自殺志願者と危険だらけの都市   作:音眼紫玖

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第一話 エムゼット団

 ミアレシティ2日目。

 ロビーでガイの話を聞いていたら、トントン拍子にZAロワイヤルへの参加とエムゼット団への加入が決定した。本当はひとりで静かな放浪がしたかったけど、ガイのきらきらした明るい表情に抗えず全て了承してしまった。

『トレーナーとしてすごい才能がある』なんて自分では到底思えない。昨日だってまぐれで勝っただけだと思う……。経験者が言うならそうなのかな。でも『その力でミアレを救ってほしい』は本当にわからない。

 

 エムゼット団の証としてロゴ入りのジャケットと持ち物を入れておくポーチをプレゼントされた。今までずっとオフショルダーのような荷物にならない軽装で過ごしてきたから、久しぶりの暖かさに思わず顔が綻ぶ。

 

 

 そのままZAロワイヤルエントリー用の写真を撮られ、ミアレのポケモントレーナーの必須スキルだというローリングを披露してもらった。

 

「ガイ、ちょっとうるさい……」

 

 そう言いながらエレベーターから出てきたのは、わたしやガイと歳が同じくらいの黒髪の女の子。手足がすらりと長く利発そうな顔立ちをしている。

 着ている青色の大きなパーカーには『MZ』のロゴが刺繍されているから、この子もメンバーなんだろう。

 

「AZさんも怒ってよ」

 

「怒るとは無粋な。むしろ楽しませてもらっていた。ガイがエムゼット団の新メンバーに大事なことを教えていたのだよ」

 

「新メンバー!?」

 

「デウロ、オマエの方がうるさい」

 

「ゴメン……。新メンバーってこの人?」

 

 ──はじめまして、クワです。

 

「どうも、デウロですっ。プロのダンサーを目指してミアレに来ました。というのも兄が……」

 

「長くなりそうだからまた今度な!クワ!ローリングの次はポケモン勝負を教えてやるぜ。ホテルZの前で集合!」

 

 ……初対面の人間にいきなり自己開示しようとした?デウロはもしかしたら、見かけによらず口が軽いタイプなのかもしれないな……。

 

 

 

 

 

 

 

 ランクAになれば、叶えられる範囲で望みを叶えられるらしい。『わたしを殺して』っていう願いでも?

 わたしのために手を汚してくれる人なんて、いないか。

 

 

 

 

 

 

 

 勝負に備えて軽く体をほぐした後、言われた通りホテルZの外に出てガイのところへ向かった。

 

「オレとポケモン勝負するよな?」

 

 ──もちろん。

 

 

 

 

 

 ガイは1匹目にワニノコを繰り出した。

 

「ワニノコ!たいあたり!」

 

「チコリータ!!しっぽをふる!」

 

 ワニノコが惑った隙に、クワはすぐさま「このは!」と指示を送った。どうやら効果はバツグンのようだ。とどめに「たいあたり!」と叫ぶ。

 

 ワニノコは倒れ、ガイの手元のボールへと戻っていった。

 ガイが繰り出した2匹目はポカブだ。クワは先程のように「しっぽをふる」を指示した後に「このは」で攻撃したが、効果はいまひとつのようだ。ならばと「たいあたり」一辺倒で戦う方向にシフトした。

 

 結果はクワの勝利。

 

「やるじゃねえか!」

 

 

 

「オマエがいてくれたら、ミアレの未来も安心だぜ!」

 

 ──未来?

 

「それは今度教えてやる」

 

 救ってくれだの悲しい過去だの未来だの、どうやらミアレシティという街には何かしらの重たい事情があるらしい……?

 バトルの次はZAロワイヤルの準備として『ポケモンセンター』と『ワイルドゾーン』に向かうことになった。

 

 ホテルZの正面から出発しようと思えば、何故か道を塞ぐように大岩が。

 

「これじゃ客も来れないな……クワ!別のルートを使うぞ!」

 

 別のルートって……屋上!?パルクール!?

