機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
潜伏期間の終わり
宇宙世紀 0080 年 4 月 1 日。
グワランが極秘ドックで改修を進める傍ら、シュテルン・アズールのクルーたちは新しい体制と旗艦のオペレーションに慣れ始めていた。
しかしフィッラ隊長は、史実の流れを理解しているがゆえに、この静寂が長く続かないことを知っていた。
この頃、エギーユ・デラーズは全艦隊を率いて暗礁宙域へ移動し、後の作戦の要となる繋留基地「茨の園」の設営に入っており、対外的な活動は一時休止状態にあった。
これは、シュテルン・アズールが次の手を打つ絶好の機会だった。
フィッラ・ガンガンは、ブリッジで主要メンバーを前に、今後の戦略を告げた。
フィッラ・ガンガン「デラーズが動かない今こそが好機だ。グワランの改修にはまだ時間がかかるが、俺たちの活動は待てない。ここから先は、『シュテルン・アズール』を三つの流れに分ける。」
彼の言葉に、ネオガバン、ゲネフェア、ディート、ヴァールの顔に緊張が走った。 三叉の槍(トリアイナ)作戦 フィッラは、ボードに三つの目標を書き出し、その役割を説明した。
フィッラ・ガンガン「第一に、我々はデラーズ・フリートとの繋がりを維持しなければならない。デラーズ紛争は、我々が介入できる最大のカオスだ。シュペーア・シルト隊には、茨の園に入り、デラーズ・フリートの傭兵部隊として動いてもらう。」
ディート・ボン「傭兵としてですか。茨の園の設営作業に手を貸しつつ、連中の懐に入り込むわけですね。了解しました、隊長」
ヴァール・レーベン「インディゴブルーの『トゥルム』を冠した俺たちが、連中の懐で矛と盾となる。腕が鳴ります!」
フィッラ・ガンガン「第二、第三に、TTI 隊の本業である隠密潜入作戦だ。これはさらに二手に分かれる」
ネイブル・ローゼが、手を挙げて質問を投げかけた。
ネイブル・ローゼ「フィッラ兄。すみません。一つ質問です。作戦の三つの流れは、全てジオン残党勢力への潜入ですね?なぜ、連邦軍の中枢、例えばティターンズの設立が噂されているグリプスなどに、我々のパイプを作っておかないのですか?」
その最もな指摘に、フィッラから視線を向けられたゲネフェア・ガンガンが答えた。
ゲネフェア・ガンガン「良い質問だね、ネイブル。答えはシンプルだよ。『まだ、俺たちには力がないから』ってこと」
ゲネフェア・ガンガン「連邦の中枢は、あまりにも巨大で、強固な防衛網がある。そこに一気に潜入しようとすれば、必ず全滅する。だからこそ、今はまだジオンの流れをくむデラーズ・フリートとアクシズという、俺たちが動きやすく、かつ俺たちのラル大尉の魂を理解してくれる可能性が高い組織で、力(技術、人員、情報)を蓄えるのが最優先なん
だ」
ゲネフェア・ガンガン「このデラーズと地球連邦軍の戦をうまく乗り切って、俺たちが裏で手に入れた技術と資源をグワランに組み込んだ後、ようやく『連邦に一撃を食らわせて、俺たちの存在を認めさせる』という次の段階に移れる。だから、今はまず、デラーズとアクシズの動向を抑えるのが最大の作戦なんだ」
ネイブルは納得し、深く頭を下げた。
ネイブル・ローゼ「分かりました。失礼しました。アクシズでの任務、心して遂行します」
フィッラ・ガンガン「ネイブル、よく聞いてくれた。そして、この戦略は今を凌いで未来を掴むためのものだ。第二の流れは、俺とネオガバンの任務だ。我々は、ガトーがビッター少将の基地へ入る前に、ビッターの元へ行き、救出作戦の最終打ち合わせを行う。これは、来るべきデラーズ紛争において、最も重要な味方を確保するための布石だ」
ネオガバン・ガンガン「了解や。ビッター救出は、未来の連邦に対するゲリラ活動の足場(ベース)を固めることになる。必ず成功させる」
