六眼ッ!六眼もってねえぞォ!   作:黄金郷

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渋谷事変②

少し高めのビルの上、渋谷に到着した一はその状況に戦慄していた

 

「どうなってんだアレ」

 

渋谷に到着して早々に親友から特級同士がやり合っていると連絡を受けそのほうに向かえば、例の火山頭の呪霊をあの宿儺が消し炭に変えているではないか

 

─話が違う、宿儺の器の少年は器ではなく檻として機能しているという話ではないのか。

 

しかしどうしたものか栗沢の言っていた特級達は火山頭と宿儺で間違いない、

 

「...戦うか?」

 

宿儺の目的は現状不明、もしかすると五条悟奪還の邪魔に動く可能性もあれば気まぐれに虐殺でもしでかす可能性がある。

こちらの障害になりうるのであれば対処しないわけには行かない

 

しかし火山頭とやりあっていたところを鑑みるに完全に敵になっているわけではなくあくまでも気まぐれの第三勢力の可能性がある。

 

その場合はわざわざ戦いを仕掛ける必要はない可能性がある、むしろ下手に刺激して完全敵対になってしまえば目も当てられないだろう。

 

なにより自分たちの第一目的は地下5階にて封印状態から動かせない五条悟を敵勢力から奪還することであり、宿儺と戦うことではない

 

「やはり先に悟のほうに─」

 

そもそも自分では確実に仕留めることなどできないのだ、先に地下5階へと向かい五条悟を解放しそっちにやらせたほうがいいだろう。

 

考えをまとめたその時、おおよそ数十メートルほど離れた位置にいる宿儺と目が合った

 

そして宿儺はこちらに手を向け─

 

キンッ

 

いきなり飛んできた斬撃を視認し呪力強化した右腕により紙一重で逸らすことに成功する、しかし無傷というわけにはいかずその証拠に呪力強化した右腕からは血が出ている

 

「マジかよ、野郎いきなり仕掛けてきやがったぞ!」

 

宿儺は斬撃が防がれたことにやや驚きの表情を浮かべこちらに向かって跳躍し俺の眼の前に降り立った

 

「見えているようだな、俺の術が。」

 

宿儺はニヤニヤとしたような顔でそういった

 

「...」

 

宿儺の思考が読めない、いきなり攻撃してきたかと思えば追撃はせずに話しかけてくる

 

「どうした、呪術規定とやらでは俺は死刑なのだろう、戦わないのか?」

 

「ちょっと俺じゃ荷が重いかと思ってな、先に地下の方に向かおうと思ってたんだが。」

 

「それは残念だったな、実を言うと俺は今暇でな、それを潰すためにちょうどいい相手がいないかと探していたのだ。」

 

『俺と戦え』と言外に言う宿儺

 

「さあ、構えろ」

 

やるしかない...か

 

宿儺から促されるままに両腕を前に構える

 

ジリジリと足を動かし間合いを詰める

 

宿儺の斬撃はある程度の距離があれば俺なら視認してから弾くことができる、至近距離の場合であっても不可侵領域の瞬間的な展開で十分に防げるだろう、先程呪霊に対して使っていた炎についても同様、対応をミスらなければ問題ない。

 

つまり勝ちの目がゼロの負け試合というわけではない

 

思考をまとめると同時に両者間の距離が完全に間合いの内側となった、お互いがお互いに攻撃を仕掛けるに十分な距離...

 

二人の動きはほぼ同時、しかしやや宿儺のほうが早かった

 

(狙い通り!...)

 

不可侵領域を一瞬だけ展開し宿儺の拳の速度を殺して意表を突きその間に拳を叩き込む

 

「...!」

 

宿儺は咄嗟に左腕でそれをガードするが完全に防ぎ切ることはできず、打ち込まれた拳はガードの上から宿儺の体を打ち上げた

 

「なるほど、あの男と同じ術式、ますます興味がわいてきた。」

 

しかし攻撃を受けた宿儺は「なるほどこの程度か」と、さほどのダメージはない様子

 

 

それに一は驚愕した、不可侵領域を絡めた不意打ちに近い攻撃が難なく防がれたこともそうだが

 

─硬ェ!

 

感触からして呪力強化だけじゃない、器の方の肉体強度が凄まじい、ガードされたことを考慮に入れても生半可な攻撃─単純な打撃程度では大したダメージはみこめないか。

 

● ● ●

 

「早く、家入さんの...とこに」

 

タコのような呪霊との領域の押し合い、その後のそれを祓った謎の男との戦闘で負った自分の負傷を家入に治療してもらいすぐに戦線に復帰するべく伏黒は足を動かしていた

 

カサカサカサ

 

「...?」

 

不意に聞こえた異音に振り返る

 

するとおびただしい数のゴキブリが蠢きながら溢れ出て来ている

 

しかも発生源は自分の目の前

 

「私ハ 鉄ノ味 ガ好キ ダ。」

 

感じ取れる呪力の圧は特級、引き連れているものからしておそらくはゴキブリの呪霊、凶悪さで言えば交流会で交えた呪霊を超えているだろう

 

ドガーンッ!

 

睨み合っていた呪霊と伏黒の間に突如として何かが飛来し轟音が響き渡った

 

「クソッ!どういう膂力してんだよあのヤロー」

 

砂埃の中から現れたのは伏黒自身も面識のある男であった

 

「一さん!」

 

「伏黒君か!」

 

上空から飛来してきた五条一は着地点にいた知り合いに驚きの声を上げる

 

だが良かった彼であれば特級の相手もできるだろう、

彼に呪霊を任せて自分は家入さんの方に...いやまて、この人どっから現れて

 

「なんで上から降ってきてるんですか?!」

 

「投げ飛ばされたの!」

 

「一体何と戦ってるんで...」

 

「ケヒッ、伏黒恵に呪霊...何だ随分と面白いことになっているな。」

 

どういうわけか虎杖から肉体の主導権を取り戻している宿儺

それを認識した伏黒恵の判断は早かった

 

「布瑠部由良由良」

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