忍原来夏とはただの幼馴染みです………それだけですが?   作:グラビトン

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今回の南雲原フォーメーションです。
さて………試合上手くかけているか。


VS帝国(前半) かいぶつVSかいぶつ

試合開始のホイッスルが鳴り響き、歓声が大きくグラウンドに響き渡る。

ボールが星見沢からヒカリに手渡され、彼女は笑みを浮かべながら敵陣を見据える、視界の中心には黒景流が佇んでいる。

 

「さーてわくわく………相手に強いかいぶつのいるキックオフってこんなにテンション上がるんだ」

 

高揚する彼女だが最初からぶっ飛ばさず、星見沢と霊道と一緒に敵陣へ駆け上がる、アリスの指示で自分のフィジカルを存分に活かすのは黒景流とキーパーだけに留めて、他選手は抑えながらでも勝てると言われている。

 

言われなくても黒景流以外には本気を出さないと考えている、存分に自分をぶつけたいのは流先輩だけだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デスサイズ」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時、彼女に死神の鎌が突如として振り降ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっとぉ」

 

いきなりの攻撃に彼女は驚きつつも対応し、ボールに振り降ろされた一撃に対してドリブル中から急ストップしボールと一緒にターンで回避する。

星見沢と霊道は一拍置いてその攻撃に気付く、周りの選手達も。

 

「うおっ!?」

 

「こいつ……いつの間に」

 

「黒景のデスサイズを、避けた……!?」

 

周りが様々な反応を見せる中、背中を見せ合う形にになった状態の天河ヒカリと黒景流はゆっくり振り向く。

 

 

 

 

「やっと避けたな、お前」

 

「でしょ?」

 

 

 

 

互いに笑みを浮かべ素直に感じた気持ちを確かめ合うと………黒景流は即座に振り向き離れてないその距離を一気に縮め、天河ヒカリにプレスを仕掛け、彼女はそれが嬉しいのか子供がおもちゃを買ってもらったかの様な笑顔を浮かべた。

 

『さぁ試合開始直後でいきなり両校のサッカーモンスターが激突します!!』

 

『さっそく来ましたね!果たしてどうなるのやら……!!』

 

再び敵陣へ駆け上がろうとするヒカリに対して流はチャージを仕掛けて止めようとするが、その華奢な体躯に肩をぶつけたのにも関わらず……寧ろこちらに反動が来ているような錯覚を感じていた。

 

対してヒカリはそれにただ笑みを浮かべるだけで何の反応も示さなかった。

 

「ちょ、身体強すぎんだろ?」

 

「あはっ、流先輩よわよわっ」

 

「なら……!」

 

やはりフィジカルでの対決は不利だと判断し、流はひた走る彼女の前に回ってボールをカットしようと立ちはだかり、彼女はそれを見て更にスピードを加速させた。

 

「スプリントワープっ!!」

 

高速のスプリントからまるでバネのようにグラウンドを飛び回り、流はそれで出し抜かれるが、そこでは止められないと判断しすぐ様後方へ走り、直ぐに技を出し切ったヒカリの近くまで追いつく。

 

彼女のプレーに追いつけてるのは黒景流だけだった、敵も味方も……かいぶつ2人のプレーを見るだけだった。

 

「逃がさんぞ」

 

「もう追いつかれちゃったー……はい霊道先輩っ」

 

「!」

 

周りがかいぶつ同士のぶつかり合いに注目しすぎていた中、ただひたすらゴールへ走っていた帝国学園のフォワード霊道は彼女に視線を送り続け、彼女は無視したら面倒だと判断し彼を見ずにバックパスを回した。

 

「なっ!?」

 

「しまった、2人ばかりに……!」

 

ディフェンス陣にいた柳生と古手打はそれに驚くが、霊道もパスを貰えたことに少し驚く……まさか見ていたとは思ってなかったが、天河ヒカリはかなり前までボールを運んでくれており、マークもされてなかったからフリーだった。

 

「ぶち決めてやる、先制点……!!」

 

『おおっとモンスター同士の対決の最中天河選手が近くにいた霊道選手にパスを出した!冷静な視野を持っていますね!』

 