ゲネフェアとネイブル、アクシズへ
そして、フィッラは最後に、最も困難で長期的な任務を告げた。
フィッラ・ガンガン「第三の流れは、ゲネフェアとネイブル。お前たちには、遥か遠い宙域にあるアクシズへ潜入してもらう。」
フィッラ・ガンガン「アクシズは、将来、宇宙世紀の巨大な勢力となる。我々シュテルン・アズールが、連邦にもジオン残党にも依存しない真の『第三極』として生き残るためには、その中枢にパイプを築き、技術や情報を入手する必要がある。」
フィッラ・ガンガンは、厳しい表情で二人に告げた。
フィッラ・ガンガン「この任務は極めて長期にわたる。数年単位でシュテルン・アズールの本体から離れ二人だけで活動することになる。使命であり、最も危険で、孤独な任務だ。だが、未来のため頼めるか。」
ゲネフェア・ガンガンは、一瞬静かに言葉を飲み込んだ。だが、すぐに力強く頷いた。
ゲネフェア・ガンガン「了解!俺の『ブレイク』とネイブルの『スナイプ』が、宇宙の果てのアクシズにラル大尉の魂を刻んでくる。必ず成果を上げてみせる!」
ネイブル・ローゼ「フィッラ兄。私たちならできます。ゲネ兄と二人で、アクシズの情報を全て持ち帰ります。」
ゲネフェアの青写真:アクシズへの道
全員がブリッジを去った後、ゲネフェア・ガンガンは自室に戻り、アクシズでの行動計画を練り始めた。
アクシズ潜入、四つの最重要目標
ゲネフェアは、特に時間的制約のある目標を含め、重要性の高い目標を四つに絞り込んだ。
ミネバの庇護者、ゼナ・ザビの「死」の偽装と救出、そしてスカウト。
ゲネフェア・ガンガン(内心):「一番急がんとあかんのは、これや!ゼナさんや。前世の知識では、彼女は 0081年に亡くなる運命にある。俺たちが介入してその運命を変える!」
ゲネフェア・ガンガン(内心):「秘密裏に接触し、ミネバ様をアクシズに残す形になるが、彼女を『亡くなった』と偽装して救出し、別人としてシュテルン・アズールに迎え入れたい。ゼナはシャアやガルマと同時期に士官学校に在籍していた元優秀な士官候補生。その能力とザビ家直系の信頼性を、俺たちの『第三極』の核として活かす。ミネバはハマーンという強力な後ろ盾を得られるし、ゼナは遠隔で娘をサポートできる。」
指導層とのパイプ確立:マハラジャ、ハマーン・カーンとの接触
「アクシズのトップ、マハラジャ・カーンと将来全権を握るハマーン・カーンと必ずパイプを作らなあかん。彼女たちに『シュテルン・アズール』の存在を認めさせ、協力関係を築くのが最優先や。」
未来のキーマン、シャア・アズナブルとの接触
「そして、最も注意が必要なのが、アクシズに滞在しているはずのシャア・アズナブル、つまりキャスバル兄さんや。必ず接触を図り、我々の真の目的を理解してもらう。」
技術・情報・戦力ソースの確保
「長期潜伏の間、MS の維持と新たな技術情報の入手は必須。アクシズの技術力を吸収し、いつかフィッラたちがグワランと共に合流する時のための戦力ソースも確保せんと。」
ゲネフェアはペンを置き、大きく息を吐いた。
ゲネフェア・ガンガン「よし。ネイブルには苦労かけることになるけど、二人で力を合わせれば必ずできる。これは、俺たちが未来の宇宙世紀に自由なジオンの星(シュテルン・アズール)を輝かせるための、最初の大きな一歩やな!」
別れの忠告と託された主役
ゲネフェアとネイブルの乗る隠密輸送艇が出発準備を終えた頃、ヴァールにネオガバンとゲネフェアが言葉をかけた。
TTI 隊のメンバーとヴァールだけの時、彼らは前世の呼び方を使った。
ネオガバン・ガンガンはヴァールの肩を叩き、真剣な眼差しを向けた。
ネオガバン・ガンガン「寺さん。寺さんが今回、一番の主役になる。俺たちの情報は、0083年のデラーズ紛争が中心やった。そして、その主戦場、茨の園や月、地球圏で動き回るのは、ディート隊長と寺さんたちや」
