忍原来夏とはただの幼馴染みです………それだけですが?   作:グラビトン

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今回もまた短めになります。
今更ですが、現時点ゲーム本編後の後日談的に書いてますが……本編の南雲原があの後どうなるか分からないので、エクストラゲーム後の話は殆どifだと思ってください。

クロニクルルートが雲明達と合流する可能性もありますからね…………ストーリーのオープニングにも何故かヴィー達居るし。



俺が導く選択にて

私、忍原来夏は幼馴染みの流の事が好きだ。

もちろん異性的な意味で………昔、心に傷を負った時に寄り添ってくれて、そのまま彼に惹かれた。

 

ただ隣に居てくれるだけで安心して、マイペースだけど優しくて、彼の方は私の事を未だに大事な幼馴染みとしか見てくれないけど。

前はそれでもいいって思ってた、私は初恋を自覚した時しどろもどろしたけど………この胸がキュッとなる切ない気持ちは、いつの日か伝わったらなって思ってた。

 

 

でも今はダメだ、もたついてたら…………取られちゃう。

 

 

鞘先輩は来年は卒業するから、その間に流に対してはっきりとした想いを伝えるかもしれない。

……ここだけの話、前までは鞘先輩の事を憎い恋敵と思ってるけど、今は普通に恋のライバルとして認識してるから………仮に取られても私は暴走しないような、気がする。

 

 

でも…………天河ヒカリだけはダメだ。

私達より彼といる時間は短かったのに、流にはこれでもかってほど惚れ込んでるし…………なにより私の前で、あんな………極めつけに、私と同じよう噛み跡を流に付けて……!!

 

 

 

『じゃあ流先輩…………続きは再会したらねっ』

 

 

 

頬を染めて唇に指を添えて、流に舌なめずりしながら見つめて………前の私ならあそこで暴走してた、耐えれなかった。

 

その代わり流の家で色々しちゃったけどさ………サッカー部は今後大きな目標がないし、雲明君もこれからの事を考える為に暫くの間お休みするらしいし、そして1週間経たないうちに今年も夏休みが始まる。

 

…………今すぐに、この幼馴染みと異性同士の中間にある歪な関係を崩すことはできないかもしれないけど、もう足踏みするのは終わりだ。

 

やれるだけの事をやって、流に振り向いて貰うんだ。

こんな身勝手で、メンヘラで、暴れてる私だけど………流はそんな私の事、嫌わないからこうするんだ。

 

 

 

だって、流も私の事好きなんだもんね?

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

ピピピピピッ、ピピピピピッ…………

 

 

 

 

「…………ぅうー…………」

 

 

 

 

 

眠い………朝か、眠ぃ………。

やべー……起き上がれねぇよぉ………。

 

スマホの目覚ましアラームを止める、今日は土曜日…………普通に休みだ。

そして来週には夏休み………予定はあれど、サッカー部もフットボールフロンティアの後だからなぁ、とりあえず今後のことは後で考えるとするかぁ。

 

それにしても眠い……起きたくない……ていうか起きる必要ないよな、休みなんだしさ…………。

 

 

 

 

「……ほら流、起きてよ」

 

 

 

カーテン開けてないけど天気いいよなぁ……もう起きたくない………昼まで寝よう、誰も文句は言わないし言わせない……。

 

 

 

 

「起きろっての寝坊助………流ってばっ」

 

 

 

てかうるさいよ来夏……休みなんだし良いじゃんか……家に入ってまで起こそうとしなくても……………。

 

 

 

 

「…………ぇ?」

 

「……起きないと、またキスするよ?」

 

「…………来夏?」

 

「あっ起きてるじゃん、もー」

 

 

重い瞼を開き、先程から俺に呼び掛ける声の方へ顔を向ける。

そこには、私服姿の上にエプロンを付けている来夏の姿がそこにあった。

 

彼女の顔はどこか残念そうな表情を浮かべてた、そして俺はそんな彼女に呆気に取られていた。

あれ?なんでここに?ていうか朝から居るのはなんでだ?