『私達も彼らばかりに夢中になってました、そんな中彼一人だけ自分のプレーに集中していたのですね!』

 

「(こいつ、俺ばかりに目を向けていたと思ったらかなり冷静だな………あそこでパスを出せるのか)」

 

流はゴール前に出ようとするが、ヒカリに身体と手を押し付けられて前に出れなかった………そして感じていた、完全に押し負けて力負けしていることに。

 

ハンドワークで身体を抑えられ思うように動けずにいた、ここまで力に差があるとは流は思わなかった。

 

「離れたらダーメ、ボクの相手してもらわなきゃっ」

 

「まじ、か、動けねぇ」

 

「ふふーん流先輩の近くー」

 

「「(離れてくんない近いんだけど!!?)」」

 

帝国側からすればデータ不足で、ヒカリと同じくらい読めない存在である流を自由にさせていい理由は存在せず、ヒカリはアリスから徹底して動かさせないように指示を貰っていた。

 

身体を使って流を封じてる中、仲良し2人はその光景に青筋を立てていたが、その最中霊道は南雲原のゴールキーパー四川堂と対面していた。

 

 

ボールを高く蹴り上げ、その後を追うように飛んだ彼は……。

 

 

「……ピュイーーーッ!!」

 

 

口笛を高らかに鳴らし、何処からとも無く飛んできた6匹のペンギンはそのボールに突き刺さり、回転し力をボールに蓄えて……霊道はオーバーヘッドキックを放つ!

 

 

「オーバーヘッドペンギンッ!!」

 

 

高出力のパワーを携えて、ペンギンと共にボールはゴールへ向かう、城壁は間に合わず一対一の構図となったのだ。

 

『先にシュートを撃ったのは帝国学園!果たして決まるのかー!?』

 

「四川堂ッ!!」

 

「決めさせない……!」

 

オーバーヘッドペンギンが迫る中、四川堂は目を閉じて集中し……背中から盛るように現れる氷山の中から長い指を携えた人形の様な巨大な手が現れる。

 

その手を振るい、霊道の必殺シュートの軌道を歪めんとする5つの指が躍動する……!!

 

 

「ゴッドフィンガーズッ!!」

 

 

ペンギン達はその切り裂くような軌跡に巻き込まれ四散し、ボールは宙高く浮かび上がり完全に威力を失いそのまま落ちてきたボールを四川堂は静かにキャッチした。

 

「なっ!?」

 

『四川堂選手!霊道選手の必殺シュートを優雅にキャッチ!先制点ならずです!』

 

『両者共に見事な技でしたが、四川堂選手が1枚上手でしたね!』

 

「データにねぇ技……霊道のペンギンが止められちった」

 

「カウンター!!」

 

四川堂はボールを高く蹴り上げ、そのボールは伊勢谷に届く。

受け取ると同時に桜咲、来夏、小太刀、空宮は前線へ駆け上がる。

 

流も前へ出るが、やはりヒカリがそれをぶつけて阻害する。

あくまでも徹底して自由にさせないつもりの行動だった。

 

「先輩はボクより体力多いし、高いアジリティからのドリブルは驚異的だけどさ!こうしてボクみたいに追いつけて力も上なプレイヤーに付きっきりなら、せっかくのスピードもテクニックも使えないよねっ!」

 

「みたいだな、けどそんなんで折れねぇよ!」

 

「そう来なくっちゃ!その顔も歪めてやるから!!」

 

「黒景流は天河が抑えている!ボールを今のうちにとれ!!」

 

帝国キャプテンの穂村が指揮を取り、MF陣がまず伊勢谷がキープしているボールを奪い取ろうとしている。

伊勢谷は囲まれる前にボールを来夏にパスし、隣には小太刀も並んで走っていた。

 

『ボールは忍原選手に届く!隣には小太刀選手も並んでいますね!』

 

「どうします!?アレやりますか!?」

 

「流石に早いわ!ウチがまず叩く!」

 

「陣形展開!ザ・フォート!!」

 

