忍原来夏とはただの幼馴染みです………それだけですが?   作:グラビトン

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こっからは本戦編の前に、本戦開始前の話を何話か投稿したいと思います、とっとと見せろや!と言う人はごめんなさい。

そして最初に………黒景流の過去について、です。

なんかすげー長くなりました…………。


黒景流のルーツにて

「……………はぁ」

 

「ため息、多いですよ先輩」

 

「………つきたくもなるよ、これは」

 

「……気持ちは分からないでもないですが」

 

小太刀先輩と来夏の仲を取り持つ作戦が終わった後、俺は笹波にうどんを奢っていた。

容赦なく海老天と肉のトッピング頼みよって………そんでもって平らげるんだから、本当に持病持ち?

 

………ただ、俺がため息をつくくらいテンションだだ下がりしてるのはそれが原因ではなく………今、スマホに映し出されているサッカーニュース、今はどれもこの話で持ち切りなのだ。

 

 

 

〈雷門中の円堂ハル、試合中の怪我により退場〉

 

〈円堂ハル、再起不能か?〉

 

〈サッカーモンスターの負傷、かなり深刻な模様〉

 

 

 

かの雷門中のサッカーモンスター………円堂ハルが、試合中に怪我をして退場したと、中学サッカー界隈はこの話題に騒然となっていた。

伝説のサッカープレイヤーの息子、本戦でも活躍を期待されてた超新星がまさかの負傷だ、俺も笹波も最初は信じられなかった。

 

しかしさらに信じたくないのが………円堂ハルの怪我は深刻らしく、フットボールフロンティア本戦中は、復帰するのが難しい………しかも、再起不能なんて噂まであるくらいだ。

 

流石に後者は何時もの誇張表現だと思いたいけど………本戦中は、復帰不可………即ち、あのかいぶつと戦えないという事。

予選一回戦で見たあの衝撃、あの強さ………戦えない、試合できない、あいつと………サッカーが出来ない。

 

そう思うと、気分は沈むのは当然じゃないか?

 

「……実際、ホントに復帰不可なのかね」

 

「どうでしょうね………選手が怪我をするのは当然です、どれだけ優秀なプレイヤーでも………円堂ハルも、例外じゃ無かったって事です」

 

「でもあのサッカーモンスターだぜ?俺も何回も奴の試合見てるけど、あんなヤツ早々怪我するかな」

 

「………言いたいことは分かります、でも僕らじゃ確かめようがありません、僕らだって決勝があるんですから」

 

「だよなぁ………せっかく俺も試合出れそうなのに、円堂ハルとやれないかもなんてなぁ………」

 

椅子にもたれ掛かり天井を見上げる、いつの日か円堂ハルと試合できたらなとずっと思ってたらこれだ、無情すぎる。

あんなやつ早々いるわけ無い、居ないけど………それでも求めたくなっちまう。

 

「あーあー………やりてぇなぁ円堂ハルと………」

 

「ご執心ですね先輩」

 

「だって一回戦のあのかいぶつっぷり見たらやりたくなるのがプレイヤーってもんだろ?」

 

「………円堂ハルを見て試合したい、なんて奴黒景先輩位ですよ」

 

「そうかなぁ?」

 

「そうですよ………………でも先輩、話は少し変わりますが」

 

「なに?」

 

「………先輩って、昔からそうなんですか?」

 

「……ん?」

 

言っている意味がわからなく、座り直して笹波の方へ顔を向ける。

すると笹波は怪訝な顔を俺に向けていた。

 

「何時もは静かで穏やかなのに、事サッカーになると人が変わるって言うか………特に試合になると、強い選手を目の当たりにすると好戦的になるっていうか」

 

「……えっと、そういうものじゃないの?」

 

「否定はしませんが、貴方はそれが顕著なんですよ、特に円堂ハルと見ていた時なんか………獲物を前にした肉食獣の様でしたよ」

 

「……………」

 

何も言えなかった、その通りだったから。

確かに俺はあの時、円堂ハルのサッカーを目の当たりにして昂っていた………その状況で戦っても悪化させるだけなのを理解してたのに、悪癖だと反省してたのにも関わらずだ。

 

これは俺の昔からの………………むかし、からの。

いや……………いや違う、俺はずっとひとりでサッカーをしてた、周りに着いてこれる奴らが居なかったから、俺は一人でずっとサッカーをしていた。

 

多分、俺が心の中で強い奴を無意識に求めていて………それは昔から少しづつ蓄積されていたものなんだろう。

それに俺は気づかないで試合を見ていた………出れないのを理解しつつもやりたいと求めてた。

 

 

 

 

その度に、チームの事を忘れてた。

俺の事しか、考えてなかった。

 

今更………それに気づくなんて。

 

 

 

 

