忍原来夏とはただの幼馴染みです………それだけですが?   作:グラビトン

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今回で忍原来夏と小太刀 鞘の仲が決まります。
そして次回で東風異国館もといフットボールフロンティア予選編終了になります、書きたいものが溢れ出るべ………しかし今回は人によっては好み分かれるかもです。


最高に最悪にて

東風異国館に向けての特訓、二日目。

 

内容は昨日と変わらず個々の体力アップ、そして忍原先輩と小太刀先輩のコンビの連携精度の向上。

………昨日は見るに堪えない惨状だったが、その後僕は裏で手に入れた喫茶タンクのクーポンを手渡して二人が会話をする場を設けた。

 

今すぐ仲良しこよしになれとは望まない……せめて試合中や部活内だけでも、チームメイトとして交流を深めて欲しい、恋愛事情なんて先輩に随時押し付けとけばこちらに被害もないから。

 

2人には昨日はどうでしたかとは確認を取ってない、今日この場でどれだけ親睦を深めたのかを確かめたい。

今日は昼休みにご飯に誘ったのだろうか………今日は少し用事が挟まってしまい様子を見ることができなかった。

 

しかし二人の事情を掻い摘んで話した星先輩と古手打さんは今日も恐らく二人のランチにやって来たはず………特訓を開始する前に、2人にこっそり聞いた。

 

すると………だ。

 

 

 

 

 

『……………』

 

『………………』

 

『………どうしました、まさかまだ……?』

 

『………キャプテン、オレたちは敢えて何も言わねぇ、その目で確かめてくれ』

 

『……はい、きっと聞くより見た方が良いと思います』

 

『………いや、えっと、何があったんです……?』

 

『『……………』』

 

『……分かり、ました』

 

 

 

 

普段は明るい2人が沈痛な表情で訴えていた為、僕はそれ以上何も言えなかった。

何があったんだ、昨日のランチ以上に地獄な光景でもあったのか?

あれ以上なんて考えられないぞ、昨日ちゃんと相互理解はしたんだよね………怖くなってきたぞ。

 

集合していたキーマン2人の様子は………何時もと変わらない調子でそこに居た。

少なくとも隣同士でたって雰囲気が悪い、なんて感じは今の所ない………小太刀先輩はともなく、普段の忍原先輩が静かすぎるのが気になったけど。

 

とりあえず2人には昨日と同じく、体格のいい3人を突破して四川堂先輩に向けてシュートを決めるコンビネーションを見せて欲しいと頼み、用意してある。

 

さて、昨日は何処まで理解し合えた………でも星先輩達の言葉もある、安心は一切できない………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあやりましょう………………来夏さん」

 

「しくじらないで下さいよ、鞘先輩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え」

 

聞き間違いか?

いや、聞こえた、確かに聞いた。

名前を、名前を呼びあった?互いに敵陣を見据えながら名前を呼んで調子の確認をしあった?

 

思わず桜咲先輩の方へ視線を向ける、彼らも信じられないものを見ている顔だった。

 

昨日まであんなに互いのミスを醜い言い争いで責め立ててたのに、昨日も開始する時会話らしい会話も無かったのに。

態度自体は素っ気なさを感じるが、確かにコミュニケーションを計っている姿がそこにあった。

 

そんな光景に安堵しかけるけど、一瞬で思い出す……あの二人の言葉を。

 

あの態度は間違いなくプラスな事が起きた様子なんかじゃない、何かしらがあったに違いない。

さぁどう動く………今は2人のコンビネーションを見ることにしよう。

 

「………では皆さん、用意は出来ましたね?」

 

「うん!」

 

「えぇ」

 

「こっちも問題なしだ!」

 

「分かりました、では開始!」

 

 

 

ピーーーッ!!

 

 

 

小太刀先輩から忍原先輩へボールが手渡され、そのまま2人は同時に桜咲先輩達の陣形へ駆け上がる。

並行して行動しているのか………ていうか、あれ?

 

「速い……」

 

彼女らの走るスピードが僕のデータよりも速い、少なくとも昨日よりもアップしている……どういう事だ、昨日二人で練習でもしてたのか?