ネオガバン・ガンガン「デラーズ・フリートは、連邦を相手に正義を振りかざす。だが、その実態は手段を選ばないテロリスト集団や。俺からの忠告やが、デラーズの連中をよく見て、彼らの行動原理を徹底的に分析しろ。連中の真の狙いと戦力の全てを掴んでおく必要がある。お前の情報が、未来の作戦の全てを決める。」
ヴァールは、その言葉の重さを理解し、静かに頷いた。
ヴァール・レーベン「岩井さん、心得ています。僕の『トゥルム・イェーガー』は、ただ戦うだけじゃない。デラーズの懐で、連中の本質と戦力の全てを狩ってきます。」
次に、アクシズへの長旅を控えたゲネフェア・ガンガンが、ヴァールの目線に合わせて語りかけた。
ゲネフェア・ガンガン「寺さん、頼んだで。ディート隊長は武人やから、連中の誇りや義侠心に引きずられやすいかもしれん。寺さんの役目は、冷静な視点を失わへんことや。」
ゲネフェア・ガンガン「連中の『正義』に巻き込まれるな。寺さんは俺たちの『紺碧の星(シュテルン・アズール)』のために、そこにいる。ガトーの活躍を見るのはいい。だが、核兵器が関わる作戦が近づいたら、すぐに隊長に報告し、連邦にもジオン残党にも囚われない『第三極』としての立ち位置を確保してくれ。それが、俺たちがアクシズで活動するための命綱になる。」
ゲネフェアは、ヴァールの同じ歳の一番の親友であり、そして前世の記憶に最も深く頼っていることを知っていた。
ヴァール・レーベン「分かった、つっちー。俺はシュテルン・アズールの旗の下、デラーズ・フリートに潜り込みます。必ず、無事に戻ってきてくださいよ。連絡は取れなくなるが、宇宙のどこかで、僕たちも『アズール』の魂を背負って戦っている」
フィッラ・ガンガン「(全員に向けて)よし。時間だ。各自、任務を開始する。シュテルン・アズールは、今日、初めての実戦行動に出る。必ず生き残って、このグワランで再会するぞ!」
フィッラとネオガバン:キンバライト基地への降下と介入計画
フィッラとネオガバンは、小型の高速潜入艇(コムサイ級)に乗り込み、地球のアフリカ大陸にあるキンバライト基地へと向かっていた。彼らの専用機『アズール・ジャッジメント』と『アズール・ファントム』はグワランに残されている。
フィッラ・ガンガン「ビッター少将を救うための最善の策は、連邦の目から彼の存在を消し去ることだ。そのためには、『ビッター少将は戦死した』という事実をデラーズと連邦の双方に信じ込ませる必要がある。」
ネオガバン・ガンガン「了解や、田村さん。俺たちがデラーズの援軍として基地に入り、ガトーの作戦を成功させた後、ビッター少将が『戦死』するその瞬間に介入するわけやな。最高の欺瞞(デコイ)作戦になるで。」
キンバライト基地、潜入と介入のステップ 二人は、キンバライト基地での行動を以下のステップで入念に話し合った。
極秘潜入とデラーズ・フリートへの合流
MS準備:基地に配備されているザク II F2 型などの残存 MS を調達し、デラーズ側の援軍機として偽装する。
行動: 潜入艇で基地へ降下。ガトーが GP-02A 奪取のために基地へ到着する直前にビッター少将と接触し、極秘裏に協力体制を構築する。そして、デラーズ・フリートの増援として合流したと偽装する。
GP-02A 打ち上げへの協力 行動: デラーズ・フリートの一員として、ガトーの GP-02Aを宇宙へ打ち上げるための HLV 発射支援を行う。この過程で、二人は調達したザク II F2型に乗り込む。
戦闘介入と「戦死」の偽装 行動: GP-02A 発射後、連邦の追撃部隊(アルビオン隊)との戦闘が発生。ビッター少将が GP-01 と戦闘に入り、特攻を仕掛けるその瞬間に、フィッラとネオガバンが搭乗するザク II F2 型が戦闘介入。ビッター少将の乗機を破壊される寸前に機能停止させ、パイロットであるビッター少将のみを緊急脱出させ、確保する。