「………先輩、一応聞きますけど………円堂ハルが出なくなった可能性が出て、貴方は南雲原でやるサッカーのやる気は失われてないですよね?」

 

「……えっ、いやいやいやそんな馬鹿な、残念なのはそうだけど………流石にそれでやらなくなるとか、どうしようもないだろ」

 

「ですよね………でも、どの道このままでは………先輩をチームに入れることは出来ないかもしれません」

 

「えっ?」

 

「先輩は心でそれがダメだと理解してるけど、抑えられない………そして今のチームが更に進化したとしても、先輩に追いつける訳ではない………先輩がただサッカーで相手を倒したいという念が、そもそもの根幹だったとしたら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黒景流は結局………南雲原のサッカーを壊してしまうかもしれません」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「……………ふぅ」

 

家に帰り、シャワーを浴びて、俺はベッドに腰かける。

そして笹波の今日の言葉を再び思い出す。

 

俺が……………南雲原を壊す。

俺のサッカーの根幹は、相手を倒すこと?

 

そうなのか、俺は。

いや違う………俺はただ、サッカーが好きだから続けてた………そんな理由じゃないのは確かなんだ。

 

でも、強いヤツと試合したいのは本心だ。

そんな俺はまだ真の意味でサッカーをしたとは言えない、正式な試合をまだ経験してないからだ、いつもは一人でサッカーバトルの相手をしたり、大人数相手の練習をしてるから。

 

……………だからこそ分からない、俺のサッカーってなんだ?

 

ただ楽しむこと?ただ目の前の相手を倒したいから?

円堂ハルを見て昂って、それが出来ないかもとなると………俺は心の底からガッカリした。

 

それが理由で南雲原のサッカーを辞める理由にはならない………いや、したくない。

したくない……………そう考えている時点で、候補に上がってる?

 

俺は……………自分が、分からなくなってた。

 

「……………このままじゃ、皆とサッカーなんて出来ないよな」

 

手のひらを見つめて呟く。

フットボールフロンティア予選の試合をここまで見てきた、笹波から言われてずっとベンチで観戦してた。

 

その様子は皆必死で、楽しそうで………俺も早くやりたいと思っている、今も変わらない。

 

……………でも俺自身がダメだ、何も考えずにサッカーモンスターを見た時の衝動が起きて、そのままプレーしてしまえば………笹波の言う通り、俺は南雲原を壊してしまうかもしれない。

 

 

……………………いや、きっと壊す。

元北陽メンバーから、俺は南雲原のサッカーモンスターと称されている。

 

 

その時俺は余り気にしてないと言ったが………正直な話、俺はそれを認めたく無かったのかもしれない。

 

俺の強さが仮に円堂ハルと同格だとしたら………南雲原全員がそれに追いつける訳ない、信じたいけど……………。

 

俺は無意識に皆との差を感じていた、実力の。

俺自身がそういうものだと、皆は受け入れているけど………でも、俺は………俺のこの強さのせいで、みんなとのサッカーを壊してしまうのが怖い。

 

確信めいた予感を今、感じている。

……………変わらなきゃいけない、このままの俺じゃダメだ。

あの衝動を抑える俺じゃなきゃチームとしてプレーをできない、どうすれば良いのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

『………俺はどうしたらいいと思う、笹波?』

 

『……………ごめんなさい、協力したいのは山々なんですけど、こればかりは僕は力になれないです』

 

『なんで?』

 

『それは結局黒景先輩の根幹がそうさせるからです、そして先輩はそれをまだ自覚してない………何も知らない僕じゃ、どうすることも出来ないからです』

 

『……そうか』

 

『これは先輩自身の問題です、どうすればいいか………どうかよく考えてください、そして何か分かれば伝えてください、僕も協力します』

 

『先輩も南雲原の一員なんですから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………考える、か」

 

何を、考えればいいのだろうか。

笹波の為、南雲原の為、俺がこの心に刻まなければならないものはなんだ?

 

普段から寝惚けている自覚はあった、何も考えずに過ごしているのがデフォだ………それが今は恨めしい。

こんなに悩むことなんて、来夏の時くらいだ。

 

「……………はぁ」

 

ベッドに倒れて天井を見上げる。

なーんも思いつかない……………俺はどうすればいい?

……………何を、心に持てばいい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くしない内に、俺は寝た。

明日からまた考えればいいと、そう思って寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、だろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

気づくと俺は、霧の中で立ち尽くしていた。

 

 

 

 

「………………え」

 

見渡す、見る限り霧だ。

何も見えない、何も無い…………俺は何故、この空間でここにいる?俺は確かに家で寝て………なんなんだ、ここは?

