忍原来夏とはただの幼馴染みです………それだけですが?   作:グラビトン

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はーい今回、ぶっ壊れまーす。


恋と愛は表裏一にて

「なんでそーなる、なんでそーなる先輩………」

 

「いやー俺も勝手に忘れる程気をつけてたらしいけど、思い出した以上抑制してもしゃーないじゃん?とりあえず改めて頑張ろうぜ笹波?」

 

「せめて抑える努力をしてくださいよ、皆の為に……!」

 

「頑張る」

 

夜道、頭を手で抑えながら歩く笹波を宥める。

あの後折角なのでちゃんぽんを一緒に食べて、帰りも一緒に歩いていた。

俺は笹波に自分のルーツとこれからの自分の在り方を伝え、俺の為、そしてチームの為のサッカー両方をすると決めた。

 

今までは無自覚に抑えてたけどこうして思い出した以上は、自分にこれまで以上に従うしかない、ていうか笹波なら更にチームを強く出来るし………うん、心配ない。

 

「………ていうか、先輩の起源になった人ってまさかのあの人ですか………そう言われたら、あのドリブルもその人のイメージが現れてたんですね」

 

「おう、今でも全然追いつけてないと思ってるよ、俺の中で1番強いかいぶつだからな、あの人は」

 

「かつて管理サッカーを強いていたフィフスセクター相手に革命を起こし、それからの活躍は信憑性が薄いものが多いですけど、現時点でもプロリーグで大活躍してる人ですからね………僕も試合は何度も見てましたよ」

 

そう、今頃世界のすげー奴らとサッカーしているんだろうなぁ………俺もいつかそんなとこでサッカーしてみたいものだ。

また会いたいなぁ………ていうか、俺の事覚えてるのかな………そうであって欲しいと切に思う。

 

「……まぁとにかく、本戦はやはり黒景先輩の力は必要になります、僕も元からチームの更なる向上は考えてましたから、先輩もある程度は頑張ってくださいよ?」

 

「もちろん、その為にも予選決勝突破しなきゃな」

 

「えぇ………話は変わりますけど、先輩は忍原先輩とはあれからどうしてますか?」

 

「ん?いやー部室で小太刀先輩と引き合わせてからは特に言うことないけど………なんで?」

 

「いえ、3回戦の期間中は彼女頑張ってましたから………何かあったら、彼女の要望にはなるべく応えてあげてください、今の忍原先輩なら飛び抜けた事を望んだりはしないと思います、多分」

 

「言い切らないのね………わかったよ、そうする」

 

「はい………では僕はここで、また学校で」

 

「お疲れー」

 

笹波と別れて、俺も自分の家に歩き出す。

確か来夏は試合でも頑張ってたし、俺と一旦離れて冷静になれたっぽいし………ていうか本来は俺が何とかしなきゃいけなかったのに、笹波にはいつも苦労かけてる気がする………。

 

………来夏の気持ちは、今となっては分かりつつあると思っている。

友達以上の好意………恋愛的なアレだとは思ってる。

 

うーん………そこまでのことをした覚えは無いんだけどなぁ………どうしようか。

 

「んー……」

 

夜空を見上げながら歩き、考える。

笹波が渡したギャルゲーのバッドエンド群は俺が辿る可能性があると言った、いや大抵は流石に無いとは思ってるけど……以前の来夏だったら有り得るのか?いやいや………多分、無いよな?

 

まぁそれ抜きにしても、これから来夏にはどう接したらいいのやら…………色々考えて、今でも彼女は幼馴染みの友達って感じで、親愛以上の気持ちは特にないんだよな………確かに可愛いし、あぁ言う子に好かれてるのは嫌なんかじゃ無いけど……これって俺がおかしいのか?

