FGO 異端特異点 B.C.12000 人類統一王権 ギョベクリ・テペ 円卓の女王   作:笑嘲嗤

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第2話 陽キャ降臨!

 僕たちは村にやってきた。村人たちの服装は皮を中心にした質素なものだった。まだここは文明の前だと強く実感する。だから僕とマシュが入ってきてすぐに村人たちから警戒されているのがわかった。

 

「やっぱり目立っちゃいますね」

 

 サーヴァントとしての格好のマシュなんか目立って仕方ないかもしれない。すこし恥ずかしそうにしている。

 

「お前ら何しに来た?」

 

 壮年の男が僕たちに話しかけてきた。周りには屈強な男たちが控えている。

 

「ええっと!その探している人がいて」

 

 半分くらい本当のことをいった。いつも通りならこの特異点で暴れている奴がいるはずだから。

 

「人探し?お前らは神殿から来たのか?労働力の供出はしばらくなかったはずだが?」

 

「いいえ。そうじゃなくて」

 

 神殿って何だろう?重要そうなキーワードっぽいけど。

 

「村長!女神さまが来ました!!」

 

「なにぃ!?今行く!席を取っておけよ!!」

 

 なんか伝令が来て、村長たちは僕たちを放って村の中へと走って行ってしまった。

 

「女神ですか?」

 

 アルトリアが首を傾げている。

 

「あんまりいい予感がしねぇな」

 

 クーフーリンは昔のことを思い出しているのか警戒感を露にしている。

 

「だけど現状ヒントも何もないんだ。行ってみるべきだろう」

 

 マーリンは楽し気にそう言った。僕たちはとりあえず村の奥へと進む。すると村人たちが村の広場に集まっているのが見えた。人だかりがぶ厚い。

 

「なんだあれは?丸いテーブルがありますね」

 

 ディルムッドが怪訝そうに広場の中央を見ている。たしかに丸いテーブルがあった。質素だがどこか厳めしく、同時に神秘的な感じがした。

 

「「なんでうちの円卓がここに?!」」

 

 アルトリアとアーサーが酷く驚いている。円卓の騎士たちも顔を真っ青にしていた。

 

「え?あれってあの円卓なんですか?!」

 

 マシュが興味深げに円卓を見る。円卓と言えばアーサー王伝説の重要なアイテムだ。どういうことだろう?誰かが持ち込んだ?だけどなんのために?

 

「はーい♡みんなぁ!お待たせぇ!!」

 

 大きな声が広場に響いた。そして村人たちが歓声を上げる。

 

「「「「「ジェニファー様ぁ!!」」」」」

 

「ジェニファー?」

 

 そして円卓の上に誰かがどびのった。そして瞳の前でピースサインをする。現代的なアイドルのミニスカート衣装をまとっている金髪の女だった。青い瞳は湖水のように澄んで輝き、その顔は女神の如く美しい。ノースリーブの衣装から覗かれる右肩に王冠のマークの痣のようなものがあった。

 

「英霊っぽいなぁ。でもジェニファーって聞いたことないんだけど」

 

「そうですね先輩。私もきいたことがありません」

 

 そしてどこからともなくポップなメロディが流れ出す。そしてジェニファーと呼ばれる女の後ろに花火のような閃光が舞い散った。

 

「一曲目行くよ!【私の夫は騎士王様♡】」

 

 ジェニファーはマイクを持って可愛らしく踊りながら歌う。綺麗な声で明るく元気よく歌う。上手な歌だ。なんか心なしかウキウキしてくる。

 

「ほぅ。これは愉快だな」

 

 ギルガメッシュがなんか杯を煽ってる。なんで酒飲んでるのさ。フリーダム過ぎるだろ。逆に円卓のメンバーとアルトリアとアーサーがすごく引いた顔してるのが対照的だ。同時にクーフーリンとディルムッドとフィンがなんかすごく微妙そうな顔をしている。

 

「「「「「「ジェニファー!ジェニファー!ジェニファー!」」」」」」

 

「みんなありがとうねぇ♡」

 

 すげぇ盛り上がってる。うちのパーティーの空気とはもう全然違う。ギルガメッシュはなんか馬鹿笑いしてる。愉しそう。

 

「愉悦だな。なあ花の魔術師。そう思うだろう?」

 

 そんなこと言ったらマーリンが調子乗りそうだ。ウザいこと言って顰蹙買うのがお決まりのパターンだけど。

 

「……うそだろ?」

 

 マーリンが珍しくシリアスな顔をしていた。え?なに?明日世界終る?

