忍原来夏とはただの幼馴染みです………それだけですが? 作:グラビトン
そして来夏ちゃんメインの筈が、なんか主人公の活躍に期待する感想が多くてビックリ………こうなるとは思ってなかったです。
頑張りますので、来夏ちゃんに万歳。
「………眠……」
「もう、朝はいっつもそれだね」
「昨日の練習どんだけ続いてたと思ってんのさ、終わりにするかって所でやる気満々の古道飼と笹波がいつの間にかやって来て、中学生の身で時刻ギリっギリまで詰めてたし、俺には質問ラッシュだったし…寝不足にもな………ふぁぁぁ……」
「切り詰めなくても流はいっつも朝弱いじゃん、じゃあ今度から直接家に入ってあげようか?」
「………眠い」
「無視すんなっ!」
「んがっ」
痛い、脇腹刺すなって………。
そんなコントが朝の通学路で繰り広げられていた、何時もならここで下がってたんだが、来夏さんはそれを許さない……まぁ確かに、誰がいようが声掛けるのは自由だし、俺が居ても声掛ける生徒いたし………ま、来夏さんの気の済むままにだな。
「そんで、今日はサッカー面接か………どんな奴が入るんだろなぁ」
「私も詳しくは聞かされてないなー、雲明君の事だから素質のある人を選ぶんだろうけど」
サッカー面接……まぁ字面はよく分からないことになってるが、この一件は今後のサッカー部の命運を握っていると言っても過言じゃない。
俺達のサッカーが出来る人数は7人………いや、俺はまだ試合に出れないから数から省いて6人。
今日決める5人でようやく11人となって、正式な試合が出来る形となる。
まず目指すはフットボールフロンティア1回戦突破………負ければまたサッカー部は消失、何がなんでも勝たねばならない。
まぁ今の俺が出来ることは練習相手位だけどな…………俺のありのままのプレーをぶつけても多分あんま意味無いし、何より笹波に怒られる。
なーんか頭上がらないんだよなぁ、なんでだろ。
後言い忘れてたけど、放課後の面接には笹波、桜咲、木曽路、四川堂、百道の5人が対応するとの事で………省かれた俺らは練習なり自由にしてくれと言われた、どうせなら見学でもしようかね………あ。
「(今の内に、海カモメサッカークラブに行って暫く相手出来ないこと言っとくか)」
前々からサッカーの相手として海カモメのチビ達から慕われてたが、今からはこの南雲原サッカー部に集中したい。
まぁしっかり伝えれば納得してくれるだろ………負けず嫌い、滅茶苦茶多いけど。
「ねぇ、放課後何も無いならまた練習してくれる?」
「いや、ちょいと海カモメサッカークラブに行くわ、暫く相手できないからさ」
「あーそっか、見た事無いけど一緒にしてたんだね………因みにどんなことしてるの?」
「んー……11対1のゲームで10本取りゃ俺の勝ちの奴とか、普通に練習の面倒見たりな」
「へぇー………あれ、ちょっと待って、あの子達なんか妙に手応えあったけど、流が少なからず鍛えてたからってこと!?」
「さてね」
相手として付き合っただけだし、そこまで考えてた訳じゃないんだけどな……まぁ俺も楽しいし、好きでやっていただけだ。
とりま今日の面接………笹波の慧眼に期待するとしよう。
◾︎◾︎◾︎◾︎
時間は過ぎて放課後、笹波達がサッカー面接を始めた裏で俺は海カモメサッカークラブのチビ達と久々にサッカーをした。
久々に来たことと暫く来れない事で文句をブーブー言われたけど、最終的には納得してくれて、後は気が済むまで皆とボールを追い掛けた。
1人でサッカーをする事は俺のルーティンみたいなものだけど、こうやって誰かとサッカーをする楽しさはずっと俺の中にあった。
………いつかこいつらも俺と同じくらいになって、南雲原に来る時が来れば……サッカー部がそこにあれば良いなと、ふと思った。