 

共に攻めてくる状況で、桜咲先輩はどうするか戸惑っていた。

ボールを持ってドリブルしてるのは忍原先輩だけど、このまま小太刀先輩に渡る可能性も考えられる………とりあえず桜咲先輩はボールを持っている忍原先輩をブロックしようとする。

 

………その瞬間だった。

 

「ていっ!」

 

「なっ!?」

 

読んでいたと言わんばかりに忍原先輩はキレのあるターンで体格の大きい桜咲先輩を抜き去り、小太刀先輩へすかさずパスを出す。

 

それを受け取った小太刀先輩の目の前には柳生先輩と品乃先輩が既に警戒してマークされていた。

忍原先輩は後方だ、ここからどうするか………?

 

「……スパークエッジドリブル!」

 

「なに!?」

 

「まじか……!?」

 

小太刀先輩はボールを左足に乗せて、グラウンドに脚とボールを摩擦させながら滑り火花が散る。

2人に直面すると同時にその火花が弾けるように光り、柳生先輩と品乃先輩の2人を吹き飛ばした。

 

いつの間に、ドリブル技を身につけてたのかあの人………!

これなら敵の意識の隙をつかなくても、真っ向から抜くことが可能になった………更に東風異国館の勝率が上がったぞ。

 

「はぁっ!!」

 

「……そこかっ!」

 

そして四川堂先輩と一対一、伝来宝刀は使わずに先輩は右上隅を狙ったシュートを放つ、しかしそのコースを読んでいた四川堂先輩がそれをキャッチしゴールを防いだ。

 

「ふぅ……凄いじゃないですか小太刀先輩と忍原さん、簡単な連携とはいえ昨日とは見違えましたよ」

 

「まぁ昨日が酷すぎたのもあるけどね、まだここからよ」

 

「てか先輩、あんな技あるなら早く使って下さいよ」

 

「前からずっと練習してようやく使えただけ、貴女も得意の忍術を使って見なさいよ」

 

「うざっ」

 

視線は合わせずに軽口を叩きあっている………あれ、仲良しとまでは行ってないけど普通に意思疎通も取れてる………会話からも互いの事情を聞いた事を示唆している。

 

さっきのパスも悪くない、位置取りの時間がかなり短かった、僕が理想としていた動きだ。

………行ける?もしかして、僕の杞憂だった?

 

先程までなかった僅かばかりの期待の心が、僕の胸に宿っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからもキーマン二人の練習は続けてもらった。

回数を重ねる度に連携の精度、パス回しと速攻の動き、フィジカルコンタクトの回避運動、全てが順調に向上していた。

本当に昨日の惨状はなんだったんだと思わせるくらいの進歩振りだ、桜咲先輩チームも安心している………良かった、この調子なら試合当日まで行ける………。

 

「………来夏さん、貴女もう少しパスのスピード下げて貰えない?一々受け取るのに余計な速さを乗せてしまうのよ」

 

「私は確実に敵陣を抜き去るための手を取ってるだけですよ、先輩がそれに合わせるのは当然じゃないですか?」

 

「労る心が無いのね、自分の必殺技じゃゴールを奪えないくせに」

 

「…………鞘先輩には思いやりの心がありませんね」

 

「ウチは事実を言ってるのよ、来夏さん」

 

「………うっざ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行ける………よな?

一応休憩しながらさっきの反省はしているんだけど………なにか、必要ない事まで言っているんだけど。

どうにも空気が悪い………確かにたった一日であの二人の距離が縮まるなんて思ってないけど、それにしても昨日の空気と大差ないような………………いや、寧ろ。

 

「(悪く、なってる?)」

 

未だに視線を合わせてない、不穏な空間を僕と桜咲先輩達は見つめていた。

 

「……雲明、俺はてっきりあの2人は大丈夫と思ってたんだが……そうでもない、のか?」

 

「………プレーに関して、少なくとも昨日よりは目覚しい成長を見せてます、それに仲の悪い原因が原因ですから………でも、なんだか不安が残るのは分かります」

 

「昨日話し合いをさせる為に早く上がらせたんだろ?何を話したか聞いたのか?」

 

「いえ、まだ…………」

 

柳生先輩の言葉にそう返す。

とりあえずプレーを見てから聞こうとは思っていた、でもなんだか………相互理解を行ったにしては、やっぱり不穏というか…………不安を煽る空気感だ。

 

まだチームメイトとして受け入れてないとかじゃ無いよな、あの二人は真剣に物事に挑むタイプだから、反省をすれば切り替える人物の筈なんだけど…………。

 

「………とにかくだキャプテン、ここは聞いてみてはどうだろうか?」

 