 

夢の中、なのか。

 

「どうなってんの………ここは一体………………ん?」

 

歩きながら見渡すがやはり霧しかない…………そんな時だった、ふと下を向くと………そこには何かがあった。

 

青く光る、半透明の球状の物体……………サッカーボールなのか、これは?

 

「なんだ、これ」

 

青く光るそのボールを注視する………蹴れば、良いのか?

俺は意を決して、少し勢いをつけたキックをそのボールに振り翳す。

 

 

 

 

 

 

そして、俺の蹴りは何にも触れずに空振った。

 

 

 

 

 

「…………うぁっ!?」

 

ちゃんと蹴れたと思ったから、思わず転びそうになったが堪える。

ボールが置いてあった地点へ振り向くが、そこにさっきまでの青い半透明のボールは姿なく消えていた。

 

なんなんだ、さっきから………俺は、何を見てるんだ?

 

「………俺は、なんで…………こんなことに………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈何故気付かない?〉

 

 

 

 

 

 

 

「え」

 

 

 

 

 

 

 

〈何故忘れた?〉

 

 

 

 

「え、誰、だ?」

 

唐突に声が聞こえてきた。

脳に直接語り掛ける様な、頭に響く低い声、まるでモザイクを掛けられたかの様な変声。

いきなり………今度はなんなんだよ、どうなってるこの夢は。

 

 

 

 

 

〈思い出せ、お前はなぜサッカーをやった?〉

 

 

 

 

 

「何故って、それは、父さんが………」

 

 

 

 

 

〈それはきっかけ………お前自身、何故今日に至るまでサッカーを一人でやり続けた?〉

 

 

 

 

 

「……………それ、は………ッ!?」

 

その声に戸惑いながら、顔を前に向けると………そこには、何かがいた。

霧の向こうで誰かが立っている、黒い影のシルエット………顔も何も見えない………けど、なんでだ?

 

 

少し、懐かしいような。

 

 

〈お前のルーツに向き合え……そして受け入れろ、己が何者なのか〉

 

 

「俺の、ルーツ………?あんたは一体、誰だ?」

 

 

 

〈………いずれまた、会おう〉

 

 

 

その声を最後に………辺りの霧が深く、また深く………そして、俺の意識はここで途切れた。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「………大丈夫、だよね、変な所ないよね?」

 

朝、私は鏡に向いて独り言を呟く。

髪型をチェックして、服装にも変なところが無いか、後ろを向いたりして確認する。

………よし、大丈夫っぽい。

 

「今日からまた一緒に学校行けるけど………なんか、変に緊張してきた」

 

いつも通りの事なのに、なんだか熱くなってきた。

朝っぱらから変なテンションになりつつある、デートにでも行くのだろうか?

 

………あーもう、別に無理矢理登校しなくても大丈夫なんだけど、なんか………あれ、治ってなくない私?

……………でも鞘先輩がその隙を見て近づいたりするかも、なら私が見張らなきゃ。

 

絶対あんな陰湿女に渡してなるものか、ふん。

 

「よし、じゃあ流の家に………ん?」

 

意を決して出発しようとしたが、ベッドの上に置いていたスマホから着信音が鳴り、私はそれを手に取る。

 

相手は……………え、流じゃん、もう起きてるの…………ていうか朝に連絡なんて、超珍しいじゃん、なんだろ。

 

 

 

ピッ

 

 

 

「もしもし?」

 

『お、来夏、朝っぱらから悪い、もう家出てるのか?』

 

「いやこれから流の家行こうと思ってるんだけど、どうしたの?この時間に電話なんて…………」

 

『まぁちょっと…………来夏、俺今日学校休むわ、来る前に伝えておこうと思って』

 

「……えっ!?なんで、体調悪いの?」

 

『そんなんじゃない、考え事があるから少しな…………笹波には今日部活来れないって伝えておいて、そんじゃ』

 

「ええっ!?ちょ、ま……」

 

理由を聞きたかったが、流から通話を終わらせてしまった。

いきなり休むって…………たしかに何時も眠そうな顔で登校してるけど、それが別に嫌って訳じゃないよね…………てか、考える事って何?

 

またお預けですか、はぁ…………ていうかさ。

 

「…………今日サッカー部ないのに、だからデートしたかったのに……」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「…………よし」

 

来夏にこちらに来ないように連絡し、次に学校へ休みの連絡を取った、これでよし。

スマホをポケットに入れて…………眠った時の声を思い出す。

 

夢の中の出来事…………俺は今、それをはっきりと覚えていた。

そしてこう言っていた〈お前のルーツに向き合え〉と。

 

「俺のルーツ…………俺が、サッカーを始めたきっかけ」

 

きっと、それが俺に今必要な事だと…………何故か確信めいたものがあった。

 

部屋に置いてある古いサッカーボールを手に取り、部屋から出る。

リビングに辿り着き、近くにある目的の場所へ到着する。

 