本能寺に2人の選手が傅くように屈むと、グラウンドが要塞のように盛り上がり、ボールを持つ来夏に雨のような砲弾が降り注ぐ。

 

小太刀は巻き込まれないように離れて走る、来夏は守る体勢をとりながらそこに佇み、砲弾がなり止んでいつもならここでボールが弾かれて取られてるのだが………。

 

 

 

 

 

「……残像っ!」

 

 

 

 

 

砲弾の雨を受けていたのは来夏の作り出した残像、本体は要塞の横から回り込んでいた、奇しくもそれが隠れ蓑になったのだ。

 

「なに!?」

 

『おおっと忍原選手がザ・フォートを掻い潜った!ディフェンス陣も意識の外をつかれています!』

 

『帝国はデータを基準に戦うチームですが、もしかしたら新参である南雲原のデータが十分に取れてないのでしょうか?』

 

 

 

『流石にデータ不足が効いてんな、アイツら全体的に想定以上のステータスを持ってるぞアリス』

 

『あぁ、しかも更なるズレを産むために全員のスパイクが……笹波雲明、徹底してるじゃないか』

 

『このままだと小太刀 鞘に伝来宝刀を撃たれるぜ?』

 

「問題ない、今の戦導 真凜はそう簡単に破れない」

 

 

 

 

「来る………!」

 

来夏から小太刀にボールが行き渡り、再び両陣営のキーパーとシューターの一対一の構図となった。

真凜は初めての試合でキーパーを務め、構えながらも流石にプレッシャーを感じていた……しかし、遠くにいる黒景流を楽しそうに抑えているヒカリを見据えて自らを奮い立たせた。

 

 

あの日、初めて彼女の圧倒的なプレーを見て……こうして一緒に試合に出れたらとずっと思っていた、それが今日叶っている………故に、全力を尽くさねばならないと!

 

 

「ゴールは、割らせない」

 

 

「いざ……《爆》…伝、来、宝、刀ッ!!」

 

 

小太刀 鞘の代名詞と呼べる必殺技、伝来宝刀が更なる進化を遂げて振り降ろされた。

不破アリスの想定通りまた強化されている、自分のエンパイアシールドじゃ恐らく突破される恐れがあると彼女は思考する。

 

 

 

故に託された必殺技が、今の彼女にはあるのだ。

 

 

「行くぞ……!」

 

 

両手に力を込めて、稲妻が迸る手を勢いよく合わせ……中心に月を象ったエンブレムを刻んだ紫紺の盾を生み出し掲げた!

 

 

「王家の盾!」

 

 

迫り来る刃を真凜は強く見据えながら片脚を後ろへ踏み込み、右手に携えた盾を勢いよく伝来宝刀へぶつける。

 

流石の威力………しかし、その盾が誇る強度はそれ以上のもので。

 

 

伝来宝刀は、その盾の前に折れてしまいボールは彼女の手に収まってしまう。

 

 

『おおっと今大会初出場となる戦導選手!小太刀選手の十八番伝来宝刀を新たなる必殺技で完璧に防ぎましたー!』

 

 

「くっ……なんて技なの……!?」

 

「やった真凜!ナイスセーブ!!」

 

「行くぞカウンター……キャプテンッ!」

 

観客が前半にも関わらず攻防目まぐるしい試合展開に声が鳴り止まない中、真凜が投げたボールは穂村がトラップし、視線をベンチにいる不破アリスに向けた。

 

アリスが手に持つうさぎが何か動いて、サインを出して……穂村はそれを承諾する。

 

 

「必殺タクティクス、不思議の森!」

 

 

穂村の宣言後、帝国の選手達を介して怪しい空気が流れ始める。

チーム全体の気をグラウンドに巡らせ、相手のパスの通りやプレーを撹乱させる必殺タクティクス《不思議の森》

 

対策をこうじてなければ一気に攻め込まれ、為す術なくゴールまで決められてしまう危険な技たが………そうくることは、笹波雲明も読んでいた事だった。

 

 

「……必殺タクティクス、ミルキーウェイ!」

 

 

不思議の森が発動したと同時に、伊勢谷が対抗策たる必殺タクティクスの発動を宣言する。

巡らされて気ではなく、フィールドの決められた軌道を把握して行動し攻め込む必殺タクティクス《ミルキーウェイ》

 