 

「おい、マーリン。いつもみたいに茶化さないのか?」

 

 僕は本気で不安になってマーリンにそう言った。だけど彼はいつもと違ってどこか顔が強張っている。

 

「いやいやいや!彼女は英霊として呼ばれるような霊格はないはずだ!なにかの事故なのか?なんだ。なんなんだ?」

 

 マーリンがシリアスしてると怖くなるんだけど。村人たちとジェニファーのライブの盛り上がりに比べたらこちらの暗さが半端ない。

 

「はーい!今日はみんなに大事なお知らせがありまーす!今度神殿で最高のライブをやりまーす!ぜひ来てください♡」

 

 なんだろう。ガチでアイドルみたい。だけど彼女は英霊のはずだ。だからすぐにとんでもないことが起きた。彼女を中心にまるで太陽のような光が溢れた。それは村全体に広がっていく。そしてさっきまで何もなかった道に麦が実り豊かに生い茂った。

 

「「「「「うおおおおおおお!豊饒万歳!ジェニファー様万歳!」」」」」

 

「なんだこれ?彼女の宝具かな?」

 

「いや。彼女にこんな能力はなかった」

 

 アーサーが青白い顔で呟いた。

 

「ええ。それに彼女が円卓を踏み台にしている?あり得ません」

 

 アルトリアの顔色も良くない。

 

「え?二人とも知ってる人?もしかして円卓の騎士の一人?」

 

 でもジェニファーなんて名前の円卓の騎士いったけ?そう思ったら、アーサーとアルトリア、そして円卓の騎士たちがジェニファーの方へ急いで近づいていった。

 

「マスター。いい見世物だ。しっかり愉悦を味わえ。それが文明の嗜みだ」

 

 ギルガメッシュがニヤニヤしている。そして僕とマシュたちもジェニファーの下へ行く。

 

「円卓から降りろこのビッチ!!」

 

 モードレットが剣を出して叫ぶ。よりもよってビッチ呼ばわりはひどい。

 

「あ!アーサーとアルトリア!それにみんなもいるんだ!やっほー!」

 

 実にアイドルっぽい両手でハートマークを作ったポーズが可愛らしい。

 

「何がやっほーですか?!1000年ぶり以上あってなかったんですけど!」

 

 アルトリアが怒ってる。なになに?どういうこと?知り合いなのは間違いなさそうだけど。そしてアーサーがどこか暗い顔でこう言った。

 

「ギネヴィア……どうしてここに?」

 

 え?嘘だろ。僕はひどく驚いた。

 

「ええ?!うそ?!ギネヴィアってあの円卓を壊した悲劇の王妃?!」

 

 マシュも衝撃を受けている。聞いた話だと魂属性眼鏡っ子な人だったはずなんだけど。不義の愛に身を焼かれた悲劇の王妃。だけど今目の前にいるのはどうみてもアーパーな陽キャだ。

 

『ジェニファーはギネヴィアの現代英語形だよ』

 

 ダ・ヴィンチから通信が入った。どうでもいい豆知識だ。だけどアーサーも現代では英語圏で人気のある名前だし、その王妃の名前が後世にあやかられたのも不思議ではないのかな?

 

「とっとと降りろビッチ!円卓は父上と俺たち騎士の大切なものなんだよ!!」

 

「えー。やだよ。それにこれって私が嫁入り道具でキャメロットに持ち込んだだよ。私がどう使おうがモードレットには関係ないし!べー!」

 

 舌だしてジェニファーこたギネヴィアがモードレットを拒絶する。というか円卓って嫁入り道具だったんだ。というか、僕とマシュはランスロットの方を見た。やっぱり汗ダラダラだった。

 

「王妃様……その……お久しゅうございます」

 

「あ、ランスロット!相変わらずイケメンだね!ガラハッドは元気してるぅ!?」

 

 陽キャすぎる。ここにアーサー王とランスロットがいて、まあカルデアで和解してここに至るのはわかるけども、こじれた原因のギネヴィアがいるのがすごく笑えません。なのに本人はちっとも気にしてない感じ。なにこれ?

 

「すこしは慎んでくださいよ!何ですかその軽薄さ!?あなたブリテンの王妃だったんですよね?!なんでアイドルライブ?!そもそも円卓踏みつけるとかホント意味わかんないんですけど?!」

 

「そこにステージがあるなら立たなきゃ!!私はみんなに喜んでもらえるならいくらでも舞台に立つ!!」

 

「そんなこと聞いてませんからね!!ほんと腹立つ!なんですかこれ?!」

 

「父上が腹立つとか言ってる?!」

 

 アルトリアが髪の毛掻きむしってる。そうとうイラついてるみたいだ。いつも冷静沈着な騎士王はどこ行った。

 

「アルトリア。とりあえず落ち着こう。ギネヴィア。本当に久しぶりだね。だけど正直混乱してるんだ。なにをやっているんだい?」

 

「何ってアイドルライブだけど?もしかして現代文化知らない?!AKB48とかかわいいよね!私も女の子だからこういうの憧れてたの!」

 

 アーサーが絶句してる。今気づいた。ギネヴィアは陽キャ特有の自分の話しかしてないパターンだよこれ。

 

「少しくらい神妙になったらどうなんですか?!あなた自分が何やったか忘れたんですか?!」

 

