忍原来夏とはただの幼馴染みです………それだけですが?   作:グラビトン

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えー前回のあれこれを、前書きでお伝えしたいと思います。
まずは活動報告で様々な意見の残してくださりありがとうございます、皆さんがこの作品でどんなのが見たいのかよく伝わりました。

それで、やはりと言うべきか雷門戦は見たいという声が多かったです………まぁ確かにここまで来て丸ごとスキップ、なんてできる訳もなしですね。

という訳でやっぱり雷門戦は出来るだけしっかりやってみようと思います、改めて貴重なご意見ありがとうございました。

皆さんが見たいものが分かって良かったです、これからもどうか見てください、感想もドシドシお願いします。


帰還、そして……

「………え、え!?まじ!?」

 

「ど、どうしたんですか忍原先輩、いきなり大声なんて?」

 

「さっきSNSみたら、なんか練習試合で円堂ハル帰って来てるって書いてある!」

 

「……ハルが!?」

 

決勝へ向けて、対雷門の特訓の休憩中………スマホを弄っていた忍原先輩がそんな事を叫び、南雲原の皆は彼女に注目を集めた。

かく言う僕もその発言に驚く、ハルが………今雷門に来てるのか、そして帝国と……同じサッカーモンスターの天河ヒカリと試合をしているのか!?

 

「まじか忍原!?映像出てんのか!?」

 

「いやそれらしき写真が、多分雷門のスタジアムでやってるんだけどほら、ちょっと粗いけどこれ………多分円堂ハルだよね?」

 

「ちょっと見えねぇ!忍原先輩もう少しよく見せて!」

 

「柳生君詰めないでくれないか!?」

 

「ちょ、くるしっ、桜咲離れっ」

 

「ていうか私を取り囲むな!見せるから少し落ち着いてっ!」

 

それを聞いた南雲原のみんなが忍原先輩を取り囲んで詰めてくるもんだから、先輩は1度その輪から離れてみんなにスマホの画面を見せるように差し出してくる。

 

僕を中心にしてみんなが例の画像を見る……観客席から撮っているためか、確かに画質は良くないけど……首元にあるこのマフラーらしきものは………間違いない、円堂ハルだ、彼が今雷門に帰ってきてるんだ。

 

「まじか、再起不能じゃ無かったのか」

 

「現時刻から推測するに………そろそろ練習試合の後半も終わっててもおかしくない、この投稿も後半開始前の時刻に出されてるからな」

 

「しかもなんか、あの天河ヒカリが化身を出したとか何とか言われてるよ、画像無いけど……」

 

「マジすか!黒景先輩といいポンポン出しすぎだろ化身!?」

 

「きっと円堂ハルの存在が彼女の才能を更に刺激させたのよ、流君がそうしたように………雷門と帝国、今どっちが勝ってるのかしら」

 

「前は帝国って言ってたが……どうなんだ、雲明?」

 

「………」

 

………当初、無名だった南雲原には黒景流というかいぶつがいた、彼がチームを引っ張った訳じゃないけど、彼の存在が選手達の力を引き出していたのは確かで、その証拠に僕達は今全国大会決勝という舞台まで来れた。

 

そして準決勝で死闘を繰り広げた帝国学園も、天河ヒカリという存在で更なる強さを得た、あの時点では間違いなく雷門の力を超えている。

 

そして…………雷門には伝説のサッカープレイヤーの息子、その才能を受け継いだ雷門のサッカーモンスター……円堂ハルが居た。

しかし中学の彼はサッカーに対して積極的では無かった、しかしサッカーをやれない悔しさを経験し、僕と黒景先輩の言葉でサッカーに対する思いが蘇り………真にかいぶつとして目覚めた彼が、元より最強の雷門に帰還したとすれば…………今の雷門の強さは、とんでもない事になりそうだ。

 

「……今はなんとも言えませんが、今の雷門に彼が戻ってきたのなら……帝国や南雲原を越える可能性は高いと言えます」

 

「だよね………雷門も帝国と練習試合をして俺達の能力を測ろうとするくらいだし、より油断は出来たくなった」

 

「………ところで、結果はもう出たのか?」

 

「うーん待って………あっ………」

 

忍原先輩が再びSNSを操作していると、静かに驚きの表情を僕らに見せた………どうやら結果が出たらしい。

 

「………どちらが、勝ちました?」

 

「……………5-4で」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帝国学園が勝ったって」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

ピッ、ピッ、ピーーーーッ!!!

