機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」〜潜入と暗躍の軌跡〜   作:かりかりもふもふメロンパン

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ここから第一次ネオ・ジオン抗争時代編に入ります。


接触 ―マゼンタの既視感―

機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」〜潜入と暗躍の軌跡〜第一次ネオジオン抗争時代編

 

宇宙世紀 0088 年 2 月末。

 

グリプス戦役の終結から間もない頃。

 

サイド1近傍のジャンク街、シャングリラ。

 

トリアイナの小型連絡艇が、表向きは「民間の部品買い付け」を装って密かに接舷した。

 

乗っていたのは、傷が癒えきらないまま任務に復帰したゲネフェア・ガンガンと、護衛のネイブル・ローゼ、そして情報収集を担当するヴァール・レーベンだった。

 

ゲネフェア・ガンガン「……ここか。シャングリラ。戦後の混乱でジャンクが集まる場所、か」

 

ネイブル・ローゼ「ゲネ兄、本当にここでいいの? 怪しい子供たちが多そうだけど」

 

ゲネフェア・ガンガン「いい。情報源は問わない。……それに、どこかで聞いたような気配がする」

 

ヴァール・レーベン「では、僕は別行動で情報を集めます。この街のジャンク流通経路と、最近のコロニー間の人の動きを。必要なら通信で繋ぎます」

 

ゲネフェアは短く頷いた。

 

ゲネフェア・ガンガン「頼む。目立たないようにな」 

 

ヴァールの情報収集

ヴァールは連絡艇を離れると、作業着に着替えてジャンク街の奥へ溶けていった。

 

彼の目的は明確だった。

一つ、シャングリラを中心としたジャンク・スクラップの流通ルート。

二つ、最近、サイド3やアクシズ方面から流れてきた部品・物資の有無。

三つ、子供の集団(ジュドーたち)がどの程度の情報網を持っているか。

四つ、ネオ・ジオンの影が、すでにこの宙域に伸びていないか。

 

表向きは「買い付けの下見」を装いながら、ヴァールは数軒のジャンク屋と短い会話を重ね、端末にデータをまとめていった。

 

ヴァール・レーベン(内心)「戦後の混乱に乗じて、兵器の残骸がかなり流れ込んでいる。……アクシズ系の部品も、少数だが確認できる。まだ本格的な侵攻の兆候ではないが、予兆はある」

 

さらに、子供たちの噂にも耳を傾けた。

 

孤児A「ジュドーって奴が、最近妙に詳しい部品の話をする」

 

孤児B「マゼンタ髪の静かな子が、なぜかMSの構造を直感的に理解してるらしい」

 

ヴァールは端末に短く記した。

 

『要観察対象:マゼンタ髪の少年。技術的直感が不自然。転生者の可能性は現時点で低めだが、ゲネフェアの反応次第』

 

彼は通信を開き、静かに報告した。

 

ヴァール・レーベン「ゲネフェアさん。流通経路は把握しました。アクシズ方面の部品が少量流入しています。子供たちの集団にも、技術的に不自然な直感を持つ者がいる模様です。……そちらは、どうです」

 

ジャンク屋の少年(ゲネフェア側)

その頃、ゲネフェアは狭い通路で、鮮やかなマゼンタの髪を逆立てた少年と向かい合っていた。

 

ジャンク屋の少年

シャングリラの狭い通路を進むと、少年たちが部品を仕分ける光景が目に入った。

 

ジュドー・アーシタらしき熱血漢が大声を上げ、ロッディが軽口を叩いている。

 

その端で、鮮やかなマゼンタの髪を逆立てた少年が、黙々と工具を手入れしていた。

 

プロイ・ブロタン。

 

彼はふと顔を上げ、ゲネフェアの方を見た。

 

その瞬間、両方の瞳に、同じ「既視感」が走った。

 

プロイ・ブロタン「……あなた、どこかで……」

 

ゲネフェアは数秒、ただ見つめた。

 

記憶の奥から、工場の蛍光灯と、若い後輩の声が蘇る。

 

プロイの手が止まった。

 

工具を落としそうになり、慌てて握り直す。

 

プロイ・ブロタン「……土田、さん……?」

 

周囲の少年たちは「何言ってんだ」と怪訝な顔をしたが、二人の間には、言葉以上のものが通じていた。

 

確認のやり取り

ゲネフェアは周囲を警戒しつつ、声を落として近づいた。

 

ゲネフェア・ガンガン「前世で、同じ会社にいた。……俺は土田だ。お前は平野くんだな」

 

プロイは唇を噛んだ。

 