そこに胡座で座り、ボールを組んだ脚に置く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは仏壇、中心には男の遺影が置かれている。

それは…………俺の父さん、もうこの世に居ない俺の親だ。

 

 

 

 

 

 

 

「…………きっかけは、あんただよな」

 

そう…………俺がサッカーを初めたきっかけは、父さんだ。

と言っても、本人にサッカーを勧められた訳じゃない…………というか、父さんは俺が物心つく頃には、既に死んでいたからだ。

 

詳しいことは知らないけど、なにかの事故に巻き込まれてしまったらしい…………それを知ったのは、俺が小学生になる直前の事だった。

 

だから父さんとの思い出は何もない、顔も写真でしか見た事ないし、声も残っている記録映像の中でしか聞いた事ない。

 

そんな父さんは、サッカーが好きだったそうだ。

 

父さんが中学生だった頃は、円堂守が台頭していた少年サッカー全盛期の黄金期、誰も彼もサッカーをして盛り上がっていた時期らしく、例に漏れず父さんもサッカーをしていたとか。

 

父さんは元からサッカーが好きだったらしいが、何かの大会に出たりしてた訳ではなく……純粋に楽しんだプレーだけしてたそうな、周りにいる人達もそうだったらしい。

 

俺の母さんともそこで意気投合して仲良くなり、恋をして結ばれて、結婚して俺を産んで、いつか一緒にサッカーをしたいと語り、生まれた歳にはサッカーボールを買っていたそうだ。

 

 

……………しかしその夢は叶わず、父さんは死んでしまった。

 

 

これは全部母さんから聞いた話だ、俺は黙ってた…………言う言葉が見つからなかったから。

そして母さんは俺にそのサッカーボールを渡してきた、今俺が持っている古いボールだ。

 

それを渡されたその日、俺は初めてサッカーボールを蹴った。

 

一人で蹴って、走って、蹴って、走って……ただその繰り返し、それ以下も以上もなく。

 

 

それが…………この上なく楽しかった。

 

 

あの時の俺は何かに夢中になることがほぼ無かった、俺と思い出のない父さんが夢中になったというサッカーは、俺はきっと父さん以上に夢中になった。

 

それからというもの、俺はほぼ毎日サッカーをした。

小学生になってから休み時間、放課後、休日…………ただひたすらボールを蹴った、夢中だった、この世にこれ以上楽しいことがあるのか?なんて思ってたくらいだ。

 

そうして俺はそれをひたすら繰り返して、小学2年になる頃には…………周りの奴らは相手にならなくなっていた。

俺が入ったチームは必ず勝った、俺はそれを特に気にしないで楽しんでたが、周りの奴らはそうじゃなかったらしい。

 

暫くして、俺が入ったら結果が決まるから外で見てて欲しいと、申し訳なさそうに言われた。

あいつらに悪意があった訳じゃない、でも俺とあいつらのサッカーには差があるんだって、無意識にそう感じていた。

 

ショックではあったけど、ボールを蹴れば一瞬で忘れた。

 

そこからだった、俺の一人サッカーが更に増えたのは。

母さんは当時から忙しかった、だから必然的に俺は一人の時間が多かったんだ。

 

それも相まって孤独を感じる事は少なかった…………今思えば、寂しい奴だったんだな、俺は。

 

「…………でも、今は違う」

 

そう…………俺の周りには、南雲原サッカー部のみんなが居る。

来夏が、笹波が、伊勢谷が、妖士乃が、小太刀先輩が、桜咲が、そしてみんなが…………昔の俺からすれば、考えられなかったな。

 

かつてのどっかのチームに入ろうとは思わなかった、何となく…………一人でやるサッカーがやりやすかったからな。

 

そして俺は、小学3年になって…………………………あぁ、そうだ、そうだよ。

 

「あの人と…………出会えた」

 

なんで今まで忘れてたんだ、あの人を、あの人が居たから…………今の俺が居るんじゃないか。

厳密に言えば完全に忘れてた訳じゃない、あの人のサッカーは俺の胸にずっと残っていたから。

 

「…………よし」

 

なんだか、海沿いの公園に無性に行きたくなった。

直ぐに着替えよう…………立ち上がり部屋に戻ろうとするが、ふと立ち止まり…………父さんの仏壇へ振り返る。

 

「…………父さん、ありがとな」

 

微笑みながら、そう告げる。

あんたとの思い出は何もないけど…………残してくれたサッカーボールが、今の俺を作ってくれた。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「……黒景先輩、今日お休みなんですか?」

 

「うん、朝に電話あってさ、考え事があるって…………」

 

「…………そうですか」

 

「ねぇ雲明君、何か知ってるんじゃない?流は今何しようとしてるの?」

 