 

…………あ、そういえば昨日…………流れで押し切られて合鍵渡したんだっけか………ていうか色々思い出してきたぞ、あの後………ヒカリの上書きとか何とか言ってめちゃくちゃされたっけか………だから俺こんなに疲れで眠たくなってんのか……はぁ。

 

「おはよう流、朝ごはん出来てるから早く顔洗ってきな?」

 

「母さんかよ来夏………ていうか、なんでこんな早く来てんの、ていうか朝飯作ってんの……そんな話したっけ?」

 

「言ったでしょ、貯めてた分全部払ってもらうって……今日と明日私に付き合って貰うから覚悟して、振り向かせる為に何でもするから」

 

「……何でもってなに?」

 

「……何でもだよっ!」

 

「自分からキスして、そこは照れるのお前?」

 

「流が全然意識してくれないのが悪いじゃんっ!ていうか私だって以前からアピールしてたのに知らんぷりじゃん!」

 

「…………昨日のアレは流石に俺も照れたんだけど」

 

「…………そ、そっか……」

 

「………………」

 

「……………………」

 

「…………早く、顔洗ってきてよ」

 

「……へい」

 

なんで朝っぱらからこんなに気まずくなるんだよ…………はぁ、俺は今後来夏にどうやって向き合えばいいのやら。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

来夏と朝ごはんを食べて、食器を俺は洗おうとしたけど来夏が私がやると言って聞かず、その光景を俺はテーブルに座りながら眺めていた。

 

………強情だよな、ほんっと。

思えば前からこんなんだったな、明るいけど気は俺以上に強いし………俺に対して面倒くさくなる姿も見慣れたけど、こういう譲らない性格が来夏の取り柄なんだろうな。

 

 

 

「(俺の事が好き、か)」

 

 

 

彼女が俺に対して抱いてるその感情は、俗に言う初恋と言うやつらしい。

俺には………そういった経験はないし、ぶっちゃけ興味も湧かない。

 

来夏が俺を好いたきっかけが、家の事で傷ついた時に話を聞いたり寄り添った事らしいけど、俺は対してそこまでの事をしたとは思ってないけど…………彼女にとってはそれが何よりも嬉しかったのだろうか。

 

…………以前の俺は、そんな彼女の気持ちを知らず、挙句の果てには嫌われて逃げてしまおうかと思った時もある、でもそれはなんの解決にもならないことを悟った、故にはっきりさせなきゃ行けないんだけど…………来夏は簡単に諦めるたまじゃない、ヒカリ並に強引な手段で俺をどうにかするつもりだ。

 

……どうしようか、はっきりと断りを入れた方が良いのか。

このままの関係が良いと、そのまま伝えるべきか…………でも、そんな事を言える段階じゃ無くなってるしなぁ。

 

何せ俺からキスとかしちゃったし、昨日も来夏の方からされてるし、ていうか俺が断ったら鞘先輩やヒカリを選ぶんだってまた来夏は暴走しそうだし…………ていうかそうだよ、鞘さんとヒカリの件もあるじゃんか。

 

来夏だけじゃなくて2人の気持ちにも落とし前をつけなきゃ行けないんじゃん…………あーーー、何してんだよ昔の俺。

 

そんなつもりなんて微塵も無かったのに……………その結果がこれかよ、悩みすぎて頭痛くなってきた………笹波もこんな気持ちだったのかなぁ。

 

「(…………どうしたらいいかな、俺)」

 

 

来夏の事は、大切に思ってる。

付き合いの長い幼馴染みだし、何より俺が一人でサッカーをしていた頃からずっと居てくれた人だ。

決勝戦だって、来夏が居てくれなきゃ俺は真に南雲原とひとつになれなかったから本当に感謝してるし、来夏の気持ちにはなるべく答えてやりたいとは思ってる。

 

彼女を歪めてしまったのが俺なら、責任は取るべきなんだろうか。

 

 

 

次に、鞘さん。

彼女との馴れ初めは来夏に似ている、そしてその好意に至る過程も来夏そっくりなんだろうか。

あの人の事は頼れる先輩って感じだけど………鞘さんが居なきゃ来夏も昔より酷い状態になっていたかもしれないって笹波が以前に伝えてたっけ。

 

