忍原来夏とはただの幼馴染みです………それだけですが? 作:グラビトン
そしてこんなクソボケの活躍での感想が史上最多に送られてきて超ビビってます。
…………モチベモンスター爆誕!
「………あのシュート、あのドリブル」
「…………ははっ!なるほどな、あいつの影響を色濃く受けたサッカーバカって言った所か」
「怪物が率いるチームの中にいるかいぶつ………益々目が離せなくなった」
「早く来いよ、ハル………日本のサッカーは、より熱くなるぞ……!!」
「黒景先輩」
「へい」
「確かに僕は、前半のバカは目を瞑ると言いました」
「へい」
「戦術的にも、そして先輩を初めて試合に投入する実験的な意味も兼ねてますけど………何より、ここまで僕達を信じて待ってくれた貴方へ対する礼の意味も兼ねてます」
「おう」
「その意味を踏まえて、まず京前嵐山のベンチを見てください」
「…………死にそうな顔だな」
「そして、前半4点差というオーバーキル………黒景先輩、何か感想は?」
「うーーん……………ダブルハットトリックいけるかな?」
「桜咲先輩ッ!!!」
「フンッ!!」
「いぎゃぁぁぁあ背骨がぁぁあッ!」
前半終了、4-0という差をつけて僕らは超優勢という途中結果になっていた。
全てはこの日の為に黒景先輩が、何も知らない相手にその圧倒的な実力の奇襲が大成功し、相手の化身使いですら手駒にとるように薙ぎ倒してハットトリックを決めたからだ。
まぁ……………………正直、ドン引きした。
知ってはいた、彼の実力ならこうもなるとは分かっていたつもりだったけど、こうして見ると最早喜びよりも冷静さと戸惑いと呆れが一周回ってやってきた。
なんならもう、3点目を決めた辺りから敵である京前嵐山が可哀想だと思えたくらいだ………現にベンチに座っている彼らは何も言ってない様子で、まるで雰囲気は葬式だ。
敵である自分が言うのもなんだが、当然の反応だと思う。
初出場の南雲原はいいとこ全国レベルで見れば中の上辺りの実力だと思われてしまうのも仕方ないのかもしれない、そんなチームからこんなゴジラ級のかいぶつがいきなり現れていきなり蹂躙されてしまえばそうもなる。
やっぱりサッカーモンスターだ…………正直今のこの人は、かつての円堂ハルを越えてると言っても過言じゃない。
改めて、この日まで彼を試合に出さなくて正解だと痛感する。
ていうかそうしてなければ今日のこの結果はない。
日本のサッカー界に対して、南雲原の切り札として最高のお披露目にはなったとは思う、SNSでも黒景先輩に対する投稿がひっきりなしだ。
…………まぁ、そんな彼は完全なるワンマンプレーをして反省の色も見られず、倒されて桜咲先輩に脚で背骨を押さえられ両腕を引っ張られているが(スパイクは脱いでいる)
「な、なんですか!笹波前半は好きにしろと言ったじゃ、がぁ!!」
「好きにしろとは言ってません!誰が貴方一人で敵チームぶっ壊せって言いました!?少しはチームプレーを心掛けてくださいよ!プレー中パスのパの字も無かったじゃないですか!!」
「いいいやですね?なんか走ってたら俺一人だったし、これ俺が決めろっていうなぁぁぁぁっ」
「誰も貴方に追いつけなかったんですよ!」
「さ、笹波君、そこまでにしておいた方がいいんじゃないか?」
「いいえ!この人は絞めて置かないとまた後々面倒を起こすんです四川堂先輩!サッカーでも女性関係でも!!」
「わ、私たちの事は今いいでしょ!?とりあえずやめさせなよ雲明君!こいつも分からないやつじゃ無いし!」
「……はぁ、桜咲先輩」
「おう」
「……ぐべっ」
桜咲先輩が脚を退けて両腕を離し、黒景先輩はそのまま芝生に倒れた。
チーンという効果音が聞こえるくらいには無様だ、倒れたまま忍原先輩に背中を摩られてる姿はとても前半で相手チームを一人で蹂躙したかいぶつとは思えない。
「………とりあえず皆さん、改めてこの人のサッカーを見てどう思いました?」
「まぁ……バカだな」
「かいぶつだな」
「バカだね」
「なんかもうそういうもんだと受け入れてきたわ」
「この前半結果で喜びより冷静さが勝るとは、新たな問題が生まれたな」
