忍原来夏とはただの幼馴染みです………それだけですが?   作:グラビトン

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今回は色々とごっちゃになった話になります。


※帝国ら辺の描写がやり過ぎてたので、少し修正させました。


黒景流in帝国/想いの形とは/来るべき時まで

時は南雲原と帝国の試合が終わって暫くした時間へと遡る。

黒景流が天河ヒカリに関することで帝国サッカー部はお冠で、ヒカリがキスをされたという誤解で黒景流を連れていった時の話をしよう。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

うぅ………頭が痛い、偏頭痛………いかん目眩眠気まで付与された………ていうかもう眠いし起きたくねぇ…………。

 

 

『おい起きろ黒景流、いつまで寝てんたてめー』

 

 

眠いよぉ……疲れてるし眠いよ……てか首も痛い……身体が怠くて起きられない……。

 

 

「おい全然起きないぞこのかいぶつ」

 

「眠り深過ぎんだろ、ていうか気絶してたのにいつのまにか普通に寝てんぞ」

 

「せんぱーいお眠からお目覚めですよー、また起きなきゃしちゃうぞー?」

 

「やめろやヒカリ!そういうのは軽々しくしないの!」

 

 

「………後5分……」

 

『起きろっつってんだよサッカーモンスター!!』

 

 

「ふががががが!」

 

微睡んでいた俺の鼻を誰かが摘み、その際の痛みで目覚める。

いってぇ何だってのさ………おかげで眠気消し飛んだよ。

 

「いててて……何すんだよ笹波……」

 

『誰が笹波だコラ、よく見ろや』

 

「……え?……あれ、不破アリス?」

 

「ようやくお目覚めだね、黒景流」

 

鼻を擦りながら俺を起こした張本人を見るが、そこに居たのは帝国学園の監督不破アリスだった。

俺は鉄パイプの椅子にいつの間にか座らされて、その周りにはヒカリを含めた帝国学園の制服を着た選手達が俺を見ていた。

 

ここは何処?なんかの部屋っぽいけど………なんか無機質なとこだな、窓も無いし………ていうかなんで俺ここに居るんだっけ?

 

確か俺は……帝国の試合に勝って、そんでヒカリと話してて……あ、キスされたんだっけか、それで勘違いした帝国の奴らに………とりあえず色々聞くことにするけど。

 

「……えーっとここは?」

 

「………とりあえず教えるけどね、ここは帝国学園の一室だ」

 

「………え、帝国学園?」

 

「お前はあの後気絶させられて、俺達がここに連れてきたんだ」

 

帝国キャプテンの穂村が不破の説明につけたして、俺はその時………ヒカリからのキスで混乱している時に勘違いされて、誰かが俺を気絶させてた………その間に、帝国学園まで連れてこられたのかよ俺。

 

でもなんでこんな事になってんだよ、ヒカリに関して色々やっちまったから?確かに俺が原因で泣かせた事に関しては申し訳ないと思うけど何やられんの、拷問でもされるのこれ?

 

「先輩おはよー、もっかいしてあげようか?」

 

「いえ結構っす、とりあえず動けないんでやめてください」

 

「ぶーっ」

 

「だからやめろっての!」

 

「その人に近づいたらダメだから!悪い人に誑かされてるだけなのヒカリは!」

 

「……あの別に誑かしてはないけど」

 

「「どの口がッ!!!」」

 

ヒカリを守るように挟んでいる……えっと井野辺と戦導だっけか、俺をめちゃくちゃ威嚇するように睨んでいる、もうなんかめちゃくちゃ嫌われてんな……まぁ当然か、でもあのキスに関しては俺悪くないよ?

 

てかそんな場合じゃない、俺これから何されんの?帝国ってそんなやばいところなんすか。

 

「一応聞くんすけど、俺今から何されんの?」

 

「拷問だね」

 

「マジでやんの!?」

 

『冗談だ、やったら大問題だっつーの』

 

「だ、だよな?」

 

雰囲気でこんなことされたらたまったもんじゃないんすけど……意外とお茶目なのか不破アリス?ていうかそのうさぎなに?まるで意思を持ってるふうにしてるけどお前が喋ってるんだろ、触れちゃダメなの?

 

「黒景流、君とヒカリの間に何があったのかはヒカリ自身から聞かされたよ、とりあえず我らが思ってた事にはなってなかった様だから、痛めつけるのは無しだ、普通に問題行為だからね」

 

「しかしヒカリを泣かせた事に関しては許さないぜー?」

 

「………そこは、はい、すみません(泣かせたの来夏なんだけどな……)」

 

「そこで君にはある提案をしたいんだ」

 

「提案……何をさせるんだ」

 

「ここでサッカーをしてもらう」

 

「え?」

 

何を言うかと思ったら……帝国学園てサッカーしろって……約束に関しては俺が勝ったから帝国に来る話は無くなった筈では?