そして決勝までの特訓期間中…………あれだけ直球に想いを伝えられたら、やっぱり揺らいでしまう。

 

 

 

そしてヒカリ………彼女に関しては俺が色々とやらかしたせいだから、3人の中じゃ1番責任を取るべき人なのかもしれない。

 

あんな事をする位には俺の事を意識してるってことなんだよな………それに俺自身、ヒカリの事を放っておけなくなってる………なんて言うんだろうか、ヒカリ自身に俺が惹かれてるものがあったんだろうな。

 

 

そして今、この3人を納得させられるような都合の良い手段は俺にない。

百歩譲って鞘さんはまだ受け入れてくれるかもだが、来夏とヒカリがなまじ予想出来るせいで恐ろしい………あれ、笹波が言ってた刺されるってこういうこと?

 

前に笹波に勧められてやったギャルゲーでも主人公滅多刺しにされたし、まさか俺もワンチャンそうなるって事?

 

 

「(うーーっ…………なんでこうなった?)」

 

 

天井を見上げながら、過去の俺の蛮行を悔やむ。

何度でも言うけどそういうつもりで接したつもりはなかった、なのに何故かこうなってしまった。

 

…………3人の事は大切に思ってる、そして蔑ろにしたらまず俺はゴミクズになるし、ていうかその後ゴミになりそうだし。

何より3人の気持ちを踏みにじることになる。

 

 

……………………結果がどうなるにせよ、俺は答えを見出さなきゃいけないのかぁ。

 

 

来夏か、鞘さんか、ヒカリか…………。

 

 

 

「……さっきから何悩んでんの、流?」

 

そんな俺に洗い物を済ませた来夏が、俺の隣の席に座ってじっと見つめていた。

俺は何となくその顔をじっと見つめ返す、段々と来夏は顔を赤くしていった。

 

「……な、なに?」

 

「………今更だけどさ、なんで俺の事そんなに好きになったのお前」

 

「…………それ、直接聞くようなことじゃないでしょ?」

 

「えっと、そうなのか?」

 

「もうっ………昔してくれた事が、わたしの救いになってた……その後は色々あって拗れちゃったけど…………流が好きだって気持ちには変わらないからっ」

 

どこか拗ねたような、しかし照れながら来夏は俺に微笑む。

…………不意に、心臓が跳ねた様な気がする。

 

今まではこんなこと無かったんだけど、俺も変わったのかな。

 

 

「…………流は、誰がいいの?」

 

「……誰って」

 

「私以外でも、鞘先輩が天河か……考えてるんでしょ?」

 

「………………まぁ…………そうだな」

 

「……迷いなく私を選んでよ、バカっ」

 

「…………ごめんな、色々と」

 

「私だって、迷惑掛けたからいいよ…………でもさ」

 

すると来夏は顔を近づける、俺の顔に近づけて…………そのままじっと見つめてくる。

彼女の瞳は、俺を強く映し出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やっぱり、私だけ見てよ」

 

「他の二人なんか忘れてよ、私だけ…………流が他の女の子のモノになるなんて嫌だよ」

 

「流が…………私の事選んでくれた、私の全部あげるからさ」

 

「……大好きだよ流、ずっと…………ずっとずっと……」

 

「……ねぇ、だから…………」

 

 

 

 

 

 

 

「……………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は………………どうするべきだろうか。

何も考えず、来夏をこのまま受け入れるか。

 

それとも、2人の内誰かを取るのか。

 

…………何も、選ばないのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

………………俺は。




黒景流
クソボケなりに3人のことを考え、どうしようか悩んでる。
今になってやらかした事の重さがひしひしと感じている模様、とにかく何をすべきかは彼次第。



はい、多少強引ですがこの話から分岐する…………という訳ではありませんが、次からはそれぞれの1話完結のルートENDまで書こうと思ってます。

予定では残り4話まで書き、その後この小説を完結とさせて頂きます。

何度も申し上げますが、どうか最後までお付き合い下さい。
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