自殺志願者と危険だらけの都市   作:音眼紫玖

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第二話 バトルの才能?

「あっははは!楽しいねこれ!!」

 

 夜のミアレシティ、赤いホログラムで囲われたバトルゾーンの中で。勝負を仕掛けてきたトレーナーをヤヤコマで叩きのめしたクワは高笑いを上げながら笑顔で叫んだ。

 

 バトルゾーンの奥に進んだ。デウロがアドバイスをくれる。

 

「物陰からガツンと先制攻撃をすればすごく有利になるよ!」

 

「なにそれすっごい楽しそう!やる!」

 

 興奮して目をギラギラと輝かせながらクワは言う。「大声出したら他の人に見つかっちゃうよ」とデウロは苦笑いを返す。第一印象との差に少し引いてしまっていた。

 

 クワは物陰からホルビーを連れたトレーナーを狙い、自身もホルビーを繰り出して小声で「いわくだき」を指示する。効果はバツグンだ。さらにいわくだきを何度か放ってもらい、相手のホルビーは瀕死になった。

 相手が次に繰り出したのはヤヤコマ。クワは場に出すポケモンをメリープに変更し、でんきショックで相手を圧倒する。

 

「楽しい、楽しいよ……!」

 

 またバトルゾーンの奥に進み、今度はピュールからアドバイスとオボンのみを貰った。

 3人目のビードルを連れたトレーナーにはヤヤコマで軽々と対処し、チャレンジチケット取得の条件である1000ポイントを達成。

 

「最高!オマエ最高、ヤヤコマ最高!」

 

 次はランクアップ戦だな、ポケモンセンターの前で集合と言われたのでクワは従ってポケモンセンターの前に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっと疲れたなぁ……。

 ザックとのランクアップ戦もすんなり勝って、わたしは晴れてランクYに昇格した。楽しかった感覚だけはあるけど、自分が何をどうしたのか全然思い出せないや。

 

「『夜ですが朝飯前』なんて上手いこと言っててさ、すげえカッコよかった」

 

 バトルが終わった後、ホテルZへ帰る道中にガイにそんな風に褒められた。でもそんなこと言った記憶がない。思い出せない。覚えてない。どうして……?

 

 あ、あとバトルの後にマチエールという探偵を名乗る年上の女性に声をかけられた。そこは覚えてる。いいトレーナーだと褒められた。戦略も何にも覚えてないのにどう受け取ればいいかわからなかったな。

 ガイ曰くマチエールさんはものすごいトレーナーらしい。そんな人に認められたのか、わたしは。

 

 今はガイが作ってくれるご飯待ちだ。お、考え事をしているうちに出来上がったみたい……ん?

 

「食ってみろ!」

 

 ──これはなに?

 

「どうして質問するんだ?ホテルZの人気メニューとして考案したガイ特性『クロワッサンカレー』だ!」

 

 クロワッサンカレー……?

 デウロは好きみたいだけど……うーん?

 

「ボクは認めませんよ」

 

 ピュールはミアレ出身らしい。ミアレ人はこだわりが強い人が多いとデウロは言う。

 

「クワ、うるさくてごめんな。でもオマエと会えてほんとによかったぜ」

 

「その気持ちわかる。クワがいてくれたらなんとかなりそうだもん」

 

 ──がんばるね。

 

「改めてよろしくな!さあ食おうぜ!」

 

 ……いただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。ミアレシティ3日目。

 ガイにミアレシティの名所・プリズムタワーを案内してもらうことになった。ホテルから出たときにホテルの外壁補修の報告に来ていたおじさん達から『カナリィ』というキャラ?配信者?のぬいぐるみを分けてもらった。持っているといいことがあるみたい。

 

 ハシゴを登って屋上からでのルートで行こうという話になったが、メガ結晶という変な岩が邪魔で登れない。

 ポケモンの技でなら簡単に壊せるって教えてもらったので、メリープのでんきショックで壊した。

 落ちたカケラは集めておくといいものと交換できるようだ。

 

 ミアレシティはどこもかしこも高い建物だらけで嬉しいな。ホテルの周りの建物には柵がついているけど、所々ついてない建物もある……。

 でも今はとにかくガイの後を追うことにしよう。

 

「お客さま。あちらに見えますのが、ミアレの名所プリズムタワーです」

 

 へー。でかい。

 

 

 

 

 

「おーい!こっちこっち!」

 

 地上の方からガイの声がする。飛び降りて無傷?