 いや、まあ、放浪生活で体力はあるし運動神経も悪くはないとは思うけど……あ、この街では落下死も割と日常茶飯事で済ませてもらえるのかも。

 

「高いところっていいだろ!」

 

 わたしも、高所は死に近いから好き。……なんて口にはできない。

 

「目当てのポケモンセンターはそこから降りたらすぐだぜ」

 

 ああやっぱり、この街って高所から飛び降りることに抵抗ない人多いんだ。この街でなら気軽に死ねるかも。

 

 

 

 

 角地のポケモンセンターに入り、お姉さんから説明を受けた。なにやらポケモン図鑑アプリで5種類のポケモンを登録すると特典がもらえるキャンペーンがあるんだって。半ば強引にインストールされたけれど、悪くはないかもしれない。

 

 ひとまず手持ちのチコリータのデータを登録した。これで1種類目だね。5種類登録した後はポケモン研究所で報告……と。

 

 

 

 

 

 ホログラムに『1』と表示されているワイルドゾーンに入場した。ガイに手解きを受けながら、順当にヤヤコマ、ホルビー、コフキムシ、メリープ、ビードルを捕獲し、キャンペーンの条件を達成した。

 

 報酬をもらうためにポケモン研究所に入った。ガイは用事があるからとどこかに行ってしまった。

 ロビーの人に言われた通りに3階の所長室へと向かった。

 

 

 

「くっそ!」

 

 うわっ。

 奥から上司?への文句を垂れている女性の声が聞こえる。所長室の奥にいるということは所長さんだろうけど……怖いな。

ひとまず声をかけてみる。

 

「あら、お一人?」

 

 あ、あんまり怖い人じゃないかも。

 

 ──違います。

 

「ですよねー。ポケモンがいるもんね。あたしは所長代理のモミジです」

 

 あなたもキャンペーン参加者?そうに違いないと有無を言わせずわたしの図鑑を確認される。チコリータも合わせて6種類。条件達成だ。

 

 そのまま、勢いに押されるようにモミジさんの研究を手伝わされることになった。

 わたしってさっきからガイにもこの人にも流されて色々頼まれてるような……ミアレの人の押しが強いだけ……?

 

 報酬の『わざマシン』をいただいて研究所を後にした。すると……。

 

「エムゼット団のMとZのロゴが付いたジャケット……。アンタ、もしかしてクワ?」

 

 褐色肌でドレッドヘアーの少年に声をかけられた。背丈はわたしより低い……すこし猫背気味?彼のジャケットの胸元にも『MZ』のロゴがついている。団のメンバーなんだろう。

 

「ガイが嬉しそうに話していました。エムゼット団に新メンバーを入れたって」

 

 それにそのジャケット、ボクがロゴを縫い付けましたから。と話す少年。手先が器用なんだ。

 

「ボクはピュール。一応エムゼット団のメンバーです」

 

 読み通り、彼もわたしと同じエムゼット団のメンバーだった。モミジリサーチのことを知っているようだ。

 

「それにしても、アンタのその格好……この帽子はいかがですか?」

 

 と言いながら、白いソフトハットをそっと被された。

 

「礼はけっこうです、ボクにはサイズが合わなかったので」

 

 ……サイズが合わなかった、というのが何かの言い訳にしか聞こえないのだけど……。まあそういうことにしておこう。被り心地もよくて気に入った。

 

 ガイから連絡がきた。さっきもらった報酬のいわくだきのわざマシンをホルビーに覚えさせると邪魔な岩を砕けるらしい。

 早速ホルビーに岩を砕いてもらいながら、ホテルZに帰ることにした。

 

 

 

 

 ホテルに帰れば、ガイが出迎えてくれた。気づけばもう夕方。腹ごしらえとしてクロワッサンとカフェオレでお茶をすることになった。

 

 ミアレの人は押しが強いし、ワイルドゾーンには戸惑ったけれど、ミアレシティは楽しいなと感じる。最後にパーっとこの街で遊んでから死ぬのもいいね。

 

 談笑していると、ZAアプリからの通知が届いた。『ランクアップ戦』の相手が決まったという通知だ。わからない言葉はガイに質問する。ふむふむ。とりあえず夜のバトルゾーンに参加してポイントを貯めればいいと。

 

 ポケモンバトルは楽しいし、やれるところまで頑張ってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱり、バトルになった時のクワの顔つきの変わり様……本当に人が変わったように好戦的な表情……。普段の静かな様子とは似ても似つかない……。単にそういう性格なのか、バトルの時だけ人格が違うのか……?

 

 




中途半端なところで終わらせてすみません!続きは早めに出します(当社感覚)

主人公のセリフ、「」表記か──の後に表記するかで悩んでます
原作選択肢と全く同じセリフなら──表記って感じに書いてますけど読みにくいですかね……?
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