古くから続く呪術師の家系というのは、基本的には相伝の術式を持っているものである、それこそ呪術界の御三家のうちの一つである五条家ともなれば、それはもう超強い相伝の術式があると考えるのが普通といえるだろう。
もちろん、五条家にも相伝の術式はある。
『無下限呪術』
五条家の相伝と聞いて真っ先に思い浮かぶのはこれだろう。
無限を具現化し、不可侵領域を形成することによる絶対的な防御力、空間にマイナス1の虚数空間を創り出すことにより空間を収束させ、引力を生み出し敵を圧殺する『蒼』、それによる圧倒的な攻撃力、さらに『蒼』の応用によって高速移動や空中浮遊を可能にする手数の多さ。
まさに最強の術式と言っても過言ではないだろう、俺もそう思う。
これだけ強いのにデメリットとかないの?と思っただろう安心してくれ、ちゃんとある、というかデメリットがひどすぎる。
一つ、扱いが難しすぎる
一級術師としては最高峰の俺の腕を持ってしても実践レベルでの『蒼』の運用には、出力に詠唱と手印、発射にはさらに手掌による指向性の補助が必要になる。
二つ、呪力の消費が激しい
上記の方法で俺が『蒼』を使用した場合万全の状態の俺の呪力が9割持っていかれる、順転でこれなのだ反転の方は呪力が足らずそもそも発動できないだろう、最もニュートラルな不可侵領域でもたったの20秒で呪力がすっからかんになるという始末。
え? いくら強いと言ってもまともに使えないようなものを相伝にするなって、そうだねそう思うよね、でも安心してくれちゃーんと五条家にも考えがあるから。
『六眼』
五条家にのみ発現する呪術的な特異体質、原子レベルの緻密な呪力操作を可能にするそれによって、扱いにくさと呪力消費の問題をクリアーできちまうってわけだ。
ん? ちゃんと抱き合わせになる確率?
...200年に一回ぐらい
現代にいるのかって? いるよ一応、というか俺が当主になれなかったのはそれが理由、五条家の当主は六眼の持ち主がなるって決まっててな、俺が反転術式を使えて結界術にも精通してても六眼を持ってるやつが他にいたら俺は当主になれない。
はー自分で言ってて悲しくなってきた、実家がでかいとこういうことでもめちゃうんだよな〜。
その点、君は安心だね、姉とはとても仲が良いし、大事にされてる、結界術の才能も申し分ない。
俺みたいに中途半端に恵まれるとろくなことにならないからな。
さて、雑談タイムは終了、鍛錬に戻るぞ
君にシン陰流教えるって名目でここいるんだからな。