機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
宇宙世紀 0088 年 2 月 21 日。
グワダンでのジャミトフ暗殺と、それに続くシロッコの権力掌握。
その混乱の裏で、アクシズの影の盾であったヴァーダリア・ゼニス隊は消滅した。
グリプス 2 を巡る攻防は、エゥーゴによる電撃的な包囲網「メールシュトローム作戦」へと発展した。
ゼダンの門という盾を失い、ジャミトフ暗殺の混乱が冷めやらぬティター
ンズ。
そして、その隙を突いて漁夫の利を狙うアクシズ。
三つ巴の戦火は、一人の少年の精神を極限まで研ぎ澄ませていく。
戦場に漂う魂:ヴァーダリア・ゼニス隊の救出
シロッコのジ・O による無慈悲な一撃と、それに続く殲滅。
爆炎の中に消えたはずのヴァーダリア・ゼニス隊のリック・ドム II だったが、その執念は潰えてはいなかった。
ハマーンの影の側近デーモン・ローズ隊は、主の危機を救った同胞を見捨てなかった。
大破し沈黙した黒い残骸の合間をネイブル、クリソス、パプルの 3 機が縫うように進む。
ネイブル・ローゼ(デーモン・ローズ隊)「……いた! ゲネ兄だ。生命維持は……反応がある、嘘でしょ……!生きている! よかったよぉ〜。奇跡だわ(涙)」
クリソス・ローゼ(デーモン・ローズ隊)「こちらもエレン少尉を確保。……酷い損傷だけど、まだ魂は消えていない」
しかし、パプルが発見したランスとヴォルフの機体は、すでに物言わぬ鉄の塊へと成り果てていた。
パプル・ローゼ(デーモン・ローズ隊)「……ランス、ヴォルフ。聞こえる? ……ダメね。二人とも、もう宇宙(そら)へ還っている……。二人の分まで、私たちが……!」
デーモン・ローズ隊のクリソスとパプルはハマーンの護衛に残り、救出されたゲネフェアとエレンは、ネイブルが1人離脱し急ぎトリアイナ総合医療センターへ送られた。
彼らが命を賭して守ったハマーンは、その想いを受け止め、怒りと共に戦場へ戻る。
共鳴と拒絶:カミーユとハマーン
メールシュトローム作戦の陽動として出撃したカミーユの Z ガンダムは、ハマーンのキュベレイと激突した。
バイオセンサーが媒介となり、二人の意識は「意識の海」へと溶け出す。
カミーユ・ビタン「……わかるんだ。あなたの孤独も、シャアへの想いも……! なぜ分かり合おうとしないんだ!」
カミーユが見たのは、かつてシャアの隣で無邪気に笑っていた少女の姿。
それは、現在のハマーンが最も触れられたくない、封印したはずの「弱さ」だった。
ハマーン・カーン「よくもズケズケと人の中に入る! 恥を知れ、俗物!!」
共鳴を「屈辱」と断じたハマーンは、キュベレイのファンネルを全方位に展開。
人の可能性を信じようとしたカミーユの願いは、彼女のプライドと閉ざされた心によって粉砕された。
時代に拒まれた女:暗黒への帰還
カミーユ・ビタン「ハマーン・カーン! わかった! お前は生きていてはいけない人間なんだ!! 暗黒の世界に戻れ!!」
カミーユの叫びと共に、Z ガンダムが超常的な輝きを放つ。
プレッシャーに圧倒されたアクシズ艦隊は、練度の低さを露呈し総崩れとなった。
ハマーンは全艦撤退を余儀なくされ、エゥーゴはグリプス 2 の奪還に成功する。
トリアイナの旗艦グワランは、同盟関係にあるアクシズの凄惨な内情を、静かに、だが重く受け止めていた。
届いた悲報
グワランのブリッジに、デーモン・ローズ隊のクリソスから通信が入る。その声は同僚を失った絶望に震えていた。
クリソス(通信)「……ゲネフェアとエレンを回収しました。ですが、ランスとヴォルフは……ジ・O に……。ヴァーダリアは、もう……」