戸惑う俺に不破アリスは話を続けた。

 

「正確に言えば君のサッカーをこの帝国学園で見せて欲しいという事だ、入れと言ってるわけじゃない、暫くここに滞在して君のデータを取らせてもらうよ」

 

「え?それが提案……?」

 

『雲明にも話は通してあるぜ、それで手打ちにするって明言もしている………正直な話、俺達はお前の生態に興味があるんだよ』

 

「生態?」

 

「黒景流、君は自分の希少性が分かっていない………特殊な感性を生まれつき持ちながら、幼少の頃より単独でサッカーの鍛錬を続け、今やサッカーモンスターとしての実力を携えている、それは常人では到底辿り着くことのない……異常とも言える強さとマインドだ」

 

『今回の試合だけじゃ全部は取れてないだろうからな、明日から改めてお前から存分にステータスのデータを取りたいと思ってんだよ』

 

「あー………なるほど」

 

「このまま選手達の怒りのまま行動させるのは流石に不味いと思ってね、我ら帝国サッカー部の今後に活かせるようなデータを君から取ることで手打ちにしたいと思っているんだ……それと、君にもメリットがある話でもある」

 

「メリット?」

 

「それは自ずと分かるよ、やって貰えるね?」

 

「んー……」

 

笹波もそれでいいと言ってんのか……帝国でサッカーか、どんな事をされるんだろ、俺にもプラスになる事があるっぽいし。

 

それにまぁ俺のデータ取られても来年のまた戦うことになるこいつらが強くなるのなら大歓迎だ、ヒカリの事もあるし……ここは素直に頷こう。

 

「分かった、存分に俺のサッカーを見せるよ」

 

「よし」

 

その言葉にを聞いて俺は立ち上がり、身体を伸ばしたり骨を鳴らしたりした。

ふー……ていうか俺達あの激しい準決勝後だからな、ふつーに疲れてるところにこんな事されて更に疲れちったよ…………それにしてもクズとか何とか言われてたけど、不破がこの提案をしなきゃ何されてたんだ俺……恐ろしいな帝国学園。

 

「なんやかんやで帝国に来ちゃったね先輩、明日からいっぱいサッカーしようねっ」

 

「だな、とりあえず要望には従いますが…………お前のせいで俺殺されかけてたんだけど」

 

「知りませーん、あの日の仕返しでーすっ」

 

上目遣いで舌を出して反省の色を見せてない、確かに俺が悪いんだけど………ていうかキスされたってことはそういう事なの?俺お前に酷いことをしただけで惚れさせる要素なーんも無かったと思うんだけど……分からん。

 

「とにかくだ黒景流、3日間はこの帝国学園の男子寮の空き部屋に滞在してもらう、その後の詳しい予定は後程伝えよう、お前が天河を覚醒してくれた事には感謝しているが………泣かせたことに関してはまだ許さないからな」

 

「すんませんでした」

 

穂村にそう言われて素直に謝る、他のメンバーも俺を睨んでるし………愛されてんなヒカリ、帝国の奴らもなんやかんやで仲間想いなんだな。

 

「じゃあ先輩、ボクが帝国を案内してあげるっ!いいよねアリス?」

 

「別に構わないよ」

 

「ちょっとヒカリ近すぎ、そいつの何が良いのさ」

 

「全部っ!」

 

「うーん……俺お前にそこまでのことさせたかな?」

 

「………とりあえずみんなの前であんな真似はしないように、黒景流が何かしでかした場合はシバいていいと笹波雲明から許可は降りてるからな」

 

「いやいやそんな、笹波にやらされてる事に比べたら大丈夫だよ」

 

『………お前普段から何してんだ、本当』

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

流君が諸々の清算をする為に、暫くの間帝国学園へ滞在することが決定した。

天河さんを泣かせてしまったことに対する詫びと、素晴らしい試合が出来た礼を兼ねているとキャプテンは話していた。

 

いざと言う時はシバいてもいいと不破アリスさんにも伝えてるらしい……これ以上、余計な事件が起きない事と彼の無事を祈ろう。

 

天河ヒカリさん……新たな恋敵でいいのかしら、まさか南雲原以外の子まで落とすとは思わなかったわ………キスされた場面を見て何とか自我を保てたのは、来夏さんという前例があったおかげだと思う。