 

そして来夏の気持ちを、まだそういう物として受け入れるのに抵抗がある理由はまた別にある。

 

 

 

………………小太刀先輩の事だ。

 

 

 

来夏と小太刀先輩は何故か仲が悪かった、その理由を笹波に尋ねたのだが………くたばれと一蹴されてしまった、なんでや。

という訳でくたばりまくったギャルゲを見返して、小太刀先輩と来夏の仲を取り持つ作戦の元となった例の2人の関係を見て………俺は、もしかしたら、小太刀先輩まで………?なんて考えるようになった。

 

これは多分勘違いかもしれないけど、もしかしたら………なんて思い始めてしまった。

もしそうなら俺………大分やらかしてるな?何の気なしに関わってたのに。

 

「(いやー………あれ?俺なんかした?別に話聞いてただけだべ?)」

 

頭を掻きながら何か惚れたきっかけでも作ったのかと思考するが、やっぱ思いつかない、もしかしてあの二人がチョロかったりするのか………なわけないか。

 

てかそもそもの話俺が恋愛絡みに無頓着過ぎてなんも分からん、俺が何か間違えて誰かとそういう付き合いをしたとて色々と見えてるもん違いすぎてぜってー即効別れるぞ?そしてワンチャン………え、刺される?

 

「………………」

 

そう思ったら、脳裏に浮かぶのはあのギャルゲ主人公の様々な末路。

段々なんか顔が青冷めるのを感じる。

 

………いや、無いよな?

そんなの、ゲームの話だし………俺には関係無いよな?

 

関係無いと、思いたいが………思い出してくるのは………あの日、来夏が俺の首に噛み付いてきた光景。

 

あの時の来夏の顔は、罪悪感と恍惚に溺れていた表情をしていた。

そうしたのは………俺が軽率に好きとか言ったからか?

 

………………どうしよ、俺の好きはあいつの好きとは違うと思うし………俺もしかして詰んでる?

いやまだ間に合うか?いやなんかもう手遅れな気がするぞ、今から俺アイツのこと異性として見れるか?なんかそういう問題でもない気がする、確かに魅力的な女の子に見えるけど、表向きは顔良くて中身もいいからっとしたアイドルだけど、俺と二人きりだと何故かじっとりする超面倒な女だぞ?俺受け切れる気しないよ?

 

くそ、笹波のやらせたゲームがなきゃここまで悩むことは無かった……!難しすぎるだろ、俺未だに来夏に対してどう考えれば良いのか分かんねぇのに!

 

「ぬぁぁ………ぁっ!?」

 

俺がうんうん悩んでいると、ポケットに入れているスマホが振動して思わず変な声をあげてしまった。

多分着信している、急いで取り出し画面を見る………相手は。

 

「ら、来夏………」

 

噂をすればとやらか、なんの用だろうか………とりあえず応答し耳に当てた。

 

「はいもしもし」

 

『流、考え事は済んだ?』

 

「ん、それはもう大丈夫………て言うかよくよく考えたら、思い出したら悩むような事でも無かったから」

 

『そっか、良かった………それでさ、明日は普通に学校休みなんだけど………予定、ある?』

 

「予定?いや特には」

 

『………じゃあ、さ…………前々から少し遠くにあるショッピングモールに行ってみたいって言ってたじゃん?』

 

「………あー、なんやかんで行ってなかったとこか」

 

『そう、ちょうど決勝まで時間あるし………良かったら、二人で行かない?』

 

電車で行かなきゃ少し遠い場所に、前々から出来たショッピングモールがそこにあるのだが、行ってみたいと言いつつも行く機会がなくて忘れてたけど………来夏、まだ行って無かったのか。

 

「……まぁやることサッカーくらいだし、別にいいよ」

 

『よし!じゃあ明日の10時くらいに流の家行くから、待っててね!』

 

「わかった……んで、買い物の付き合い?」

 

『…………察しろバカ!』

 

そう吐き捨てると通話が切れた、最後はなんだか不機嫌だった。

………また俺何かやっちゃいました?

 

「………これ、もしかしてデートってやつ?………いや違うか、まだ付き合ってないし」

 

そういうのって付き合ったやつらがする事だよな?来夏の気持ちは兎も角………あれ、もしかして向こうはそのつもりとか?

