘音を捉えて離さないのだ。一刻も早く討伐を為さなければ、暴れるモンスターが無辜の民を襲う。失わずに済む命が零れてしまう。

 

 なのにどうして、という疑問が胸中を埋め尽くす。

 

 目の前に佇むのはオラリオ最強の冒険者。【猛者】(おうじゃ)を戴く、正しく『頂点』オッタル。【フレイヤ・ファミリア】の首領にして、かつての最強たちの領域へ足を踏み入れし(もの)

 

 どうするべきか。そんなものは知っている。この先の戦域へ1秒でも早く到着する為に必要なことなど、【剣姫】と呼ばれるほどに冒険者として年月を賭してきた彼女には。

 

「なら、押しとお、────ッ?」

 

 目の前で立ち塞がるのであれば、道を譲らないのであれば、する事は1つ。そう思い、発走すべく腰を落とした瞬間、アイズの視界の片隅で何かが光った。

 

(あっちは……、ダイダロス通り……?)

 

 その光の出現元はダイダロス通りと呼ばれる無法の街。違法建築物が乱立するオラリオでも危険度の高い地区から上昇していく謎の物体。それ自体が光源と化している所為で、器の昇格を重ねたアイズの視力を以ってしても正体までは探れない。

 

 しかしどこか惹き付けられる。目を奪われる。どうしようもなく。

 

 それにはオッタルも気付いており、しかし他の冒険者や横取り上等の邪魔者ではないと判断して、一瞥の後、その視線をアイズへと戻す。その一瞬前、喧騒の中心であろう場所に、光の膜が現出した。

 

「────……あれは!?」

 

 その言葉はどちらの口から出た言葉だったのか。それは既にどうでも良い些事と化した。

 

 宙を(はし)る物体はそこへ吸い込まれるようにして落ちていき、両者の耳朶には民衆の沸き立つような声が入り込む。

 

「あっちでモンスターが────」

 

「危険じゃないのか? だって竜だとか────」

 

「あの結界が閉じ込めて────」

 

 徐々に民衆の足は戦域へつま先を向け始める。膝は前に、歩みは遅く、されど確かに。

 

 アイズは危険だと断ずる。耳に聞こえた竜という単語に反応し、であればこそ早急に対処しなくてはならない。モンスターの中でも竜種は別格。同じ階層に出現するとしても、脅威度に差があり、適正レベルであるはずの冒険者を容易く屠るのだ。

 

 それはダメだ。内から漏れだす程の激情を剣の柄に込めていく。立ち塞がるのならば、押し通るまで。先程よりも強い意識を胸に、飛び出す瞬間、それを見た。

 

 オッタルの口角が僅かにであれ、確かに上がっている。

 

 アイズが、オッタルのそんな表情を見たのは初めてだ。常に険のある巌のような表情の猪人(ボアズ)が何かを楽しみにしている。まるで幼子のように。懐古するかのように。

 

 足が止まってしまった。

 

 重圧のような鬼気も今や無い。飛び出せばいい。抜け出せばいい。そんな思考も、次の言葉で消え去った。

 

「俺は行く。

 もはや誰も、手は出せまい」

 

 そう言って背を向けたオッタルは先程のアイズと同じようにして家屋の屋根を伝って戦域へと向かっていく。

 

 呆然としていたのはアイズただ1人。

 

 立ち塞がった【猛者】(おうじゃ)。突如として飛翔する物体。展開された光の結界。民衆の声。そして喜悦を見せた最強。そのどれもが不可解で、難解。アイズの中には答えなど無い。

 

 結果、アイズはオッタルよりも十数秒以上の遅れと共に動き出し、たったの数秒で現場を視界に入れる。

 

「あれはっ……!?」

 

 彼女の視界の中では巨大な光のドームの中では、漆黒の剣を持つ少年と蒼を吐く白い竜が死闘を繰り広げていた。

 

 

 

 

 

────

 

 

 

 

 