天の川を巡るように南雲原の選手はその道標に従い、穂村のボールを奪い取ろうと攻め込んだ。

 

「ちっ、対策されていたか……しかし!」

 

迫り来る空宮と小太刀に対して、穂村はどこからとも無く金色の半透明に光る旗を掲げ、地面に突き刺す。

 

「ジェネラル・フラッグ!」

 

同時に魔法陣が2人の下に浮かび、天に昇る光が2人を吹き飛ばした。

 

「ぐうっ!」

 

「……っ!!」

 

「そこだ!サイクロンッ!」

 

しかし光が晴れたと同時に桜咲がつっこみ、その剛脚から放たれた旋風が穂村に襲いかかった。

 

「なにっ!?ぐううぅ!?」

 

完全に意表をつかれた穂村はそのままボールごと吹き飛ばされる、宙に浮いたボールを桜咲はジャンプし受け止めて、そのままミルキーウェイの近くにいた来夏にパスを出した。

 

「忍原!!」

 

「分かってるっ!行くよっ!」

 

 

『おおっとここで再び南雲原ボール!この2人ということはアレが来るか!?』

 

 

「はいっ!!」

 

来夏が強烈な回転を掛けたボールを宙に放ち、ねじまき軌道で暴れ動くボール目掛けて桜咲は再び跳躍しボールを捉えて、ゴール目掛けて南雲原の代名詞たる必殺技を放つ!

 

 

「春雷「ばあっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしそのボールに桜咲が触れることなく、突如として目の前に現れた帝国のサッカーモンスターがそのボールを空中でカットしたのだ。

 

「なっ……!?」

 

「えっ……流に、着いてたんじゃ」

 

「先輩を放置したら不味いのはそうだけどさー、どうせ流先輩もボクから目を離せないんだよ?だからこうしてボールを持ってれば……向こうからボクの方へやってくるの」

 

驚きを隠せない2人にヒカリは、地上で走ってくる流を見ながら淡々と説明をする。

サッカーモンスターが驚異なのは基本的にボールを持っている状態、そうでないなら奪いにくる事はまず間違いない。

 

互いが互いから目が離せず、放っておけば必ず失点に繋がってしまう………そして黒景流と天河ヒカリの物理的な力の差はヒカリの方が1枚上手だ。

 

単純なテクニックとスタミナは間違いなく流が勝ち星をあげているが、フィジカルコンタクトでヒカリはまず負けない。

 

つまるところ……………。

 

 

 

「先輩はボク相手だと不利なんだよね、ボクは完全有利ってわけでもないけど相性の差で1歩先をイケる」

 

「その不利な勝負に、先輩は逃げられないんだよっ(……ってアリスが言ってた)」

 

 

「……流が、貴女に不利……!?」

 

 

 

「(……やっぱりそうか)」

 

南雲原のベンチにて笹波雲明は試合中の黒景流と天河ヒカリの対決を見て、試合前からあった予感が確信へ至ってしまう。

 

「(黒景先輩と彼女が初めて対決したあの日、あの人は少し疲労してたとはいえ天河ヒカリのパワーに押し負け掛けてた、それもあの時は自分の才能のみの力で………そして今や先輩との対決を経て熱を持ち、サッカーに対して真剣になった今、自分の力をどうすべきかを彼女は恐らく知り得ている……!!)」

 

そして帝国のベンチで、不破アリスもまたかいぶつ2人の事で思考していた。

 

「(ヒカリの人間離れした筋肉密度から来る驚異のフィジカルを活かしたプレー、それはなんら普通のシュートやドリブル、ハンドワークやチャージブロックとジャンプ、サッカーにおいて基本的、応用的な技でさえ必殺級の技となりうる……しかし通常のプレーをする分には、そう言ったものは過剰火力だ)」

 

「(以前のヒカリはそれを並の選手相手に加減知らずで行っていた、脱力に優れている彼女でも体力の消耗は激しくなる一方だ、だからこそこの試合までに彼女に……《手加減》という単語を覚えさせた)」

