機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」〜潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
宇宙世紀 0088 年 2 月 24 日。
グリプス 2 を巡る最終決戦は、エゥーゴの勝利という形で幕を閉じた。
しかし、その代償はあまりにも大きく、地球圏の勢力図はかつてない混迷へと塗り替えられていた。
宇宙の聖域:トリアイナ総合医療センター
戦域を離脱したトリアイナの各部隊は、漆黒の宇宙に浮かぶ巨大な人工の光を目指した。
そこは、広大な工廠を擁するトリアイナ・アセット重工業アクシズ工場のプラントに隣接する「トリアイナ総合医療センター」。
かつてゼナ・ザビを救出した際にも、その最高水準の医療技術で命を繋ぎ止めた、トリアイナの「良心」を象徴する宇宙拠点である。
まず到着したのは、アクシズ内部の抗争を潜り抜けたデーモン・ローズ隊であった。
精鋭の女性隊員たちの手によって、重傷を負った隊長ゲネフェア・ガンガンと、精神と肉体の双方に深い傷を負ったエレン・モルゲン少尉が、工業セクターの専用ドックを経てセンターへと運び込まれた。
続いて、グリプス 2 の崩壊を背にシュテルン・アズールの旗艦グワランがトリアイナ総合医療センターに着艦する。
ディート・ボンらによって「死」という歴史から掠め取られたエマ・シーン中尉が、最新の生命維持カプセルに守られながら、この宇宙の聖域へと届けられた。
運命の同室:目覚めと祈り
センター内の特別療養室。
強化ガラスの向こうには、隣接するトリアイナ・アセット重工業アクシズ工場の巨大なクレーンや、整備中の艦艇が放つ火花が、まるで新たな星が生まれるかのように瞬いている。
室内には、かつて敵対した陣営に身を置いていた三人の戦士が、同じ部屋のベッドに横たわっていた。
誰よりも早く意識を取り戻したのは、エレンであった。
彼女は自身の傷の痛みも顧みず、ふらつく足取りで隣のベッドへと歩み寄る。
そこには静かに、しかし力強く胸を上下させて眠る男、ゲネフェアの姿があった。
エレン・モルゲン「……隊長……。ランスも、ヴォルフも……逝ってしまいました……。でも、私はここにいます。……あなたが目覚めるまで、私はどこへも行きません」
エレンはゲネフェアの無骨な手を握りしめ、静かに涙を流す。
彼女の祈りは、重工業セクターから微かに響く規則的な機械音に混じり、静まり返った病室を満たしていた。
その少し離れたベッドでは、奇跡的に生還したエマ・シーンが、深い昏睡の中で静かに呼吸を繰り返している。
見守る者たち:ヌーベル・アッメールの視線
部屋の入り口には、旗艦グワランから連絡艇で移動してきた艦長ヌーベル・アッメールが、その右腕であるシゲハル・ヨシタカを伴って立っていた。
廊下には、護衛としてディート・ボンらコバルト・ガイスト隊の面々が、静かに、しかし鋭い眼光で周囲を警戒している。
シゲハル・ヨシタカ「……ゲネフェア、バイタルは安定しました。ですが、エマ中尉の方は……バイオセンサーによる精神的負荷が想像以上に深いようです。目覚めても、元の彼女でいられるかどうか」
ヌーベル・アッメール「……ここは、かつてゼナ様を救った場所だ。不思議な縁を感じるな。……我々トリアイナは、歴史の激流からこうして一人、また一人と命を拾い集めている。……それが、我々が中立を貫く理由でもあるのだ」
シゲハル・ヨシタカ「……閣下、そろそろお戻りを。シェリンカから通信が入っています。ハマーンの艦隊が動き始めたとのことです」
地上の凱旋と次なる胎動
一方、遠く離れた地球・ニューギニア。
バイアランを撃破したフィッラとネオガバンは、アムロ・レイと共に、地上の再編を急いでいた。
アムロ・レイ「……宇宙(そら)の光が消えた。だが、それはハマーン・カーンという新たな嵐が吹き荒れる合図だ。……トリアイナは、この混乱期にこそ、守るべきものを明確にしなければならない」
宇宙の拠点(アセット重工業アクシズ工場・総合医療センター)と地上のネットワークが連携し、トリアイナ株式会社は「第二フェーズ」へと移行。戦後混乱期における最大の「命の防波堤」としての機能を確立させていく。
ヌーベル・アッメール「シゲハル、グワランへ戻るぞ。これより我々は次の荒波を渡る。……時代に、我々の意志を刻むぞ」
無重力に近い宇宙の病室。
エレンの祈りに応えるかのように、ゲネフェアの指先が微かに動いた。
そして同時に、隣で眠るエマ・シーンの瞳もまた、琥珀色の光を求めて微かに震え始める。
それは確かに、“新しい時代の鼓動”だった。