うーーーん………分からん、女心。

 

でも約束はしたし、まぁ俺も久々に遊びたいし、細かいことはそこで考えればいいか……今すぐ結論を出さなくても良いだろ。

 

「ふぁ〜………考えてたら眠くなってきた、はよ帰って寝………ん?」

 

欠伸をしていると手に持っていたスマホがまた振動している、あれまた着信?また来夏か?と思って画面を見ると………。

 

「え?小太刀先輩?」

 

なんと今度は小太刀先輩からだった、えぇ………来夏絡みの事じゃないよな?とりあえず先輩からの電話に応答した。

 

「はいもしもし」

 

『突然ごめんなさいね、貴方が休んだと聞いてたから………大丈夫?』

 

「全然大丈夫っす、ちょっと考え事で……それも解決したんで、心配掛けてすんません」

 

『そう、なら良かった………ところで、ひとつ良い?』

 

「なんすか?」

 

『………ウチ、貴方に無理矢理ロッカーに押し込まれて、その時のお詫び貰ってないんだけど?』

 

「あ゛」

 

小太刀先輩の冷ややかな声で当時の事を思い出す、そう言えば………先に呼び出した先輩を有無を言わせず押し込んで閉じ込めて、そこから来夏の本音を聞いて貰って………やったのはいいけど、これ普通に見たらやべーことしてた………!

 

「いやすみません先輩、その……必要だと思ってたんで」

 

『………別にそこはいいわ、彼女の本心は知れたから………』

 

「そ、そうですか………少しは仲良くなれそうですか?」

 

『嫌いだけど』

 

「あれぇ?」

 

即答する先輩に間抜けな声が漏れる、なんか変わってなくねぇ………何話したんだよ来夏……?

 

『そんなことはどうでもいいの、埋め合わせ………してくれる?』

 

「あー………明日はさっき来夏と約束しててですね」

 

『………チッ』

 

「え、舌打ち……」

 

『………ごめんなさい、つい………それなら仕方ないわ、ならここでウチのお願い聞いてくれる?』

 

「あ、えっと、はい………なんすか?」

 

『ウチの事……名前で呼びなさい、先輩呼びもなしでね』

 

「へ?」

 

また変な声が漏れてしまった。

………名前?小太刀先輩を名前で?それも先輩呼びなしって………どゆこと?そんなんでいいの?

 

『ほら言いなさいよ、嫌なんて言わないわよね?』

 

「え、えっと………あー………鞘、さん?」

 

『──────……』

 

「………あれ?もしもし?繋がって、ますよね?」

 

『………ごめんなさい聞こえてたわ………ありがとう、これからはその呼び名で話しかけてね、それ以外は無視するから』

 

「あー………はい」

 

『じゃあまた学校で会いましょう……………流君』

 

「え?」

 

本日何度目の変な声をあげると同時に、通話が途切れた。

………あの人、俺の事名前で呼んだ?

 

いや、別にいいけど…………名前呼びだけでいいのか、あの人………。

 

「………まぁいいや、帰って寝よ………」

 

もう考えるのが面倒になり、俺はとっとと帰る為に早歩きをするのであった。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「………鞘、さん………流君………」

 

「……………ふふふっ」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

ガタンゴトンと電車が少し揺れながら進み、俺は立ちながら流れる景色を眺めながら目的地の到着を待つ。

 

今日は休日ということで俺達の他に乗っている人達もそれなりに多い、家族連れが大半だ。

 

今日は昨日の約束通り、来夏と二人で少し遠くのショッピングモールに向かっている、特に何か目的がある訳ではなく、目に付いたものから手探りで見て回ろうという事になっている。

 

そしてその来夏は、隣で立ちながら一緒に景色を見ていた。

ふと横目でそんな彼女を見る、電車の中ではあるけど妙に大人しい………スマホも見ていない。

 

でも心做しかソワソワしている………私服もなんだか気合いが入っているような………巷ではギャルコーデ?というのか………とても似合っていると思う。

 

まぁ俺の服装はシャツにジーンズ、そして何時もの黒ジャージといういつもとそんなに変わらない服装なのだが。

 