 

 

 

 

 

『ほ、ホイッスルが3度鳴り響くーー!!最終的な試合結果は、4-5で帝国学園が紙一重の勝利を掴み取ったぁぁ!!』

 

『円堂選手の帰還で加速した雷門でしたが!天河選手の更なる覚醒がそれを阻みました!!私も練習試合だと言うことを忘れてしまう程の激戦!正しく隠れた名勝負と言って過言じゃないでしょう!全選手達も荒れたグラウンドの上で疲労困憊となっています!!』

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁっ………っあっ……!」

 

後半から出たのにも関わらず身体が来た時よりもボロボロになって、久々の試合で疲れも凄まじい……俺は勢いよく尻もちを着いて呼吸を整えようとする。

 

雷門の仲間達も全力を越えた全力を出し切り、みんな倒れたり膝を着いたり………もうボロボロもボロボロ、そしてそれは帝国学園の奴らも同じ惨状………これじゃどちらが勝者なのか分からないな。

 

 

けど、負けた………雷門は帝国に負けたんだ。

 

 

「くっそー、始まる前に間に合ってたらなぁ………」

 

遅く来てしまった自分を恨めしく感じながら後ろに倒れる、サッカーで負けるなんて何時ぶりだろホント………アイルが居た時のチーム以来じゃないかなー………あー悔しいな、練習試合とはいえ………。

 

そして………こんなにも全力を出したのも久々だ、中学に入ってからのサッカーでここまで疲れたことはない………天河ヒカリ、あれだけの強さを持ってるのにいきなり化身に目覚めるとか反則だろもう、強かった……本当に。

 

 

そして……………。

 

 

 

「………楽しかった………」

 

片目の瞼が上手く開かない状態でスタジアムの天井を見上げる、久々のサッカーで今持てる全てを出し切って試合をした、俺は後半からだったし、仲間も既に消耗してて点差も開いてたし、勝つには少し厳しい状態だったけど………みんなと一丸になって勝ちへ向かうサッカーを思い出せて、こんなにも楽しいものなんだとようやく思い出せた。

 

もちろん悔しい、それでもこの試合には大きな意味がある。

蓮さん曰く、南雲原の実力と同等の帝国学園へ、王者ではなく挑戦者として戦う意識を持つ為、自分たちの限界を知るための練習試合。

 

それは成功したと言えるだろう、負けてしまったけど…………この試合結果を糧にして、決勝の南雲原には必ず勝つ。

 

「(待ってろよ雲明、黒景流………)」

 

前に試合した時よりも、仲間たちの動きは比べ物にならないくらい上昇して最終的には帝国の選手たちを上回る勢いだった。

俺も途中まで化身を発動させてた天河さんに少しだけ追いすがれた、これでまだ化身を覚醒させてない黒景さんに何処までやれるか分からないけど………この悔しさを糧にして、もっと強くなってやる。

 

 

 

 

 

「……………円堂君」

 

「……天河、さん?」

 

 

 

そのまま見上げていると、天河さんが視界の横から来て、俺を見下ろすようにしゃがんだ。

彼女またボロボロだ、化身を使ってるから疲労は俺と同じかそれ以上な筈だけど立って歩けるのか………後なんか何処か不服そうな顔付きだ、勝ったのに。

 

「……どうしたの、帝国の勝ちでしょ?」

 

「勝ったけどさ、君が前半に来てたらまた結果は違ってたかもしれないじゃん、後半始まる時点で雷門はボロボロだったし、2点差だったし………君が来る頃にはハンデしか無かったじゃん」

 

「まぁそうだけど……それでも負けは負けだよ、強かったよ君達は」

 

「……ま、結局円堂君が前半出てもボクは勝つけどね、パワーはボクの方が終始高かったんだからっ」

 

「………後半俺に速攻ボール取られて、そのままゴールされた癖に」

 

「むっ、てかアレ何?ボクの動きのパクリじゃん」

 

