機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」〜潜入と暗躍の軌跡〜   作:かりかりもふもふメロンパン

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紺藍の航跡 ―歴史を回収する者たち―

宇宙世紀 0088 年 3 月 1 日。

 

シャングリラでの接触から、数日後。

 

旗艦グワランの作戦会議室に、ゲネフェア・ガンガンは短い報告書を提出していた。

 

フィッラ・ガンガン「……マゼンタ髪の少年か。前世の後輩が、あそこにいたのか」

 

ネオガバン・ガンガン「平野くん、やったな。寺谷とも少し面識があったって話や。……今は動かへん方がええ。ジュドーたちの流れに巻き込まれてから、また声をかけるタイミングを見定めたらどうや」

 

ゲネフェアは静かに頷いた。

 

ゲネフェア・ガンガン「そのつもりだ。無理に引っ張れば、かえって彼の居場所を壊す。……今は『生きろ』と伝えただけだ」

 

ヴァール・レーベンが端末を操作しながら、補足した。

 

ヴァール・レーベン「シャングリラのジャンク流通は、戦後の混乱で活発化しています。アクシズ系の部品も少量流入。ネオ・ジオンの本格的な影はまだ薄いですが、予兆はあります。アーガマが近いうちに寄港する可能性も、情報の端々に見えます」

 

フィッラは腕を組んだ。

 

フィッラ・ガンガン「なら、次の動きだ。ゲネフェア、お前の『カワセミ』を動かせ。言い方は悪いが歴史の表舞台に出る少年たちではなく、その裏側で使えそうな命を拾え」

 

与えられた名、捨てた名

同日、サイド1宙域。

 

漆黒の宇宙に、宝石のような輝きを放つ三つの影があった。

 

鮮やかなターコイズと、闇に溶け込むディープ・ネイビー。

 

その独特な色彩を纏った機体群は、どの勢力の識別信号にも該当しない「不純物」として、静かにサイド1宙域を滑っていた。

 

旗艦グワランから発進した三機の中心、可変モビルアーマー「ギャプラン」のコックピットで、ゲネフェア・ガンガンは無線を開いた。

 

ゲネフェア・ガンガン「……アルセド・ラピス、アルセド・クレスト。聞こえるか。機体の調子はどうだ」

 

マルティナ・ハルシオン「……こちらアルセド・クレスト。驚くほどスムーズです、ゲネフェア隊長。OSの最適化のおかげで、かつての機体よりも『指先』に近い感覚です」

 

落ち着いた、しかしどこか晴れやかな声で応えたのは、マルティナ・ハルシオン。

 

かつてエマ・シーンとして歴史に命を散らすはずだった女性は、今、ゲネフェアから贈られた新しい名と共に、ガンダム Mk-II(10号機)を駆っている。

 

エレン・モルゲン「アルセド・ラピス、エレン・モルゲン! 私の9号機も絶好調です。……この色の機体で飛んでいると、自分が本当に新しく生まれ変わったみたいで、不思議な気分ですね」

 

シロッコの精神的呪縛から解放されたエレンの声には、少女らしい瑞々しさが戻っていた。

 

トリアイナが秘密裏に入手・改修したガンダム Mk-IIのうち、系譜の掉尾を飾る最後の2機が、今この場所に集っていた。

 

ゲネフェアの「大人」としての責任

ゲネフェアは、コンソールに映る二人のバイタルデータを見つめ、口角を上げた。

 

転生者として、この世界の結末を知る「オッサン」である彼にとって、この光景こそが戦う理由だった。

 

ゲネフェア・ガンガン「いいか、二人とも。俺たちの仕事は、敵を殲滅することじゃない。歴史という名の大きな流れから、使い捨てられようとする『価値ある命』を掠め取ることだ。……カワセミが水面から獲物をさらうようにな」

 

部隊名、アルセド・ゼニス。通称カワセミ。

 

それは、失われたヴァーダリア・ゼニスの志と、鋭い一撃で命を救い上げるという決意を、ゲネフェアが込めて命名したものだ。

 

歴史の裏側へ

前方のモニターには、ジャンク屋の少年たちが住まうコロニー「シャングリラ」が、鈍い金属光を放ちながら浮かび上がってきた。

 

そこでは間もなく、ジュドー・アーシタという少年がΖガンダムと出会い、新たな歴史が刻まれようとしている。

 

だが、トリアイナの「カワセミ」が狙うのは、そのドラマの裏側に潜む、歴史の教科書には載らない「不純物」たちだった。

 

ゲネフェアは、シャングリラでの短い再会を思い浮かべた。

 

ゲネフェア・ガンガン(内心)「プロイ……平野。お前は今、あそこにいる。ジュドーたちと一緒に、歴史の表側へ踏み出そうとしている。……俺は、その裏側で、拾える命を拾う」

 

通信を開く。

 

ゲネフェア・ガンガン「……アッメール将軍、シゲハルさん。こちらアルセド・グラディウス。これより目標宙域に潜入する」

 

通信を終えたゲネフェアは、ギャプランの加速レバーを静かに押し込んだ。

 

翡翠の残像が、彗星の尾のように宇宙を切り裂く。

 

ゲネフェア・ガンガン「行くぞ。……まずは景気よく『歴史の遺物』を回収してやるとしよう」

 

この頃のTTI隊。

 

フィッラ26歳、ネオガバン25歳、ゲネフェア24歳、ヴァール24歳、ネイブル21歳となっていた。

 

シャングリラで結ばれた細い糸を、まだ強く引っ張ることはしない。

 

ただ、歴史の裏側で、静かに、しかし確実に、命を回収する航跡が始まろうとしていた。

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