忍原来夏とはただの幼馴染みです………それだけですが? 作:グラビトン
《① FF後の京前嵐山》
フットボールフロンティア全国大会、近畿ブロックの代表である京前嵐山中学校。
予てからリスクを鑑みて使われなくなった化身を中心にしたサッカーをする、昨今では珍しい戦術を取るチームとなっている。
西條リルと屋城統、2人の化身を中心にする《化身共鳴》は強力で、並のチームじゃ止められない破壊力を携えていた。
……………が、彼らは惜しくも初戦で敗退となったのだ。
相手は九州ブロック代表の南雲原中、全国初出場であり化身使いも試合前には存在していないルーキー………京前嵐山に油断があったことは否めない、しかしそんな相手に化身以上のかいぶつが存在しているとは夢にも思わなかっただろう。
背番号0、ミッドフィールダー、全国の舞台までその牙を隠し続けていた南雲原のサッカーモンスター……名を、黒景流。
突如として現れたプレイヤーに化身使いは為す術なく蹂躙され、前半だけでも4点差という絶望的な結果を突きつけられてしまう。
京前嵐山は絶望したが、西條リルの言葉で闘志を滾らせて奮闘した………そして南雲原の木曽路兵太が新たに化身を覚醒させてしまい、結果は6-1の惨敗で終わってしまった。
………負けてしまったが、得るものは大きかった。
キーパー新黒が新たなる化身、深淵のアギラウスを覚醒させたこと………南雲原に一矢報いた化身共鳴・連の新たなる可能性。
初戦敗退という悔しさを糧に彼らは修練に励む、今度こそ化身で全国の頂を掴むために………そして、南雲原のリベンジの為に。
そしてフットボールフロンティアが終わり、京前嵐山サッカー部は母校へ帰り………監督であり化身マニアの枯薄月丸が、部員達へ熱く語り始めた。
「皆、今年の全国は口惜しい結果になってしまった………南雲原にあんな化け物がいた事を鑑みても、化身のいないチームなどに負けるはずが無いと、私の慢心がこの結果を招いたと言っていい………すまない」
「いえそんな、私達も初戦前の南雲原を舐めていましたから………責があるとすれば、私達全員です」
キャプテンの言葉に部員全員が頷く、初出場のぽっと出と侮っていたらアレだ……いやそうでなくても、あのかいぶつと対等に戦えるだけの力はあの時点では無かった。
それでも戦う前の驕りはあった、今回の試合は戒めとして今後の京前嵐山サッカー部の気を引き締める事だろう。
「そうか……しかし得たものは大きかった!新黒の新たなる化身の覚醒!化身共鳴・連の更なる可能性も見出した!これらを元に更なる化身の戦術を練って来年こそは!化身のチームが全国制覇を叶えようぞ!」
「そして今大会でも更なる化身が覚醒した、ならば化身共鳴・連を使ってこちらも新しい化身使いを覚醒させれば………かのホーリーロード決勝戦のチームのように、全員が化身使いで構成されたチームになるのも夢では無い!!ぐふふふっ……!!」
段々と様子が可笑しくなってきた監督を、サッカー部の皆は冷や汗をかきながら何も言わずに見つめていた。
南雲原との初戦、新黒は深淵のアギラウスを覚醒させ………南雲原の木曽路兵太は迅狼リュカオンが目覚めた。
生粋の化身マニアである枯薄月丸は負けたにも関わらず興奮冷めやらぬ状態になっており、観戦してた決勝戦でもサッカーモンスター2人が目覚めた化身で最早暴走状態に陥っていた。
監督の化身への愛を語る様を、西條リルと屋城統は苦笑いを浮かべて見つめていた。
「………監督あぁ言ってますけど、あの時新黒さんが化身使いに覚醒したのは、超危機的状況の中で追い詰められたが故の覚醒ですよね?」
「そうだね………同じ事しても多分簡単に化身使いが目覚める訳じゃないと思う………ていうか化身共鳴・連はコスパ悪いから、本当に奥の手で使うのが正しいと思うけど」
「………ま、俺達もより化身の強さを引き出せる様に頑張らなきゃいけないですよね、来年また試合するなら……黒景流とソジに雪辱を果たさなきゃな」
「あぁ………俺は来年で最後だから、気合い入れなきゃ」
圧倒的な力の差と敗北を経験した京前嵐山中サッカー部………その経験をバネにして、来年こそはと意気込む。
西條リルはその中でもより決意を固めていた………そして今彼の脳裏には、決勝後の南雲原の木曽路兵太との会話を思い出していた。
『……よぉ、ソジ』
『えっ、西條君……身体大丈夫?』
『あぁ………全国優勝、おめでとう』
『あ、ありがとう』
『……にしても憎たらしいぜ、あんなかいぶつの引き立て役にされた挙句、お前に全部掻っ攫われたからなぁ?』
