機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」〜潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
宇宙世紀 0088 年。
中古の輸送船を買い占めたゴットンは、それを次々と月面都市グラナダの宇宙港へ落とし、強襲巡洋艦アーガマをいぶり出す作戦に出た。
キャラはその混乱に乗じてアーガマからMSガンダムMk-IIで脱走する。
正体がばれたセシリアはスパイ容疑で死刑になると思い込み、ゴットンから移民船のチケットと金塊を受け取ると、家族と共にグラナダから脱出しようとする。
しかし、ゴットンから渡された金塊は、じつは時限爆弾だった。
セシリアはトーレスに嘘をついたことを悔いて、シャトルとグラナダを守るために時限爆弾ごとMSガ・ゾウムにしがみついた。
命を投げ出して皆を救おうとしたセシリアを、なんとか助けようとMS ΖΖガンダムで戦うジュドーだったが、善戦むなしく彼女はガ・ゾウムもろとも宇宙に散っていった――。
史実では、そう記録される。
カワセミの観察
グラナダ周辺宙域。
ゲネフェアのギャプランを中心に、アルセド・ゼニスの三機が遠距離から戦況を捉えていた。
ゲネフェア・ガンガン「……輸送船反応が連続して落下している。宇宙港方面が混乱しているな」
マルティナ・ハルシオン「アーガマからMk-II反応が脱走しました。宇宙港方面でガ・ゾウムが活発に動いています」
エレン・モルゲン「ΖΖがガ・ゾウムに接近しています。人員反応がガ・ゾウムの足部に付着しています」
ゲネフェアは短く息を吐いた。
ゲネフェア・ガンガン(内心)「……ゴットンが輸送船を落としてアーガマをいぶり出し、キャラが脱走し、セシリアが時限爆弾を抱えてガ・ゾウムにしがみついた。ここからだ」
表向きには、静かに指示を出す。
ゲネフェア・ガンガン「予定通りだ。ネイブル、準備はいいか」
通信の向こうで、短く応答があった。
ネイブル・ローゼ「……ゲネ兄。位置についてるよ」
掠め取り
ゴットンの戦艦に、ガ・ゾウムが帰還しようとしていた。
セシリアは足にしがみつき、震える手で時限爆弾を抱えたまま、目を閉じる。
セシリア『……ごめんなさい、トーレス。私、嘘をついて……でも、せめてこれで……』
その瞬間だった。
艦の影から、黒い影が滑るように接近する。
ネイブルだった。
彼女は一瞬でセシリアに並び、爆弾を強引に取り上げると、背後へ投げ捨てた。
ネイブル・ローゼ「……一緒に来て!」
セシリアが目を見開く暇もなく、ネイブルは彼女を抱きかかえ、ガ・ゾウムから踏み切って戦艦の外へと飛び出した。
その直後。
ゲネフェアのギャプランが、二人の真下に滑り込む。
ゲネフェア・ガンガン「確保した!」
ギャプランの手がネイブルとセシリアを慎重に捉え、機体の影に引き込む。
確保完了とほぼ同時に、投げ捨てられた時限爆弾が爆発した。
閃光と衝撃波がガ・ゾウムと戦艦の一部を飲み込み、セシリアの姿は完全に消失したように見えた。
ジュドーのΖΖが、無力にその爆発を見送る。
ジュドー・アーシタ「……セシリアさん……!」
離脱
ゲネフェアは、二人を確保したまま高速で戦場を離脱した。
マルティナとエレンが即座に索敵を撹乱し、追手を振り切る。
ゲネフェア・ガンガン「ネイブル、セシリアの状態は?」
ネイブル・ローゼ「意識はありますが、ショック状態です。大きな怪我はありません」
ゲネフェア・ガンガン「よし。すぐにグワランへ移送する。セシリアは『爆死』したことになっている。公式記録を覆すな」
ネイブルは短く頷いた。
ネイブル・ローゼ「……了解。私も一旦、グワランへ戻るよ」
ゲネフェア・ガンガン「ああ。後でアルセド・ゼニス隊と一緒に、ハマーンの元へ向かう。今はまず、セシリアをグワランへ」
ネイブル・ローゼ「うん」
遠ざかる糸
爆発の残光が消えていく中、ゲネフェアは一度だけ、シャングリラ方向のセンサーを確認した。
微弱な反応が、廃区画に安定して残っている。
ゲネフェア・ガンガン(内心)「セシリアを掠め取った。ラサラの件も、この先だ」
遠方で、グラナダの宇宙港では輸送船の残骸が煙を上げ、ジュドーはセシリアを救えなかった無力感に沈み、キャラはMk-IIで逃亡を続けていた。
表の物語では、セシリアは宇宙に散った。
しかし、影の物語では、彼女はまだ生きている。
トリアイナのカワセミは、静かにその航跡を変え始めていた。