 ナインが展開した【星と化せ】(クレセリア)は本来外部からの衝撃を緩和、相殺させるための結界だ。展開した光の膜からは常に光が漏れ出している。魔法単体で見れば、それはただの膜でしかなく、暖簾よりも抵抗力の無い光源。

 

 だが同時にその程度であるがゆえに軽い精神力(マインド)の消費量。展開しておくだけであれば、長時間持つうえに、自分の足下を中心とすれば移動さえ困難ではない。

 

 問題として目立つ。非常に。

 

 それはまぁ、光だし。発光してるし。仕方ない。その所為で観客紛いの民衆が周囲に集まって来ているのも仕方ないとして放置だ。

 

 危機感が無さすぎる。

 

 さておき、ナインのこの結界は付与魔法の応用に過ぎない。自分に掛けた付与魔法(それ)を体外に縁取(ふちど)っているだけのこと。発展アビリティの【魔導】があれば似たようなことは自動的に行なえるため、発現できた上級冒険者ならば不要となるだろう。だが、こちらは純粋に発動し易く、既に発動済みであるがゆえに魔力暴発(イグニス・ファトゥス)が起きないという利点がある。

 

 そして何より、発動し続けている限り光源として作用し、膜から発される光の粒子はナイン本人という認識が適応されている。

 

 これにより、ナインの許可が無ければ侵入も、脱出も困難極まる檻と化すのだ。

 

 素通りを許されるのはナインのみ。若しくは、本人と同じ存在のみである。

 

 ────だからソレは墜ちてきた。そこに何もなかったかのように、ただ自然に、悠然と。光の膜も、内部で荒れ狂う蒼い焔も。何もかも全てを無視して、「呼ばれたから」、それだけを理由(かて)に。

 

 燃料さえ含む竜の息吹(ドラゴンブレス)を斬り裂き、地面に突き刺さる様にして戦域に介入したソレは、正しく剣。

 

 納める鞘は白を基調とし焔を思わせる赤を走らせている。

 

 鍔は控えめで、持ち手である柄は両手持ちも可能な程度の長さを持つ。

 

 黒いその柄は希少金属が編み込まれた布地によって握り易さを持たされていた。

 

 ナインの前に現れたソレは、ナインにのみ所持を許す片割れとさえ言える金属によって構成された一振り。離れることなど二度と赦さぬと言わんばかりの圧と共に現着し、ナインへと無言で語るのだ。

 

『握れ』

 

 と。

 

 数日ぶりの再会。果てには姿かたちも一新されたにも拘らず、放つ威容だけ高まらせたそれへ、「黙って振るわれろ」と言わんばかりに、ナインは手を伸ばす。

 

 持っていた脇差を左手に持ち替え、右手でそれを持った瞬間、ナインは「うわ~」という顔をした。

 

「属性過多も()い加減にしろ」

 

 流れ込んできたその剣の情報にげんなりしつつ、ナインは腰に鞘を提げ、抜き放つ。

 

 柄頭から鍔、そして剣の切っ先まで、全てが宇宙のように全てを()む漆黒で形成された一振りが、今、正しい担い手の下に渡った。

 

 刃渡り、(じつ)に1メドル弱。直剣としては長さがあり、幅も本来のモノより僅かに広い。厚みもある。

 

 しかしナインの手には、よく馴染む。

 

 ステイタスが補っているのではなく、本来あるべき形を取っている。それだけなのだから。

 

()こうか、────天星剣(アストラ)

 

 銘を刻まれた剣。名を持っていた剣。今、正しく呼ばれ、そしてナインと共に小竜(インファント・ドラゴン)へと向かっていった。

 

 

 ────

 ──

 

 

 ナインの発走と共に目を血走らせる白い小竜(インファント・ドラゴン)は再度息吹(ブレス)を吐こうとした。だがそれを為すにも喉に出来た裂傷が邪魔をする。

 