FF予選で活躍しろよーっと言われて、俺出れないんだけどと言いたかったがとりあえず黙った。
海カモメの監督的ポジションである文芸にもめっちゃ応援された、普段はすげー物静かなんだがな。
『活躍したら、流さんをモデルにした主役の小説書きますね』
『えー、恥ずいな………てか俺予選出れないんだけど』
『その時が来たら頑張ってください……でもまた来てくださいね、貴方のサッカーを見るの、私好きですから』
『おう、チビ達の面倒頑張れよ』
『流の兄ちゃん!まだやるぞ!!』
『さっきのもっかい見せてー!真似するー!』
『え、終わりじゃないのかい』
『………ふふ、まだ帰れませんね』
子供って元気有り余ってるなと身に染みました、楽しかったし良いけどな。
そんなこんなで家に帰り、グループチャットで面接の結果が送られてきたので確認して………いや、かなり驚いた。
だって選ばれた5人の中4人は、俺の知り合いなんだからな。
そっから翌日、昨日まで野球グラウンドだった校庭が緑の芝生が広がる立派なサッカーグラウンドとなった場所で、新たに加わった2人と俺は話していた。
「お前らサッカー興味あったのかよ、それなら言ってくれりゃ良かったのに」
「フフフ、ちょっとしたサプライズだよ黒景君、こういう趣向もマジシャンには必要なのさ」
「俺が選ばれるのは最適解の解答だ、言わずともこうなるのだからな」
「さいですか(相変わらず癖が強い………)」
1人はまるで狼のような銀色の髪型をした、マジック研究会副部長の妖士乃 銀狼………気取ったセリフや空気を読まないギャグを偶に吹かすキザったいやつだ。
もう1人は黒髪のロングヘアと眼鏡が良く似合うクイズ研究会の伊勢谷 要、クイズオタクで知識オタク、同じ教室で何時も雑学の本を読み漁っている。
2人とも入学当初からの付き合いであり、今でも同じクラスで交流のある奴らなのだが………如何せんまぁ癖が強い、良い奴らなんだけどな。
「てかお前らサッカー経験あったの?」
「「ない」」
「よーーー選ばれたなオイ」
キッパリと言い切る2人に驚きを禁じ得ない。
他のメンツは少なからずサッカーやってたり、何かのスポーツやってたりするのに………まぁ、笹波が選んだのだから間違いは無いんだろうな。
「僕は君が前々からサッカーの事に関して話していたからね、少なからず興味はあったのさ、それに笹波君がこの学校でサッカー部を作ろうだなんて……どんな手品でもするのかなと毎回行動を起こす度にワクワクしてたんだ」
腕を組みながら目を瞑ってうんうんと妖士乃は頷く、確かに今となっては南雲原におけるサッカーの立場は回復したが、マジで当時は肩身狭いなんてレベルじゃ無かったからなぁ、ただのボール遊びでも御法度らしいし。
「伊勢谷はどうしてサッカー部に?お前別に体育会系ってわけでもないだろうに」
「興味が湧いたのは妖士乃と同じ理由だ、そしてサッカーにはあらゆる難題や未知の解答がある気がした……それだけの事だ」
「お、おぉ」
眼鏡を掛け直しながら語る伊勢谷に曖昧な返事しか返せない。
相変わらず言う事が難解なんだよお前………クイズに頭支配され過ぎてて普通の人からしたらお前が難解なんだけど。
「オレは笹波雲明が気になったからだな、見てくれは大人しいが魂そのものはロックだぜ、アイツ」
「うん?おう星」
後ろから声を掛けられて振り向き………視界を下に向ける。
ピンク色のツインテールとつり目、そして俺と同年代にしてはかなり小柄な少女………軽音部2年、星美哉。
コイツとも前の2人同様それなりの付き合いになる同学年だ。
かなり破天荒でいきなりギターを引いたり、コイツも負けず劣らずのキャラの濃さだ。
てか笹波がロックか………まぁうん、確かにやってる事は間違いなくロックだな……てかロックって何?