「オマージュと言って欲しいね、あんな動きホイホイされたら参考にもなるし使いたくもなる」

 

「だからといって必殺技にできる普通?なんかムカつく」

 

「ムカついてるのは俺の方だよ、負けちゃったしな……………ねぇ、1つ君に聞きたいことがあるんだけど」

 

「うん?」

 

「………君は帝国に入ってから、全国大会になるまで試合には出てなかったんだろ?それはなぜ?」

 

天河さんは俺の質問に目をパチクリさせてた、いきなりこんなこと言われても確かに困惑するよな………でもなんか、聞かずには居られなかった。

 

彼女は目を瞑ると……しゃがんでいた体勢から胡座をかきはじめる、俺は上半身だけ起こして天河さんを見据えた。

 

「…………あの頃は、欲しかったんだよ………ボクと同じかいぶつが」

 

「……強い相手ってこと?」

 

「うん、サッカーは好きだったけどつまらなかった、ボクと同じ強さを持った奴が何処にもいなくてさ………最初は円堂君とサッカーしたいと思ってたけど、怪我して再起不能とか言われてたじゃん?それでめっきりやる気失くした時があったんだ」

 

「そ、そうなんだ」

 

まさか俺をターゲットにしていたとは思わなかった………あの時の俺はサッカーに対して冷めてたから、仮にサッカーしたとしても期待を裏切る結果になってたと思うんだけど。

 

「そんな時、ボクは彼に出会った」

 

「…………黒景流」

 

「そ、初めてあの試合を見た時はほんっとに興奮したなー………やっとボクと同じかいぶつに出会えたと思ってさ、我慢出来ずに観客席からグラウンドに直行しちゃって」

 

「ら、らしいね」

 

俺も彼の初戦を観て凄いと思ってたけど、彼女がその直後に乱入してきてかなり驚いた記憶がある、正直俺と黒景さんの中でも彼女の方がサッカーモンスターな気がするけど……。

 

「そこから色々あってさー………ボクがサッカーをつまらないと思ってた理由と初めての負けを教えられて、準決勝死ぬ気で戦って、色んな悔しさを思い出して、仲間に信じられた事にも気づけて………ボクのサッカーに対する本心にもようやく気づけた………負けたけどね」

 

「………君も、最初はサッカーがつまらないと思ってんだな」

 

「君も………円堂君もそうだったの?」

 

「うん、それなのに怪我をしてあの時がサッカー出来なくなって………悔しくて泣いた、ダッセー理由で俺は、結局サッカーがやりたかったって気付かされたんだよ………雲明と黒景さんにさ」

 

「え?あの二人に?」

 

「怪我をした直後会いに行ったんだよ、サッカーができない身体でサッカーと関わろうとする雲明に、そして黒景さんに俺とサッカーがしたいと言って、雲明にも諦めないで欲しいと言われて………俺は戻ってきた、彼らとサッカーをするために」

 

俺の心に火を灯してくれた2人とサッカーをする為に、俺は必死でリハビリと特訓をした、泥臭くて水面に映る俺はかっこ悪いと思ったけど……やっぱサッカーは楽しいって、つまんなくないってそう感じれた。

 

そうだよ、彼女がこんなに強いのも………結局はサッカーが好きだって思いからなんだ、今の俺もサッカーが好きだって素直に思える。

親友でありライバルである彼が居なくなって消えた思いはこの心にある、彼らの気持ちに応えたい、そして勝ちたい、それが今俺を突き動かしているのだから。

 

「………つまり円堂君は、南雲原の監督さんと流先輩に心突き動かされたわけだ?」

 

「うん、そうだね」

 

「………ボクより先に、流先輩にサッカーやろうぜって言われたわけだ?」

 

「ん、まぁそうなるかな」

 

「………ボクより、先に」

 

「…………えっと、天河さん?」

 

よく分からないけど、なんかみるみる不機嫌になってゆくのが目に見えて分かる……なんかイラつかせること言ったのかな。

すると天河さんは立ち上がり、俺はそれを見上げる。

 

そして帝国のベンチへ持ち前の跳躍力でひとっ飛びし………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、どうしたんだヒカぁぁがぁあ!!?」