「なにってなにが?どうして怒ってるの?アルトリア。カルシウム足りてる?女の子はいつだって笑顔でいなきゃだめだよ!にぱー♡」

 

「煽ってるんですか?!きー!!」

 

 アルトリアが壊れかかってるんだけど。ナチュラルな煽りがやばい。

 

「ギネヴィア。怒らないからさ、すこしでいいんで我が身を振り返ってくれなか?」

 

「え?うーん?私何か悪いことしたっけ?」

 

 とぼけてる感じじゃない。本気で何のことかわかってない感じだ。

 

「お前はふざけてんのかビッチ!?オレと兄上たちでお前とランスロットが寝てるところを暴いたの忘れたのか?!」

 

「あー。あれかぁ。モードレット。あれはひどいよ。私はビッチじゃないから自分の男以外に肌とか曝したくなかったんだよ。みんなの前で部屋に突っ込んでくるとかあんまりじゃない?反省してる?私傷ついたんだよ」

 

「お前のそれで円卓壊れてんだよ!まじで腹立つ!なんなのこいつ!?ビッチ過ぎんだろ!」

 

「謝ったら赦してあげるから、ごめんなさいって言おうねモードレット」

 

「なんでオレが謝る側みたいになってんの?!ほんとなんなの?!きー!!」

 

 すごいやりとりだな。ギルガメッシュが実に楽しそうに酒を飲んでる。

 

「王妃様。さすがにあんまりではないかと。私たちが罪を犯したのは事実なのですよ」

 

「はぁ?!ランスロットまで私を責めるの!あんまりだよ!ひどい!ていうか浮気ならランスロットもしてるよね?!エレインとか!私に一途に見せかけて子供まで作ってほんと許せないんだけど!謝ってよ!私めっちゃ傷ついたんだけど!ねぇ!」

 

「いや。それはその。怪しげな術を使われて……王妃様と間違えて……」

 

「まったくもう!自分のことを棚に上げて責めるとかひどいよね!ぷんぷんしちゃうんだけど!」

 

 なにこの言い返し方。論理が通ってるようで全く通ってない。

 

「アーサーもそうだよね!私に黙って浮気したよね!!信じられないんだけど!!」

 

「何を言っている!僕はそんなことしてない!」

 

「そこにあなたの浮気の証拠があるじゃない!モードレット!あなたの子じゃないの?!ねぇ!!」

 

 アーサーが不倫の言い訳の直撃喰らった?!

 

「父上。俺は父上の子供だよな?否定しないよな?ぐすっうぇえええん」

 

「あー泣かせた!ひどくない!アーサーがそんな人だと思わなかったひどいよ!あんまりだわ!こんな人が夫だなんて私可哀そうすぎる!!」

 

「複雑な事情があるんだよ!あれはモルガンのせいで!そんなつもりじゃ!」

 

「なのその酔っ払いの言い訳みたいなの!?大人なら自分のおちんちんくらい制御してよ!!女の敵だわ!さいてー!」

 

 アーサーがプルプル震えている。何この地獄?

 

「アーサーってほんとデリカシーないよね。ランスロットのことで私を火あぶりにしようとするし!何考えてるの!?女の子に優しくしなさいよ!!」

 

 とんでもない責任転嫁してきたぞ。

 

「いや。不倫したのは君だろうギネヴィア。謝るのが王妃としての筋では?」

 

 マーリンが普通に突っ込みを入れた。普通過ぎてマーリンらしくない。

 

「はぁ?!今の話聞いてなかったの?!アーサーは不倫するようなさいてーの夫だったんだよ!だからわたしは不倫させられるような気持ちになったんだよ?私ちっとも悪くないじゃん!」

 

 だから責任転嫁!どんだけ謝りたくないのさ。

 

「あーもう!不倫とかはもういいです!とにかくそこから降りなさい!」

 

 アルトリアがギネヴィアに近づいて手を取ろうとした。だけど。

 

「騎士王。我が恋人に触れるな」

 

 鹿の角のような剣を持った美しい男がいつのまにか円卓の上にいて、アルトリアの首筋に剣を突きつけた。

 

「な?!いつのまに?!なぜですか?!あなたも円卓の騎士でしょう!イデール!?」

 

 男の名はイデールというらしい。というか恋人とか言った?ん?

 

「あの。ギネヴィアさん」

 

 マシュがおずおずとギネヴィアに尋ねた。

 

「なにかな?」

 

「そちらの方は?」

 

「私の元カレ♡」

 

 その瞬間円卓に電撃が走ったように思えた。ランスロット以外にも恋人いたの?僕はこの修羅場にめまいを起こしそうだった。




型月原作の魂眼鏡っ子設定は忘れてください(´・ω・`)
アーサー王伝説の原典に忠実に解釈してキャラ付けしたらどう考えてもギネヴィアは陽キャです。圧倒的陽キャ。


陰キャしかいない英霊界隈では珍しい陽キャ。

私は好きです!
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