 

まぁその来夏さんは………。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」ズーン

 

 

 

 

 

夕焼けに染まるグラウンドを眺められる場所で体育座りしながら、淀んだオーラを漂わせながら黄昏てるのだけれど。

 

2人のキスを目の当たりにして……ていうかあの子が来夏さんに見せつけるようにして、彼女は真っ白になってフリーズし、元に戻ったかと思ったら…………。

 

 

 

 

 

 

 

『うわぁぁぁあっ、流のバカぁぁぁぁぁあっ!!』

 

『落ち着け忍原!気持ちはわかんねぇけど泣くなみっともねぇ!』

 

『いやガチ泣きじゃねぇか!?』

 

『うぐっ、ばかぁ、なんでなのぉ、うぅ、ううううっ』

 

『いや不味くないか、かつての暴走より扱いが難しいぞ……』

 

 

 

 

人目をはばからずマジ泣きするという事になってしまい、ウチは何も言えなかった。

そして現在、コテージに帰ってから来夏さんはずっとあの調子で誰も声を掛けられずにいた。

 

そんな光景をウチとキャプテンは物陰から眺めていた、まぁウチに関してはキャプテンに連れてこられたのだけれど。

 

「………忍原先輩、落ち着いてはいますが今までより精神的ショックが強いんじゃないですかアレ」

 

「今までの暴走とは違って泣くだけだったからね、流君が起こした事態ではあるけど………もうなんというか、ウチですら哀れに見えてきたわ」

 

「今度は天河ヒカリさんが流先輩を異性として狙ってるわけですか、全国大会中はまだ警戒しなくてはなりませんね」

 

「そうね……それでどうするの、まだ放っておく?」

 

「誰かが彼女の心境を落ち着かせる必要があります、小太刀先輩お願いします」

 

「…………まぁそんなところだろうと思ってたけど、キャプテンは彼女が暴走したらウチをぶつけとけばいいと思ってるでしょ?」

 

「実際それが一番有効なんですよ、先輩は彼女のメンタル安定剤な所がありますから……仲良しなのがその証拠です」

 

「仲良くないっ」

 

「そうですね、そういう事ですからよろしくお願いします」

 

「ちょ、待って………もうっ」

 

キャプテンは言いたいことだけ言ってその場を去る、その後ろ姿を見て溜息をつき……改めて来夏さんの後ろ姿を眺める。

哀愁漂うその姿、普段の明るさとウチに向ける憎たらしい態度など微塵も感じられない………正直もう、可哀想とすら思えてきた。

 

流君も流君だ、彼女の気持ちは理解しているだろうに………まぁあのキスに関しては彼に非があるのかは分からないが。

 

………仕方ない、ウチは適当な飲み物を自販機から買って………ゆっくりと彼女の近くまで歩み寄った。

 

とりあえずウチの気遣いなんて彼女からすれば余計なお世話以外の何物でもないが、今後の決勝の事も考えたらやるしかないか。

 

「………いつまでそうやってる気?日も沈むわよ」

 

「………………」

 

返事は帰ってこない、まぁそうだろうとは思ってた。

とりあえずウチは彼女の隣に座り、適当に買ってきたカフェオレの缶コーヒーを来夏さんの傍に置いた。

 

ウチは夕焼けのグラウンドを眺めながら缶コーヒーを開けて1口飲む……知らないで買ったけど、甘ったるいな………。

 

「…………貴女は彼のファーストキス貰ったんでしょ、そこまでショックを受ける必要ある?」

 

「……………」

 

「彼がああいうハプニングに塗れるのは今に始まったことじゃないでしょ、来夏さんだって慣れた筈よ?」

 

「…………………」

 

………未だに何も言わない、ウチは彼女の顔を覗くようにみる。

目尻が赤く腫れていた、目の光は失われてはないが………かなり弱々しくなっている。

 

すると来夏さんはゆっくりとウチが置いた缶コーヒーを手に取り、開けて1口飲んだ。

とりあえず無視はされてなかったらしい………いや、この子の事なんてどうでもいいのだけれど、キャプテンが言うから仕方なく……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………私って、流には必要無いんですよね」

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

 

 

ようやく口を開いたと思ったら、なんかとんでもないことを口にしだした。

面倒くさいモードにはなってると予想してたが……またなんかメンヘラ気質になりつつあるなこの子………。

 

「……何?またそんな突飛なことを言って」

 

「………流にはサッカーがあれば良いんですよきっと、私の事は二の次で」

 

「………否定は出来ないけど、彼だって貴女の事を考えない訳無いでしょ?あのキスだって天河さんからしただけであって、彼の意思では無いのよ」

 

