忍原来夏とはただの幼馴染みです………それだけですが?   作:グラビトン

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今回は北陽の前にちょっとした小話回です。
主人公の内情も少し描きました。

それと、前回のアンケートで読者募集の案をしれっと出しましたが、ほとんどの方がやめておけと言われたのでやめておきます。

とりあえず今回も来夏ちゃんに万歳。


これが強くなる術にて

「……すみません蓮さん、遅くなりました」

 

「気にするなハル、笹波雲明に会って来たんだろ?」

 

「ありゃ、バレてました?」

 

「お前が誰かに興味を持つなんて珍しいからな、それでどうだった?」

 

「…………やっぱ面白い奴でしたよ、南雲原の実力はまだまだですけど、このまま行けば全国にまで届く可能性は高いです」

 

「なるほどな、俺も今後チェックしておくとするよ」

 

「………あっ」

 

「ん?どうした?」

 

「いや、彼の事聞くの忘れてたなって」

 

「彼?」

 

「ベンチにいた黒いジャージを着ていた男の人ですよ」

 

「………あぁ確かに居たような、それがどうしたんだ?」

 

「……………仮に、あの人が前半に出てたら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は下がらない可能性がありました」

 

「……!?」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「………1日寝かせたカレー美味っ………」

 

時刻は朝、眠気が残りつつも俺は昨晩に作り置きされてたカレーを食べる。

どうやら母さんは俺が居ない間に帰ってきてたらしい、どーにも家にいるタイミングが合わないな。

 

………サッカー部入った事、伝えたっけ。

まぁいいか、その内話せば。

 

「……それにしても、ようやくサッカー部の始まりかぁ」

 

食べ進めながら呟く、昨日で何回言ったのか分からないがやっぱ嬉しい。

………昨日、フットボールフロンティア1回戦で、俺達南雲原中サッカー部はイレギュラーが介入しつつも無事勝利を収めた。

 

これにてサッカー部は正式に認められる、いや良かった良かった………。

昨日の夜ははその打ち上げで喫茶タンクでワイワイはしゃいでいた。

幸い他のお客さんは居なかったので迷惑になる事は無かった、というかおばちゃんの懐がデカい。

 

………ただ、何故か来夏と小太刀先輩が俺を挟む形で座ったのは謎だったな、向こうの方空いてたのに………まぁそこには笹波が座ったんだが。

そして心做しか来夏との距離が近い、てか近かった、肩同士が触れられる状態だったし………そして笹波がこんな事を言ってた。

 

 

 

『とりあえず、刺されないで下さいね』

 

 

 

正直意味が分からなかった、何に?

………まぁその話は置いておいて、今日は普通に休みの日だ。

 

さてどうしたものか、外の天気はすこぶる良い。

家に居ても特にやる事無いしなぁ………サッカーしかすることねぇや。

んじゃ飯食って暫くしてから外にでも行きますか………。

 

 

 

ピンポーン

 

 

 

「うん?」

 

予定を立てていると、家のインターホンベルが鳴った。

え、こんな朝に誰さ?配達とか頼んでないし………。

 

「(………あぁ)」

 

ある1つの予想を立てて、椅子から立ち上がり玄関へ向かう。

なるべくゆっくり足音立てないように歩き、ドアの前に立ち覗き穴でその人物を確認する。

 

そこには動きやすそうな服装の来夏が髪を弄りながら立っていた。

………いや、うん分かってたけど………なんで連絡も無しに来てるんだこの人、別にいいけどさ。

多分一緒にサッカーの練習でもしたいって所だろう………とりあえず何となく、ドアは開けずに観察してみよう。

 

「………んん?」

 

ドア越しから来夏の怪訝な声が微かに聞こえる、まだ寝てるかどうかと思っているのかも………おっと、そちらからも覗いてきた。

来夏が右目でこちらを覗き込む、これってそっちから見えてんのかね………にしても困り顔だ、まぁ当然だが。

 

「……んー?流?」

 

「……………」

 

「…………寝てるのかな………」

 

「……………んふ」

 

「………えっ、ちょっと居るじゃんそこに!?」

 

おっといかん、ちょっと可笑しくて声が漏れてしまった。

とりあえずドアを開ける、すると来夏は腕を組んで頬を膨らませていた。

 

「なーんで直ぐに起きてるって言わないのさ!」

 

「なんで連絡も無しに家に来てんの?」

 

「………まだ寝てるかなーって思ったから」

 

………まぁ確かにこの時間まで寝る事もあるけどな、そんで直接確かに来たって訳ね………いや、チャイムで起きるほど俺の眠りは浅くないぞ?