「……いえ、分かりません、それは彼自身の根幹に関わることですから」

 

「根幹?」

 

「彼は今一度、彼自身のサッカーに向き合ってるんですよ………僕達とサッカーをする為に」

 

「……どういう事?」

 

「次会った時に尋ねてみてください…………では」

 

雲明君はそう言ってその場を去った。

…………流は今、自分のサッカーに向き合ってる…………か、どういうことだろ。

 

「…………何してるのかな、流」

 

廊下の窓から外の景色を見る…………今日も、すごくいい天気…………窓から優しい風が吹いていた。

難しい事はよく分からない…………ていうか、あいつって何か難しい事を考えるイメージがない。

 

昔からそういう奴だと思ってたから…………私って、流の事そんなに詳しくないのかもしれないな。

 

「………………会いたいな」

 

会って、聞いてみたい。

流の事を、もっと知りたい。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

海沿いの公園に辿り着く、ここは俺が昔からサッカーをするのに使っていた思い入れのある場所だ。

時には砂浜で、時には普通の地面で。

 

考え無しに何となく、その日の気分で決めて、そこから夢中でボールを蹴る…………今もやってること、あんま変わらないけどな。

 

「…………風が、吹いてる」

 

ベンチに座る、あの古いボールは俺の部屋に戻してある。

いい天気、心地いい風…………こんな考えてなければすぐに眠ってしまいそうだ。

 

でもとてもそんな気にはなれない、あの人の事を今になって思い出したのだから……………もう二度と忘れられない、あの衝撃を。

 

あの人はまるで…………世界に吹き抜けるそよ風のような人だった。

 

俺は静かに目を瞑り…………当時の事を思い出し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれは、小学3年の頃の話。

日曜の昼から俺はボールを蹴っていた、適当に動画で見たテクニックを見よう見まねで実践した。

 

『…………こんなんでいいのかな?』

 

当時は携帯なんて持ってなかったから、家で記憶に残してやるしかなかった、まぁ大抵は何となく出来てた。

相変わらず一人でそんなことをしていた、今日もそれが続く…………そう思っていた。

 

『よーしも1回…………うあっ!』

 

地面に置いていたボールを手に持とうとするが、その瞬間いきなり強い風が吹いた。

そのせいでボールがその方向へ転がってしまった、俺は慌ててそのボールを追いかけるが………………誰かの足に、触れていた。

 

『……?』

 

その光景を見ながら立ち止まり、俺のボールが誰かに拾い上げられ…………俺はその人を、見上げた。

 

『こんにちは』

 

誰だろうか、ジャージを着ているから…………何処かの選手の人だったり、するのかなと。

爽やかな笑顔と声、今でも印象に残っていた。

 

『……こんにちは』

 

『君のボールだよね、サッカーしてるんだ?』

 

『うん』

 

『……見たところ、君一人だけ?友達とか居ないの?』

 

『学校に居る、でも一緒にサッカーはしない』

 

『なんで?』

 

『俺がいたら、みんなのサッカーがつまんなくなるから』

 

『……………いじめられてたり、するの?』

 

『違うよ、俺がいるチーム全部勝っちゃうから』

 

『……あはは!なるほどね!』

 

心配そうな顔をしてたけど、俺がそう言うとその人は笑っていた。

そして近づいて、俺に背を合わせるようにしゃがんで来た。

 

『じゃあさ、俺とやってみない?サッカー』

 

『……お兄さんと?』

 

『一人でやるより誰かとやった方が楽しいよ!俺もこう見えてサッカー強いんだ!』

 

『へー…………』

 

当時は確かに、一人でやるサッカーには少し退屈を覚えていた。

それに強いって聞くと、何故か胸が高鳴ったから。

 

『……どうやるの?』

 

『そーだね………俺がボールを持つから、君が俺から奪う!どう?』

 

『うん、やる』

 

俺がそう承諾し、その男はボールを持って離れる。

そして自分の足元にボールを置いて、俺もその地点で待機していた。

 

『よしやるぞ!良いかな?』

 

『うん』

 

俺がそう言うと男の人はドリブルで駆け上がってくる、今思えばだいぶスローだった。

俺はそれを見ると力をつけて走った、距離が縮まると同時に少しだけ男の人が驚いていた。

 

これをしたら何時もボールは奪えた、だから今回もそれで勝てる。

 

そう思っていたけど、その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふっ!』

 

 

 

 

 

 

 

『…………うぇっ?』

 

 

 

 

男の人は俺のブロックを、ステップで軽く避けた。

なんて軽やかで、鮮やかで、力強いのだろう。

 

そして何より…………風が吹いていた。

 

とても爽やかな、そよ風が。

 

 

 

 

 

 