モニターに映し出された戦闘記録は、旧知の仲であった若者たちが、木星帰りの怪物の前で無惨に散っていく姿を冷酷に伝えていた。
静かなる追悼
指揮官席のアッメールは、深く帽子を被り直し目を閉じた。
かつてジオンの再興を信じ、志を同じくする若者たち。
彼らがトリアイナ(シュテルン・アズール)の所属でなくとも、その死はアッメールの心に深く突き刺さる。
ヌーベル・アッメール「……ランス、ヴォルフ。アクシズの騎士として、見事な最期だったと言ってやるべきなのだろうな。……だが、あまりに早すぎる。未来を創るべき若者が、こうも容易く消えていくとは……」
アッメールの悔恨は、自分の采配への後悔ではなく、「救えるはずの命が救えなかった」という、トリアイナの理念と現実の乖離に対する無力感であった。
コバルト・ガイストの進言
沈痛な面持ちのブリッジに、C・ガイスト隊のディート・ボンが歩み寄る。
彼はアクシズの悲劇を客観的に見据えつつ、トリアイナが今なすべき「実務」を突きつける。
ディート・ボン「将軍、お悔やみは後にしましょう。アクシズの側近連中(ヴァーダリア)がああなった以上、シロッコの勢いは増す。ハマーンを守る盾が薄くなった今、戦場はさらに荒れますぜ」
ディートの視線は、既に「次の犠牲者」を出さないための算段に移っていた。
ディート・ボン「あいつらが命懸けでジ・O を止めた数秒がある。……その隙に、俺たちは俺たちの仕事を遂行する。ゲネフェアから委ねられたエマ・シーンの救出、そして戦域に漂う『トリアイナの資材(命)』の全回収だ。これ以上、アクシズの二の舞を演じるわけにはいかない」
独自の針路アッメールはゆっくりと目を見開く。その瞳には、アクシズへの哀悼と、トリアイナとしての冷徹な意志が同居していた。
ヌーベル・アッメール「……その通りだ。我々はアクシズの兵ではない。だが、彼らが命を賭して繋いだこの混乱を、無駄にはさせん。シェリンカ、ディートに命じろ。これよりトリアイナは独自の救出作戦を展開する。……もう、誰一人として、この無意味な炎に焼かせはせん」
トリアイナは、アクシズとの同盟を維持しつつも、組織の全滅という悲劇を教訓に、より一層「命の回収」へと舵を切る決意を固めた。
アッメールの祈り:シュテルン・アズールの黄昏
グラナダへと進路を取るアクシズ艦隊。
その動向を、トリアイナ(シュテルン・アズール)の旗艦グワランでアッメールが見守っていた。
ヌーベル・アッメール「……ゲネフェアとエレンが救われたか。だが、ランスとヴォルフ……。ジオンの武人が、また二人、礎となったか」
シェリンカ・リーム「将軍、エゥーゴがグリプス 2 を制圧しました。……ですが、これは終わりではなく、さらなる惨劇の序章に過ぎません」
ヌーベル・アッメール「……ああ。カミーユという少年、その魂が削られていく音が聞こえるようだ。シャアよ、貴公はあの若者をどう導く。我らトリアイナは、来るべき新たなジオンの胎動に備えねばならん」
戦士の休息:アーガマの静寂
帰還したカミーユを、シンタとクムが迎える。かつてのホワイトベースと同じように、子供たちの存在が、壊れかけたカミーユの精神を辛うじて繋ぎ止めていた。
カミーユ・ビタン「……トランプか。ああ、わかった。僕の部屋へ行こう」
シャアは、自らの責任を噛みしめるようにカミーユの背中を見送る。
アムロ・レイが辿った地獄の日々を、この少年にだけは味わせたくないという、彼なりの不器用な情愛を抱えながら。
だが、アクシズはすでに月面都市グラナダへの落下コースを取っていた。
宇宙の均衡は、今まさに崩壊しようとしている。