機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
宇宙世紀 0080 年 6 月。
アフリカ・キンバライト鉱山基地。
フィッラ・ガンガン、ネオガバン・ガンガン、さらに、切り札となる EXAM システムの設計図を携えた元連邦技術者リーゼ・ブラウニンの三人は、北米からアフリカ大陸の秘密鉱山基地、キンバライト基地へと無事到着した。
この基地は、一年戦争終結後も徹底抗戦を続けるジオン残党の拠点であり、ノイエン・ビッター少将という武人によって率いられていた。
この基地に潜伏できたのは、ビッター少将とフィッラ、ネオガバンが旧知の仲であったためである。
ビッターは個人的な信頼に基づき、彼らの活動を最大限支援する立場にあった。
フィッラ、ネオガバン、リーゼは、基地司令室の執務室で、ビッター少将と対面した。
フィッラ・ガンガン「ビッター少将、ご無沙汰しております。ネオガバンと共に、北米での活動を終え、このキンバライト基地に帰還いたしました。」
ビッター少将「フィッラ、ネオガバン、よく戻った。しかし、そちらの女性は?」
フィッラは、ビッターにリーゼを正式な仲間として紹介した。
フィッラ「ご紹介します。彼女はリーゼ・ブラウニング。北米での活動を通じて我々の思想に共鳴し、行動を共にすることになった、新たな仲間です。今後は、我々の技術顧問として、基地での活動に加わります。」
ビッター少将「ほう。『シュテルン・アズール』に新たな技術者が加わったか。それは頼もしい。ブラウニング技術顧問、ようこそキンバライトへ。ここでは技術も士気も全てが貴重だ。諸君らの尽力に期待する。」
地球上での戦略と秘めたる決意
挨拶を終え、フィッラは今後の地球における 3 年弱の活動計画について、ビッターに説明を始めた。
フィッラ・ガンガン「少将、我々が今後、このキンバライト基地を拠点として地球で果たすべき役割は二つあります。一つはモビルスーツの整備・改修技術の高度化、そしてもう一つは、特殊な索敵・電子戦技術の開発です。」
フィッラ・ガンガン(内心)「デラーズ紛争までの時間は約 3 年。ビッター少将の救出作戦成功に必要な戦力と技術を逆算し、実現可能な目標を優先する。この表向きの計画は、EXAM 隠蔽と、作戦準備のための時間稼ぎだ。」
フィッラは EXAM 技術をビッターが納得する形で提示した。
フィッラ・ガンガン「ブラウニング顧問が携行した技術の中に、パイロットの反応速度を極限まで高め、機体の性能を一時的に限界以上まで引き出すための『革新的な OS(オペレーティングシステム)の基礎理論』があります。我々はこの技術を、ジオンの MS に最適化する研究を、この基地の設備を使って行いたいのです。」
ビッターは興味深そうに頷いた。
ビッター少将「うむ。その『革新的な OS』、大いに期待しよう。連邦のモビルスーツに対抗する切り札になるかもしれんな。研究に必要な便宜は最大限図る。」
フィッラは深く頷いたが、彼の内心は重い決意に満ちていた。
フィッラ・ガンガン「少将、我々の研究は極秘中の極秘となります。技術が未熟な段階で暴走や機密漏洩を防ぐため、研究施設は基地内の最深部に設置し、アクセス権限を厳重に制限させていただきたく思います。」
ノイエン・ビッター「わかった。お前たちの研究がジオン再興に繋がるのであれば、最大限の便宜を図ろう。基地の最深部を好きに使い、必要な人員も配置するがいい。」
ビッターの信頼に満ちた眼差しを受け止め、フィッラは心の中で詫びた。
フィッラ・ガンガン(内心)「ビッター少将…あなたの友情と武人としての誇りに、私は応えなければならない。あなたの運命を変えるには、この 3 年間で戦力を整えるしかない。我々の未来を掴むため、必ずあなたの命を守ってみせる…。」
旗艦グワランへの報告
ビッター少将との挨拶と協議を終えたフィッラたちは、極秘の専用回線を通じて、宇宙のどこかに潜伏している旗艦グワランへ報告を行った。