 

「………まだ寝てたら、確かめる事も出来るよ?」

 

「は?どうやって?」

 

「………これでも、鍵穴を解錠する技法は身につけてるから」

 

「…………えぇ?」

 

「さ、流石に躊躇ったけどね!」

 

こ、こんな事で忍者の末裔である事を再確認したくなかったんだが………いや、そこまでする理由こいつにない筈だろ。

 

「……はぁ、まぁいいや、とりあえず飯食い終わるから少し待ってて、入りな」

 

「あ、うん、お邪魔しまーす」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 

「……もうへばったのか、体力無さすぎな」

 

「流が可笑しいだけだよ!!」

 

汗だくで座り込む来夏を見下ろしながら忌憚のない意見を言うと、来夏はうがーっとなりながら噛み付いてきた、まぁ以前より動きは断然良くなってるけどな。

 

今更俺達は海沿いの公園にやってきており、そこから二人でサッカーの練習を行っていた。

まず軽い準備運動を済ませ、そこから来夏の提案で俺からボールを奪う動きをしたいと言ってきて、俺はそれに賛同したが………うん、そういう事だ。

 

とりあえず俺が楽しい方へ動いたが、来夏はそれに翻弄されてボールにすら触れることは無かった。

それを現時点で40回以上はして、今に至るってとこだ。

 

「もうっ!こっちが汗まみれで食らいついてるってのにそっちは涼しい顔で全部躱されるし、オマケに全然疲れて無さそうだし!」

 

「まぁ歴が違うしなぁ、それにお前だって全然動き良くなってるぞ?」

 

「嫌味にしか聞こえないっ!」

 

「なんでさ」

 

前にもこんなやり取りしたぞ?素直に言ってるんだけどな………ていうか半端な手加減したらそっちも不機嫌になるし、最近また扱いがムズくなってんだよ………昨日の打ち上げだって………。

 

 

 

『…………来夏、お前なんか不機嫌じゃね?』

 

『べっつにーーー』

 

『不機嫌じゃん、どしたこんな場で』

 

『黒景君、これ食べてみる?美味しいわよ』

 

『へぇ、んじゃそよってください』

 

『………』ゲシッゲシッ

 

『いたっ、いや何いたっ、いたっ』

 

『……………(問題点多すぎだな、この切り札)』

 

 

 

来夏から謎の攻撃食らうし、笹波からは呆れた様な視線向けられるし、なんだってんだい………ったくわがままお嬢め。

 

まぁ……慣れたけどさ。

 

「ま、とりあえず休憩しようか、何度も言うけど動きは前より良くなってんだぞ?その調子で予選勝ってくれよ、来夏」

 

「……うん」

 

「1回戦だって1ゴール1アシストで初めての試合にしてはいい結果残してんだ、今焦らなくなっていい、お前ならもっと強くなれる」

 

「…うん」

 

こーゆー時はまず褒めまくればいい、褒められて嫌な人は居ない筈だ。

それに来夏は家の事も相まって認められる機会なんて昔は無いに等しかったからな………いや、今はそんな事無いんだけど。

 

とりあえず適当な所に座り、俺も喉が乾いていた所なので適当に買ってた水を飲む。

来夏は隣に座り、汗を拭いながら水分補給をしている。

 

………今日は身体を動かすにはやっぱいい天気だな、嫌に暑くないし………こうして来夏とサッカーしてなかったら家で眠ってたかもしれん。

 

「ねぇ流、私の動きに足りないのってある?」

 