 

「この浮気者っ!口八丁っ!尻軽っ!ボク以外にもあんな事言ってたんだこのーーっ!!!ボクにあんな事言っておいて先に円堂君に言ってたんだーーーっ!!!しかもボクと比べて優しく言ったんだぁぁ!!」

 

「え何!いだっ、何の話だよ!?いだだだだ!降りろしがみつくなってなんなん!?」

 

「だったらあの時のボクにも優しくてよ先輩のばかーっ!!!」

 

「降りろ降りろ折れる折れる!!待ってなんなんほんと!!!?」

 

 

 

 

 

「ぇ、ええ?」

 

「どうしたハル!?天河ヒカリとさっきから話してたと思ったら、何だあれ?」

 

「いや、俺も何が何だか………」

 

天河さんはいきなりベンチに居た帽子を深く被った男の人に飛びつき締め付けていた、蓮さん達が立ち上がった俺に近寄ってくるが俺だって何が何だかだ、一体どうしたって………そういえば、あの人。

 

「(試合中ずっと、俺に感じたことのある視線を送ってたような……?)」

 

好戦的で、獲物を捉えているようなあの瞳………それに天河さんも彼を先輩って呼んでる……………え、まさか、嘘だろ?帝国だぞあのベンチ……?

 

 

 

 

「いだいしめるな!痛いっての!!!」

 

 

 

 

天河さんにしがみつけられてた男の人は彼女を無理やり振りほどく、その際被っていた帽子も取れてその素顔が晒された。

 

 

 

 

 

 

「……え」

 

「なっ……!?」

 

「ええぇっ!?」

 

「は、なんで……なんでいるんだ!?」

 

「どないなっとる!?南雲原ちゃうんか!?」

 

 

 

 

 

 

俺達はその人の素顔を見て、大きく驚いた。

だって、絶対帝国のジャージを来てる訳がなくて、ここにいる理由が分からない、だってあんたは、南雲原の………!?

 

 

 

 

 

 

 

「なんだってんだよヒカリ………いだだ、俺何か言った?」

 

「ボクにはあんな事しておいて円堂君には優しく激励したんだ!ならボクにだって色々あったじゃんあんなやり方じゃなくてさー!!」

 

「いやいや、お前のそれは1回ぶち壊さなきゃならなかったし、円堂はそもそも怪我してたけどサッカーやれないことに関しては普通に悔しがってたらしいしさ、とりあえず機嫌直してくれ、あれは悪かったと思ってるしさ」

 

「ふんっ!撫でたって許さないもんっ!」

 

「いやいやごめんて、おーよしよしよしよし」

 

『ヒカリをペット扱いするなよお前!』

 

「……………それより君、帽子取れてるよ?」

 

「あ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拗ねた天河さんをあやす様に撫でるその男………一見無表情に見えるその顔は、まさに俺たちが挑戦しようとする南雲原のかいぶつの一角。

 

 

 

南雲原のサッカーモンスター、黒景流。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ちっす」

 

「………なんでいるんですか?」

 

「………成り行き?」

 

「どんな成り行きやねん!?」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

ヒカリが突然暴走してしまったせいで、俺が居ることが雷門にバレてしまった。

成り行きで観戦することになったとはいえ、相手からしたら敵情視察もいい所だ、めちゃくちゃブチ切れられる………と言うより雷門は混乱してたけどね。

 

そんな中、円堂は俺の事を庇ってくれた。

流石に想定外だからと言ってみんなを落ち着かせてくれた、雷門側も特別怒ってる訳じゃなかったみたいなので安心した。

 

とりあえず帝国はそのまま撤収した、ヒカリもだ。

………途中、あの子は何か思いついたような悪い顔をしてたけど、何するんだろうか。

 

しかし俺はこの練習試合が終わった時点で帝国とは別れて南雲原に戻る予定だった。

しかしこうして雷門に折角来たのだから、とりあえず色々見て回っていた………円堂も監視という名目で同行してた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーー、これが円堂世代の雷門イレブンが使ってた旧部室かー」

 

「みんなここを見たがりますよね、中はもう何も残されてませんけど」

 

