FGO 異端特異点 B.C.12000 人類統一王権 ギョベクリ・テペ 円卓の女王   作:笑嘲嗤

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第9話 剣の化身と現れるメタファー

 謎は深まっていく。いままでアーサー王伝説というものを悲劇の代名詞だと思っていた。なのに何かが致命的に狂ってる。

 

「先輩。思うんです」

 

 マシュが呟いた。そこにはなにか戸惑いの色が見える。

 

「いままでのアーサー王伝説にまつわる様々な悲劇を見てきました。でもいつもそうです。決定的な破滅の根源であるギネヴィア王妃側からの視点は一度もなかったっていうこと。ギネヴィア王妃。彼女が王権の選定者ならば。ならブリテンの滅びは彼女が望んだことなんじゃないですか?」

 

「そうなっちゃうよね。うん。そんな感じがする。……アルトリアとアーサーには絶対に言わないでね」

 

「はい。言えませんよそんなの」

 

「ひっかかることがあってね。ダ・ヴィンチさん。一つ教えて。モードレッドのクラレント。由来はどこにあるの?」

 

『もうわかってるんだよね。では明かすよ。クラレントはアーサー王の宝物庫からもたらされたものだ。モードレッドが持ち出した。……その鍵は妻であるギネヴィアも持っていた。クラレントがモードレッドの手に渡ったのは……』

 

「ギネヴィア王妃の意志なわけだね」

 

『モードレッドの逸話をいくつか検索した。驚いたことがある。ギネヴィアとモードレットが結婚して子供をもうけた逸話まであった』

 

「え?まじ?」

 

 素で驚いた。なんだよそれは……。じゃあそれって。

 

「先輩。今までの仮説だと……モードレッド卿にも王の資格あるんじゃないですか?それって」

 

「あるよね間違いなく」

 

『もっと恐ろしいことを言ってもいいかい?』

 

 ダ・ヴィンチがどこか厳かに言う。僕は嫌な予感がした。

 

『ランスロットもギネヴィアから剣を貰ってるよ』

 

「……そんなぁ……」

 

『アーサー王の死によれば、ランスロットがアーサーによって騎士に叙任された時に、うっかり剣を忘れたらしくてね、その時にギネヴィアが密かに渡したらしい。恥をかかないようにね』

 

「ギネヴィアは気に入った男に剣を渡す?」

 

『剣はここでは王権のメタファーなんだと思う。クラレントもランスロットの剣もみんなギネヴィア経由で渡っている』

 

「じゃあカリバーンとエクスカリバーは?あれはいったい?」

 

『あっちはもっと別な起源があるね』

 

「星の内海で鍛えられた神造兵器だよね」

 

『うん。だけど実は……もっと深い最源流が』

 

 その時だった。雷光が響きわたりあたりが明るくなって激しい音が轟いた。風が吹き荒れて、僕たちの目の前に二人の騎士が現れた。一人はイデール。もう一人は……。

 

「また私のジェネリックですか?!私の顔に著作権ってないんですか?!」

 

 アルトリアが愕然としてる。なぜなら現れたもう一人の騎士の顔はアルトリアにそっくりだった。だけどよく見ると丸みが少ない。体つきも男性のそれだ。男の子のアルトリアって感じ。目のいろはブルーだけど。

 

「くくく。かのアーサー王に似ていると言われるのはどんな気分だい?私だったら吐き気がするがね」

 

 イデールが横にいるアルトリア顔の騎士に声をかけた。アルトリアの騎士は無表情で言った。

 

「あの女が私に似ているのだ。まあ不愉快だが仕方あるまい。聖剣使いの原典としては逸話が散逸するのは想定の範囲内だ。外宇宙からの脅威に備えるために聖剣使いは何人だって必要だ。だから私は星に聖剣を返したのだから」

 

 そう言うとアルトリア顔の騎士の手に光が集まって剣が召喚された。それはあまりにもエクスカリバーによく似ていた。

 

「聖剣使い?あなたは一体だれなのですか?私と縁がある?だが私はあなたを知らない」

 

「そこのお前を生んだ妖精もどきにでも聞け。ギネヴィアの頼みだ。一つお前が聖剣を担うに相応しいかためさせてもらうか」

 

 アルトリア顔の騎士はエクスカリバーによく似た剣を構えてアルトリアに斬りかかった。同時にイデールはアーサーに斬りかかる。

 

「先輩!」

 

「全員戦闘態勢を取って!二人に助太刀を!」

 

「「いらない!!」」

 

 アーサーとアルトリアが同時に叫んだ。騎士たちを切り結びながら怒りに顔を染めて怒鳴り散らす。

 

「この特異点に来てからずっと腹が立っているんですよ!ジェネリックジェネリックジェネリック!!私の顔にもコピーライトはあるんですよ!やぁあああああああ!!!」

 

「僕だってそうだ!ギネヴィアは我がままだし!腹立つし!なんか元カレだらけで惨めになるし!!このうっぷん!発散させてもらう!!」

 

 うぁ。二人ともずっとご立腹だったんだね。

 

「あーみんな。決闘ってことで見守りで」

 

 顔を立てるってことで二人に任せることにした。で気になるのは青い顔してるマーリンだ。

 

「マーリン。あのアルトリア顔の騎士は誰?知ってるんでしょ?」

 

「……怒らない?」

 

「君に怒る?はは!ナイスジョーク!いつもみんなグランドくそ野郎っぷりにキレ散らかしてるよ。いまさらいまさら。あはは!!」

 

 僕だってマーリンに振り回されっぱなしだし、いまさらだよね。なにやったのさ。マーリンさん?

 

「あの騎士は……バトラズ。コーカサスの剣の化身たる大英雄。その。アルトリア作るときに因子を一部……お借りしました……」

 

「はは!ここにパクり野郎がいるぅ!草!ははは!……またややこしくなった……」

 

 マーリンのやらかしが神話跨いで爆発した。花の魔術師はいつだってトラブルメーカー。ギルガメッシュがにっこり愉悦するのを見ながら僕はため息をついたんだ。

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