ボールは結局取れず、俺はすれ違った男の後ろ姿を見ていた。

離れているはずなのに、当時の俺はそれがとてもとても大きく見えていた。

 

そして…………初めて、自分のプレーが効かなかった。

負けた、と言ってもいい。

 

初めての事だった、胸を思わずおさえた。

この高鳴りも初めてで、一番最初にサッカーボールを蹴った時の高揚と同じだったから。

 

『……あっ、ごめん!思わず…………』

 

『も1回!』

 

『……え?』

 

『今のも1回!今度は取る!!』

 

『……分かったよ、まだやろう!』

 

男の人は申し訳なさそうな顔を一瞬したけど、俺の顔を見るとそれは瞬く間に消えて、またさっきと同じように彼からボールを奪うゲームが始まった。

 

何度もやった、何度も転んだ、負けた。

どれだけパターンを覚えても、どれだけ食い下がっても、彼はその度に新しい引き出しを出して、新しい風を吹かせる。

 

俺が勝てない相手、俺より100倍以上強い相手、当時の俺には衝撃的すぎて、余りにも眩しくて、楽しかった。

 

今思えば…………俺のドリブルは、あの人から無意識にインスピレーションを得ていたのかもしれない。

 

そして何度も何度も勝負をして…………俺の体力はようやく尽きてしまった。

 

『はぁ、はぁ、はぁ………………あれ』

 

『どーぞ、のど乾いたでしょ?』

 

『あ、ありがとうございます』

 

どっかに行ったかと思ったけど、飲み物を買ってきてた様だった。

受け取ったスポドリを勢いよく飲んだ、その人も隣で座ってくれてた。

 

『いやー凄いね君!その歳でそれだけの動き、クラブチーム入ったらエース間違いなしだよ!』

 

『そうですか?俺は一人でサッカーするの好きだから、考えたことない』

 

『なんでそんなに一人が好きなの?』

 

『何となく、ボールと一対一でやるの、凄く楽しいから』

 

『そっか、誰かと居るのが嫌とかじゃ無いんだね?』

 

『はい…………お兄さんって、どっかのチームに居るんです?』

 

『まぁね、今回もちょっとした遠征で長崎に来たんだ、これからまた新しい相手とサッカーするんだ!』

 

『すご………でもここに来たのはなんで?』

 

『いやーなんとなく!長崎の海も見てみたくて、俺沖縄出身だからさ』

 

『おきなわ…………シーサー?』

 

『そうそう!』

 

それからあの人の話を聞いて夢中になった。

自由なサッカーの楽しさ、時空を飛び越えてサッカーしたり、なんか宇宙人とサッカーしたりとか…………前者はともかく後者は多分作り話だろうけど、俺はその話に心踊ってた。

 

『凄いなーサッカー………俺も出来るかな?』

 

『出来るさ!このまま成長すればいつか…………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おいてめぇ!!何処にいるかと思ったら何してんだ!?』

 

『やっと見つけた、もうすぐ集合だぞ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

『あっ剣城と神童さん…………うわやば!忘れてた!?』

 

『え?』

 

『ごめんね君!俺もう行かなきゃ!』

 

辺りはすっかり夕暮れに染まっていて、誰かに呼び出されたその人は申し訳なさそうに立ち上がる。

凄い人とのお別れ、とても寂しさを覚えていた。

 

『……あ、あの!!また、会えますか?』

 

『………………どうだろ、今回は本当に偶々だし、俺もこれから忙しいから、約束は出来ない、かな』

 

『…………そっか』

 

『でも、君はこれからもサッカーするんだろ?』

 

『……うん』

 

『ならまた会えるさ!俺達はもうサッカーで繋がってる、ずっと続けたらきっとまた一緒に出来るって信じよう!』

 

『……分かった、信じる』

 

『俺もだ、いつの日かまた…………サッカーやろうぜ!』

 

俺の頭を撫でて、その人はにこやかに笑った。

そしてまた…………優しいそよ風が吹き抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺の中で、更にサッカーへの熱が強くなった。

俺に出来ることは何でもやった、一人でずっとずっと続けて強くなった。

 

…………あの人とは、まだ会えてない、後に調べてみるとかなり有名な人だったらしい。

 

でもまた会えると信じた…………思い出した今も、また信じてみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(なんで忘れてたんだろ…………)」

 

 

 

 

 

 

 

 

初めて強い相手とやるサッカー………こんな楽しいこと、二度とないのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(そうだ、これが今の俺を作るルーツ………あの人との出会いが俺を強くした、いきなり強さの青天井を見せられて…………それにとても憧れた、そしてまた一人でずっとサッカーをやった)」

 

 

思えば俺は理由もなく強くなってたんだな………………多分、普通の人じゃそう考えないんだろうな。

………………俺って、なんなんだろうか。

 

俺が、やはりモンスターなら………かいぶつなら、あの衝動は俺にしか無いものかもしれない。

なら俺は、俺はかいぶつなのか。

 

 

誰か強いヤツと戦う喜びを求める、サッカーモンスターなのか。

 

 

チームのことを考えようとしない自己中…………それが俺の本質?

