機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
宇宙世紀 0088 年 2 月 21 日。
エゥーゴによる「メールシュトローム作戦」の成功は、グリプス 2 の支配権を奪還した。
しかし、戦域に漂う無数の残骸と消えた命の数々は、勝利という言葉を虚しく響かせていた。
旗艦グワランの深淵
トリアイナ(シュテルン・アズール)の旗艦グワランは、グリプス 2 の射程外、漆黒の宙域に潜むように停泊していた。
ブリッジの空気は、ヴァーダリア・ゼニス隊の悲報を受けて以来、研ぎ澄まされた刃のような緊張感に包まれている。
シェリンカ・リーム「将軍、エゥーゴはグリプス 2 の再稼働を急いでいます。……ですが、シロッコのティターンズ、そして撤退したはずのアクシズも、その残存戦力を再編しつつあります。嵐の前の静けさ……いえ、これは『死の静寂』です」
ヌーベル・アッメール「……ああ。各勢力が、己の全存在を懸けて次の一撃を放とうとしている。……だが、我々トリアイナが成すべきことは変わらん。シェリンカ、シュペーア・シルト隊の展開は」
シェリンカ・リーム「完了しています。……いつでも、歴史の隙間に介入可能です」
託された願い:エマ・シーン回収計画
アッメールの傍らには、トリアイナ総合医療センターへと後送されたゲネフェアが、意識を失う直前に残した暗号通信の断片があった。
そこには、彼がハマーンの側近としてではなく、一人の人間として案じていた名が記されていた。
ヌーベル・アッメール「……エマ・シーン。ゲネフェアがそこまで固執する女性(ひと)か。……旧連邦の良心、か。これからの世界に、彼女のような魂を失わせるわけにはいかん」
アッメールにとって、それは単なる「人材確保」ではない。
戦死したランスとヴォルフが、その命を賭してゲネフェアを、延いてはトリアイナの理念を守ったことへの「報い」でもあった。
コバルト・ガイスト、闇への抜錨
グワランのモビルスーツ・デッキ。
そこには、トリアイナの象徴たるコバルトブルーに塗装され、最新鋭のジェネレーターへと換装されたゲルググ M(マリーネ)たちが、不気味なモノアイを灯して鎮座していた。
ディート・ボン(通信)「……将軍。準備は整いました。……ヴァーダリアのやつらが、あんな無茶をしてまで道を作ってくれたんだ。……俺たちが、その仕上げをしないわけにはいきませんよ」
ディートの声に、かつての戦友たちを想う湿っぽさはない。
しかし、その言葉の裏には、散っていったランスとヴォルフへの、彼なりの不器用な弔いの意志が込められていた。
ヌーベル・アッメール「ディート、無理はするな。……貴公らまで失えば、私はトリアイナの未来を誰に託せばいいのか分からなくなる。……必ず、エマ・シーンを、そして『新しい時代の種』を連れて戻れ」
ディート・ボン「了解(ラジャー)。……コバルト・ガイスト隊、出るぞ! 歴史のゴミ掃除だ!」
ヌーベル・アッメール「……また、送り出すことになるのか」
地上の咆哮、宇宙の胎動
グワランから放たれたコバルトブルーの閃光。
彼らはエゥーゴにもティターンズにも属さぬ「第三の影」として、混迷を極める最終決戦の渦中へと消えていく。
一方、同時刻の地球。
ニューギニアのジャングルでは、宇宙の悲劇を知らぬフィッラとネオガバンが、アムロ・レイと共に、トリアイナのガンダム Mk-II を駆ってティターンズの巨大な影――MA グラン・ロッサを仕留めるための、最終的な包囲網を完成させようとしていた。
宇宙と地上。二つの戦場が、トリアイナという一つの意志によって結ばれようとしている。