「にしてもよ黒景、てっきりオメーも面接来るかと思ってたが既に入ってたのかよ」
「あぁ、野球部の一件から普通に協力してたし……俺も笹波のサッカーに惹かれた口だからな」
「なるほど、それにしても………入部してからいきなりフットボールフロンティア1回戦を勝たなきゃならいとはねぇ、しかも君を除いた11人でとは………」
「難題には違いないが、悪くない………やはりサッカーは俺の心を躍らせる難問がひしめいている」
「ハッ!良いじゃねぇか、それくらいド派手な開幕じゃねーとテンション上がらねーよ!」
妖士乃の言葉に伊勢谷は高揚し、星も拳と掌をぶつけて口角を上げる。
3人ともやる気十分だ、いきなり入部してあんな事言われたら大丈夫かと思ったが杞憂らしい。
…………多分笹波はサッカーの素質以上に、現状に負けない強い心を持った部員を求めていたのかもしれない、並の奴らじゃ折れちまうかもしれないからな。
俺も陰ながら頑張らなきゃな…………それにしても。
「ところで残りの2人は?学校来てたろ?」
「あ?アイツらなら元いた部活に行ってるぜ、色々用事済ませたいとさ」
「あぁそっか………でもさ、本人の意向とはいえ可哀想だよなー剣道部」
「確かに、この時期になってあの二人を失うのはあちらにとって損失なんてレベルでは無いな」
「ははは………おっと、噂をすればだね」
妖士乃が何かに気づいたらしく、その場にいる者全員視線の方へ目を向ける。
その人達はグラウンドの階段を静かに降りてくる………残り2人の新入りサッカー部員。
「皆さーん!おはよーございまーす!」
1人は青髪は短めのヘアスタイル、手を振りながら元気の良い挨拶を響かせる、古手打 七南。
入学前から剣道界隈でその素質を見込まれていたニューホープだが、剣道よりもサッカーに惹かれたらしくこの度入部した。
そして最後のもう一人は……………。
「(まさかアンタとはなぁ…………)」
よくよく考えれば入るのも理解できるが、まさか来るとは思っていなかった。
そんな事を考えているとそよ風がグラウンドに吹き抜ける。
その際に視線の先の人の、三つ編みにされた綺麗な金髪が靡く。
目を閉じて静かに歩み寄るその姿は凛としており、絵になるなんてものじゃない。
「おはよう、黒景君」
「うす」
目を開き、その青い眼が俺を見据える。
…………元剣道部3年、小太刀 鞘。
剣道の大会で多くの優勝と目覚しい結果を残し続けた希望の星、隠れファンも多いそんな人が………まさか入るとはなぁ。
「あの、貴方が黒景 流さんですよね?」
「うん?あぁ、古手打……だったよな?」
「はい!初めまして古手打 七南です!黒景先輩のお話は何時も鞘先輩からよく聞かされてました!」
「ど、どうも」
元気っ子だ、普段の来夏に負けず劣らずの……てか鞘先輩か、名前で呼ぶくらい仲良いのな。
そして………妖士乃、伊勢谷、星、古手打、小太刀先輩………この5人が加わった事で、ようやく試合のできる人数になれたわけか。
…………いやメンツ濃いな。
「それにしても小太刀先輩、剣道部の顔とも呼べる貴女がこの時期でサッカー部へ入部するとは、どう言った心境でしょうか?」
「別になんて事ないわ、今の剣道にウチが目指すべき道は無くなった………だからサッカーに来てみた、以前のサッカー対決がきっかけでね」
「私もです!剣道よりもサッカーに惹かれました!」
「ハッ、剣道部涙目だなオイ」
「しかし心強いじゃないか、これなら1回戦も行けそうだ」
「うん、そうだな」
妖士乃は何かと器用だし、伊勢谷は視野が広く敵の内心も読み切れるから司令塔ポジも行ける、星は小柄故に瞬足で突破力もある。