 

「(………………やべーな、だとしたら俺チームに向いてなさすぎだろ)」

 

バカみてーな話だ…………あの人と戦ったからこそ生まれた感情、どうにかして…………制御しなきゃいけない、俺はともかくチームを壊しちゃ話にならない。

 

俺は…………笹波のあの言葉を受けて、待つことにした、皆とサッカーをする事を決意したのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ようやく、思い出したか?』

 

『自分のエゴに』

 

 

 

 

「……!!」

 

 

そしていつの間にか、周りの景色が変わっていた。

あの夢と同じ、深い霧が辺り一面に漂う場所…………そして目の前に、あの時の黒いシルエットが立っていた。

 

ただ、声があの時とは違い普通に聞こえる。

ていうか…………なんで、その声。

 

懐かしさを感じてたのは確かだけど、なんで…………なんでその声なんだ?

 

「…………お前、誰だ?」

 

『俺か?俺はお前…………言い換えれば、お前のサッカーに対する想いの現れ…………そして、お前の言葉を借りるなら…………〈かいぶつ〉だ』

 

「………………つまり、俺の本性ってこと?」

 

『話が早いな』

 

「………………なんで、その人の声なんだ?お前の姿は霧で見えないけど、多分あの人なんだろ?」

 

『お前の本質を作った人だからなぁ…………どちらも無意識だったけど』

 

「………………ならやめろよ、あの人はそんな事を言う人じゃない」

 

『そりゃ無理だな、他ならぬお前が…………この人を望んでる、言い換えればお前の中で1番強いサッカープレイヤーなんだからな』

 

「……………………」

 

そうだ、思い出した以上…………俺にとって1番強いかいぶつはその人だ、でも…………なんで忘れてたんだろ。

…………きっと、俺は無意識で忘れようとしてた。

 

笹波のチームでサッカーをする為に、いつの日か自分のエゴに気付いて…………円堂ハルを見たあの日、俺はいつの間にか消していたんだ。

 

それが今、笹波に指摘されて思い出してしまった。

…………笹波のせいじゃない、これは俺の問題…………避けては、通れないんだ。

 

「…………それで?思い出させてお前は何がしたい?」

 

『おいおい…………俺達がする事といえばサッカーだろ?お前の本当のサッカーを思い出させる為だよ』

 

「本当の、サッカー?」

 

『独りでずーーっとやってきて、お前がずっと1人を選んだくせに、今更チームでサッカーなんかできると思ってんのか?』

 

「………………」

 

『何も言えないよな?他ならぬ自分が、チームのことを忘れて円堂ハルを望んでたんだからな?』

 

「……………………」

 

『諦めろよ、お前はそういう奴だ、忘れようとしても消えることなんて永遠に無いんだよ、サッカーモンスター…………理由なく1人を選んだお前に………………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『は?』

 

「あの人の事、思い出させてくれて」

 

まさか、礼をされるとは思わなかったのか…………間抜けな声が聞こえてきた、あの人の声でやめてくんないかなマジで…………俺のイメージを壊さないでくれ。

 

でも……………お前の言うことを、そのまま聞く訳にはいかないな。

 

「なぁかいぶつ…………お前の言う通り、一人でサッカーし続けて、あの人の様な強いヤツとサッカーして、いつの間にかこんなやべーもん抱えた奴になってるけどさ…………」

 

一人でやるサッカーも、もちろん楽しかった。

何にも邪魔されない、俺とボールだけのあの時間は今でも掛け替えのないものだ。

 

 

でもな?

 

 

 

「一人よりも誰かとやるサッカーを改めて教えてくれたのも、あの人なんだぜ?そして今皆とやるサッカーも…………すっげー楽しい、お前はそれを否定するのか?」

 

『………………』

 

「確かに俺はサッカーモンスターかもしれないけど、こんな俺を笹波は見捨てないでくれてる、俺はそれに応えたいんだよ」

 

『お前…………』

 

「もし円堂ハルと試合出来なくても、俺は皆とサッカーしたいのは変わらないんだよ…………だって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1人でやろうが、誰かとやろうが、サッカーって楽しいだろ?」

 

強いヤツと戦う喜びも、誰かと一緒にやる喜びも、あの人が教えてくれた、そしてその気持ちに嘘は、俺の中にない。

ていうか…………最初っからウジウジ考えなくて良かったんだよ、俺らしくもない。

 