「一度は見てみたかったんだよなー、スタジアムでもあの人の歴史の変換とか載せられてたから満足だわ」

 

「やっぱり黒景さんはあの人を憧れにしてたんですね、シュート技とかドリブルとか」

 

「実際に一度会ったからなー………そうだ、お前の親とか関わり深いから、円堂も一度会ったことあるんじゃないの?」

 

「幼い頃に一度だけ会いました、それっきりですけど」

 

「そっかー………俺の事覚えてくれてるかな」

 

「きっと会えますよ、黒景さんのプレーはもう日本中が注目してますから」

 

円堂守が率いた雷門イレブンの旧部室を眺めながら俺はハルと雑談していた、世間はこいつを円堂守の息子、サッカーモンスター、伝説の再来とかなんとか言ってたけど、サッカー以外だと別に普通だな………俺と同じか。

 

それにしても、まさか今日ここで帰ってくれるとはな…………もしかしたらなんて考えてたけど、これで心置き無く決勝を全力でやれるぜ。

 

「それにしても安心したよ、今日雷門に戻ってお前のプレー見れてさ………脚もすっかり良くなったんだろ?」

 

「はい、ただ今日蓮さん達が今の帝国と練習試合してるなんておもいもよりませんでしたけどね」

 

「ヒカリ、強かったろ?」

 

「…………はい、まさか黒景さん以外にもあんな奴が居るとは思ってませんでした、次に試合する時は今度こそ勝ち切りたいです」

 

「才能だけなら俺より上だから、ボサっとしてたら俺も抜かれるから用心しなきゃな」

 

「ただ試合中、予選1回戦の時のように俺に視線送りまくってましたよね黒景さん?」

 

「あーうん、早くやりてーと思いつつ乱入したら邪魔にしかなんないから我慢してた………もしなんかやらかしたら、笹波に野球されちまう」

 

「や、野球……?」

 

今回は決勝にはやれる事が決まってたから辛うじて我慢出来た、それに今の帝国と互角にやり合えた雷門に円堂が加わったらどれだけ進化出来るか見てみたかったし………笹波にはいつも迷惑掛けてるし。

 

「……………それにしても、なんと言いますか」

 

「うん?」

 

「決勝で戦う者同士が、こうして雑談するのもなんかアレですね」

 

「いいんじゃない?フィールド外なら、お互いサッカーモンスターだのなんだの言われてっけど、それ以外なら普通の人間だしな、お前は親がデカすぎるけどさ」

 

「普通か………そうですね」

 

「でもグラウンドに立ったら容赦しないぞ?待ちに待ったお前との試合、それも全国大会の決勝っていう最高の舞台なんだ………俺達が勝つぜ、円堂?」

 

円堂の瞳を見据えて、宣戦布告にも似た事を告げ………円堂もまた好戦的な笑みで俺を見つめ返した。

 

「俺達も負けませんよ、雷門は南雲原を完全にライバルとして認識してる………帝国との試合を経た今の俺達なら、貴方にも雲明にも勝てる」

 

「そりゃいいや、強いに越したことはねぇ………お互い、死力を尽くそう」

 

「はい」

 

見つめ合い、俺達の間に風が吹く。

いつかこんな日が来たらとずっと願っていた、それがもうすぐ来る、今日の雷門は帝国との試合でより高みを目指すだろう、南雲原もそれに置いていかれないように来るべき決勝の日までに強くならなければ。

 

 

 

 

「……おいハル、そろそろ部室集合だ、今回の反省をするぞ」

 

そんな時、雷門キャプテンの月影蓮がやってきた。

流石に長居しすぎた、俺もそろそろサッカーガーデンのコテージに戻るか………みんなの顔見るの準決勝いらいになるな、なんか久々。

 

「そんじゃ邪魔して悪かった、決勝の日にまた会おうぜお二人さん」

 

「はい」

 

「………黒景流」

 

「ん?」

 

荷物を背負って雷門から出ようとしたが、月影蓮に呼び止められて振り向く、何処か言いにくそうにしている………円堂もそんな彼の姿に疑問の目を向けていた。

 

「……その、なんだ、お前と笹波雲明に伝えたいことがある」

 

「俺と笹波に?」

 

「………ハルに、サッカーへの熱を灯してくれて、ありがとう」

 

「……蓮さん」

 

「………おう、それじゃ………楽しみにしてる」

 

俺はその言葉を受け取り、今度こそ雷門から去る。

次に会う時は決勝の舞台、相手は最強の雷門…………これ以上なく最高の舞台は整った。

 

後はこの高鳴りに身を委ねて行くだけだ、早くやりてぇ………!!!

