FGO 異端特異点 B.C.12000 人類統一王権 ギョベクリ・テペ 円卓の女王 作:笑嘲嗤
朝になり次の村へ向かうことにした。
「徐々に神殿に近づいてる」
「神殿?」
ハンムラビが何か気になることを言った。神殿。以前寄った村でもそんなことを言っていた。
「ああ。ギネビィア達一味がいま拠点にしているところだね。僕もそこで召喚された」
「そこが何かの儀式の拠点になっているのかな?」
今までの特異点も異聞帯も須らくそんな感じはあった。だからこそ先に情報を収集しておかないと、あとで困ったことになりかねない。
「ギネビィア達はなにか目的とかについて話してなかった?」
「ああ。そうだねぇ。僕がギネビィアに求婚された。それくらいかな」
それを聞いた円卓の騎士たちの表情と来たらひどいもんだった。それを嘲笑うギルガメッシュは相変わらず酒を飲んでゲラゲラ笑ってる。
「あの女は節操がないのですか?!私とて経国の女と言われたこともあります。ですがあまりにも度が過ぎています!!」
モルガンがプンすこしている。まあなぁブリテンの王妃様がよりにもよって他所の王様と結婚とか意味不明過ぎる。
「あの女は何を考えている?ブリテンの王妃だったのはアーサー王の妻だったからなのに?自分が王権の神秘を代行しているとでも奢っているのか?」
マーリンが本当に珍しく静かに怒ってる。それを見てギルガメッシュがニチャニチャしているのが印象的だった。マーリン頼むからコメディリリーフしてくれお願いだから。不安になる。
「私以外と結婚?ブリテンの王妃はここまで軽薄だったのか?!」
アルトリアが憤慨している。今にもオルタ化しそう。怖いですよアルトリアさん。そして逆にアーサーはそこらの樹になんか頭打ちつけてて怖い。
「僕はいつのまに離婚されてるんだ?どういうこと?」
「おいたわしいなアーサー。お姉さんとアヴァロンに帰ろう?ね?」
プーリンがアーサーの背中を撫でている。アーサー、アルトリアの絵面もなかなかだけど、マーリンとプーリンの絵面もなんかえぐいよなぁ。
「よし!あいつを火あぶりにしよう!父上!あのビッチはオレがきちんと焦がしてやるからな!」
モードレッドが駄目な方にやる気を出している。神話を再現しようとしてるけど、そのお隣にはギネビィアを火あぶりから救った人がいますよ。ランスロットっていうんだけど。
「また王妃様を私が助けなければいけないのか……いい……」
「ランスロット卿。今度は私も一緒に王妃様を助けたい!あのときだって本当は王妃を火あぶりになんかしたくなかった!これは騎士としての晴れ舞台だ!私も助太刀しよう!!」
「ガウェイン卿!円卓は永遠に不滅ですな!!」
「「あははは!!」」
「ちぃいいいい!!」
アルトリアさんがめっちゃ舌打ちしてる。円卓はもう駄目だ。ずっとアルトリア厄介強火ファンしかいなかったのに、今やギネビィア派が盛り上がってやがる。
「あんな女の何処かイイのですか?息子よ。目を覚ましなさい」
「母上。ぶっちゃけますけど、王妃様はいい女です」
「この母に向かってそういうのですか?妖精郷の女王であるこの私に?……私よりもいいですか?」
「はい。太陽と王妃様と母上なら。太陽≒王妃様>>王>>>>>>>>(アヴァロンの壁)>>>>>>>>母上です」
「うがぁああああああああああ!!!どいつもこいつもなんであの女がいいんですか!?私の弟も夫も愛人も息子も!みんなみんなみんな!なんであんなビッチに夢中なんですかぁ?!ぎゃぁああああああああああああ!!!」
モルガンの威厳がどんどんなくなっていくようぅ。妖精郷からきた女王がパリピ陽キャ王妃にボコボコにされるの忍びない。みんなギネビィア好きすぎだろ。
「先輩」
「何マシュ?」
「なんで円卓が王妃ギネビィアのせいで割れたんですか?」
それはふっと出てきた言葉だったんだと思う。だけどあれ?
「それは彼女が不倫したから、円卓はアーサー王とランスロットの間で軍勢が割れて……」
「あの人はこう言っていました。不倫で割れるような国ならなくてもいいと。なにか違和感を感じます。彼女にとってブリテンは理想ではなかったということなんでしょうか?」
「……わからない。でも理想の国を守るために王妃という役割を引き受けた人だよね。でもなんだ。このおさまりの悪い感じは」
うまく言語化できない。ギネビィアという女の神話における役割が理解できない。トロイや戦争で美女ヘレネを巡って争ったようなもの?でもそれとも違う気がする。アーサー王は岩に刺さる聖剣を抜いて王になった。そもそも王妃ってそんなにクローズアップされるのか?他の王の英霊たちを見ても妻の影響は大きいとは思えない。アーサー王は王妃の強い影響を受けている?なんだこの直感は。裏切るにはなにか。何かが強すぎる。
そして次の村についた。結構大きい。
「はいよーライブ会場はあっちだよー。ちゃんと交通整理に従ってねぇー」
なんか棒を振って村人たちを案内している鎧姿の男がいた。明らかに英霊の類なのだが。
「あんたなんでここにいんのよぉおおおおおおおおお!!!」
その男に遭遇した瞬間、メイブが霊体化を解除してあの男に向かって突撃していった。だけど鎧の男はあっさりと身を躱す。
「おう。久しぶりだな」
「久しぶりとか言ってんじゃないわよ!あんたなにやってるの!?あんた私の夫でしょ?!なんで敵サイドにいるのよ!!ありるぅうううううう!!」
え?メイブの夫?アリルさんっていうのか?
