東家の人々。と、その周辺   作:時葉花音

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気分転換に書き始めたら出来てたので投稿してみます。手慰みで作ったものですが面白ければ幸いです。


お前の制服も、ワイの身体も、まだ穢れを知らん、清いマンまなんやー!!

 ・・・、ふああ、眠い。

 

 起きると空は茜色に染まっていた。朝焼けではない。夕方だ。

 徹夜して完成させた原稿を印刷所に入稿したら、そのまま机で寝落ちしてしまっていた。

 

ブルルッ!

 

 寝ている間に膀胱に尿が溜まっていた。もう、ダムが決壊しそうだ。我慢が出来そうにない。

 急いでトイレまでの廊下を走る。

 

(ワイも、もう歳かの・・・)

 

 と、40代のおっさんになった自分に少しへこむ。

 便器の前に仁王立ちし、ズボンを下げて用を足した。

 

ジョロロッ

 

(ん〜、エクスタシ〜!)

 

 力を抜くといつものように解放感が来た。

 

「ん・・・・・!?」

 

 が、スッキリすると思いきや、足元に別の不快な感触を感じる。

 

(なんや生暖いような・・・)

 

 そーっと下をみると、なんかデカい水たまりが出来ていた。

 

(ワッツ?どう言うことだってばよ?)

 

 そしてまた違和感を感じた。長年の相棒の姿が見当たらない。かわりに二つのたわわな山脈が見えた。

 

(おかしい、ワイはまだ寝ぼけとるんか)

 

 そして気付く。

 おしっこは我が息子からではなく、股の付け根から出ていることに。

 水溜まりは太腿を伝って床に流れたおしっこだった。

 

(ワイの人生でおっぱいを生で見下ろすンは原稿の中以外ではない。ほなまさか···)

 

 急いで洗面台の鏡の前に立つと自分の姿を見た。

 そこには40代のおっさんではなく、二次元美少女もかくやの綺麗な銀髪を腰まで垂らした女の子が映っていた。

 

(何やこの銀髪ロリ巨乳は!?めっちゃ美少女!めっちゃ推せる!!)

 

 まだ夢の中と思って狂気乱舞していると、

 

「誰だー!トイレと廊下にしょんべんまき散らしたヤツは!?そういうプレイは原稿かロムの中だけでしろ!」

 

 後ろで妻の怒声が響いた。

 

「ひいっ!」

 

犯人を追いかけて洗面所に妻が入ってくる。

 

「めちゃ・・・スコ・・」

 

 妻、東輝夜(アズマカグヤ)は思わず恍惚とした表情を浮かべて目の前の人物を見た。

 そこには夫、東命(アズマミコト)ではく、おしっこを漏らした銀髪の美少女が怯えた表情でヘタリこんでいた。

 

 ◆

 

「これはTS症候群ですな」

 

 神様はこの少子化と不景気で絶望的な世の中に一つの施しを授けてくれたらしい。

目の前の町医者が言うには1億人に1人に与えられる施しだそうだ。

 

 いきなり身体が変わってしまった命は、互いしか知らないプロポーズの言葉で夫婦の確認をした。本人証明が終わるとすぐに通院の準備をし、家にいた娘と息子に事情を説明して行きつけの病院に行った。

 精密検査をしたが特に異常はなく、至って健康体だそうだ。極めて珍しい症例らしいので、定期的に検診をしてほしいと言われ何事もなく帰宅した。

 

「というわけでアナタ、折角だから女性としての生き方を私が伝授したあげるわ」

「お、おう」

 

 そんな神に祝福された夫(メス)は自室で妻に詰め寄られていた。手にブラジャーを持って。

 

「フフ、資料用に大きめのブラを買っておいて良かったわね」

 

 彼ら夫婦は同人作家をしている。もちろん、叡智で薄い本の方だ!最近、紙の値段が上がって大変だが、何とかやっている。

 

「さあ、あなた。両手を大きく上に上げて」

「そんなモン自分で着けれるわ」

「ブラを舐めるじゃないわよアナタ。知識と実際にやるのとでは全然違うわ」

 

「なんやと?」

 

 迫真の表情で輝夜はブラジャーの付け方について力説する

 

「アナタ、ブラを着けた後ちゃんと補整できるの?下手な事してその綺麗なたわわが崩れたらどうするの?」

「ぐぬぬ。実際ブラの経験がないから言い返せん」

「ここは女として先達の私に任せておきなさい」

「なんや、良いように丸め込まれてる感じするけど、ほな頼むわ」

 

 命は渋々ながら手を上げる。輝夜が背中に回り込むと、

 

「大きさだけでなく、形の良いおっぱいね」

 

ムニュッ!