『ははっ、でも俺があんな風になれたのはお前達が相手だったからだよ、西條君の諦めず戦う姿勢を見たからこそ、俺も化身使いになれたんだから』
『………お前、やっぱ変わったか?』
『…………あぁ、誰かの顔色を伺うのはやめたんだ、脇役じゃなくて主役を選ぶ俺に変われた』
『……そうか………まぁなんだ、色々嫌味言って悪かった』
『いいよ、西條君からしてみれば俺も嫌な奴だったからさ』
『へっ………とりあえず今回の負けを俺は忘れねぇ、次こそは俺らが勝つぜ』
『いーや、次も俺達が勝つよ、西條君っ!』
『言ってな、あのかいぶつにも首洗っとけって伝えてろ………じゃあな』
互いを認め合い、次こそは勝つと宣言した。
今のままでは勝てない、だからこそ………次の勝利の為に、そしてライバルを越えるために………西條リルは武者震いをしながらも笑みを浮かべる。
遠い未来の戦いに、思いを馳せながら。
◾︎◾︎◾︎◾︎
《② かいぶつ達の連携技》
南雲原のサッカーモンスター、黒景流。
雷門のサッカーモンスター、円堂ハル。
帝国のサッカーモンスター、天河ヒカリ。
現代の少年サッカー界の中心人物と言っても過言じゃない3人、フットボールフロンティア全国大会でのぶつかり合いは歴史に残るとされており、近づきつつある世界への挑戦………その代表入りは間違いないと言われ、更なる試合を魅せてくれることを期待されているプレイヤー達。
今、そんな3人は………。
「ふははっ、ハイドラの完成じゃあ」
「あーっ流先輩ボクのパーツから完成させた上にボクをぶっ壊した!この外道ーっ!!」
「マジか、残り時間まだあるのに………あっ伝説パーツの浮島、俺はドラグーン完成した」
「円堂君まで!?くっそボクのレオパーツ何処に……!?」
「悪いなヒカリ、1個持ってるわ」
「いや無理じゃんそれぁぁぁぁっ!?」
「………ごめん天河さん、わざとじゃないんだ、レーザーキャノンの斜線上に偶然……」
「うがぁぁぁぁっ!!?」
黒景流の自宅にて、画面上に映るスカイアを舞台に攻防を繰り広げていた………状況はヒカリに対して圧倒的振りを強いているが。
長期の休み、ヒカリは何時もの様に流の所へ行く為長崎へ出発したのだが………偶然にも、雲明に会うためにハルも同乗していたのだ。
折角ということで2人は流の家に赴き、サッカーモンスター3人でゲームをプレイしていたのだ………サッカーじゃないのかい、というツッコミは受け付けてない。
「ぁぁぁあああーっ、デスマッチ1箇所に集められたし、2人がボクを巧みな連携でいじめたーっ」
「いやごめんてヒカリ、そういうつもりじゃないんだけどハイドラ乗ってたら破壊の限りを尽くしたくなって……」ナデナデ
「俺もドラグーンじゃバトル系はあんまりでした、レースだったらなぁ」
ゲームの過程と結果に拗ねまくるヒカリを流は撫でて慰め、ハルはそんな光景を眺めて苦笑いを浮かべていた。
かいぶつと呼ばれた3人は、普通にゲームで遊んでいたのだ。
そんな中………ヒカリの突然の言葉により、話は始まった。
「…………ねーねー、突然なんだけどさ」
「ん?なんだよヒカリ?」
「ボクらが同じチームに居たとして、連携技ってどうなるかな?」
「えっ、連携技……?」
「なーんかふと思っちゃった、いつの日か世界と戦うのならって」
流の膝に頭を載せながらヒカリは唐突にそんなこと言って、流とハルは目を合わせる。
いつの日か世界と戦う日が来て、それに備えたチームにこの3人が入るのなら………どんな連携必殺技が出来るのかと。
かいぶつとかいぶつの連携技、当の本人達でもどんなことが出来るのか想像出来ずにいた。
「いきなりだな………連携技かぁ、円堂はどう思う?」
「うーん………確かに俺達の実力なら並以上の必殺技が出来ると思いますけど、正直今は何も思い浮かばないですね、天河さんは?」
「なんにもー」
「自分で言っておいて………」
寝転がるヒカリに呆れた顔を浮かべるハル、そんな中流は1人考えて………何か思いついたかのような表情を見せた。
「………あ、やってみたいことがあるわ」
「おーなになに、流先輩?」
「ファイアトルネードDDって技、知ってるよな?」
「ダブルドライブ………松風天馬さんと剣城京介さんが使う技ですよね?」
流が発案したのは、ファイアトルネード
フットボールフロンティアがフィフスセクターの手によりホーリーロードと呼ばれていた時の決勝戦、革命を起こさんとしていた雷門の松風天馬と剣城京介が放ったファイアトルネード2つのオーバーライド。