……………そういや、なんかここまで会話あんま無かったな、ようやく行けるとか、天気よくて良かったとか、在り来りなものばかりだ。

そういや………あのギャルゲ、デートの時服を褒めなかったらそのままバッドエンド確定とかいうクソ初見殺しあったな………死んだ後焚き火に座ってたグラサンの兄ちゃんが助言してた。

いやこの状況をゲームに当てはめんのも違う気がするけど、褒めた方が良いのか………まぁ、言うだけ言ってみるか。

 

「……唐突だけどさ、来夏」

 

「……んんっ?何?」

 

「その服可愛いな、似合ってる」

 

「……………………ッッッッ」ゲシッゲシッ

 

「いてっ、なになんで、いててっ」

 

「そーゆーのは最初に言えっ、嬉しいけどっ……!」

 

「え、そういうもん……?」

 

声を抑えながら抗議する来夏、照れ隠しなのか俺の足を蹴ってくる、普通に痛い………うーむ、まだわからんなぁ………。

 

「てゆーか、流はいつもと全っ然変わんないし……!着いたら服買い行こ、流身長あるから大抵似合うから……!」

 

「えー?これじゃなきゃ落ち着かねーんだけど……」

 

「ずべこべ言わないっ、やるよ………!(鞘先輩の知らない流を目に焼きつけて残してやるっ……!)」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

それから時間は流れて到着し、まずは来夏に強制的に服屋へ連れていかれて、長い事着せ替え人形にされた。

服に対して特にこだわりのない俺は言われるがまま、来夏の差し出してきた服を何度も着せられた、1人ファッションショーの開幕である。

 

「……なんか少し苦しいな、どすか来夏さん?」

 

「………」パシャパシャ

 

「………あの、無言で速写しないでくれませんか?」

 

そしてその次。

 

「ところどころ破けてね?こういうもんなの?」

 

「……………」パシャパシャパシャパシャ

 

「あのーーー?」

 

次も何も言わずに写真撮るし、特別似合ってもない気がするけどな……?

 

「……黒ワイシャツに普通のジーンズ、これ着やすいからいいな」

 

「………流、ちょっと近くに寄って?」

 

「ん?なんすか」

 

「………」パシャッ

 

言われた通り近づくと、来夏はスマホのカメラを自撮りモードにしており、来夏がピースすると同時にシャッターが降ろされた。

写真の来夏はキラキラして見えるのに、俺は能面みてーな無表情で落差が激しい1枚が撮れてしまった。

 

「……これでいいの?」

 

「これがいいのっ」

 

「……そすか、とりあえず試着だけで……」

 

「それ買おうよ、1番似合ってるし!」

 

「えー…………まぁ偶には良いか」

 

「じゃあ今日はそれ着てデートね!」

 

「このままかい………デート?」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

その後、来夏も軽くファッションショーをした。

まぁどれを着ても似合うのは間違いないし、全部の服装に可愛い、綺麗だ、似合うとテンプレみたいな会話をしたせいか、少し拗ねてしまった………照れてはいたけど。

 

そしてその後、少し腹も空いたのでそこそこ人気のクレープ屋で腹ごしらえをする事になった。

俺は甘いのが多く食べられないので、適当に美味しそうなおかずクレープを買い、来夏はいちごチョコレアチーズバナナクレープとかいう盛りに盛ったモンを持って、目を輝かやかせていた。

 

「おー………なんか見るだけで胃もたれするな」

 

「おじさんか!はむっ………んーーっ!」

 

「美味そうに食べちゃって……………お、アボカド生ハムいけるな」

 

初めて食ったが中々、合うんだなーこれ。

黙々と食べ進めると、隣の来夏がじーっと俺のクレープを見つめていた。

 

「……ちょっと美味しそうだね、それも」

 

「…………食う?まだあるし」

 

「いいのっ?はむっ………美味しいっ!けど甘いの食べたから少ししょっぱい………」

 

「何してんねん」

 

少しだけ顔を顰める来夏に笑いながら俺も食べ進める………ちょっとクリームついてんな、まぁいいかこんくらい。

 

「………………………」

 

「………そんな見てどした?まだ食べんの?」

 

「………気づか、ないの?」

 

「何が?」

 

「………なんでもない………はむ………」

 