「………そうですね、分かりました」

 

品乃先輩の後押しもあり、僕は意を決して2人の元へ近づく。

2人は相変わらず視線を交わそうとしない………何故だろうか。

 

「……忍原先輩、小太刀先輩」

 

「あっ雲明君、今日はどうだったかな?」

 

僕が話し掛けるとさっきまでの剣呑な雰囲気とは打って変わり、何時もの忍原先輩がそこに座っていた。

…………その切り替えの速さに若干の恐れを感じながら、僕はようやく口を開いた。

 

「はい、今日の連携はとても良かったです……この調子を当日の試合まで続けていれば勝率もグンと上がります」

 

「それは良かったわ、昨日の事はとても申し訳なく思っていたから………ウチは」

 

「まるで私が反省してないみたいな言い方ですね?」

 

「…………あぁ、反省してたのね」

 

「……………一々鬱陶しいな……………」

 

「ッ……………」

 

汗が出る、若干恐怖も割増になってきた。

間違いない………仲良くなるどころか、更に険悪になってる?

 

嘘だろ、あそこから更に悪くなるなんて事あるのか?でも連携自体は成長していた、これは……どういうことだ?

 

「あの、えっと………昨日僕は2人にお茶でもしながら今後の事を話してくださいと言いましたが…………どうでしたか?」

 

「……そうね、ウチ達の私情でこれ以上チームに迷惑を掛けるのは流石に忍びないとお互い認識してるから、練習や試合の時はしっかりと息を合わせましょうと結論は出てるわ」

 

「うん、昨日もなんやかんやでお互いの事は知れたからね、私達の関係自体は前進してるよ、昨日は本当にごめんね?」

 

「………いえ、それなら大丈夫なんですけど………」

 

2人は僕を見据えてそう告げた、恐らく嘘は言ってないと思う。

さっきの練習結果がそれを示している、あれは互いの事を知っていたからこそできた連携、そして名前を呼びあって…………信頼関係の現れ、の筈なんだけど…………この2人に関しては、それを………感じられない。

 

どうなってる?色々と矛盾しているような気がしてならない。

一体昨日何を話したんだ?黒景先輩に関しての事情は、どうなったんだ?

 

改めて意を決し……………僕は口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………忍原先輩、小太刀先輩、ひとつ聞かせて貰えませんか?」

 

「ん、何?」

 

「何かしら」

 

「…………お互いの事を、どう……思ってますか?」

 

僕が捻り出すように言葉を紡ぐ。

それからしばらくの間、この空間で静寂が続く。

 

2人は僕の質問に対して、呆気に取られたかのような表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あはは!何言ってんのさ雲明君?」

 

「全く、愚問も愚問ね」

 

まるで耐えきれなかったかのように、呆れたかのように2人は笑った。

そして………静かに隣に居た互いの事を見つめ、ようやく視線を交わし………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「大っ嫌いだけど」」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「ウチは、貴女が嫌いよ」

 

時は昨日の喫茶タンクのお茶にまで遡り………ようやくウチが、忍原来夏に対しての正直な気持ちを吐露した瞬間にまで行く。

 

言った……言ってしまった。

耐えきれずに、吐き捨てるように目の前の忍原さんにそう告げた。

彼女は当然固まっている、目から光は失われて、冷や汗を垂らしながら私をじっと見つめていた。

 

……………あぁ、結局取り繕ったって………心の内に秘めていた気持ちは嘘をつけれなかった。

もういい………このまま、続けてやる。

 

「……いっつもいっつも黒景君にベタベタして、彼の事を考えたことはないのかしら?四六時中ずっと、ずっとずっとずっと………周りを顧みずに迷惑ばかりかけて、甘えて……………正直、それだけなら多分耐えられてた、結局は二人の関係の話だから」

 

そうだ、極論幼馴染みだからこその関係………黒景君は忍原さんの事を大事な友達として受け入れてるけど、忍原さんは彼の事を意中の人と強く認識してる。

別にそれはいい、そうだとしてもウチは構わない。

 

 

 

でもだ、あれは、あんなのは……………許せるわけない。

 

 

「………あの首の傷は、どういうつもりでつけたの?自分のモノだって言いたいの?」

 

「………ッ」

 

「付けた翌日に見たわ、あんなに痛々しく残って………あれを見てウチが、どれだけ不快で彼の姿に心を痛めたか…………なんで、好きな人に対してそんな事を出来るの、意味が分からない、気持ち悪い………ッ!!」

 

カップに添えている手に力が籠ってしまう、しかしウチにはそんな事を気にしてられる余裕は無かった。

既に怒りが、彼女に対する怒りに支配されていたからだ。

 

あんなことをしておいて、平気な顔をして………理解できない、好きな人に対してする事かそれが?