「ん?まぁ色々あるけど、来夏の場合はまずスタミナかな、お前は脚が速いけど走った分だけバテやすいからそれが極力無くなるように体力つけた方がいいと思う、昨日の後半だって桜咲のゴールが決まった後少し限界来てたろ?」

 

「あ、うん……よく見てるね」

 

「笹波からチーム全体を見てろって言われたからな、前半で円堂ハルの事ばっか見てて叱られてたんだ」

 

「………へぇー」

 

なんか照れたのかと思いきやいきなり冷めた目で見られたんですが、まぁ何も言うまい。

他の奴らも初めたて、ブランク明けとは言えチーム全体の動きはとても良かった、あの二人が最初から居なければ圧勝は間違い無かった。

 

………その中でも目立つ活躍をしてたのは、あの伊勢谷だ。

笹波曰くフィールド上の司令塔を任せてたらしい、いや俺も向いてるんじゃ?とは思ってたけど初めて1週間の奴に任せるような事じゃねーだろとは思ったけど、後半は見事にチームを動かしていた。

 

初ゴールも伊勢谷がとったし、そういう意味ではあの試合のMVPかもしれない。

ただやはり個人間での欠点もチラホラ見えたからな、勝ち上がる為にもそこを改修してよりチームとしての強さを高めなくては。

 

………俺も、早くサッカーしたいからな。

 

ただまぁこの調子で行くと、確かに予選中は俺の出番無さそうだしなぁ………笹波が自分の言ったこと曲げなさそうだし、1回戦はまぁ特例みたいなもんだし。

 

ま、その間も俺は俺のやるべき事をやるだけだな。

 

「じゃあ今から私、体力もつけるのが課題って事でいいのかな?」

 

「いや、あぁは言ったが体力なんて練習してれば自然とついてくるしな、体力アップを念頭に入れて自分の足りない要素を補うってのもありだ」

 

「ふーん、例えば?」

 

「シュートコントロール」

 

「う、それずっと前からの課題なんですけど………」

 

「多分こっから脚力とかも上がるし、その都度調節しねーとまた決まらなくなるぞ?」

 

「うぇー………じゃあ流って、その時はどーやってたの?」

 

「んー………………なんかこう、決めれそうな感じて」

 

「うん、聞いた私が馬鹿でした」

 

「えぇ」

 

いや確かに回答にすらなってないとは思ってるけど、あんま小難しいこと考えずにやってきたからなぁ………それで出来るんだし。

 

「あーあ、こうして聞くとさ………やっぱ距離感じちゃうな」

 

「ん?今めちゃくちゃ近いけど」

 

「物理的な話じゃなくてね?強さの話だよ」

 

「あー、何度も言ってるけど歴が違うし…………てかすぐ追いつこうとするなって、地道にやれよ」

 

「分かってるけど、なんか、嫌なの」

 

「え?」

 

「………置いてかれそうでさ」

 

さっきまで意気込んでたのにしおらしくなる来夏に少し戸惑う、前々から思ってたけど………俺と来夏のサッカーにおいての実力差に彼女はどこか焦っている節がある。

理由は明白だし来夏もそれを理解している筈なのに、分かってて尚追いすがろうとしている。

 

置いていくって、別にそんな事しないんだが………なんと言うか、ここまで俺に執着する理由なんてあるのか?

そこまでの事をした覚えは無いんだけど………。

 

今も、家や親にはとやかく言われているのだろうか。

だとしたら酷い話だ、こんなにも頑張っていると言うのに。

 

「(……ま、逆に俺は親に何も言われ無さすぎなんだけど)」

 

仲が悪いわけじゃない、互いに邪険にしてるわけでも。

ただ極端に家族で過ごす時間が少ないってだけ、明確な思い出もチビの頃から止まっている。

以前は出張の間は関東にいる親戚の家に預けられた時もあったな、今はもうそんなことは無くなったけど。

 

そんな事もあり、あるきっかけでやり始めたサッカーにのめり込むのは必然だったと言える。

それはもうのめり込んだ、一人の時はいつだってサッカーをしてた。

小学校の頃は休み時間の間にサッカーをしてた、その時はクラスメイトとかに誘われて一緒にやったりした。

 