「??」

 

なんか顔を赤くして自分のクレープを食べ進める来夏、なんだ?熱でもあんの?俺はそんな顔をじっと見ながらクレープを食べるのであった。

 

「(少しは!少しくらい意識しろよこのバカーーーッ!!)」

 

「???」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

その後、ゲームセンターに寄った。

久々に来たけど色んなもん揃ってんだなー、見た事ねーのが多いや。

まずクレーンゲーム関連のエリアに寄ってきた、目に入ったのは大きいお菓子の箱がめちゃくちゃ積まれて崩せば大量ゲットの奴だ。

 

「へぇ、100円で成功すればめちゃくちゃ取れそうだな」

 

「いやいやこーゆーのって一回じゃ絶対いけないから、元が取れなくなるくらい入れなきゃ無理じゃない?」

 

「ふーん、このポテチ好きだから少し欲しいな……………………………………………んんん?」

 

「どうしたの?」

 

「……………なんか壊せるかも」

 

「え?」

 

筐体の中をじっと見たらそんな予感がした、俺は100円を取り出してそのクレーンゲームに入れてプレイ開始する。

アーム式ではなく、棒で突き崩す形式のモノ………俺はさっき感じた部分に位置を調節し、その棒を突く……………すると、だ。

 

 

 

 

ガラララララッ!!

 

 

 

 

「うぉっ」

 

「えぇーっ!?」

 

なんとほぼ動かされてないであろうポテチの箱の山が、一気にバランスを崩しなだれ落ちる。

ゆうに8個以上、それも普通より大容量のポテチが取り出し口に溢れてしまう……………いや、こんなに要らねぇ……!

 

「………荷物増えたな」

 

「ばーかっ」

 

「これ要る?」

 

「まぁ、1個だけなら」

 

「いやいや遠慮せずに……」

 

「要りませーん」

 

……………殆どは部室に寄付だな。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「見て見て、ダンスゲーム!」

 

「へー、難そうだな」

 

「よしやってみよ!持ってて!」

 

「うぉっと」

 

来夏が指を差したのは足でステップしリズムをとる大きめの筐体ゲームだった、まだあんだなこういうの。

来夏はダンスと聞いてか、元日本一ダンサーの血が騒いでるらしく、荷物を俺に預けてその上に立った。

 

「曲……おっ良いのあるじゃん、難易度かー………これでいいや!」

 

「えぇっ?」

 

俺も初めて見たゲームだから詳しくないけど、ルナティックって………多分一番高い難易度を分からずに選んでるぞ来夏……!

しかもお前初プレイだろ?絶対やべーって……。

 

「さぁひっさびさ!私のダンス見てなーっ!」

 

そしてゲームが開始される、上からめちゃくちゃどれを押すかを示唆するマークが降りてくる、なんだそのアホみたいな量、これやるやつ居んのかよ………と、思いつつ来夏のダンスゲームを眺めていた。

 

「よっ、ほっ、はいっ!」

 

「お、おぉ?」

 

すげぇ、全部ドンピシャで押せてる、初めてな筈なのに追いつけてんだけど………流石日本一と言うべきか、やば………。

 

「ぇ、なにあれすげぇ!」

 

「あのゲーム最高難易度でやる奴とか居たの!?」

 

「母さんみてー!あの人かっこいー!」

 

「………あれま」

 

なんか気づいたら周りに人いるし………どうやらあのゲームの最高難易度やっぱ馬鹿げてるらしい、来夏程の実力がなきゃ無理だろ、何処が作ったんだ?