 

ふざけるな……………そんなの、ウチは認めない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………先輩が、羨ましいんです」

 

 

 

 

 

 

 

「………は?」

 

ようやく口を開いたかと思えば、そんな事を口にしてきた。

………ウチが、羨ましい?

何を言ってるの、この人は……………それは、こっちの………。

 

「先輩の様な普通の恋が、羨ましいんです」

 

「……………」

 

「分かってるんです、私がしてることは間違いだって………流がどれだけ私の事受け入れてるのだとしても、私は何処までも歪んでるんだって」

 

「………2回戦の日、彼と少し触れ合えなかっただけで私は変になってました、そんな時に言われたんです………好きだって、受け入れてくれるって………だからあんな事をした。」

 

「………後悔もして、つけたことに恍惚も覚えて、好きだって気持ちがまた以上に膨れて………先輩は正しいです、私は本当に………気持ち悪い」

 

顔を上げた忍原さんを見る、笑いながら……涙を流していた。

そんな彼女を見て、ウチは何も言えなかった。

 

「先輩は知らないでしょ?今私………3回戦が終わるまで、流と何も関われないんですよ」

 

「………えっ?」

 

そんなの……初耳だ。

確かに昨日から黒景君との交流が極端に減ったとは思ってたけど、そんな事が………何故?

 

「雲明君の指示で、私が少しでも流の依存から離れられるようにする為にって………その為には、小太刀先輩との仲を深めろって………多分、雲明君はこうなることを予想してたのかもしれません、先輩のような普通の恋を見つめて………自分の異常さを自覚させる為に……………今でも私、流に飛びつきたいくらいで、耐えれそうにないんです」

 

「好きなんですよ、どうしようもなく大好きで………私の心を埋めてくれた大事な人で…………追いつきたくて、優しくて、そんな人が………私みたいなおかしい子じゃなくて、小太刀先輩みたいな普通の人を選びそうなのが怖いんです……………だからこそ、先輩の事を受け入れられなかったんだと、思うんです」

 

「…………………」

 

………確かに、3回戦に勝つ為とはいえ……いきなりキャプテンがウチと忍原さんを組ませるとは思わなかった。

その理由がこれなのか………多分本当に勝つための作戦でもあるとは思うけど、まさか………ウチに忍原さんの手伝いをさせる為とかじゃ、ないわよね?

 

……………羨ましい………か。

 

そんなの、ウチだって……………ウチだって貴女が、貴女が。

 

「………ウチだって、貴女が羨ましいわよ」

 

「……え?」

 

「貴女とウチは………黒景君と過ごした年月の差に天と地の差がある、だからこそあんなに彼は貴女の事を許して、受け入れてもらって………ウチがそれを、どれだけ望んだか………そして、貴女を妬み続けた………」

 

「………先輩」

 

「よく分かったわ、貴女とウチはよく似てる………何かを1度成し遂げてもそれで満たされなくて、本当に欲しいもの手に入る日まで飢えている者同士よ」

 

「………欲しい、もの」

 

キャプテンはそれを見抜いていた、ウチ達が似たもの同士だからこそ………あんなにも連携が上手くいかなかった事を。

そしてウチと無理矢理引き合せることで………彼女の病的な依存をはっきり自覚させて、更に変わりたいという意識を刺激させること。

 

そして………彼女とウチが、どういう気持ちだったのかを………はっきりとさせる為に、強引にキーマンにしたんだ。

 

「………貴女の事はよく分かったわ、なんでそうなったのかは知らないけど………でもね、結局の所………ウチらは仲良くなんてなれないわよね?」

 

「………そうですね………お互い欲しいものが被ってる癖に、分けられませんからね?」

 

忍原さんは涙を拭って私に微笑む、目は全く笑ってないけど。

 

「先輩、さっき私の事嫌いって言いましたよね?」

 

「えぇ」

 

「なら私は大っ嫌いです、後から流の事を好きになった癖にかすめ取ろうとする泥棒猫ですよ、それになんですか?好きになった理由ダダ被りじゃないですか、私にした事他の人にしないで言ったのに………」