 必殺として振るわれた脇差を敢えて受けたことで発生したナインの隙。そこへ放たれた回避不能の焔は絶死の一撃。されどナインには防がれ、一部が竜の喉まで返ってきた。本来であれば燃料を吐き出し、そこに火を点けることで発生する蒼炎。喉元に負傷など発生しないはずのそれが戻って来たのだ。

 

 耐性の無い焔に煽られてなお息吹(ブレス)を吐こうとするのは怪物としての尋常ならざる耐久力がゆえだろう。

 

 喉元を過ぎる燃料がその傷を広げるが、今の小竜(インファント・ドラゴン)に取ってナインは絶対に殺さなければならない相手。まずナインをどうにかしないことには、美の女神からの指示であるシルへと到達できない。

 

 果てには自分とナインだけの空間を作られてしまった。

 

 光の星域。位相を反転させることによって光の放出を外ではなく内へ向ける。当然耐久性能は内から外への衝撃へと強くなった。外部から入るにしても相応の実力を求められる。ここに2人だけの簡易的な闘技場が形成されたのだ。

 

 逃げ場も、(ドラゴン)の目標であるはずのシル・フローヴァも、戦場(ここ)にはもう居ない。観客として(そとがわへ)追い出されている。

 

 白い小竜(インファント・ドラゴン)が目標を達成するには、最早ナインの打破が絶対条件となった。

 

 ならばこそ、白き竜の意識は全てがナインへと注がれる。

 

 更に赤く、(おぞ)ましく光るその双眸に睨まれようと、ナインの気配は揺るがない。泰然自若を体現するかのように、空から降って来た剣を手にする。

 

 そして再度交わされる視線。どちらもが戦意と闘争本能を漲らせ、発走した。

 

 

 

 

 

────

 

 

 

 

 

 民衆や逃げずに戦おうとしていた冒険者たちによって構成された膜の外の観衆の中央で、ナインと小竜(インファント・ドラゴン)が死闘を繰り広げている。

 

 上着を一時的な盾とした影響でナインの上半身に残っているのはインナーのみ。しかし火傷の類いは見られず、あるのは地面を転がった時の擦り傷と爪や牙に掠られて出来た裂傷のみ。血が漏れ出ているが致命傷には程遠い。

 

 対する小竜(インファント・ドラゴン)に目立った傷など無い。元よりLv.1の冒険者が多く居る上層にて最強とされる希少種(レアモンスター)。頑丈な皮膚にそこらの刃物など通さぬ鱗を持っているのだ。そんな存在が下層でも最強格、階層主の魔石を欠片だとしても取り込んだことで強化種となっている。その強靭な肉体がどの程度強化されているのかなど測り知れない。

 

 しかしナインは刃を通していた。脇差だけの時でも魔力を集中させることで、その強固な鱗の隙間を縫って強靭な肉体へ幾つかの傷を付けていた。だが、それだけでは命に届くのはいつになるのか分からない。

 

 闘えていた。何とか、追い縋っていた。それが先程までの戦闘を見ていた者達の総意だろう。

 

 しかし今のナインは違う。

 

 一閃。右手に握った直剣を振り抜けば、竜の体から、鮮血が舞った。

 

 

 ────

 ──

 

 

(通じるッ!!)

 

 発走したナインは一気に小竜(インファント・ドラゴン)との距離を詰め、再度息吹(ブレス)を吐こうとしていたその顔面へ勢い良く振り下ろす。蒼い焔を口の端から漏らしていた小竜(インファント・ドラゴン)は、攻撃を止めてその一撃を回避した。

 

 先程までの攻撃とは訳が違う。生物としての本能が警鐘を鳴らしたのだ。避けなければ、死ぬ。

 

 事実、今の一刀を完全に回避することは出来ず、顔の横、人間で言うところの頬の肉が僅かに削られた。脇差では絶対に入らない一撃が容易く滑り込み、切り取ったのだ。

 

「グゥゥ、ゴォォォオアアアッッッ!!!」

 