 

要は力みを入れ過ぎず、適度なプレーを心掛けること。

そうすることで体力の消耗を抑えたまま、身体と筋肉の負担も軽減させて安定したサッカーを彼女は手に入れた。

 

そして思考力は元は元から備わっており、黒景流に拘らず近くによってボールカットも判断出来たのだ。

 

黒景流は確かに強い、完成されているサッカープレイヤーと言い切っていい……対して天河ヒカリはまだ未完成、言わば発展途上のプレイヤー。

 

その状態で拮抗しているなら、この試合の進化の中で……さらに黒景流の1歩を上回る可能性もあるのだ。

 

 

 

 

「誰が不利だって?」

 

「ほーらきたっ」

 

そして黒景流は再びボールを持ったヒカリと対峙する、彼女はボールを操作しながら抜き去ろうとするが……彼は彼女と身体が接触しない間合いで、脚を出して取ろうとしていた。

 

「(うーんそう来る?しかも抜き去ろうとしても先回りされるし、タックルは……ワンチャンファウルくらうか)」

 

絶妙なラインで流は近づかない、体格差関係無しに力で抑えられることを知ったから。

それを今日知って即座に彼女とのプレーの際に修正した、大した適応力だとヒカリは改めて思った。

 

「(こんな読み合いとかも無かったなー以前は、ヒリつくなぁ)」

 

有利ではあるが確実に勝てる保証もない、そんな局面。

まだ前半10分前だと言うのに、こんなに面白いなんてと、彼女は笑みを隠せずにいた。

 

そしてそれは黒景流も同じ。

 

南雲原も帝国も、2人のサッカーモンスターの間には入れなかった。

余計な手出しは脚を引っ張りかねないからだ、それぞれポジショニングをして、選手マークをしながら見守っていた。

 

そして、片方がまた動いた。

 

 

 

 

 

 

「デスサイズ……!」

 

「(えーまたそれ?)」

 

モーションもなく、黒く染まった脚が彼女に鎌となって振り降ろされるが、もちろん読んでいた為彼女は先程とは一応違うパターンで避ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、振りおろす流の姿が。

 

 

忽然と消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

「と見せかけての、ワンダートラップ!!」

 

 

「っ!!?」

 

するといきなり姿を現した黒景流は、彼女のボールをスライディングで奪い取っていた。

 

 

 

『黒景選手!睨み合いの末に天河選手からボールを奪いました!!』

 

『あのディフェンス技……!ゴッドウィンドといいあのドリブルといい、かの選手のプレーが色濃く出てますね!』

 

 

「天河が抜けられた!時間稼げ!!」

 

 

動揺を抑えて穂村は指示を繰り出し、待機していた本能寺と殿崎がプレスに入る、実力では遠く及ばない事を理解しているが、天河ヒカリが黒景流に追いつくまでの時間を稼げればいいと判断したからだ。

 

奴は一人でここを突破できる、しかし簡単には抜かせない、帝国はそう思っていたからこそ。

 

 

 

 

「……木曽路!」

 

「はいよっ!」

 

横から来た木曽路へのパスに、対応できなかったのだ。

 

 

「なに!いつの間に……!?」

 

「分身フェイントッ!」

 

息付く間もなく木曽路は分身し、本能寺と殿崎のペアを突破する。

黒景流はそれに追いつこうとせず、今度は天河ヒカリを自分で抑えていた。

 

「今度はこっちから相手してもらおうか、ヒカリ!」

 

「今はあんまり嬉しくないんだけどっ!」

 

かいぶつがかいぶつを抑えてる中、木曽路はミルキーウェイの軌跡を辿りながらゴールに迫りつつあった。

 

「(よし!あのキーパーの技は結構硬い!俺も一応1人の必殺シュート取れたけど多分破れない、なら………!)」

 

そして目の前の先に走っている桜咲と柳生が視界に入る、そして2人とも木曽路との視線が交差し、頷いた。

 

「よし、行くぜ!!」

 

木曽路はリュカオンが覚醒した後日、自分のステータスに色々な変化が訪れていた。

最大の変化はまだ見せれないが、1つはリュカオンの纏う翡翠の雷が発現していない状態でも僅かながら使えること、少しだけ自分の身体を加速させられる事。

 

それを活かした技も、既に完成していた。

 

「うぉぉぉおッ!!」

 

ボールと共に翡翠の雷を纏い、高速の勢いのまま交錯するように加速し………ボールを勢いよく加速したまま蹴り出す!

