機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
宇宙世紀 0080 年 4 月 20 日。
地球・キンバライト基地。
ノイエン・ビッター少将の計らいにより、フィッラ・ガンガンとネオガバン・ガンガンは、キンバライト基地の奥深く、元々は予備物資用の倉庫だった一室を潜伏拠点として提供された。
彼らは、ビッター少将に提供された連邦の最新情報を整理しつつ、デラーズ・フリートが具体的な動きを見せるまでの長い潜伏期間に備えていた。
基地内での行動は厳しく制限され、二人の時間はデスクワークとシミュレーション、そして互いの故郷の話をすることに費やされていた。
潜伏を始めて数日が経った、ある日の昼下がり。
ネオガバンは、基地の古い資材リストを眺めながら、ふと元の世界でのゲームの話題と、目の前の現実とのリンクに思い至った。
ネオガバン・ガンガン「そういえば……ブルーデスティニーとか一年戦争末期の話やったな……」
フィッラは、端末の光を浴びながら、宇宙世紀の政治構造に関する機密文書を読み込んでいたが、岩井からの声に視線だけを向けた。
フィッラ・ガンガン「どうした、岩井くん。この基地の物資リストに興味があるのか?」
ネオガバン・ガンガン「いや、そうじゃなくて。ふと思ったんすわ。そういえばブルーディスティニーって、一年戦争の末期の北アメリカの話だったよなって。……そういえば、あれですよ!」
ネオガバンは記憶を辿り、確信する。
ネオガバン・ガンガン「田村さん!『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』って知ってます?つっちーがあの設定にめっちゃハマってて、二人で熱く語ってたんすよ!『連邦の極秘技術が暴走するロマンがたまらん』とか言って!」
ネオガバン・ガンガン(岩井)は、身を乗り出した。
ネオガバン・ガンガン(岩井)「せっかく地球にいるんやから、滅茶苦茶遠いですけど、デスティニーシリーズが作られた基地に一度行ってみたいんすよ。その場所の調査も、後のティターンズの動きとか、今後の第三極の活動に役立つかもしれへんし!」
フィッラ・ガンガン(田村)「……ああ、知っているよ。連邦軍のEXAM搭載型MSと、ジオンの特務隊の物語だ。試験が行われたのは、連邦軍の実験施設だったはずだ。君の言う通り、技術的な残滓を探る価値はある。」
フィッラ・ガンガンは、しばし沈黙した。
フィッラ・ガンガン「……わかった。その基地は、連邦軍の秘匿された実験施設だ。我々の任務は潜伏と待機だが、お前の提案は全く無意味ではない。グワランへの連絡ルートを確保した後、潜入艇で極秘偵察の指示を出そう。」
フィッラ・ガンガンはさらに付け加えた。
フィッラ・ガンガン「ただし、連邦のお庭に行くのだ。我々はビッター閣下の協力者という顔で潜伏している。もし連邦と接触するような事態になれば、我々の正体が割れて、閣下の立場まで危うくなる。万が一に備え、我々は偽名を使う。」
そして、フィッラはネオガバンの目を見て、明確な制約を課した。
フィッラ・ガンガン「そして、忘れるな。我々にはタイムリミットがある。『トリアイナ作戦』は、10 月 10 日を期して開始される。我々はその日、遅くともその前日までにはキンバライト基地に戻り、作戦に対処できる態勢を整えておく必要がある。偵察はそれまでに完了させるぞ。」
ネオガバン・ガンガン「偽名、っすか!俺は前に使ったセツナ・ダークパストでいきますわ!」
フィッラ・ガンガンはニヤリと笑った。前世の趣味にちなんだ名前だった。
フィッラ・ガンガン「俺は、そうだな。ヘヴィ・メタだ。いいか、岩井くん。この任務は極秘中の極秘。我々がヘヴィ・メタとセツナ・ダークパストとして北米の施設に近づく。気を引き締めろ。」
(ヘヴィ・メタは前世の田村がヘヴィメタルが好きだったことから来ている。)
ネオガバン・ガンガン「マジっすか!了解です、ヘヴィ・メタ!これは、宇宙世紀のロマンですわ!」
キンバライト基地からの離脱と移動
宇宙世紀 0080 年 4 月 21 日。