古手打と小太刀先輩は剣道で鍛えられた瞬発力と足の踏み込みの力が強い、サッカーにおいても役立つ事間違いなしだ。
いやほんとに行けそうだな、桜咲達のポテンシャルも十分だし………いきなりど成長行けるか、南雲原イレブン。
これなら俺が入れる日も遠くない、テンション上がるわー。
「今日から、サッカー部じゃキミが先輩ね?」
「ん、まぁ……そっすね」
他のメンツが談笑してる中、小太刀先輩はいつの間にか俺の隣に立っていた。
俺が先輩………まぁ経験者だし、先輩は初心者だから当然だけだけどこそばゆいな。
「初心者なウチに色々教えてね、先輩?」
「は、はい、慣れないんでいつものでいいっすよ先輩」
「冗談よ」
澄まし顔で俺をからかう、表情は変えずに。
この人にも頭上がらないんだよなぁ、何せ何時もは読み取られにくい俺の内心読んでくるし。
「……それにしても黒景君、隅に置けないなんてものじゃないね君」
「え?なんだよ妖士乃、いきなり」
「問うだけ無駄だ、彼には難問過ぎる」
「違いねぇ」
「ん?何がですか?」
同学年ズは俺にいきなり呆れの表情を見せるが、古手打だけキョロキョロしてどういう事なのか理解していない。
俺もなんだけど………助けを求めるかのように小太刀先輩に目を向けるが、すぐに逸らして髪を弄り始めた。
な、なんだってんだい………まぁいいや。
すぐに忘れて足元のボールを蹴り上げて手に持ち、みんなの前に立つ場所へ移動する。
「とりあえず皆、1回戦までの期間はそれなりにあるけど、ここに居る人達全員ははっきり言って素人だ、光るものはあるけどな」
「俺は笹波の指示で予選に出ることは出来ない、出たとしても結果的にチームを壊してしまうからな」
笹波が納得するまでは俺は出られない、俺もそのチームに合わせる俺のプレーを完成させるまでには時間がいる。
だが俺だけではなく、これから入ってくる奴らの力も大事だ。
その為にも俺がすべき事の一つとして、新しく入ったこの5人を磨く。
「今日から俺は笹波が用意したトレーニングプランを元にお前らの練習を見る、半端な加減はしないからそのつもりで」
「柄にもなく熱くなってんじゃねーか黒景、出れねーのがよっぽど悔しいのか?」
星美が不敵な笑みを浮かべながら俺にそんなこと言ってきた。
悔しい?そんなんじゃない。
笹波の言葉は正しい、俺はここで出れるような奴じゃない。
ただ、俺は。
「俺はただ、勝って欲しいだけだ星美」
「あ?」
「何度も言うが俺は出れない、俺はそれに納得してる、ようやくサッカー部出来たってのに、壊しちゃ話にならないからな」
「だからこそ俺は待つ、お前達がフットボールフロンティアを勝ち上がるのを………その為に俺は俺のすべきことを全部ぶつけるつもりだ、お前達にも」
皆を見渡しながらそう告げる。
皆の気持ち的には勝つつもりなのは当然だろう、そうでなきゃここに居ない。
ならば、俺はその心に更なる発破をかける。
「俺はサッカーがしたい、笹波のチームでサッカーをやりたい」
「俺はその日まで胡座をかいて待つことなんてしない、ていうか1回戦勝たなきゃ全部消えてなくなるからな、そんなの受け入れられない」
「だからこそ皆には勝って欲しい、この先俺が………俺達がサッカーをする為に勝て、力の限りを尽くしてな」
「黒景君、キミは………」
「待ってたんだ俺、こんな日が来ることをずっと………だけど壁はまだある、壊さなきゃ進めない、越えなきゃ俺達は何も無く終わる」
「ここまで来て………このままサッカー部消えるとか死んでもごめんだ、お前らはどうだ?」