プロイ・ブロタン「……はい。土田さん。……僕も、死んだはずなんです。なのに、目が覚めたら子供になっていて。……ここが『宇宙世紀』だってわかるまで、時間がかかりました」

 

ゲネフェアの表情が、わずかに硬くなる。

 

ゲネフェア・ガンガン「……お前も、死んだのか」

 

プロイ・ブロタン「はい。2026年です。……土田さんは、それより前に亡くなっていました。会社で、急にいなくなって。……僕は、その後でした」

 

ゲネフェアは静かに目を閉じ、短く息を吐いた。

 

ゲネフェア・ガンガン「そうか。……俺は、お前がどうなったか知らなかった。先にこっちに来ていたからな」

 

プロイ・ブロタン「ガンダムの知識も、残ってます。……『機動戦士ガンダム』から、『ΖΖ』も、『逆襲のシャア』も。……フィクションだったはずなのに、全部本物で。最初は頭がおかしくなりそうでした」

 

ゲネフェア・ガンガン「俺も同じだ。転生した。……会社の同僚だった人間と、ここで合流している」

 

プロイは少し迷うように聞いた。

 

プロイ・ブロタン「……一緒にいた人たち、ですか。僕が知ってる人は……」

 

ゲネフェアは一瞬、言葉を選んだ。

 

ゲネフェア・ガンガン「岩井さんはいる。お前も現場で顔を合わせたことはあるだろう。あと、寺谷もな。少しだけ同じ現場にいたはずだ」

 

プロイの目が一瞬揺れた。

プロイ・ブロタン「寺谷さんも……? 確かに、短期間だけ同じ現場でした。……生きてるんですか」

 

ゲネフェア・ガンガン「生きてる。今は別の名前で、俺たちと動いている。……お前も、一人でここまで来たのか」

 

プロイは少し俯いた。

 

プロイ・ブロタン「ジャンク屋の仲間と生きてます。ジュドーたちです。……でも、この世界が『本物』だってわかってから、ずっと怖いです。この先、どうなるのか、知ってるつもりだから。……この先、大きな戦いが、もうすぐ始まるんですよね」

 

ゲネフェアは静かに頷いた。

 

ゲネフェア・ガンガン「知っているなら、なおさらだ。命を粗末にするな。……俺は今、『ゲネフェア・ガンガン』という名前で生きている。お前は?」

 

プロイ・ブロタン「プロイ・ブロタン、です。……こっちの名前に、もう慣れました。でも、土田さんの声を聞いた瞬間、全部戻ってきました」

 

二人の間に、短い沈黙が落ちる。

 

ゲネフェア・ガンガン「平野。……いや、プロイ。お前は今、ここで生きろ。無理に引っ張ったりはしない。だが、覚えておけ。俺たちは『シュテルン・アズール』だ。トリアイナという組織の影で動いている」

 

プロイ・ブロタン「……シュテルン・アズール」

 

ゲネフェア・ガンガン「いつか、必要になったら声をかける。そのときは、 制服を着てもらうことになるかもしれない。……それまでは、生きろ。仲間を守れ。同じように死んで、ここにいる人間として、それだけは言っておく」

 

プロイは強く頷いた。

 

プロイ・ブロタン「……はい。土田さん。……また、会えますか」

 

ゲネフェア・ガンガン「会う。次は、お前が『こっち側』の人間として、顔を合わせることになる」

 

合流と帰途

短い接触を終えたゲネフェアが連絡艇に戻ると、ヴァールが先に帰還していた。

 

ヴァール・レーベン「情報はまとめました。この街は、戦後のジャンク流通のハブになりつつあります。ネオ・ジオンの本格的な影はまだ薄いですが、予兆はあります」

 

ゲネフェアは静かに頷いた。

 

ゲネフェア・ガンガン「……こちらも、収穫があった。大きな収穫だ」

 

ヴァールは少し首を傾げた。

 

ヴァール・レーベン「あのマゼンタ髪の少年、ですか」

 

ゲネフェア・ガンガン「ああ。後で話す。今はまだ、動かない」

 

ネイブルが心配そうに二人を見たが、ゲネフェアはそれ以上何も言わなかった。

 

連絡艇はシャングリラを離れ、暗礁宙域のグワランへ戻る航路を取った。

 

プロイはツールを握り直しながら、空を見上げていた。

 

プロイ・ブロタン(内心)「……土田さんも、岩井さんも、寺谷さんも、ここにいた。じゃあ、この先の歴史も、本当に起きるんだ。……僕は、どうすればいい」

 

第一次ネオ・ジオン抗争の嵐が本格的に吹き荒れる前に、転生者同士の細い糸と、ヴァールが拾った情報の断片が、静かに積み重なった瞬間だった。

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