フィッラ・ガンガン(ヘヴィ・メタ)とネオガバン・ガンガン(セツナ・ダークパスト)は、ビッター少将から提供された旧式の隠密潜入艇に乗り込み、キンバライト基地を静かに離脱した。
彼らが目指すのは、地球連邦軍の機密施設、北米に存在するブルーディスティニー開発拠点だった。
フィッラ・ガンガン(ヘヴィ・メタ)「グワランへの連絡は完了した。岩井くん、この偵察にかける時間はある方だが何が起こるかわからない。トリアイナ作戦開始日の 10 月 10日には、必ずここに戻るぞ。」
ネオガバン・ガンガン(セツナ・ダークパスト)「了解です、ヘヴィさん!さすがに二週間もあれば、基地の場所は突き止められますわ。」
潜入艇内は静かだったが、二人の胸中は高揚していた。
フィッラ・ガンガン(ヘヴィ・メタ)「今回我々が求めているのは、EXAM システムそのもの、そしてその開発に関わったキーパーソンだ。特に、EXAM の生みの親であるクルスト・モーゼス博士の行方。そして、研究所付近に未だに残っているかもしれない開発技術者の確保だ。」
ネオガバン・ガンガン(セツナ・ダークパスト)「クルスト博士はサイド 5 紛争時に戦死したという情報ですが、もしかしたら連邦が情報を偽っているかもしれませんわね。」
フィッラ・ガンガン(ヘヴィ・メタ)「その可能性もある。だが、我々が追っているのは、EXAM システムのデータと開発技術者だ。最優先は彼らの技術を我々TTI 隊の戦力強化、そして未来の技術開発に組み込むことだ。彼らが地球連邦に与さないことを祈るしかない。」
彼らは、その「青い運命」の残骸と、それに人生をかけた技術者たちを求めて、危険な極秘の地へと向かっていった。
北米の連邦軍実験施設跡地(EXAM研究所)
宇宙世紀 0080 年 4 月 23 日、
早朝。キンバライト基地を離脱してから二日後、フィッラ(ヘヴィ・メタ)とネオガバン(セツナ・ダークパスト)は、連邦軍の厳重なレーダー網を潜り抜け、北米の山間部か寒冷地帯に存在する、ブルーディスティニー開発のための連邦軍実験施設跡地(EXAM 研究所)に到着した。
潜入艇を地形の中に厳重に隠蔽した後、二人は防寒装備に身を包み、雪に埋もれた廃墟へと足を踏み入れた。
フィッラ・ガンガン(ヘヴィ・メタ)「岩井くん、急げ。まずは資料だ。」
二人は連係して施設深部へ潜入し、周りを警戒しながら隠されていたバックアップサーバーから、情報として役に立ちそうなデータや資料を回収した。
これには、EXAM システムの設計に関する初期データや、稼働ログの断片が含まれていた。
ネオガバン・ガンガン(セツナ・ダークパスト)「凄い!残っていた!!まさか本当にデータが残っているなんて。田村さん、データは確保できたよ!!!」
フィッラ・ガンガン(ヘヴィ・メタ)「まさかデータがしっかり取れるとわな!よし、脱出するぞ。次は、研究所関係者の捜索だ。施設内に残っている可能性は低い。周辺の街で情報を集める」
北米の連邦軍実験施設跡地(EXAM 研究所)最寄りの街の宿泊施設
宇宙世紀 0080 年 4 月 23 日深夜。
二人は潜入艇で最寄りの街へ移動し、人目を忍んで情報収集を開始した。
ネオガバンが寂れたバーで現地の情報を聞き込んでいると、一人の若い女性、リーゼ・ブラウニングと名乗る 20 歳の女性と対面を果たした。
フィッラは、より詳しい話を聞き出すため、すぐに街外れの寂れた宿の一室を確保した。 暖炉の火が揺らめく部屋で、リーゼは意を決して自身の経歴を話し始めた。
リーゼ・ブラウニング「…私は、EXAM システムの開発チームの一員でした。クルスト博士の思想と、EXAM の暴走を止められなかった罪悪感から、連邦の監視を逃れながら他の街にも行く手段が無く、今までこの地に潜伏していました」
彼女は、EXAM システムの最終調整と開発に関する重要なデータも持っていることを明かし、「EXAM の悪用を防ぎたい」という強い意思を訴えた。
フィッラ・ガンガン(ヘヴィ・メタ)「リーゼさん、我々はジオン軍でも連邦軍でもない。地球圏の勢力から独立した、第三の組織だ。君のデータと技術力は、我々の未来の機体に不可欠だ。EXAM の悪用を防ぐために、我々と共に来る気はないか?」