 

「ひゃあ!ちょ、アカン!いきなり揉むなや!」

 

 思わず、両手でたわわな胸を隠そうとするが、輝夜の手が掴んで離さない。

 

「ちょっとした取材よ。大きなおっぱいはどんな感触なのか、描く時の参考にしようと思ってね」

「漫画家が取材て言えば何でも許されると思うなよ!?」

 

 ブラジャーのカップに胸を納めると背中でホックを止める。左右から手を入れ胸の形を整えると完成。命は初めて着けたブラジャーに手を当て着け心地を確認する。

 

「どう、TSして初めてのブラは?」

 

「・・・・なんか安心する」

 

「その言葉が聞きたかったわ!」

 

 夫の答えに思わず笑顔でサムズアップする。

 

「それじゃあ、次はセーラー服いってみようかしら」

 

「おい、待てやコラ!」

 

 妻の暴挙に待ったを掛ける。

 

「それ瑞穂の制服やんけ!?」

 

 輝夜が手にしていたのは娘の高校の制服だった。

 

「流石に娘の制服着る父親は絵面がヤバすぎる。嫌やでワイ。娘から白い目で見られるん」

 

「アナタ」

 

輝夜は真剣な表情で鏡を構えた。

 

「自分を見てどう思う?」

 

命は鏡に映る自分を見つめる。

 

「・・・とっても、美少女です」

 

「あなた言ってたわよね。原稿の中だと二次元美少女を脱がす事ができるって。だから自分は同人作家になったって。結婚する時、私に言ったわよね」

「そ、そんな事あったなぁ・・・」

 

 命の視線が逸れて目が泳ぐ。

 

「今、それを現実に出来るかもしれないのよ」

 

「!?」

 

 その時、命に電流走る。

 

「こんな機会を逃して良いの?」

「・・う」

 

「私が結婚した夫(メス)はみすみすチャンスを逃すような男なの?」

「・ゃう」

 

「あなたは夢を現実にしないの?」

「ちゃう!」

 

「アナタ・・・」

 

 初心を思い出した夫に、妻は感嘆の声を漏らす。

 

「任しとけ!ワイは不可能を可能にする男や!」

 

 命は娘の制服を手にした。

 

 

「さあ、アナタ。ベッドの上で仰向けになって」

「・・・一体なにが起こったんや?」

 

 ありのままに起こった事を話すぜ。気付いたら娘の制服を着て、妻が四つん這いに覆いかぶさっていた。

 

「捕まえたぁ・・・♡」

 

 両手をガッチリホールドされる。

 

「輝夜さん輝夜さん!これはどういったシチュエーションなんですか!?」

「アナタが受けで、私が攻め」

「ワイ男なんやけど!?」

「今はただの女の子よ!」

 

 言うや素早く、命の股の間に輝夜の膝が滑り込んで来た。

 

「ちょ、やめ、股の間に足入れんといて・・・」

 

 足を閉じようとするが輝夜が許さない。ジリジリと股の付け根まで膝が上がっていく。

 

「女の子に変わったから体臭も変化したのね・・・。甘くて良い匂いがするわ!」

「ちょ、首筋はやめ!\\\\」

 

 輝夜は命の首に頭を埋めると大きく息をした。顔を真っ赤にする夫を嗜虐的な笑みで見つめている。逃げれないよう抑える両手に力を加える。

 

「ふふ、それじゃあ、次は制服がはだけたらどんな形になるのか。やってみましょうか?」

「え、ちょ待っ!」

「素晴らしい作品を作る為よ!大丈夫!天井の染みを数えてるうちに終わるわ!」

「え、あああああぁぁぁ・・・・ふあぁ・・!」

 

(まさかワイの方が脱がされる事になるなんて!)

 

    ◆

 

 30分後。そこにはベッドの上で虚でハイライトを失った目をした命が横たわっていた。ハアハアと荒い息を吐きながら、服が乱れてほんのりと汗をかいているが、大事な所は脱げていない。夫の意地として死守した。

 

「ふう、良い資料が取れたわね」

 

 一仕事終えた輝夜はなぜかツヤツヤしていた。決して私利私欲を満たしていたわけではない。あくまで創作活動の一貫である。彼女の中では。

 そこに、

 

 ガチャッ!

 

「お母さーん。私の制服が見当たらないんだけど・・・?」

 

 ドアを開けて娘の瑞穂(ミズホ)が入ってきた。彼女の目にまず入ってきたのは、TSして元の面影を失った父の変わりハてた姿だった。

 

「・・・女の子になってすぐ娘の制服で致すなんて。お父さんは原稿の中と現実も区別出来ない変態さんだったのね」

「ちゃ、ちゃう瑞穂。これは次の漫画の取材であって、誓ってやましい事は・・・」

 

 すぐに起き上がり弁明しようとうる父。だが、よろけて中々立ち上がれない。特に腰のダメージが酷かった。

 

「そうだよね〜。折角かわいい女の子になったんだからエロい事しまくりたいよね〜・・・私の制服汚されちゃった」

 

 部屋から出ていく娘に呼びかける父(メス)。しかし、何故か身体に力が入らず立ち上がることがきない。何故かわからないが!何故か!!

 

「ちゃうんや瑞穂ー!お前の制服も、ワイの身体も、まだ穢れを知らん、清いマンまなんやー!!」

 

 東家に命の絶叫が木霊した。

 

 その日、命の家長としての尊厳は消え失せた。




最後まで読んで頂きありがとうございます。また次が出来たら投稿したいと思います。
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