目的: 英雄的な戦死を遂げたという情報を連邦とデラーズの両方に流し、ビッター少将の生存の事実を隠蔽する。
フィッラ・ガンガン「俺たちが乗るのは、ただのザクだ。だが、そのザクがキンバライトの連邦軍に紺碧の亡霊として戦慄を与えることになる。特攻を仕掛けるビッター少将のザクの動きは完璧に把握しろ。救出タイミングは一瞬だ。」
ネオガバン・ガンガン「了解や、田村さん。ビッター少将は、俺たちが未来の連邦と戦うためにどうしても必要な魂や。彼の最期を、俺たちの手で『救出劇』に変えてみせる。」
二人の目は、地球の重力に縛られながらも、未来を見据えて強く輝いていた。
ヴァール・レーベン:茨の園への航行と覚悟
宇宙世紀 0080 年 4 月。デラーズ・フリートの主力が潜む暗礁宙域、繋留基地「茨の園」へ向かうディート・ボン率いるシュペーア・シルト隊の船内で、ヴァール・レーベンは一人、自室でモニターを見つめていた。
彼の乗機『トゥルム・イェーガー』を含む部隊
の MS は、既にインディゴブルーに再塗装され、傭兵部隊としての体裁を整えていた。 ネオガバンとゲネフェアから託された言葉が、ヴァールの胸に重く響く。
フィッラ、ネオガバン、ゲネフェアという TTI 隊の核となる三兄弟がそれぞれ長期の潜入任務に就き、彼がそのアドバイスをタブレットに受けてデラーズ紛争に臨む。 ヴァールは、自身の役割を改めて整理した。
茨の園での行動指針
ヴァールはビグロを操縦しながら今後の流れを考えていた。
ヴァール・レーベン(内なる声):「僕たちの任務は、矛(シュペーア)と盾(シルト)。そして、何よりもシュテルン・アズールの目となることだ。デラーズ・フリートの連中は武人の集まりだが、それだけじゃない。」
隊の確立とデラーズへの同化(盾)
「ディート隊長は、『トゥルム・コマンド』として連中の信頼を得ることに集中してもらう。僕は、隊のマネジメントと情報収集を担当する。僕たちが『使える傭兵』だと認識させなければ、作戦の中枢に近づけない。」
「ユーリとルカのブルック姉弟を戦闘要員として機能させつつ、『インディゴブルーのシュペーア・シルト隊』をデラーズ・フリートの一角として定着させる」
人脈の構築と情報分析(目)
「岩井さんからは『彼らの行動原理を徹底的に分析しろ』と託された。特に、アナベル・ガトー、シーマ・ガラハウといった重要パイロットや、ニナ・パープルトンのような技術者との接触を図る。連邦軍の情報を先に掴むため、デラーズの連中との間で情報交換のパイプを作りたい」
「『核兵器が関わる作戦が近づいたら、すぐに報告を』というつっちーの忠告が最も重要だ。『星の屑作戦』が近づく気配を察知したら、直ちにディート隊長を説得し、シュテルン・アズールとしての戦闘介入の機会を模索しなければならない」
戦闘介入のタイミング(矛)
「ガトーの活躍を横で見て、僕たちの『シュペーア・シルト』隊の戦闘データと技術を磨く。最終的に、連邦もデラーズも、僕たち『シュペーア・シルト』の力を認めざるを得ない決定的な局面で、ディートさんと共に戦場に介入する。僕たちが動くのは、デラーズの敗北が確定する直前だ。その時こそ、『第三極』として宇宙に名を轟かせるチャンスだ」
ヴァールはビグロのコックピットから、ディートらが搭乗している艦艇を見を見ていた。その目には、単なる傭兵ではない、未来の宇宙を見据える冷静な策略家の光が宿っていた。
ヴァール・レーベン「ディートさん、もうすぐ茨の園に到着します。準備は万端です」
ディート・ボンが通信に応じる。
ディート・ボン「よし。ヴァール、お前は冷静さを失うな。俺は武人として、このデラーズ・フリートで『シュペーア・シルト』の武威を示す。行こう、茨の園へ」
シュペーア・シルト隊は、いよいよ茨の園の内部へ入っていくのであった。