ただ、その中でも俺の実力は突出しすぎていた……暫くして俺が参加しようとしても皆からは。

 

『ごめん黒景、お前強すぎてチーム組んだ時点で勝負決まっちまうからさ………ウザがってる訳じゃないんだ!ただわりぃ、ゲーム以外なら付き合うから外で見ててくんない……?』

 

なんて事も、言われてたっけ………さっきまで忘れてたな。

確かに当時でも自由にやっててぜんぶ勝ってた、それが……当たり前なのだとも思ってた。

ショックだったけどすんなり受け入れられた、その日以降誘われても俺は入らなかったけどさ。

そこから1人でのサッカーに俺は更なる時間を掛けた、ただひたすらにボールを追い掛けて蹴った。

 

その時に、来夏とも初めて出会った。

家の事を聞いて家族と一緒に居ても良いことばかりではないのだと知った、俺と来夏じゃ規模が違うんだろうけど。

 

………互いに家族に関して少なからず問題を持っているから、少なからず互いにシンパシーを感じているのかもな。

 

特に来夏の方が深刻そうだし、サッカー部の中で1番親しい俺がこうして実力で突き放されてるのは焦燥を感じる………ってところか。

うーん、俺なりに考察してみたけど合ってるのかな………あ、そうだ。

 

「(あの時は少なからず、俺に追い縋ってたよな?)」

 

ふとブロック・ザ・キーマンの習得特訓、最終局面の事を思い出す。

いきなり来夏が俺一人にプレスをかけて、そこから手加減していた状態とはいえ俺のプレーに着いてこれてた来夏の姿を。

 

今思えばあれも追いつきたいという来夏の意志の現れだったんじゃないだろうか………そう思いながら横目で来夏を見る。

 

………なんと言うか、ほんとに俺と2人きりだと大人しいよなこいつ。

ていうか周りに人居ても段々と俺に見せてた顔を他の人に見せるの躊躇ってないし、どういう心境なんだろ。

 

……………よし、発破掛けてみるか。

 

「………そんなんじゃ、追い越すなんて出来ないぞー」

 

「え?」

 

「何時もみたいに自信持ってやらねぇとな、俺は待ってなんかやらんぞー」

 

立ち上がりながらボールを指で回しながら練習場へ戻る、こんなとこかな………これ発破ていうか追い詰めてね?大丈夫?ていうかあの時の後の来夏なんだかおかしかったしこれ悪手じゃね?やっちまった?

 

冷や汗を隠しながら、恐る恐るゆっくりと後ろに視線を向ける。

そこには頭を下げていた来夏が見えてたが、直ぐに立ち上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………(嫌だ)」

 

「………んん?」

 

「(……………このままなんて、嫌だ!!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心境は読めない、今まで以上に。

しかしそこに立っていた来夏の瞳の色は変わり、あの時のような表情に変わっていた。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「………ふぅ………ふっ!」

 

汗を拭い、足元に置いたボールをぶら下げられつつも左右に移動するタイヤの穴目掛けて撃つ。

 

狙い済まして撃ち、ボールは何とか通過した。

………よし、これで10回連続………コントロールは身についた。

 

誰も使われなく、今では南雲原中サッカー部の特訓場として使われている場所、そこでウチは休日に一人で練習をしていた。

一区切り着いたと感じ、アンカーの動きを止めて荷物の置いてある場所へ移動し座った。

 

「………彼だったら、難なくこなせてたのでしょうね」

 

そう呟いて水分補給をする。

現時点のサッカー部の全メンバーの中で切り札と呼ばれる実力、それ故にキャプテンからはバランス崩壊の危険を考慮されて暫くはベンチ入りが決まっている、私の後輩。

 

例えとする壁が高すぎるかもしれないが、目標にする分には問題ないだろう。

ただでさえ私はサッカー初心者、今まで時間を費やしていた剣道とは別れを告げてこの道を選んだのだ、生半可な覚悟でやらない訳には行かない。

 