 痛みに喘ぎながらも、小竜(インファント・ドラゴン)は前に出る。懐にまで侵入してきたナインが距離を取るようにしてバックステップを始めた。痛みを与えてきた存在を許さぬとばかりの噛み付き。ナイン程度ならば丸々()み込めてしまう程の大顎が血を垂らしつつも開かれ、幾重にも並ぶ鋭い歯がナインへと迫る。

 

 口内に入れば噛み千切(ちぎ)られる。しかし肉に当たるだけでもその膂力の差からダメージは必至。そんな攻撃を視界の端で捉えていたナインは躱すことなく、左手に握る脇差を振るう。迷いのないその一撃は小竜(インファント・ドラゴン)の顎に命中し、斬り裂かれることが無くとも不意の一撃であることに違いはない。

 

 突如として発生した衝撃によって小竜(インファント・ドラゴン)の口は閉じられ、ナインはその腕に伝う反動を元に前へと戻る。

 

 相手の懐。死地であるはずのそこへ、ナインは構わず戻る。そして出来た隙を利用して直剣を一閃、二閃、三閃と振り抜いていく。

 

 元来の切れ味に加え、ナインの【星よ集え】(レクス)【星の怒り】(ボンバイエ)の合わせ技を用いた威力の底上げによって、強化種と化した小竜(インファント・ドラゴン)の堅牢な竜鱗を斬り裂いていく。

 

「……違うな」

 

 しかしナインからすれば、それでは力押しでしかない。それでは駄目だと言わんばかりに、剣の振りが変化していく。

 

 それは今までのモノよりも精密で、緻密。素人目線では何がどうなっているのかなど不明な太刀筋。しかし実力者からすれば一変したと断言出来るほどの精密作業。

 

 懐に入ったことで小竜(インファント・ドラゴン)も前脚がナインへ届く。そもそもの可動域ゆえにナインの射程距離よりもずっと広い。届かせようとすれば、届く。

 

 ただ、当たらないだけだ。

 

 ナインは両の手に握る長さの異なる刃を振り続ける。

 

 斬って(はじ)いて避ける。

 

 斬って斬り裂いて(はじ)いて避ける。

 

 斬って斬り裂いて斬り上げて避ける。

 

 斬って斬り裂いて斬り上げて斬り飛ばす。

 

 斬閃が(とど)まることを忘れ始めた。

 

 宙に飛ぶは竜の鱗。頑強であり、そこらの刃物など容易く(はじ)いてしまうソレが、斬り飛ばされていくのだ。

 

 ナインがしていることは単純、刃の届く範囲にある小竜(インファント・ドラゴン)の鱗と鱗の隙間を縫うようにして斬撃を放ち続けているだけ。酷く単純明快でありながら、極めて難易度の高いソレを為していく。

 

 最早噛み付きも狂爪による一撃も放たせない。

 

 終わることの無い斬撃の嵐を以って、10年以上の歳月を注いだ術理を賭して、レベル差を覆していく。

 

 自らの限界突破を許したステイタス。かつて女神から叩き込まれた戦闘技術の粋。彼女が消えてからの孤独の研鑽。オラリオへ足を踏み入れてから1ヵ月間、ダンジョンに巣食うモンスター相手に調整を続けてきた術理。

 

 積み上げてきたモノが違う。

 

 たった数日前産まれ落ち、先ほど暴虐の化身となった程度の存在になど敗けてはならないとばかりにナインの剣閃が(はし)り続ける。

 

 2メドルにも届かぬ人間が、全長にして8メドルはある巨体を術理で以って押していく。回避をしていたのはいつまでだったか。もはや両者ともに回避は無い。いや、ナインは選択しないだけであり、小竜(インファント・ドラゴン)は出来ない。これが正しい。

 

 足を動かそうにもナインの剣閃の方が(はや)く、痛痒にて縫い()められている。

 