「敵さんが可哀想になってきました……」
「とりあえず反省しないとね、流君」
「誰も俺を讃えねぇ……」
「観客の皆さんには大絶賛でしたよ、ほぼスプラッターショーでしたが」
「嘘やん」
誇張表現かもしれないが、外から見ておおよそそんな感じだった。
とはいえ皆この人の実力に三者三様の反応を見せてるけど、この結果に興奮しているのは間違いない。
これは今この舞台での初試合だからこそ出せるリアクションだ、仮に予選1回戦、雷門から来たあの二人が居ないシチュエーションで試合をし勝ってしまえば、自分達はいらない……あいつ一人でいいなんて事を言ってしまいかねない。
皆がそんな弱音を吐く人達じゃ無いことは知ってるけど、それを懸念しないといけないくらいこの人のサッカーは危険すぎる、力に代償はつきものだ。
「……黒景先輩、もう貴方は一人でサッカーをするんじゃない…………僕達南雲原サッカー部のみんなとするんです、それを忘れないでください」
「忘れてるつもりは、無いんだけど」
「いえ、貴方の身体には一人のサッカーが染み付いています、それを今すぐ忘れろとは言いません、だから改めて……新しく刻んでください」
倒れたままの黒景先輩の前に膝をつき、手を差し出す。
「僕らは同じチームです、その為のサッカーを……ここから始めましょう」
「……笹波」
「あぁは言いましたけど、僕は前半の縦横無尽に駆け抜ける先輩の姿は…………とてもかっこよかったですよ」
「…………初めて言われたわ、そんなこと」
「でしょうね」
静かに笑う先輩は僕の手を取り、立ち上がった。
真にチームとしての戦術を確立するのは少し先だけど、この人は既に僕らの仲間なのはずっと変わらない。
皆と一緒に変わればいい、僕だって、変われたんだから。
「つーかよ、最後の必殺シュートなんだよ!見た事あるがなんでお前使えるんだ?」
「ゴッドウィンドの事?あれの習得は難儀したわ、俺の憧れている人の最強シュートだからさ、どうしてもモノにしたくて」
「あの人に憧れてたのか黒景、どうやったんだ?」
「あー、色々あって母さんに大雨の中放り込まれてさー、強く降り続ける雨と荒風の中であの人のイメージが俺の前に現れてさ、がむしゃらにサッカーしてたらヒントを掴んだ」
「何言ってるんですか先輩……?」
「………………」
「思いつく節しかない顔ね、来夏さん?」
「うぇっ!?いややなんでも!?」
最後に決めたあの必殺技に関して、話が盛り上がりつつあった。
みんなも彼のことは既に仲間として受け入れている、実力差がかけ離れても関係ない。
…………ゴッドウィンド、確かにあの人の個人技では最強の部類に入るだろう、それを自力で習得とかどうなってるんだあの人は、全く。
忍原先輩が小太刀先輩に問い詰められてあたふたしてる横目で、水分補給しながら眺めている木曽路が目に入る。
彼も呆れながらその光景を見ていた、そして僕は彼にゆっくりと近づいた。
「木曽路も、前半お疲れ」
「あ、雲明……いやいや俺は何もしてないよ、本当に黒景先輩の独壇場だったじゃん?俺なんか吹き飛ばされてたし」
「化身相手なら仕方ないさ、君もいずれ使えるようになる…………ていうか、後半使わなきゃいけないでしょ?」
「え?なんで?」
「だって先輩がハットトリック決めたら化身出すっていう約束でしょ?」
「えぇ!?聞いてたのかよ!?」
「昨日聞かされたんだ、何事かと思ったよ」
そう、試合の前の日に黒景先輩がそう言って来たのだ。
無理矢理にでも約束してやらせないと、多分木曽路は自分から化身を全力で出そうとしないと………無茶にも程があると言おうとしたが、僕はそれを承諾し、前半だけは予定よりも好きにさせることを決定したのだ。
黒景先輩のプレーが、木曽路の化身覚醒に繋がる道を示してくれると感じたから。
「それでどうだった、彼のプレー見ててさ」
「…………概ね皆が言っていたのと同じさ、馬鹿げててヤバすぎて、西條君達が可哀想に思えるくらいだけど」
「けど?」
「すっげーかっこよかった、痺れた、頼もしすぎてどうにかなりそうでさ…………でさ」
そう言葉を区切ると、彼は少しだけ俯いて……少しだけ、照れ臭そうに。