手に持ったボールを差し出し、皆に語りかける。
俺の言葉に驚いたのか、皆それぞれの反応を見せる。
「………当然ね」
最初に口を開いたのは小太刀先輩だ。
皆の注目を集める中、いつもと変わらない真っ直ぐな瞳が俺を捉えた。
「当たり前の事を言わないでちょうだい、ここにいる人達はサッカーに惹かれて来た、それをみすみす消させたりなんてしないわよ」
「同感だ、俺も俺の為にサッカーをしたい」
「フフッ……最高のイリュージョンを魅せる為にも、ここで終わるなんてさせないさ」
「熱くさせるじゃねぇか黒景、最高にロックだ」
「はい!私も勝ちたいです!!」
皆の心に火が灯るのを感じる、それを理解し俺は笑みを浮かべた。
「その心意気だぜ………笹波達は今部室で今後の方針を決めている、俺達はその間、基本的な動きを鍛えてお前らの素質を見る」
ボールから手を離し、地面に落ちてバウンドした所を俺は右足で強く踏みしめる。
「着いてこい原石共、俺が研いでやる」
この熱と共に、見極める。
◾︎◾︎◾︎◾︎
「さーて、校庭グラウンドの方はどーなってますかねー……おーやってるやってる!」
「へぇ、皆気合い入ってんな」
私達と顧問とマネージャー含めた8人は今後の方針とキャプテンを決め、そろそろ練習に参加しようとグラウンドへ到着していた。
流が新しく入ってきた5人の練習を見ると言い、どうしているかなーと見てみたら………5人共練習に精を出していた。
雲明君が用意したとされるトレーニングプランに乗っ取って流が指示を出している…………なんか、彼も超気合入ってる気がする。
「………意外だな、黒景君って結構ああいうの型にハマってるのか」
「確かに、いつも大人しい雰囲気でしたから………黒景先輩って結構教えるの好きだったりするんですか、来夏さん?」
「えっ?あー………そういえば海カモメサッカークラブの子達に偶に練習の面倒見てたりするって言ってたし、意外とそうなのかもね」
「へぇ……まぁ気合い入んのも当然じゃねぇか?俺らが次勝たねぇとサッカー部解散だしな、笹波?」
「………僕はそんな事言ってませんよ?」
「え!?いや言ってたろ!ねぇ桜咲先輩!?」
「ん?どうだったかな」
「えぇ!?」
せ、セカンドプランとして最終的にしらばっくれるつもりなの雲明君……流石に冗談だと思いたいんだけど……てか桜咲まで乗るなし!
「それにしても、改めて見ても結構良いメンツが入ってきたんじゃねーか雲明?」
「あの15人の中から選りすぐりましたからね、彼らなら適材適所の動きが期待出来ます」
「俺らも悩んだよな〜」
まぁ、雲明君が選んだのなら間違いはきっとない。
あの5人はここから見てもいい動きをしてるし、何よりみんなやる気満々だ……1人でも気は抜けない状況で、多分それが1番大事なんだ。
…………でも、こんな事言いたくないけど………。
「(あの人まで、入るなんて……)」
グラウンドの中でも一際目立つ金髪を揺らしながら走っているあの人、小太刀 鞘さんを複雑な心境で見る。
剣道部の顔的な存在なのに、まさかサッカー部に来るなんて夢にも思わなかった。
もしかして……流目当てとかじゃないよね?だとしたら………あぁもうダメって、今滅茶苦茶大事な時だと言うのにこんな私情バリバリじゃ!
「(落ち着け私、例えそうだとしても今は関係ない、まずは1回戦突破!そうしなきゃ流だってサッカー出来ないんだから!)」
そうだ、私達が強くなってフットボールフロンティアを勝ち進む事を信じて待ってくれてるんだ。
今は余計な事を考えなくていい、ただ目標の為に進む!