……………しかし、消去法でスタメンとなっているウチには1つ、基本的なステータスよりも大事なものが欠けているのだ。

 

 

それは、必殺技。

 

 

これからの試合を勝ち抜くためには最低でも1つの必殺技を習得せねばならない、現にウチ以外のフィールドプレイヤーはそれぞれ必殺技を会得している。

 

しかしウチにはまだない、並か中のプレーは出来るものの必殺技1つ使えなければこの先置いていかれること間違いなしだ。

 

現に昨日、ボールを受け取ったのは良いものの敵のキーパー技を破る術がなく忍原さんへパスを出すしか無かった。

 

チームとして勝つにはそれが最善の選択だったのは間違いない、でも………それだけ今のウチは無力だということだ。

 

「このままじゃ、ダメね」

 

まずは必殺技だ、何か一つでもウチを強くさせる新しい技を会得しなければ………いや違う、何も新しいモノに拘らなくていい。

 

現に七南さんはスピニングカットという既にあった技を選び物にした、リベロの妖士乃君のシルバーウルフレジェンドは、日本代表にもなった凄い選手の必殺技を真似した物………私も何か、既にある技から選んだ方が良いだろう。

 

とはいえ何を選んだものか、彼が居てくれればヒントも貰えたのだろうか。

そんな彼は、今何をしているだろう………サッカーをしているのは想像に難しくないが、恐らくは………忍原さんが居るのでしょうね。

 

「………はぁ、ダメね、こんな時にまで雑念は」

 

あの気持ちを自覚した日以降、ふとこんな事ばかり考えてしまう。

全く慣れないものだ、慣れてもいけないのだろうが。

 

恋心というやつは、自分が思っていた以上に制御が効かないものらしい。

 

………とにかく先程までのことを忘れ、スマホから動画サイトのアプリを起動しサッカーの必殺技を漁ってみる。

 

「………ファイアトルネード………ドラゴンクラッシュ………グレネードショット………なんか違う」

 

一通り見るがどれもしっくり来ない。

もっとあるはずだ、ウチに合うものが………チームに貢献するだけではなく、私一人でも勝ちに行けるような技が。

 

「………今見てる時期のものじゃなくて、もう少し先のもので」

 

先程から見ていた物は少年サッカー全盛期の映像だ、ならそこより少し先の技なら何かあるのかもしれないと再び検索を始める。

 

そこから出てきた検索結果内容から………直ぐに、目に止まった必殺技があった。

 

「これは………」

 

思わず直ぐに動画を再生した、それは………フットボールフロンティアがホーリーロードと呼ばれていた頃の試合映像、奇天烈なフィールド上で放った………そのシュート技に、ウチは心が撃たれるような感覚を受けた。

 

「………これだ、この技だ」

 

思わずスマホを握る力が強まり、再び動画を再生する。

出来るかは分からないけど……それとは関係ナシにこの技を習得してみたい、自分の必殺技に。

 

「よし、やってみよう………!」

 

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

 

「………来夏、大丈夫かー?」

 

「……うっさい」

 

「ごめんて、悪気は無かったんだって」

 

「嘘だ、バーカ」

 

「いやいや………ちょっと魔が差しただけなんだって」

 

「うるさい、そんなの聞きたくないし」

 

「……………飯、奢るんで許して」

 

「そんなんで許さないから」

 

「うぇ……許してくれ来夏、もうしねーからさ」

 

「………そんな撫でたって許さない、ペットじゃないし」

 

「(そう言ってる割には甘んじてるな………?)」

 

夕暮れ時、不貞腐れる来夏を宥める行為が暫く続いた。




黒景 流
周りが着いてこれず一人でサッカーをする過去あり、それを踏まえて貴方に埋もれないようなチームを作ると言った笹波雲明に大きな信頼を寄せている。


忍原来夏
主人公が遠くへ行こうとすることでブーストが掛かるぞ!尚心は壊れるかもだぞ!


小太刀 鞘
自分の必殺技を作ろうと奮闘中、ターザンキックやモグラフェイントじゃないよ?
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