「あんな風になってみたいって、そう思った」
「……そっか」
確かにあんなの見せられたらそうなるのも頷ける、間違いなく前半は彼が主役でそれを誰も疑わない。
木曽路はそんな黒景先輩に憧れを抱いた、要は主役みたいになりたいと。
うん、やっぱり木曽路と黒景先輩を合わせて正解だった。
「はっきり言うよ木曽路、君は既に化身を出せる能力は備わっている」
「……え?」
「そして君は既に足りない要素の1つのヒントを自分で得ている、後はすぐ近くにある答えに気づけば………君は化身使いになれるよ」
「ま、マジで!?教えてよ、勿体ぶらないでさ!」
懇願する木曽路に僕は首を横に振る、言いたいけど……これは自分で見つけなきゃきっと効果はない。
「答えは自分で見つけるんだ………1つ僕からヒントを言うよ」
「ヒント……」
「僕らはこの試合11人で勝つんだ、それを忘れないで」
「…………え?当たり前のこと、じゃんか」
「後は自分で考えて」
木曽路との会話を区切り、ベンチに戻る。
まだ分かってない様子だけどきっと気づいてくれる、木曽路を信じよう。
「いやー……それにしても黒景君本当に強いですね、頼りになるなんてものじゃないな」
「そうですね……頼りすぎってのも良くないので、あの人は後半シュートは撃たせないで出来る限りチームのサポートを心掛けて貰うようにします」
「確かにこのままワンマンじゃチームの意味が無いものね」
「…………それにしても、たった一人で荒らされた京前嵐山の皆さんは正直気の毒ね、黒景君の事全然防げて無かったし…………もう勝ちは決まったんじゃない、笹波君?」
香澄崎先生が少し失礼な事を言っていた……まぁ確かに前半の結果だけ見ればそう思うのも仕方ない節はある、現に黒景先輩はあれだけ動いてまだ余裕がある、ここからシュートは撃てないにしても動かれるだけで優位に進むだろう。
………………でも、僕は知っている。
「……油断大敵ですよ先生、知らないのですか?」
「え?」
「追い詰められて逆境に立たされた人間の行動力は…………何時だって想像を軽く越えるんですよ」
◾︎◾︎◾︎◾︎
「………………」
「………………っ」
「……クソ…………」
前半が終わってから、俺達京前嵐山は一言も言わなかった…………言えなかった、そんな気力が出せないから。
俺達は前半だけで4点ビハインド………全てはあのかいぶつが、黒景流が俺達のサッカーを一人でぶち壊したからだ。
手も足も出なかった、化身すら通用しなかった。
俺達の奮闘など……あいつの前では児戯同然だったのだろうか?
俺達のやってきたサッカーなんて、こんなもんだったのか?
俺はタオルを頭から垂らしたまま、芝生の上で動けずにいた。
「…………監督……ここから、どうすればいいんですか?」
マネージャーが口を開き、監督に今後の指示を聞き出す。
監督は沈痛な声で唸り声をあげる、普段はあれだけ自信満々な人なのに、その問題に何も言えずにいた。
「……ここから死ぬ気で無失点を貫いたとしよう、私達は最低でも5点……後半の内に取らなければならない、黒景流を死に物狂いで封じたとて南雲原の動きはほぼ我らと互角だ、仮に2人の化身を後半終了まで持たせても………恐らく黒景はまだ底を見せてない、付け焼き刃の作戦では意味が無い……!まさか私の作り上げたチームが、たった一人の選手に壊されるとは………」
どう足掻いても、あいつを止められる気がしない。
大人数で止めても、他の奴らがゴールへ向かってしまえば意味もない。
どうすればいい?このまま終わるのか?
ようやく…………ようやくここまで来たのに、全国の舞台に立てたのに、こんな………最後まであのかいぶつの引き立て役で、終わっちまうのか?
「(…………嫌だ…………)」
先程まで力が入らなかった手で拳を握る。
嫌だ、このまま終わるなんて嫌だ、負けたくない……勝ちたい……!!
この先血反吐に塗れてもいい、ただやられて負けるなんて御免だ。
何か、何かないのか、南雲原に勝てる………起死回生の手は……!?
「──────あ」
あれは、どうだ?
あれなら、若しくは……?