「ねぇ雲明君、私達もそろそろ参加しよ?」
「そうですね……黒景先輩!話は終わったので僕らもそっちに行きます!一旦集合で!」
雲明君が大きな声を張り、遠くの流はそれに気づいて手を挙げた。
「お前ら!キャプテン呼んでっから集合!」
「……あれ、雲明って黒景先輩に自分がキャプテンだって言った?」
「………いや、まだだけど」
「ハハッ!どうやらアイツの中でもキャプテンはお前しか居ねぇって思ってたらしいな!」
「そ、そうですか……」
◾︎◾︎◾︎◾︎
「………ふぅ」
ジャージから制服に着替え終わり、一息付きながら校舎から出る。
外はすっかり夕暮れに染まっており、人も少なくなっている。
サッカーの練習……初めてだけど剣道に負けず劣らずね、黒景君も中々にスパルタだったわ。
それにしても………彼ってあんな目を………。
「鞘先輩、お疲れ様です!」
「……あぁ七南さん、そっちもお疲れ様」
思い返している途中で背後から、剣道部からの後輩である七南さんがやってきた。
前の剣道部ではよく話していた相手、ウチと違って元気だしいい子だから……名前を呼ぶくらい慕われてるのは嬉しい。
「いやー初めてのサッカー練習キツかったですね〜、鞘先輩は余裕でした?」
「まさか、手じゃなくて脚ばかり使うから慣れるのに苦心したわ」
「ですね、私も脚の踏み込みを活かしたプレーをこれから形にしたいと思ってて………」
歩きながらお互いに今日の練習の感想を言い合う、惹かれて来たのはいいけどかなりハードだったり、剣道とは全く違うけど楽しかったとか、いきなりの大会緊張するとか、そんな話を繰り広げていた。
「それにしても、鞘先輩が言ってた黒景先輩って、なんか思っていた以上に熱い人なんですね?」
「そう思う?」
「はい、先輩はゆったりした人だと言ってましたけど………そういう印象は確かに最初感じました、でも練習始める際に言ったあの言葉……よっぽどサッカーが好きじゃなきゃ言えませんよ」
「………そうね、ウチもあんな彼を見るのは初めてだった」
何時もは眠そうだけど人当たりのいい雰囲気、少し変わってるけど誰にも平等に接する優しさを持つ彼。
出会ったあの日から何かと会うから、縁も感じてお茶に誘ったりして、居てて楽しい人だけど………まさか、サッカーをする時にはあんな風になるとは思っていなかった。
『俺はサッカーがしたい、笹波のチームでサッカーをやりたい』
あの時綴られた言葉、表情に強い自我を孕みながら私たち掛け続けた発破。
右手にボールを置き、私達を見据えるその瞳には……強い意志が炎となって現れていた。
まるで、別人のようだった。
人が変わったような………いや違う、そういうのじゃない。
あれも黒景 流という人間の一部。
サッカーで形成された男の顔。
「(…………やっぱり、面白い人)」
居てて楽しいと思うのは彼が初めてだった。
言葉に出来ないけど、彼にはそういう魅力がある。
サッカーに対して興味を持ったのも彼がきっかけだ、前々からやりたいとは言ってたから、こうして一緒にやれるのは素直に嬉しい。
「あ、じゃあ私はここで!明日も頑張りましょー!」
「えぇ、また明日」
何時の間にか繁華街まで着いてて、七南さんとはここで別れて1人になった。
横断歩道の赤信号が変わるまで、待つ。
その間浮かんだ光景は………休憩時間、彼と忍原来夏さんが話している所だった。
有名人な彼女と幼馴染みだとは聞いていたが、誰の目から見ても距離が物凄く近い………あまり人目は気にしていないのか。
ウチにはない明るさと接し安さを持つ忍原さん……でも、彼女は黒景君の事が好きなのだとすぐに分かった。
そう思うと、胸の内がざわつく。
こんな気持ちは生まれて初めてだった。
「(………嫉妬か)」
どうやらそういう事らしい。
こんなにも、厭な気持ちになるものなのか………周りのあの人達も、ウチに対してこう言う気持ちを抱いていたのか。
よくもまぁ誰かに向けてこんなものを飛ばせるものだ………まぁ、今のウチに言える口は消えた訳だが。
剣道はもう、やろうとは思えない。
憧れてた頂の景色は、既に見慣れてしまった。
既にやる気も喪われた時に、ウチと彼はふと出会った。