「…………天河ヒカリさんは彼と同じ位サッカーが強くて、流が初めてあの子も元へ行った理由も………サッカーだから…………特別強くもない私は、もう見て貰えない」

 

「全くそんなこと言って………ていうか、前にも似たような事言ってたわよ貴女、彼がそんなに薄情者にみえてるわけ?」

 

「薄情者ですよ、あんなヤツ………もうどっかに行っちゃえばいい」

 

「………貴女はそれでいいわけ?」

 

「……………いやだ」

 

「……はぁぁ」

 

面倒くさい本当に、流君に狂いすぎよ………なんでこうなってしまったのこの子は、そういう経緯があった事は知ってるけど………彼が居なくなったら本当にどうなっていたか、危うすぎよ。

 

ウチにはやはり理解できない、彼の事を想っているのは来夏さんと同じだけれど………その質は全く異なっている。

 

…………こうなってしまったのは本当に流君のせいなのでは無いだろうか、少しでもこの子の気持ちに早く寄り添ってあげれば少しはマシになってたはずだ………いやなんでウチがそれをしてるの、恋敵でしょこの子はもうっ。

 

………しかし、この状態から回復させるにはどうすればいいのか、発破をかけるにしても言葉が浮かばない。

キャプテンはウチが安定剤とかなんとか言ってたけど、無責任にも程がある、絶対面倒になっただけだ、もうっ………。

 

 

 

「………鞘先輩は、あのキスになんとも思わなかったんですか?」

 

「え?」

 

「……特に、取り乱したりしてなかったから…………私のカミングアウトの時はキッチンに行ってたのに」

 

「忘れなさいっ!………別に、キスされたからって彼が居なくなる訳じゃないし、したからって付き合うことにならないのは貴女が証明しているから」

 

「ぅっ…………なんでもう、くそぉ………悔しいぃぃ………結局あの試合折角作った連携シュートも撃てなかったし、あの子には勝てなかったし………」

 

「試合には勝てたからいいじゃない、ていうか勝てるわけないって前にも言ったわよね?」

 

「うぅぅう………」

 

「………大体ね、そうやってがっつくから返って自分も傷ついてるんじゃないの貴女」

 

「………え?」

 

「前々から思ってたのだけれどね、貴女彼に対して気持ちをぶつけてるのは良いけど、それが返って来なかったら勝手に落ち込むし、いざそれが返ってきたら変に暴走するし………来夏さんはもう少し落ち着いて接すればいいのに、ウチの様に」

 

「…………何も言えない………」

 

「驚きね、自覚はあったのかしら、負けヒロインさんにも」

 

「誰が負けヒロインですか!鞘先輩は自分の気持ちを察してくれてるかどうかまだわかってませんよね!?」

 

いつの間にか何時もの調子に戻っている………はぁ、なんかウチは何時もこうね。

それにしても……ウチの気持ちを察してくれてるか分からない?

 

 

 

 

「別にいいわよ、極論それでも」

 

「え……何言って」

 

「………そりゃ好きになった以上、今以上の関係を築きたいとはウチも思ってるけど………彼がああいう人間な以上ウチは無理にそれを望んだりしないわ、貴女と違って」

 

「………………」

 

ウチはそれでもいい、今の関係のままでも。

彼の事を想うだけでもウチは満たされてるから………彼がウチを頼ってくれたら嬉しいし、ウチも彼と一緒ならそれだけで喜んでしまうから。

 

我ながら慎ましいとは、思ってるけどね。

 

「ウチが貴女の事を嫌う理由が、そうやって無理矢理今以上の関係を押し付けようとしてるからよ、流君は貴女だからこそ受け止めてる節はあるけど……それが無かったら貴女、普通に異常者だからね」

 

「………無理矢理じゃなきゃ振り向いてすらくれないんですよ彼、そんなので満足するとか………私には分かりませんよ」

 

「貴女なんかに理解して貰えなくて結構よ、そんな時が来たら世界からサッカーが消える異常事態に匹敵するわ」

 

「(イラッ)……あーそうですか、そんないい子ぶる先輩なんて私も嫌いですよっ」

 

「ウチも幼馴染みという関係で彼に迫るだけの貴女なんて大嫌いよ、それで振り向いてくれないのだからお笑いね」

 

「……………グラウンド行きましょうよ………久々にキレました……」

 

「ふん、さっきまで泣き明かして弱音吐きまくってた負けヒロインさんに負ける気はしないわね」

 

「あーーー!!もうっ!!!ほんっと嫌い!!!!」

 