「……どうした、西條?」
「…………屋城さん……監督…………俺達が化身共鳴の特訓をしていた時に偶然出来た、アレ……覚えてますか?」
「……アレ…………まさか、アレの事を言っているのか?」
「……アレ?あれとはなんなんですか?」
俺はようやく顔を上げて、屋城さんと監督がアレを覚えているか語りかけ、それに仲間達が次々と反応していた。
「俺達がまだ化身共鳴の完成の為に特訓を続けていた時の事なんですけど、その時偶然今の化身共鳴以上の効果が現れた時があったんです、アレをここで使えれば………可能性はゼロじゃなくなる」
「そんなのが、あったんですか……!?でもなんで黙って……?」
「効果以上にデメリットが大きいんです………仮に完成させて使っても通常の化身共鳴の方がコスパがいいと俺達と監督はそう結論付けて忘れてたんですよ、今日まで………監督、どうですか?」
「むぅ………お前の言う通り、あの化身共鳴を使えれば勝ちの目は確かに現れる…………しかし、分かっているのか?」
「監督……?」
「これを使って勝つというのは、ここから先更に……お前達には地獄を見る羽目になる……最悪敗北以上の結果にもなりかねないんだぞ?それでも…………」
「寝ぼけてるんすか、監督…………既に、地獄なら見てるだろ……!!」
よろめきながらも立ち上がり、タオルを手に持ち力の限り握りしめる。
監督の言う通り、アレをやるなら俺と屋城さん、そして皆には更なる地獄を見せることになる、使っても必ず勝てる保証もない。
けど、このまま何もされずに蹂躙されるよりかは遥かにマシだ。
勝つ可能性がこれで作れるなら、喜んで…………地獄に身を委ねてやるよ!!
「屋城さん、どうですか?」
「…………あぁ……このまま終われないよな、そりゃ……!!」
「……分かった、そこまで言うなら止めない」
「それで、どんな事をするんですか?」
「そうだな…………言うなれば」
「化身共鳴・連、と言ったところか」
◾︎◾︎◾︎◾︎
『さぁさぁ波乱の前半戦から、遂に後半戦が開始されようとしてます!しかし京前嵐山はかなり苦しい状況と言えますね、角馬さん?』
『全くその通りですね、ただでさえ黒景選手の無法ぶりに手を焼かざるを得ないのに、ここから最低でも5点ですからね………正直、私では手段を思いつけませんよ』
「さぁ皆、後半に行ってきて!黒景先輩!絶対シュートはもうしないように!!チームプレーを心掛けてください!!」
「へい」
「よし、終了のホイッスルが鳴るまで気を緩めるなよ南雲原!!」
「「「「おうっ!!」」」」
伊勢谷先輩の掛け声に皆が気合いを入れた返答を返す、俺も頬軽く叩いて気合いを入れ直す。
後半の黒景先輩はシュートを撃たずになるべくチームプレーのサポートをする方針となり、敵のここからの行動が読めない以上慎重なプレーを心掛ける事になった。
そして俺は後半で化身を発動させる。
雲明は既に化身を使える状態だと言った、後は俺が気づいていない何かを理解しなければ……!
幸い化身使いじゃない奴らとのプレーには追い付ける、ここから慢心せずにどうにか化身発動の条件を探し当てて、今度こそ発現させる………皆のために……!
そうしてポジションに付き、相手の顔を…………西條君の顔を見る。
「…………ん?」
先程まで見たベンチでの雰囲気とは離れた、何かを決意したような顔付き。
憔悴はしてるけど………ここから、何かをする予感がした。
「伊勢谷先輩、なんか、京前嵐山のみんな……顔付きが」
「あぁ、どうやらここから……何かをする気だぞ」
隣の伊勢谷先輩も今の敵に何かを感じ取っている、何をする気なんだ?西條君は……!?
『それでは後半戦、南雲原ボールより開始となります!!』
ピーーーーッ!!
後半戦のホイッスルが鳴り響き、観客も期待の声が大きく溢れかえる。
空宮先輩から黒景先輩にボールが渡され、先輩は上がろうと…………しない?
「……黒景?」
「……空宮、なんか来るぞアレ」
「え?」
「魔槍剣聖クララバニー…………!!」
「…………城壁巨兵ウォーボーグ…………!!」
「化身共鳴・連ッ!!!!」
クララバニーとウォーボーグが再び化身共鳴を発動したが、なんだ?前半よりも大きく共鳴し合ってる……!?
そして敵陣を見る、2人の化身使いが放つ大きな波動に………他の選手達も、共鳴しているのか!?
「待て、まさか……!?」
嫌な予感が起き、敵陣の気の波動を読み取る。
前半戦は相手はどうやって化身を使っているのか知る為に、本来は味方の気を見るために使っていたが相手を手本にしたいと思い行使してた。
そして化身使いと普通の選手には、そこから出る波長が大きく異なることに気づいた、そして………これは……!?