「最初からさ、自分の為に、そしてチームの為…………どちらかひとつのサッカーじゃなくて、両方選べばよかったんだよ、それなら万事解決だろ?」

 

『…………やれると、思ってんのか、お前?』

 

「やる、やるやれないじゃない、やる」

 

『…………サッカーバカめ』

 

「おいおい…………お前は俺だろ?ならお前もバカだよ」

 

『………自分で忘れようとしてた癖によ』

 

「うん、それはホントにバカだった」

 

なんで忘れようとするかなあの思い出、本当に救えない。

でもまぁ…………結果オーライだろ、今度こそ自分のサッカーを決められて。

 

「話は決まった、ならお前はどうする?」

 

『……ハッ、どうも何も俺はお前だ…………お前が決めた事に従うまでだ』

 

「よし、話は早いな」

 

俺は黒い影に歩み寄り、深い霧の中に手を差し出す。

俺はどちらのサッカーも選ぶ、俺の為に、皆の為に、俺はこれからもサッカーをする。

最初っから、それを選べば良かった。

そして今日…………その始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サッカー、やろうぜ?」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

黒景先輩が、今日学校を休んだらしい。

恐らく昨日の僕の言葉が原因で考え事をしている、忍原先輩の言葉でそう推理した。

 

………言い過ぎたかな、あの人は僕を信じて待ってくれてるのに、あんなこと言ってしまった。

まさか学校を休んでまで考えるなんて思わなかった、普段は寝惚けているあの人が…………。

 

そんな事を考えている僕は、海沿いの公園にやってきていた。

…………何となくあの人は、家ではなく外で考える様な気がしたから。

 

ここは先輩と初めて会った場所でもあるからな、ここでずっとサッカーしてたと言ってたし。

到着し、夕暮れに染まる公園を見渡す。

 

 

すると、見覚えのある後ろ姿がそこにあった。

 

 

「…………本当に居た」

 

予想してたとはいえ、的中するとは思わなかった。

急ぎ足で近寄る、黄昏てるからまだ悩んでるのかな…………?

 

「……黒景先輩」

 

「……ん?あれ、笹波」

 

声を掛けると、先輩はそのまま振り返って僕に驚いていた。

…………見た感じ、様子は余り変わって無さそうだけど。

 

「…………まさか休んでまで考えるとは思ってませんでした、少し心配しましたよ?」

 

「あー悪い、俺もどーしても考えたくてさ、ていうかお前の言葉は正しいしさ」

 

「そうかもですけど、僕は」

 

「笹波、俺決めたよ」

 

僕が言葉を繋げようとすると、黒景先輩はそれを止める。

ふと顔を見る………その目は何時もの様に眠そうだけど、今までにない力強さを感じた。

 

「俺やっぱ皆と試合したいけど、俺は強いヤツが来たら多分ちょっと我慢出来なくなるかも」

 

「…………え?」

 

「チームを壊さない努力はもちろんするけど、いざって時はごめんな?」

 

「いや、えっと、なんかあまり変わって…………」

 

「大丈夫、俺は確かにかいぶつでサッカーモンスターだけどさ、あの日のお前の言葉を俺は信じるよ、俺に埋もれないチーム作るんだろ?」

 

「それは、そうですけど」

 

「俺の手網を掴んでるのはお前だ、俺はお前に従うし、俺も俺の気持ちに嘘をつくのは辞めるわ」

 

スラスラと言葉を進める先輩に、僕は戸惑うしか無かった。

確かに変わろうとする意思は感じるけど…………一体、今日何が起きたんだ?

 

「こっから予選決勝勝ち上がって、そっからの強いヤツとやれると思うと、やっぱテンション上がるよな」

 

「せ、先輩…………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サッカーやろうぜ、笹波…………これからもな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕日をバックに、先輩は笑う。

………………僕は、このサッカーモンスターを…………ここから、制御、出来るのか?




黒景流
今回で色々ネジの外れた男、そして自分がかいぶつであることを受け入れた。
円堂ハル居なくてもチームでサッカーやりたいし、円堂ハルじゃなくても強いやつまだ居るからそいつらとやりたいし、とりあえずサッカーやりてーモチベモンスター。
簡単に言えば考えるのをやめた状態、マイペースって怖いね?

父親は既に他界、遺したサッカーボールが引き金となったので戦犯その1。


笹波雲明
ここからまた重労働になる事が確定した苦労人、まるでヒロインだね!!


そよ風の様な男
ある時は管理サッカーに革命を起こし、ある時は時空を越えて最強の11人を率いて、ある時は宇宙へ飛びだし銀河を救った男。
偶然主人公と出会い、サッカーをして、多感な時期に色々と刺激を与えすぎた、戦犯その2。
ちなみに主人公のドリブルはこの男から着想を得ている。
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