 

「飛び降りたら答えがわかるって!なにかあったら受け止めるぜ!」

 

 カッコいいセリフだけどわたしのことは受け止めなくてもいいんだけどなあ……。

 飛び降りてみた。

 

『安全着地モード作動。急な落下を検知しました』

 

「ああ……」

 

「どうして残念そうな顔するんだ?」

 

「べつに……」

 

 スマホロトムを持っている限り飛び降りても意味ないのか……。そうなんだ……。あ、近くにワイルドゾーンがある。

 気になっていたら行ってていいと言ってくれたので入ることにした。ガイはタワーの方で待っているって。

 

「モンスターボールの準備はいい?ワイルドゾーンに入るならモンスターボールは必須だもんね」

 

 入り口の前にいたトレーナーさんがモンスターボールを分けてくれた。「大事に使います」と返事してワイルドゾーン2番に入場した。

 

 手始めにすぐそこにいた黄緑色の小さなポケモンを捕まえる。図鑑アプリで確認したところ『スボミー』というらしい。かわいい。……わっ、魚のようなポケモンが飛び出してきた。どこかで見たことある見た目。『コイキング』だろう。捕まえた。

 ……今の実力でもそこまで苦戦しなさそうなポケモンが多いし、ガイも待たせてるし、また後でゆっくり捕獲して回ろう。一旦退場する。

 

 

 

 

 

 

 

 マップを見ながらプリズムタワーの方に移動すると、キッチンカーの近くにガイがいるのがわかった。『ヌーヴォカフェ』というお店だと教えてくれた。ランクアップのお祝いに奢ると言うのでお言葉に甘えて、わたしは『もえつきロースト』を注文した。

 

「ここのローストコーヒーはオレ的にミアレで一番だな!」

 

 口調が荒めだけど気の良さそうな女性店員からコーヒーを受け取り、ガイの話を聞く。

 

「最先端のタワーに見えるだろ。でもAZさんが言うにはかなり昔からあったらしいぜ」

 

「へえ」

 

「こちらのヌーヴォカフェはガイさんのお気に入りでしたね」

 

 見知らぬスーツにサングラスの男性がガイに声をかけてきた。ガイの知り合いっぽい。マスカットさんという偉い方だと紹介された。

 

「社長秘書と言う名の雑用係です。以後お見知りおきください」

 

 どうも。

 軽く挨拶を交わして、彼は仕事があるからと去っていった。

 

「さて、ここからが本題だ。マチエールさんの事務所、ハンサムハウスに行くからついてこい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガイについていっていると、ワイルドゾーン3番の前で何やら演説をしている集団に出くわした。ジャスティスの会という胡散臭さを感じる名称と荒唐無稽な演説内容……。素手でポケモンと戦うなんてわたしみたいな死にたがりでもやらない。

 

「ムチャクチャ言ってるな」

 

「そこのあなた!」

 

 ガイがもっともな感想を呟いたところ、わたしたちは会員の一人に目をつけられてしまった。コタネと名乗る少女。名前はわからないが、二足歩行の筋肉質なポケモンを繰り出してきた。チコリータのチャームボイスを中心に、落ち着いて対処を行う。

 

「……力負けです」

 

 今回は記憶が飛ばなくてよかった。昨日のあれはなんだったんだろうか。ミアレシティに病院があるのかわからないけど時間を作って病院で相談してみようかな……。

 

 わたしのことを褒めつつもまだ無茶苦茶なことを言いながらジャスティスの会は引き下がっていった。ミアレシティにもこの手の団体っているんだなあ。

 

 

 

 

 

 

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