 許されているのは後退のみ。しかしナインが一歩踏み込むだけで埋まる距離しか離れられない。そも離れようとして後退している訳では無い。ナインの剣閃による圧へ強く働いている逃走本能が自動的に逃走を促しているだけであり、同時にナインがそれを捩じ伏せているだけだ。

 

 光の結界の中で、徐々に巨躯が追い詰められていく。

 

 たった1分。それだけでナインの手の届く範囲全ての鱗が剥ぎ取られ、宙に舞い、灰と化して消えた。

 

「これで……ッ!?」

 

 (とど)めだ。誰かがそう口にしようとした瞬間、白い小竜(インファント・ドラゴン)は自傷すら許容する憤怒を体現する。

 

 先程まで一方的なまでに攻め立てられていたことを帳消しにする程の一撃を、小竜(インファント・ドラゴン)は持っていた。

 

 赤熱する圧倒的な熱量を持つ赤い霧が口から一気に吐き出される。魔法を拡散させる双頭の竜(アンフィスバエナ)が持つ息吹(ブレス)の1つだ。

 

 それを見たアイズが不味いと思って突入の姿勢を取り、それを遮るようにしてオッタルの大剣が直線状に滑り込む。

 

「ッ?! なんのつもり!?」

 

「見ていろ」

 

 それだけでアイズは止められる。オッタルという存在はこと(チカラ)という一点に於いて頂点に立つゆえに。

 

 アイズも、オッタルも、民衆も、彼らに紛れてやって来た白髪の少女も、そしてこの一件を引き起こした女神も、終わりを予感した。

 

 

 ────

 ──

 

 

 赤い霧の効果は別にして、直接叩き付けられることだけは避けるべきと全速力で後退したナイン。その熱量に肌を焼かれ、同時に余波にてさらに飛ばされる。距離を取らされた。遠距離の攻撃手段を持つ者と持たざる者でありながら。再度立たされた苦境。

 

 だが安心材料として、赤い霧がドーム状の結界に触れるようなことにはならない。放出され続ける光の魔力粒子によって接触を不可能とさせているからだ。

 

 だが小竜(インファント・ドラゴン)の目的はそれではなかった。

 

 赤い霧によって小竜(インファント・ドラゴン)の体全体が覆われ、内部の視認が困難となった次の瞬間、煙を掻き分けるようにして伸びる鎖のムチ。一つ一つがナインと同程度の大きさを持つ環状の部品が奇怪な音を上げながら地面を擦りつつ高速で接近する。

 

 右方向から接近してくるその銀色のムチを前に、ナインは切断ではなく、叩き落すことを選択した。ギャリンッ! という音と共に地面に叩き落とされた鎖。しかしその根本にあるはずの小竜(インファント・ドラゴン)の尻尾は今も動いているのだ。即座にその延長線上にある鎖も再度動き出す。

 

【星よ集え】(レクス)ッ!」

 

 だが、ナインがそれを許さない。左手に持っていた脇差に極光とも取れるほどの光を収束させ、その光の粒それぞれに仮想の質量を持たせたうえで、現実(こちら側)に保存させる。瞬間圧倒的な質量を伴う一矢となり、刃は鉄を貫き、しかし鍔は抑えるのみ。そうして鎖を地面に縫い付けた。

 

 ここに、怪物の武装を経由して、再度鎖は拘束具としての役割りを取り戻したのだ。

 

「終わらせるっ!」

 

 赤い霧。それが遮るのは小竜(インファント・ドラゴン)の姿だけではない。小竜(インファント・ドラゴン)から見ても外の光景を把握し(づら)くなってしまっているのだ。ゆえに突如として動かなくなった鎖と、強固に繋がれた尻尾。

 

 理知無き獣がここぞという場面で編み出した竜の息吹(ドラゴンブレス)を囮とした一撃は、ナインの研鑽の前に捩じ伏せられ、果てには、自分へ続く道まで形成してしまっていた。

 

 ナインは残る体力全てを自らの脚に注ぎ、推進力へと変える。鎖という絶対の道標。晴れ始めた煙の向こうに存在する竜へと、一息に接近した。

 

 煙の向こうには、鎖を踏んでいる存在を認知していた竜が迎え撃たんとばかりに大口を開けていた。振るった尾がある側面へ向けられる長い首と凶悪な顔。本来の色を喪失した白と薄い水色の堅い皮膚。清廉さを感じさせるそれらを台無しにするほどの(おぞ)ましい血のような瞳。

 

 全てがナインへと向けられていた。

 

グゴォォォオオオオオッ!!