リーゼ・ブラウニング「…はい。あなた方の理念が真実ならば。この技術が二度と、誰かの命を奪うための道具にならないように、私も力を貸します。」
こうして、TTI 隊は最大の成果である EXAM システム開発のキーパーソン、リーゼ・ブラウニングを確保した。
キンバライト基地への帰路
宇宙世紀 0080 年 4 月 24 日。
リーゼを確保し、目的のデータと優秀な人材という最大の成果を得たフィッラ・ガンガンとネオガバン・ガンガンは、潜入艇で静かに南下し始めた。
任務は当初の予定よりも早く、完璧な形で完了した。
ネオガバン・ガンガン「これで我々の地球での第一歩は完了だ。トリアイナ作戦に向けた準備が整った。リーゼさん、君のデータは俺達の未来に不可欠だ。」
後部座席で静かに座っていたリーゼは、決意に満ちた顔で頷いた。
ネオガバンの興奮した言葉を聞きながら、フィッラは口元に笑みを浮かべた。
フィッラ・ガンガン「ふと、思ったのだがな、岩井くん。」
ネオガバン・ガンガン「なんすか?」
フィッラ・ガンガン「我々は、前世で『ガンダム』という物語を楽しんでいた。そして今、その作中の重要施設に行って、キーアイテムを手に入れ、キャラを仲間にした。」
フィッラはリーゼには聞こえないよう、ネオガバンにだけニヤリと笑いながら続けた。
フィッラ・ガンガン「これも……聖地巡りというのだろうか(笑)。つっちーにこの話したら、絶対、羨ましがるぞ。」
ネオガバン・ガンガン「間違いない、田村さん!最高の宇宙世紀聖地巡礼ですよ!しかも、戦果付き!つっちーの悔しがる顔が目に浮かびますわ! …って、せっかく北米まで来たんすから、この勢いでオーガスタ基地とか北極基地とか、他も行ってみたかったわ!連邦の技術データ、まだまだ欲しいですわ!」
フィッラ・ガンガン「馬鹿を言え、岩井くん。EXAM研究所跡地と、現役の連邦軍基地では話が違う。連邦軍のオーガスタ基地や、その他の重要拠点は、対空警戒網や NT 研関係の警備が段違いに厳重だ。そこを無傷で潜入・離脱できる保証はない。欲をかいて作戦を破綻させるわけにはいかないだろう。」
ネオガバン・ガンガン「へへっ、冗談ですわ!冗談!わかってますって!俺らの命の方が大切ですからね!」
フィッラ・ガンガン「というか、そもそもこの世界に居るだけで聖地巡りをしているんじゃ?」
ネオガバン「・・・(目を丸くして)。それもそうですね!」
フィッラとネオガバンがお互いに目を合わせ大爆笑をした。
その姿を見て不思議ではあるがリーゼは温かい雰囲気に安らぎを感じていた。
フィッラは、居住スペースをちらりと見て、リーゼに声をかけた。
フィッラ・ガンガン「リーゼさん。まずはキンバライト基地へ戻る。その後、君を我々『シュテルン・アズール』の本拠地、戦艦グワランへ連れて行く。・・・あっ、さっきから話に出ている、つっちーというのは 1 番下の弟のゲネフェアなんだ」
ネオガバン・ガンガン「そうそう、俺たちガンガン家の三兄弟の末っ子ですよ。あいつはとある兵器開発の歴史に異様なほど詳しすぎなんすよ。特に EXAM システムのような秘匿された技術には異常な関心がある。今回、俺たちが EXAMのキーパーソンを連れて帰ったって知ったら…」
フィッラは苦笑しながら肩をすくめた。
フィッラ・ガンガン「間違いなく、彼がグワランへ戻ったら、君の持つデータや、EXAMシステムの開発経緯について猛アタックをかけて、話を聞きたくて仕方ないだろう。彼はその手の歴史的機密情報に異様なほど詳しい。興奮で話が止まらなくなるかもしれないが、合流した際にはどうか頑張ってくれ(笑)」
リーゼは、フィッラとネオガバンの奇妙だが親しみやすいやり取りに、少し戸惑いつつも、彼らの奇抜な行動原理の一端を理解した。
彼女は微笑み、しっかりと返答した。
リーゼ・ブラウニング「…わかりました。クルスト博士以外にも、私の研究に興味を持ってくれる人がいるのは、嬉しいことです。精一杯、彼の猛アタックを受けて立ちます」
二人の楽しげな会話は、リーゼの心に、この新しく過酷な旅路における、かすかな安堵と希望の光を灯した。