 

そんなことを考えていると来夏はフィニッシュに漕ぎつけてた………パーフェクトっだった、やば。

 

「ふぅー………あれっ、えっ!?」

 

「すげー!」

 

「凄かった!!」

 

「かっこよかったー!」

 

「……あれ、ていうかあの子日本一のダンサーじゃなかったっけ!?」

 

「な、なんか多くなってる!?なんでー!?」

 

「よっ、人気者」

 

みんな来夏のダンスを称えていた、来夏は照れながらもみんなに礼をしていた、こういうのをすぐ自然と出来る辺り、やっぱそういうカリスマ性はあるんだよなーこいつ。

 

ていうかあの時の………ダンスに夢中になってた前の来夏みたいだ、久々に見られたな、あんな姿。

 

「……………」

 

…………俺とは違って明るいし、誰かを惹きつける魅力もある、誰に対しても気兼ねなく接する………あれが本来の彼女だと思う。

俺といる時は性格変わる時が殆どだけどなぁ………俺は、来夏に何をしてやれるのか。

 

多分、異性的な好意を向けられてんなら………恋人になれとか、そんなかな………でも、今付き合うのは色々マズイ気がするし控えたい、それに笹波の施した荒治療が効いてるっぽいし、そこまでしなくても大丈夫みたいだけど……………笹波はある程度の事は聞いてやれとは言ってたな。

 

うーーーん………何すりゃ良いんだろ、要望を聞くだけじゃなくて、こっちから来夏の求める何かを当てりゃいいのかな……………うーん。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あ」

 

 

 

そう言えば………あのゲームであんな選択肢もあったな………ありか?いやでもゲームだし、リアルでやったら流石にドン引きかな………。

 

でもやったら一周まわって冷静になるんじゃねぇかな………よし、後で少しカマかけてみるか。

 

俺がやったポテチの箱を子供にあげる来夏を見ながら、企んでいた。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「………っあーーっ!遊んだ遊んだぁ!こんなに流と遊び明かしたの久々じゃない?」

 

「だなー、楽しかったけど疲れたわー」

 

流と二人でショッピングモールへ遊びに………もといデート(私が勝手にそう言ってる)の帰り、既に長崎へと帰還し、それぞれ荷物を手に帰路についていた。

 

あのリズムゲームの後、バスケットしたりホッケーしたり、パンチングマシーンの蹴りバージョンをプレイしたり、マジで色々やった。

 

まぁキックの奴は流がした途端、計測不能がでて故障しかけて弁償一歩手前とかいう馬鹿みたいなことになったけど。

 

いやーあれは笑ったなぁ、慌てふためく流とか珍しすぎて………あーほんと楽しかった。

 

でも………これってデートって言うか、普通に友達同士で楽しく遊んだだけに感じるな………。

今日どんな服を着て行くか悩んだり、店で色んなファッション見せたり、わざと流のクレープを食べたり………そこはかとなくアピールしてたけたけど、彼はなーんの反応もしなかった………関節キスに関してはマジでぶん殴ろうかと思った。

 

………わかってる、彼は以前私に好きと言ってくれたけど……それは私の好意とは違う、彼は今でも私とはこういう関係を求めている。

冷静になった今だからこそ直視できるんだけど、やっぱり切なさを感じてしまう。

 

「(………それは、ただの押しつけだよね……)」

 

恋心には変わりない、彼に対する気持ちも揺らいでない。

でも、鞘先輩から突きつけられたあの気持ちがかつての私が行った蛮行を戒めてる。

そして何より………私も今の関係が改めて心地いいと思っている。

 

でも既に流には少しとはいえ勘づかれてるし、私もこの気持ちに嘘をつきたくない。

 

そして何より………先に鞘先輩から奪われると思うと、胸を掻きむしりたくなる。

あの人の事は少しだけ認めたけど、それでも流を奪わんとする憎き恋敵であることには変わりないのだから。

 

「(………でも、どうしたらいいんだろ)」

 

流も同じ気持ちにさせるとか………出来るのかな、逆立ちで飲み物を全部飲み干す位至難の業な気がする。

………あーもう、流が少しでも恋心に気づくような人だったらなぁ………。

 

「お、着いた」

 

「…………あ、もうなんだ」

 

結構距離があったと思ってたけど、早いものだ。

流の家の前でその事に気づく………まだ一緒に居たいけど、明日もあるし迷惑だよね………。

 

「んじゃ来夏」

 

「うん、また明日ね」

 

私が選んだ服装の後ろ姿を見送る………と思ってたら、マンションには入らず立ち止まった。

………え、どうしたの?何か、忘れ物でもした?