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

雷門をさる黒景さんの後ろ姿を見届けて、俺は静かに拳を握った。

雲明が率いる南雲原、その中にいるかいぶつの黒景流。

 

それが決戦のフィールドで待っている………こんなにワクワク出来るなんて、自分でも驚きだ。

 

早くサッカーしたいな………南雲原と!

 

「黒景流、どんな奴だった?」

 

「そうですね……サッカーにとことん熱い人ですけど、それ以外だと意外と普通な人でした、親しみ安い感じの」

 

「なるほどな、そういう奴だからこそお前の心に訴えかけれたのかもな」

 

「大袈裟ですよ、ただ俺とサッカーしたかっただけです」

 

「それでも感謝しなきゃな、笹波雲明と黒景流は……雷門の誰よりもお前のことを理解していたんだ」

 

「蓮さん……」

 

「………その、今までごめんな、俺は勝手にお前の保護者気取りをしてたくせにお前の事は何も理解してやれなかった、もっとお前に普通に接してやれなかった」

 

「いえ、謝るのは俺の方ですよ、何も言わずに俺の好きにさせてたみんなの優しさにただ甘えてるだけだった………もっと早く俺から話をすればよかったと思ってます」

 

蓮さんは既に俺の過去を知っていた、俺がアイルという親友でありライバルである存在を失ったことで、サッカーに対して冷めてしまった事を。

どうすれば良かったのか分からなかったし、理解してもらおうとも思ってなかった。

 

ただ、友達が欲しかったと言ってた癖に、俺も自分が分からなくなってたけど………結局は、単純な答えだったのかもしれない。

 

「………そうか、ならこの後の反省会終わったら久々に雷雷軒に行かないか?改めてお前の話聞かせてくれ」

 

「え?いいですけど………なんか照れるな、とりあえず早く戻りましょうよ」

 

「だな………必ず勝とうな」

 

「……はい!」

 

本当の意味で1つとなった雷門で………心機一転、俺は進む。

 

 

俺の………ヴィクトリーロードを!!!

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「んーー………なーんか久々な気がするなー、ここに来るのも」

 

身体を伸ばしながら、懐かしさすら感じるサッカーガーデンの近くまで歩く、とりあえず帰ったら色々話さなきゃなー………多分雷門に円堂が戻ったことは知られてると思うけど。

 

とりあえず帝国で学んだ事を伝えるか、そしたら俺もチームプレーがようやく………

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

南雲原が使用しているグラウンドが見えてくると、夕暮れ時で既に練習も切り上げてる頃だと言うのに誰かがサッカーをしている………3人いるな。

 

 

 

 

 

あの髪色と髪型は、来夏だな……ユニフォームも着てるし。

もう1人は多分鞘さんだ、傍らで来夏と誰か戦ってるのが見える。

 

そんであの白い髪……………

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

なんで、なんでいんの?帝国に戻った筈じゃ………。

 

俺は急いでそのグラウンドに近づき、状況を確認し始めるが………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ざーこざーこ恋愛弱者!キスして振り向いて貰えない幼馴染み!」

 

「ぬぁぁぁぁぁコノヤローーーっ!!流は渡さないってのぉぉっ!!」

 

「………はぁぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ?」

 

なんか………予感がする。

決勝前に、かつてない面倒事の気配が。




円堂ハル/雷門中
帝国との練習試合は負けてしまうが、この結果をバネにして決勝に挑む、ハルも最初から参戦している為南雲原もまた気合いを入れなければならない。


黒景流
ハルの帰還に歓喜し、改めて互いをライバルとして認め合う。
それはそれとして普通に仲はいい感じ。


忍原来夏/小太刀 鞘/天河ヒカリ
さぁうんめー、胃薬の時間だよ。
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