「嘘だろ……これ!?」
「どうした木曽路!?」
「…………皆に、化身の波長を感じる!!?」
◾︎◾︎◾︎◾︎
『この化身共鳴・連は、本来の化身共鳴よりも大きく2体の化身を共鳴し合い、自陣に向けてもその波動を行き渡らせる事が出来る』
『そうすれば……何があるんですか?』
『簡単に言えば…………俺達以外のお前らが、擬似的な化身使いになれるんだ』
『なんですって!?』
屋城さんの簡単な説明にキャプテンを含めた皆が驚く。
そう、化身同士の更なる強化が本来の化身共鳴。
そしてこれは、俺達2人だけでなく味方全員を強化する大技、化身二体の波長を受けて皆に化身共鳴の効果を及ぼす、それが化身共鳴・連。
『ただ本当に化身使いになれる訳じゃない、魔人も出ないしあくまでも擬似的にだ、しかし俺達が化身を発動させている時の状態に完全じゃなくても近づけるはずだ』
『これを使えば黒景流には追い付けなくても、他の南雲原の奴らには一歩上回る事が出来る筈………だから黒景流には屋城さんと強化された他選手含めた3人でマークすればある程度行動は封じれるはず……そして後半の間に、俺を中心としたアタックで5点をもぎ取る、これが後半の作戦です』
『凄い…………で、でも、そんな離れ業、何かあるんですよね?』
『そりゃあるよ…………1つは、さっきも言った通り他の奴らを擬似的な化身使いにして、化身を使わせている状態になるんだ、つまり……』
『俺らも、ここから滅茶苦茶体力を使うってことか……!』
『そうですね、そして勝つ為には………この化身共鳴を最後まで出し切る必要がある』
『…………え、ちょっと待ってください、その技は本来の化身共鳴より、体力を使うんですよね?』
『………………はい』
『ただでさえお前達は前半でもそれなりに使ったのに、ここから30分だぞ!?身体が持つ訳……!?』
『……持たせる、それしか無いよ』
『でも、これで勝ててもお前ら、身体ボロボロに』
『負けたくないんですよ、マジで』
『西條君………』
『こっからは俺達の限界を試す時です、死に物狂いで………俺は勝ちたい!』
『……皆さん、やりましょう』
『キャプテン……』
『彼らがここまで言っているんです、同じチームメイトとしてそれに応えましょう』
キャプテンの言葉に皆が奮い立たされて次々と立ち上がる。
あぁ…………勝ちたいのは、皆同じだよな!!
『凄い!開幕から新たなる化身共鳴を発動させた京前嵐山!選手達の動きがまるで別人です!そして黒景選手には屋城選手を含めた3人で再びマークしてますが、振りほどけない!!』
『正しく執念のなせる技!京前嵐山の皆さんの闘志が目に見えて浮かぶようです!!』
「不味い!西條リルを何としても止めろ!!」
「ッ!!」
時間が一刻も惜しい、敵が前に来た時に周りの仲間にパスを回し前線へ一気に駆け上がる。
化身共鳴・連の効果は目に見えて、仲間たちの動きが格段に上がっている。
屋城さんを含めた3人も動き回る黒景に気合いで食らいつき、行動を制限させていた。
「うぉぉおッ!!エンプレス・シャドウッ!!!」
一気にゴール前へたどり着き、渾身のエンプレス・シャドウを放つ、心做しかいつもよりも強く、早く放たれた気がした。
「ゴッド……速いっ!?ぁぁあっ!」
ピーーーーッ!!
『京前嵐山!後半開始1分弱で初ゴーール!なんという速攻!見事な連携によりゴールをようやく勝ち取りました!!』
『凄い!しかしまだ3点差、ここからどれだけ持たせられるのでしょうか!?これは分からなくなりましたよ!!』
「っし!!」
まずは1点、ようやくだ。
こんなんで一々喜んでられない、まだ4点を取らなきゃ。
体力はかなり削れてる、でもんな事言ってられない、勝つ為に魂を賭けろ、そうじゃなきゃ…………あのかいぶつに追いつけねぇ!
ゴールから振り返り、遠くの黒景流を見据える。
少し驚いた表情だけど、まだ余裕があるってか?なら……ここからその面ねじ曲げてやる!!!
「まだ勝負は決まってねぇ…………勝つのは、俺達だかいぶつッ!!!」
「──────熱っちぃッ……!!!」
京前嵐山
まるで主人公みたいだぁ………死に物狂いで勝ちに行く、もう舐めたりしてません。
化身共鳴・連
言い換えるならゴーストミキシマックスみたいな感じ。
チーム全体を擬似的化身使い状態に戦力を底上げする離れ業、しかし体力の消耗は全体的に激しくなる、一か八かで勝利を賭けろ。
かいぶつ
最高だお前ら。
……………正直?
-
やり過ぎ
-
いいぞもっとやれ