 

「……流?」

 

「………あーその、来夏」

 

彼は後ろ向きで私に話しかけて来た、なんだか言葉を選んでいるような、手探ってる感じだった。

 

「………まぁなんだ、お前ってさ………結論俺と恋人になりたいって事で、良いのか?」

 

「………えっ!?」

 

な、なに、何いきなり!?流から、その事に触れるの!?

嘘でしょ、絶対避けてると思ってたのに、流から聞かされるなんて、思わなかった………。

 

顔が熱くなるのを感じながら、私は答えようと、声を捻り出し始める。

 

「ぇあ、えっと、ぁあ………ぅん………」

 

「………そっか」

 

私が辛うじて言葉を紡ぐと、少しの間沈黙が流れる。

私は高鳴る胸の鼓動を感じながら、流の後ろ姿をただ見つめていた。

 

呼吸が、少し荒くなるのを感じる。

流は、何を、何を言う気、なんだ、待って、ここで答える、気?

 

 

 

 

 

 

 

「………まぁなんだ、正直それに今すぐ答えるって訳にもいかんよな、色々と事情絡んでるし」

 

そう言うと流は手に持っていた荷物を地面に置き、私に向き直る………その瞳を、私は真っ直ぐ見つめた。

 

「だからとりあえず、今までお前のそれに気づかなかったのと………前に噛まれた仕返しってことで、ここは一つ」

 

「……え?」

 

何を言ってるのか分からない私に、流はそのまま近づいて。

 

その手が、私の顔に添えられて、流の顔が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ぇ」

 

「……あーうん、普通に恥ずいな、んじゃ明日」

 

流の顔が少し赤くなってたのを見届けて、彼は足速に荷物を手に持ちマンションの中へ入っていった。

 

私は、そんな姿をただ眺めて、立ち尽くしてた。

 

 

 

 

 

 

 

「なに、え、ぁ、あ」

 

手に持ってた買い物がするりと落ちる。

 

辛うじて残った理性が、さっきされたことを、記憶した。

 

 

 

 

 

 

 

「……ぁあわ、へ、き、な、へあ、ぁ、あ、あああ」

 

言葉にならない、それを認識して、私はもう、おかしくなった。

しってて、しっててなぜ、そんな、こと、を。

 

もう、わからんな、わかんない、わかんないよ、なんで、ええ、あ。

 

もう。むり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………バカ………………」

 

もう知らない………からね、そうするなら。

 

責任、とらせる、から。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「………つー感じで、昨日思い切っていだぁ!!」

 

「バカ!!バカ!!!何してんですかバカ!!!!」

 

「だって、選択肢にあったんだって、それ………」

 

「どー考えてもやるもんじゃないことくらい理解出来ないんですかその頭は!!?」

 

放課後、部活で作戦会議を行った後、昨日起きたことを笹波に歩きながら伝えるといきなり足を思い切り踏んづけられた。

ギャルゲでキスをして大人しくさせるっていうあれやったけど、まずかったのかやっぱ………今日来夏と目を合わせるとタコみたいに赤くなってるし。

 

俺は別にキスくらい恥ずかしい程度で終わったけど………来夏がしたいことってこういうことじゃねぇの?

 

「いやだってお前言ってたやん、なるべく彼女の要望に応えろって、いでぇ」

 

「彼女の口からですよ!塞いでどうするんですか!何を考えてるんですかまた僕が何かしなきゃ行けなくなるじゃないですかこれ!!」

 

「いや毎度ごめんな笹波監督、いだだだ」

 

「この、このクソボケサッカーモンスターァァァ………!!!」

 

踏みつけられた右足を擦りながら憎しみのこもった笹波の視線を受ける。

うーん………女心ってわからんなぁやっぱ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………俺、入っていいのかな、あそこに」




黒景 流
力の代償ってよくあるじゃないですか、彼にとってはそれがクソボケすぎるって事です、サッカーには関係ないしね()


忍原 来夏
まともになりつつあったのに、全てぶっ壊されました。


笹波 雲明
Fxxx OFF!!!!



円堂 ハル
………仲良いのかな?あの二人。
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