フィッラ(通信)「こちらキンバライト。シゲハルさん、聞こえるか。」
シゲハル・ヨシタカ(グワラン・通信)『はい、フィッラさん。こちらグワラン。無事な到着、確認しました。』
フィッラ(通信)「ああ。ビッター少将との会談も終わり、我々の活動は承認された。極秘施設の建設も今から開始する。俺とネオガバンとリーゼは基地に残り、技術開発と戦力増強に着手する。」
シゲハル・ヨシタカ(グワラン・通信)『了解いたしました。これで、地球と宇宙、両面での準備が整いますね。ゲネフェアとネイブルの長征組も順調です。』
フィッラ(通信)「わかった。引き続き、グワランは宇宙の監視と情報収集を頼む。特に、デラーズ・フリートや連邦の不穏な動きがあれば、すぐに報告しろ。――我々は未来を変えるために、ここキンバライトで動く。」
通信を終えたフィッラは、ネオガバンとリーゼに目を向けた。
MS 強化計画とリーゼへの協力要請
グワランへの報告を終え、数日が経過した。フィッラとネオガバンは、ビッター少将から与えられた MS-06F-2 ザクⅡ F2 型二機を格納庫の一角で分解し始めていた。
ノーマルのザクでは、彼らが直面する運命の戦いにあまりに心許ない。
フィッラは資料を抱えたリーゼを呼び寄せ、真剣な眼差しで語りかけた。
フィッラ「リーゼさん。グワランへの報告も終わり、極秘施設の準備も始まった。だが、その施設の完成を待つ間にも、我々の戦力増強は待ったなしだ。」
彼はザクのフレームに手を置き、核心を突いた。
フィッラ・ガンガン「後 3 年弱あるとはいえ、我々はビッター少将を救う時、我々は必ず戦わなければならない。試作機のガン――」
その時、隣にいたネオガバンが、フィッラの背中を軽く叩き、図面を広げるフリをして口を挟んだ。
ネオガバン・ガンガン「――フィッラ、落ち着け!連邦の新型は、常にザクを上回る。特にオーガスタ(リーゼがいた連邦の技術拠点)周辺で開発されている機体群は桁が違う。その新型相手に、このザクでは通用しないぞ、という話だ、リーゼさん。」
ネオガバンは言葉を区切ることで、フィッラが具体名を口走るのを寸前で阻止した。
リーゼは一瞬、フィッラの「必ず戦わなければならない」という強い言葉と、ネオガバンの不自然なフォローに戸惑うような表情を見せたが、すぐにプロの顔に戻った。
フィッラ「……すまない、ネオガバンに同意見だ。このザクⅡは、少将の好意だ。しかし、この旧式機を我々が連邦の切り札に対抗できるレベルに引き上げるには、限界がある。我々が求めるのは、あなたが持つ連邦側の技術知識、特に MS のフレームや駆動系の構造、OS の最適化に関するアドバイスだ。EXAM 解析と並行してで構わない。どうか、我々の最高の技術者として、この MS 強化計画に力を貸してほしい。」
リーゼは、フィッラとネオガバンの、未来を変えようとする切迫した決意を理解し、静かに頷いた。彼女の技術が、このザクを未来を掴むための切り札に変える第一歩となるのだ。
極秘基地建設と未来への準備
グワランへの報告と MS 強化計画の始動から数日後、極秘基地の建設準備を本格的に開始した。
この数日の間が空いたのは、ビッター少将から派遣された基地内の技術者や軍人の中から、真の目的を悟られず、かつ絶対的に信頼できる人材をフィッラとネオガバンが厳選し、秘密裏に集めるための時間が必要だったためである。
ノイエン・ビッター少将から提供された全面的な便宜のもと、ビッターの部下たちの中でも選りすぐりの少数精鋭を動員し、秘密裏に地下工事を開始した。
ビッター少将から使用許可を得たキンバライト基地のさらに地下深く、巨大なダイヤモンド採掘鉱山跡地の広大で複雑な地下坑道を利用する。
この地下深くに造られる施設は、地球拠点となり、MS の整備・改修、EXAM の解析と封印、そして極秘の戦力増強に必要な全ての機能を、ビッター救出作戦の決行前までに持たせることを目標としていた。
キンバライトの深い闇の中で、未来の悲劇を変えるための、秘密裏の闘争を始めたのだった。