 

「はあぁぁあああああああッ!!!」

 

 互いの雄叫びだけが場を支配する。両者の視線が激しくぶつかり合い、まるで火花を散らす程の熱を間に産む。

 

 仕掛けたのは小竜(インファント・ドラゴン)だった。口から漏れ出る蒼い焔を一度溜め、一気に放出しようとする。先程までの拡散するようなものでは通用しないと何度も経験させられたからこその知恵。モンスターが時折見せる人間を殺す為だけの理知を賭した最後の一撃。

 

 対し、ナインは愚直に突き進む。次の一撃で決着が付く。

 

 いいや、着けるのだと。

 

 濃い赤の煙が意味を成さぬほどの距離。お互いの視線が相手の死を望む瞬間、ナインの握る《天星剣(アストラ)》が瞬時に極光を宿す。

 

 それは【星よ集え】(レクス)を省略した燐光の収束。文字通り、ナインだけの武器であるが故の特異性から許されし行為。

 

 ゆっくりとした時間の中、蒼い焔が僅かな膨張と共にナインへと迫る。対し、最上段に構えられた輝き()えぬ直剣がナインの全力を以って振り下ろされる。

 

【穿光】(クレス)ゥゥゥウウウウッ!!

 

 その一振りに込められた魔力や気力。ナインの全てを注ぎ込まれたその一撃は、放たれた蒼を越え、その奥にある竜の頭蓋を、両断した。

 

 

 

 

 

────

 

 

 

 

 

 光の膜の中では赤い煙、未だ地面で燃え盛る蒼い焔、そして結界の光量すら凌駕せんとした閃光。

 

 最後の光が爆ぜた後、徐々に結界が縮小されていく。

 

 それを見ていた者達はなんだ? と疑問を漏らすが、時間経過とともにその理由を知る。

 

 輪郭に()される様にして焔と煙が移動を開始したのだ。単純な解除では外に漏れだしてしまう。しかしこうして集めてしまえば、そして蒼炎(ブルーナパーム)は物理学に則った酸素を必要とする炎であるがゆえに、供給が途絶えれば消え去る。煙もまた効果としては魔法の相殺。役割を果たせば消えていく。

 

 そしてそれらが晴れた先に立っていたのは、漆黒の剣を納刀し始めたナインと、その巨躯を塵へと(かえ)している最中の小竜(インファント・ドラゴン)。そして、竜の革(ドロップアイテム)だった。

 

 歓声が上がるのは、それから間もなくのこと。

 

 ────

 ──

 

 悲願の為の1歩目を、果たすべき大願へ向けた1歩目を踏みしめた少年は疲労困憊の体であっても、まずは笑顔を浮かべた。

 

 自分のもとに走ってくる人影がなんか多いなと思いつつ。

 

 

 

 

 




 高評価や感想、ここすき、誤字報告、いつも感謝です。


 シルバーバックの時、ヘスティアに魅了が掛かっていた所為でナインが本来数キロ範囲なら辿れるはずの神の血(イコル)が辿れなかった。誰だよこれしたの…。

 位相反転した【星と化せ】(クレセリア)。リボーンの裏球針態みたいなもの。


Q,主人公の願い?
A,近いうちに出すと思われ。

Q,ヒヒイロノカネ使ったのでは?
A,ベル君のナイフの素材はミスリルでしたね? そういうことです。

Q,剣、飛ぶの?
A,飛ぶ。呼んだら来る(一定範囲内)。あっち行けは無理。来るだけ。

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