 

 

「ジグザグストライクッ!!!」

 

 

翡翠の軌跡を描きながらゴールへシュートされる、しかし距離があった。

 

「その位置でシュート……!!まずい!そこにいる2人へのパスだ!!」

 

真凜の声で帝国のディフェンス陣は気づくが、既にボールは彼らに追いついていた。

 

「桜咲ッ!!」

 

「いつでも来い柳生!!!」

 

桜咲は先に跳躍し、届いたボールを柳生は回転を掛けて真っ直ぐに打ち上げると、まるで墨汁のような尾を引いてボールは舞い上がる………その様は、まるで竜。

 

そして桜咲と柳生の2人は同じ位置で空中に浮かび……届いたボールを、同時にツインシュートする!!

 

 

「天竜ッ!!!」

 

 

背景に掛け軸のような景色を浮かばせながら、黒い竜が咆哮しシュートが放たれる。

シュートチェインにより威力が倍増しており、それに怖じけず真凜は再び紫紺の盾を生み出す。

 

 

「王家の盾ッ!」

 

 

踏み込み、そのシュートに盾をぶつけ拮抗する……しかしやはりと言うべきか、そのシュートは先程の伝来宝刀よりも強く、勢いが衰えない……!

 

 

「ぐ……ぐぅっ………なぁぁっ!!」

 

 

奮闘虚しく盾は崩れ、竜の咆哮と共に……ボールはゴールネットに突き刺さった。

 

 

ピーーーーッ!!!

 

 

 

『南雲原先制ゴーーーールッ!!!木曽路選手のシュートに始まり、そこから桜咲選手と柳生選手によるシュートチェイン!!見事なチームプレーで帝国のゴールを破ったぁあ!!』

 

 

 

「うっしゃぁぁあっ!!」

 

「やってやったぞッ!!!」

 

「いえーーい!!!」

 

大歓声の中、肩を組んで喜び合う2人に木曽路が飛び込んでくる。

いきなりの形勢で不利かと思われた南雲原の先制、南雲原のベンチも喜びの声を上げ笹波雲明も小さくガッツポーズを取る。

 

そして黒景流も、その光景に笑みを浮かべ………隣の天河ヒカリへ視線を向けた。

彼女は不服そうに流を睨む、してやられた結果がこの失点………彼女の中には、いつの日か感じていた悔しさと敗北感が蘇っていた。

 

「今はこっち有利だな、ヒカリ?」

 

「…………壊してやる………」

 

静かに帝国のかいぶつは、己の勝利への飢えをより滾らせるのであった。




オーバーヘッドペンギン
今作では霊道が使った必殺技、以前から戦術の帝国に使わせたいなーと考えていた為。


王家の盾
戦導真凜が使用、エンパイアシールドを越える必殺技としての位置にある……まぁいきなり破られた訳だが。


ジグザグストライク(林属性)
木曽路が使用、元来のジグザグストライクの色はリュカオンの様な翡翠色となり属性も林に変更したマイナーチェンジ版。
………うーん、少しイケメンすぎたか。


天竜
柳生と桜咲の連携技として使用。
原作では2人の連携技が無かった為、なにか無いかと思ってかなりピッタリな技と個人的には思ってる。
天だし、山属性だし、春雷と同じ漢字二文字だし。


黒景流/天河ヒカリ
パワーではヒカリ、テクニックでは主人公と拮抗してるが、元々の才能の高さでヒカリがやや有利な状況。
しかしそれは個人間で戦えばのこと、仲間と手練手管を活用すれば全然追い越せるのである。






…………しかし、それで終わっちゃ味気ない。

まだこれからですが、展開や描写はどうですか?

  • 悪くない感じ
  • もう少し頑張れ
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