栗沢雨滑は焦っていた。
(アイツ絶対にヤバイやつでしょ、呪力があきらかやべーもん)
つい先程彼は、高専に何者かが侵入したという報告と高専忌庫から呪具及び呪物を侵入者の手から守れとの命を受け、待機場所から忌庫に向かっていたのだが、その最中明らかにやべーのを視認し咄嗟に物陰に隠れたのだ。
「なんというか、聞いてた通りだけどほんとに弱いな〜、それなりに強くないと張り合いがなくて楽しくないや。」
そういう呪霊の足元に転がっている死体は内部から破裂したかのように異様な形に変形しており、見た目のツギハギから考えるに以前後輩の七海が遭遇したという特級呪霊で間違いないだろう。
(相手は特級呪霊...俺が戦っても勝てねーだろうし、なんかこういいかんじに尾行して情報を抜き取れば上も許してくれるっしょ。)
● ● ●
帷を抜けた先にいた呪詛師を楽厳寺学長に任せ自分たちはその先へと急ぐ。
「歌姫ここは1度二手に分かれて生徒たちと合流しよう、俺は戦ってる方に向かいたい。」
エリア中に広がって戦っていた生徒たちの位置を冥さんから聞いた後その分布の広さから歌姫に提案した。
「そうねこの広さならそうしたほうが...」
プルルル♪
歌姫が懐にしまっていた携帯の音が鳴り響いた
「帷の中じゃ電波は遮断されてるはずじゃ。」
「おそらく結界の足し引きの関係だろうこの帷は悟以外のすべてを拒まないおそらく人間だけでは釣り合いが取れねえから電波の方も通さざるおえなかったんだろうよ、それで相手は一体誰だ?」
「えーと...西宮からね。」
歌姫はかかってきた電話をスピーカーモードにして応対する。
『良かった繋がった、歌姫先生今みんなを家入さんのとこに運んでるんだけど他に何かしておいたほうがいい?』
「いや家入のとこにいるなら動かないほうがいい、残りの生徒は歌姫が回収する。」
『一先生?歌姫先生といっしょにいるの、今東堂くん達が特級呪霊と戦ってるから早く向かってあげて。』
「わかってる、今向かって...歌姫!」
西宮の言葉に応えようとした所で得物を振りかぶる人の影を視界の端に捉え回避を促す。
俺に言われるまでもなく相手の姿を捉えていたのか歌姫は相手の攻撃を難なく回避した。
「あれ〜、絶対切ったって思ったのにな〜」
金髪ロン毛の呪詛師、楽厳寺学長に任せた奴の仲間だろうか
「ナニナニ〜男女二人でデート中?嫉妬しちゃうじゃんkッ」
先手必勝
敵を前にしてなお話し続けようとする相手の隙を見て攻撃を仕掛ける
呪詛師の顎を下から殴り飛ばし、浮いた相手の体をそのまま蹴り飛ばし壁にぶつける。
「倒した?」
「いや、感触がおかしかった、まだ意識があるかもしれん。」
妙な感覚、初撃の手応えが薄かった、蹴りの方はしっかり入ったのだが
確認のために呪詛師に近づき髪の毛を持ち上げ顔を確認する。
しかしその懸念とは裏腹に呪詛師の意識はしっかりと刈り取られていた
「!、こいつ目の紋様が全部なくなってやがる。」
なるほどこいつの術式はおそらく目の下の紋様の本数もしくはその出力の分だけ致命傷を避けられるという術式なのだろう
初撃の顎への攻撃でほとんど使い切り二撃目を防げなかったってことか
「歌姫こいつ今のうちに拘束しといてくれ、俺は東堂たちの方に...」
「帷が上がった!?」
呪詛師を瞬殺し東堂たちのもとに向かおうとしたところで帷が上がった。
そしてその上空には五条悟が佇んでいた。