些細なきっかけだと今でも思うが、今はそれでいいと思える。
つまらないウチの話をただ聞いてくれた、それだけだがあの時のウチは嬉しかった。
期待の声や嫉妬の念に囲まれて、ウチに何も求めない彼はそれだけで良かった。
…………今まで自覚は無かったけど、やはりそういう事なんだろうな。
「…………ふふ」
思わず笑う。
今になって気づくとは、ウチも鈍い。
散々厭だった嫉妬の念で感じさせられたとは。
「(………忍原さん、貴女とは色々と通ずるものがあるけど)」
これだけは、分かり合うことは無いのでしょうね。
◾︎◾︎◾︎◾︎
遂に来た、この時が。
フットボールフロンティア1回戦、俺達南雲原サッカー部の山場が。
ここで勝たなきゃ解散、俺は何も出来ないけど………アイツらなら勝てると信じる。
相手は西ノ宮中、南雲原と同じ進学校で昔からのライバル同士。
サッカーの実力自体は大したことは無いらしいが、油断禁物って言葉もあるくらいだ、今日に至るまで俺がやれる事は全部した。
後は勝利を信じるだけ…………だったのだが。
「……笹波」
「なんですか?」
「南雲原サッカー部って、常に壁にしか当たんないのかな」
「かも、しれないですね」
開催地のグラウンドのベンチに座って、敵チームを見ながらそんな事を言う。
視線の先には、まさか過ぎる人物が立っていた。
帰属校の選手派遣とやらで………最強の王者、雷門中サッカー部キャプテン、月影 蓮と………今全てのサッカーニュースを掻っ攫っているサッカーモンスター、円堂 ハルがそこにいた。
「(………やべぇ、肌がピリピリする)」
マフラーを掴みながら佇むその姿に、鳥肌が収まらない。
動画は見てきたけど、実物を見るとこうも違うのか、あれがサッカーモンスター………やべーな、マジで。
「……笹波、あの指示って、そういう事で良いんだよな?」
「多分合ってますよ、皆さんには話さないでくださいね?」
「分かってる、そうしなきゃ多分勝てん」
「……やっぱり、貴方でもそう思いますか」
「まぁな」
「……………」
「……………」
「…………………………」
「………………出しませんよ?」
「………へい」
ピーーーーーッ!!
項垂れると同時に、ホイッスルが鳴った。
黒景 流
なんかエゴイストになりつつある主人公、強さの期待値が何故か伸びている、何故?
とりあえず試合には出れないため皆を信じるしかない。
伊勢谷 要 背番号9
作者が選んだセレクトキャラその1
初期の南雲原ってフィールド上での司令塔的ポジションが居ないため、その役を担う。
妖士乃 銀狼 背番号4
作者が選んだセレクトキャラその2
ゲームでも色んな技が揃ってるのでお世話になったプレイヤーも多い。
リベロとして活躍予定。
伊勢谷と主人公とは仲のいい友達になってる、2人とも主人公の鈍さに呆れてる。
星美哉 背番号6
作者が選んだ以下略
中の人補正で選ぶ人多いと勝手に思ってます。
現時点では友達ポジションを貫くと思ってます。
古手打 七南 背番号73
作者が以下略
おそらく多くのプレイヤーが選んだであろうキャラ。
元剣道部と言うことで小太刀先輩とは仲良くなっている、独自解釈として『剣の道を極めた者』とか言う大それた肩書きな為、剣道界隈でも凄い人物なのだと勝手に思ってます。
展開は………どうなるかな。
小太刀 鞘 背番号34
今作ではセレクトキャラポジとして参戦。
キャラプロフィールから剣道めちゃくちゃ強すぎると勝手に解釈、境遇も来夏と似せました。
主人公と来夏の交流で内なる気持ちを自覚、主人公が刺されるの遠くない未来。
※因みに作者はゲームの方で最後のセレクトキャラは井馬里でした。
おまけ
小太刀 鞘のサッカー面接&セレクトキャラ風自己紹介
《揺らぎなき一太刀》
小太刀 鞘
「サッカーで、新たなウチを見出す」
Q 何故サッカー部に入りたいのですか?
A 剣道ですべき事は無くなったから、新しい目標が欲しいの。
Q 貴女の特技はなんですか?
A 相手の内心を読み取り、その歪みへ斬り込む事よ。
Q 貴女の未来にはどんなサッカーがありますか?
A 舞台が変わろうと、戦い続ける自分よ。
小説の展開について
-
従来通り来夏メイン
-
サッカーの方増やして