勢いよく立ち上がってウチを上から睨み、一足先にグラウンドへ走り出す来夏さんを見届けて……ウチは小さくため息を吐いた。

 

 

 

 

「(…………貴女と同じ位置に居たら、ウチもそうなってたのかしら)」

 

 

 

憶測でしかないから分からないけど、もしかしたらとは思ってる。

それに………当たり前のように彼の隣に立てる貴女のその位置が、ウチは羨ましい。

 

それだけに………やっぱりムカつく。

 

そう思いながらウチもグラウンドへ向かうのであった。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「……ふぃーっ」

 

用意された帝国の学生寮のベッドに横たわり、天井を見上げる。

寮の一室の割には大きめだよなー、設備もしっかり整ってるし……ていうか帝国学園って滅茶苦茶デカイな、見て回るのにすげー時間かかったわ。

 

ていうか学校の中心にグラウンドとかなりデカイ観客席があるとか気合い入れすぎだろ、流石名門校。

 

 

………俺達はそんな名門校に、ヒカリに勝てたんだよな。

 

 

天井を見つめながら今日の試合を思い返す。

間違いなく南雲原にとって最高の試合が出来たと思う、両チームとも熱くなれたゲームだった、そして………俺にも、化身が使える可能性が出てきたのだ。

 

しかし俺はそれを最後の最後で出したという自覚がない。

その力を感じてはいたが、仲間に指摘されるまで気が付かなかったしな………。

 

化身………それを自由に発動出来れば俺もまた強くなれるはずだが、如何せんどうすればいいのか………木曽路のやり方じゃきっと俺には出来ないし………まぁ、後から考えればいいか。

 

 

それにしても…………試合後にヒカリから、あんな事されるとは思わなかったな。

 

 

来夏の事や……もしかしたら鞘さんの事もあるってのに、どうすりゃいいんだ?また笹波に………いや、今度こそぶち殺される気がする。

 

「………ま、後で考えればいいか」

 

明日から暫く帝国でサッカーするんだし……どんな事されるかなー。

 

 

 

 

 

 

 

ピンポーン

 

 

 

 

 

 

「うん?」

 

すると突如としてインターホンが鳴る、誰かが来たっぽいが………俺は玄関に近づき、その人物が誰か確認するが………やっぱりお前かよ、来れるの?

 

そう思いながら扉を開けると、その人物は両手に色々引っさげて待機していた。

 

「流先輩っ、今日は寝かせないぞー?」

 

「いや女子がここにいて良いの?」

 

「許可さえ貰えればいけるよ、後でキーコと真凜もくるからね」

 

「あの二人もか、なんで?」

 

「2人きりにさせるのが心配だって」

 

「どんだけ警戒されてんの俺………」

 

なんかあらぬ誤解をされてるが、まぁいいや………。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「………雷門の方から練習試合を申し込まれるなんて、どう行った目論見でしょうか?」

 

『大方南雲原と戦った俺たちをデータにして対策を練ろうとしているかもな、舐められたもんだぜ』

 

「しかし雷門とこうして試合が出来る機会が生まれたのは僥倖だ、南雲原との戦いを経て成長し、新しくなった帝国のサッカーをぶつけるにはもってこいの相手だ………存分に活用するとしよう」

 

「今の帝国なら、雷門にも勝てると?」

 

「あぁ……報告によれば、雷門にはまだ円堂ハルも戻ってないらしいからね、ヒカリを止められる奴が居ない以上、こちらの優勢は変わらないよ」

 

「そうですよね………所で、黒景さんはどうされますか?練習試合の日までちょうど居ますよね?」

 

『あー……まぁ別に見ても良いんじゃね?なぁアリス』

 

「彼次第だが俺も構わないよ、今の雷門じゃ大したデータにもならないだろうが」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「………もう行くんだね、ハル」

 

「はい、今日までおにぎり持ってきてくれてありがとうございました、また遊びに来ますから」

 

「そうしてくれたら嬉しいよ、決勝戦私も見るからさ、頑張っておくれよ」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「いよいよ戻るんだね、雷門に」

 

「アイル……あぁ、今日までやれる事は全部やれたと思うから………とりあえず帰ったら、みんなに色々話さなきゃな」




黒景流
暫くの間だけ帝国入り、選手からの心境は良くは無いが、次に勝つ為にデータを存分にとる予定(取れればいいが)


忍原来夏/小太刀 鞘
なんかもうやっぱり仲良しな2人、天河ヒカリに対して対抗心を尚燃やしている。


円堂ハル
特訓を終えて帰還する、その時までには間に合うか。
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