「あ?そりゃねぇ」
「どういうことなの?!私がマスター側にいるんだからすぐにこっちに来なさいよ!夫でしょ!!」
「ええ。でもギネビィアの方がねぇ。お前より面白い女だからなぁ」
「はぁ?!私の傍がつまんないっていうの?!あん?!ふざけてんの?!」
「そりゃそうよ。クーリーの牛争いよりもこれからおもろいこと起きるからな!俺は面白い女の味方だ!!」
「上等だこの野郎!夫婦喧嘩じゃ!?」
なんかぎゃあぎゃあうるさいんですけど。つーかどういうつながりなの?いまのところこれでギネビィアが従えている五人のうち四人は名前が判明したわけだけど、アリルって神話体系自体が違うよね?イデール、ケイはまあわかる。そもそもトマスとか言うやつの正体がよくわからないけど名前からするとブリテンに関係ありそうではある。アリルはメイブの夫ならブリテンのお隣の島だよね?全然関係ないじゃん。うーん解せない。
「それよりライブ始まるから見てくか?」
「あのー。僕たち多分敵同士ですよね?」
アリルは僕たちをのほほんとライブに誘ってきた。ぶっちゃけこっちはギネビィアさんのせいで空気最悪なんですけど。
「俺は別にお前たちとてきたいするきなんてさらさらない。面白いことは分かち合うべきだ。来いよ!今日はバンド形式なんだ!じゃあ!俺もステージに立つんで!」
そう言ってアリルはひゅっと存在感消していなくなった。
「アサシン適正高そうだなぁ」
とりあえずやることもないのでまたライブ会場に入る。なお円卓の空気は最悪です。例によって円卓の上にギネビィアがいた。そしてケイがやる気なそうな顔でドラムに。イデールがベースギターを。ギターを持っている新顔がいた。これで五人が明らかになったな。
「メリアグランス?!はぁ?!どういうことなんですかぁ?!」
アルトリアが新顔を知っているらしい。聞いたことないけどどんな人?
「円卓のみんなも知ってるの?」
「私が殺した騎士です」
ランスロットがなんか気まずそうに眼を反らした。
「うわ?!気まずい!!」
「王妃を誘拐した悪辣な男です。私が王妃を救出しました。しぶとい相手です」
「そんなやつがなんでその王妃様と一緒にいるのさ……」
「わかりません。わかりませんよ!王妃様!どういうことなんですかぁ?!」
ランスロットもなかなか気苦労が絶えない。王を裏切った悲劇の騎士がなんか当の不倫相手と再会したらただの不倫相手の一人でしかなかったとかなかなか真実がえぐい。そしてライブが始まる。
「私の熱さで冬なんて吹き飛ばしてあげるわぁ♡」
「「「「「うぁおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
そして円卓に刺さった槍の石突についたマイクでギネビィアが熱唱する。
「なんであのやりぃ?!ぎゃああああ!!傷が疼くぅううう!!」
モードレットが顔を青ざめさせている。
「え?もしかしてあの槍……」
「私のロンゴミニアドです。ふざけてるんですか?!」
最果てにて輝ける槍……。よりにもよってマイク扱い……しかも円卓に刺さってるし……。アーサーなんて白目剥いてるんですけど!
「ロック!ロック!ロック!ロック!ロックぅううううう!!」
そしてあろうことかギネビィアはマイクを振り回して円卓に叩きつけた。槍がぽっきり折れた。
「「「「「「あの槍が折れたぁあ?!!」」」」」」
「ふぅパンクしちゃった♡」
そして例によって地面から麦が生えてくる。もう滅茶苦茶だよぅ!
「ちょっとそこのこむすめ!!」
メイブが円卓の傍に駆け寄る。
「私の夫返しなさいよ!!アリルは私の男よ!!」
「え?あーあ!メイブだ!やっほー!会いたかった♡」
「私はあんたのことなんて知らないんだけどぉ!!……っえ?なにこの記憶……あれ?!」
「あー無理に思い出さない方がいいと思うよ。神話ってのはいいことないからねぇ。だから私を見ない方がいい。見ちゃダメ♡」
メイブが頭を抱えて苦しんでいる。
「あ、アリル?クーフーリン、それに……え?なんであなたがそこに?え?」
「あー見すぎちゃった。よくないよね。でも悪夢は終わりにしてあげる♡これ、返してもらうね♡」
ギネビィアはメイブの胸に手を突き刺した。血は出ない。だけど淡い光を放ってメイブの中に手はずぶずぶ入っていく。そしてギネビィアが手を引き抜くと煌びやかな槍がカノジョの手に握られていた。そしてメイブは倒れてかすかな光に散っていき、その光はギネビィアの身体に吸い込まれるように同化していった。
「な、なにが起きてるんだ?!え?メイブ?」
「安心して。ちょっと返してもらっただけ。すぐに返すからさ♡」
「いやそうじゃなくて!今のはいったい!なんでメイブの身体が君に同化するんだ!そんなのあり得ない!メイブは英霊だぞ!情報の質が違うんだ!混ざり合うはずが!」
「うーん?あーはいはい。まあ世の中不思議なことはいっぱいあるからさ。どんまい♡」
ギネビィアは全く取り合ってくれない。そして彼女たちの背後でドカーンと花火が上がり、煙幕で円卓が包まれた。
「じゃあまたねぇ♡ばいばいー♡」
また嵐のように消え去ってしまった。いったい何者なのさ。ギネビィア。謎ばかりが深まっていく。