2つの同じ技を完璧に合わせ、2人の呼吸が完全にシンクロしてなければ放つ事が出来ない究極の連携技である。
「そうそう、あの人の使う技だから俺もやってみたいなーって」
「なるほど……黒景さんならファイアトルネードをすぐに覚えられると思いますよ、俺も一応出来るので」
「あー………それなんだけど、俺すげーこと思いついてさ」
「?」
「…………メテオッド・ファイアトルネードで同じ事出来ないかなーって」
「……えっ!?」
「おおーっ」
流が発した発言にハルは驚愕し、ヒカリはその手があったかーと言わんばかりの表情で感心する。
ハルが発明したファイアトルネードの超絶進化、メテオッド・ファイアトルネード………ハルが真にサッカーモンスターとして覚醒した証の必殺技、威力は元来のファイアトルネードの数段上である。
そして同じファイアトルネードであれば、この技同士のオーバーライドも不可能では無いかもしれないと流は言っていた。
「どうせなら本来のダブルドライブよりも更にやべー技にしたいと思ってさ、折角円堂がファイアトルネードの進化技持ってることだし……俺もめちゃくちゃ練習して習得して、そんで二人でやれたらなーって」
「な、なるほど………メテオッドは黒景さんも使えない事は無いかもしれませんけど、あれを完全にシンクロさせるとなるとヤバそうだな……!」
「………でも面白くね?」
「………言っておきますけど、メテオッド習得するのめっちゃくちゃしんどかったですよ?」
「尚更いいじゃん、今度やってみる?」
「ちょっとー!ボクを忘れないでよっ!」
「あっ、ごめん天河さん、つい」
「………ボクもやるっ!メテオッド・ファイアトルネード
「名前なっが、てか3人でのメテオッドって……ボール破裂しそうだなオイ」
「………でも確かに面白そうですね、やるならまず2人が覚えるところからですけど!」
「早速やるよ円堂君っ!笹波君も巻き込もう!」
「はは、どうせなら笹波にも俺達の連携技の提案してもらうか」
かくして、その後合流した笹波を含めたかいぶつ4人で連携技の軽い研究を行った。
流が提案したメテオッド・ファイアトルネードDDが可能か否か………それを聞いた雲明の言葉は。
「正気の沙汰でない」
なんとも投げやりであった。
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《③ そよ風は認めさせたい》
フットボールフロンティア全国大会決勝戦が終わり、黒景流が憧れたサッカープレイヤーの属するチームの宿泊施設へ彼は帰ってきており、更に2人の男がそこにいた。
「ただいま戻りました」
「……お、帰ってきたか天馬」
「おかえり、俺達も試合見ていたよ………雷門は負けてしまったが、まさしく歴史に残る試合だった」
「はい!彼らの世代なら今の世界にも通じると思います、もうすぐだし楽しみですね」
「確かに円堂ハル、天河ヒカリ、黒景流、そして笹波雲明……こいつらを中心としたら強いが、 周りが着いてこれなきゃ話にならねぇ、日本代表はどうなるのやら」
「だな、黒景流にしても笹波雲明が同じピッチに立ててようやくチームプレーが形になっているからな………天馬には悪いが、黒景流はまだまだ未熟としか言いようがない」
「ま、まぁ確かに彼はこれからですけど、それでも化身はあのグリフォンに姿もパワーもそっくりでしたよ?」
「………確かにそれは俺も驚いたよ、なぁ剣城?」
「はい、俺も奴の力は認めてますよ」
「でしょ!?」
「「でもあの頃のお前にはまったく追いつけて無いからな」」
「………円堂さんも豪炎寺さんも同じこと言ってたよ………(頑張って黒景君、俺は何時でも見てるから!)」
円堂ハル/黒景流/天河ヒカリ
いつの日か連携技を作りたいと思っているモンスタートリオ。
まずはメテオッド・ファイアトルネードDD(仮称)……ゆくゆくはメテオッド・ファイアトルネード
そよ風のような男
主人公の活躍に後方腕組みをするが、皆自分と彼を比べられるため若干不満。
「俺、昔からただのサッカーバカなんだけどな……」
原作の続編が出たら……天河ヒカリは続投して良いですか?
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出していい
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いや正直……
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出すなら改変しろ