 

「束縛する女は愛想つかれるわよ、付き合ってもないくせに」

 

「そういう貴女は彼にとっては先輩でしかないですよ、私はもう意識向けられてること自覚してもらってますから」

 

「いいわよ別に、いつかお望み通りかすめとってあげるから………貴女見たいな異常者に取られるよりかはマシよ」

 

「………………」

 

「……………」

 

「………………ふふ」

 

「………フフフ」

 

「ハハハハッ」

 

「フフフフフッ」

 

変な笑いが込み上げてくる、本当に他のお客さんが居なくて助かった…………いや、マスターには申し訳ないんだけど。

 

でももういい、結論は出た。

やっぱり仲良くしてなんかやらない、願い下げだ。

 

でも……………。

 

「忍原さん………こんなウチ達でも、チームの為には動きましょう?これはあくまでもウチ達の問題………それにこれ以上皆に迷惑をかける訳にはいかない」

 

「…………そうですね、なら………サッカーじゃ仲良くしましょうよ、先輩………その他はもう知りませんけどね」

 

「えぇ、正直反吐が出るわ………貴女みたいのと組まされて」

 

「こっちの台詞ですよ先輩………まともな先輩面して、好きな人横から取ろうとしてる癖に」

 

席から立ち上がる、奇しくも同じタイミングだ。

忍原さんを見据える、さっきまで泣いていたからか目が少し腫れてるけど………これ以上無いくらいに真っ直ぐな瞳だ、想いは歪んでる癖に。

 

……………あぁ、でも人の事は言えないかもしれない、誰かに対してここまで嫌悪感を抱いたのは初めてだ。

サッカーでの繋がりがなければ今すぐにでも断ちたい縁だ、でも状況がそれを許してくれない。

 

……………今は受け入れよう、でもいつかは………この女から黒景君を奪ってやる。

そしてウチから、右手を差し出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めてよろしく……………………来夏さん」

 

「こちらこそ………鞘先輩」

 

 

 

 

 

 

 

その手を………忍原さんは左手の甲で強く叩いた。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「………いや、分かるわけねぇだろ………なんでこいつこんなに素直にならんのよ」

 

俺は今家の中で、笹波が進めたゲームをプレイしていた。

所謂…………ギャルゲーだ。

 

何故か今俺はサッカーよりもこのゲームをやる事を勧められてるのだ、少しでも恋愛に詳しくなれと念を押されて。

………いや俺が言うのもなんだけどさ、ギャルゲーって学べんのその辺?

 

………ていうかこのヒロインめんどくせー、主人公多分好きならなんで素直にならんのさ、こっちはさっきから好きだって選択肢選んでんのにさ。

 

もういいわ、別のヒロイン攻略するか………………あれ。

 

「………いや、なんでさっきのヒロインから刺されて死んでんだよ」

 

ぜってー攻略ミスったから変えようと思ったのに、なんでだ?好きだったの?じゃあそう言えよ、もー。

 

コントローラーを置いて寝転がる、なんかサッカーやるより疲れるわ………女心ってむずいなぁ。

……………にしても。

 

「………俺が見られてるって、何の話だ?」

 

笹波と生徒会長さんが最近俺が誰かに見られてるって言われ、それが解決するまで外での練習は控えろと言われたのだが………正直意味がわからん、ストーカーでもされてんの俺。

 

……………来夏、大丈夫かな………なんでか小太刀先輩とは仲良くないらしいし、しかもあの二人が次の試合のキーパーソンときた、確かに以前からプレーの相性は良いと思ってたけどさ………笹波は、また何か狙ってんのかなぁ。

 

「……………ま、良いか…………再開しますか」

 

笹波の考えは常にサッカー中心だし、俺じゃ測れない何かがあるんだろうな………本戦までもう少し、皆にはマジで頑張って欲しい、俺も試合したいし。




忍原来夏/小太刀 鞘
好きな人が同じで互いが受け入れられない、仲良くなるわけねーだろ。
でも何故かプレーの相性は抜群、まるでたっくんと草加だね?


笹波雲明
なんで………なんで変なことろで思い切りが良いんだ!!


黒景 流
やべ、今度は心中なんだけど。









ストーカー?
なんだあの選手ヤバすぎ、急いであの人に連絡を………え、うわなにするやめ。
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