機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜   作:かりかりもふもふメロンパン

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茨の園への航路と残党からの情報収集

捕虜の確保

宇宙世紀 0080 年 6 月下旬。

 

茨の園への航路

地球上のキンバライト基地でフィッラたちが活動を開始したのと同時期、TTI 隊の別働隊であるシュペーア・シルト隊の小規模艦隊は、デラーズ・フリートの拠点の一つである茨の園(いばらのその)へと向かう航路にあった。

 

小規模艦隊のブリッジは、先ほどの戦闘の余韻が残っていた。

 

シュペーア・シルト隊の四機は、補給艦を狙って接近してきたジオン残党の孤立部隊を、迅速かつ効率的に無力化することに成功していた。

 

ディート・ボン「ユーリ、ヴァール、艦隊は安全宙域へ。ルカは、あの撃墜したリック・ドムの残骸から、パイロットを確保できそうか?」

 

ルカ・ブルック「了解、隊長。コックピットブロックは辛うじて原型を留めています。生存者、います。捕虜として確保します。」

 

シュペーア・シルト隊の戦闘方針は、フィッラの指示により徹底されていた。

 

すなわち、戦闘による消耗を最小限に抑え、可能な限り敵の戦力と情報を回収すること。彼らにとって、連邦軍でもジオン残党でも、戦場とは未来へのピースを拾い集めるための狩場に他ならなかった。

 

残党狩りで得た思わぬ獲物

捕虜の尋問は、艦隊内の小型独房で行われた。

 

ヴァールは、ディートが尋問を終えるまで、静かにその様子を見守っていた。

 

ディート・ボン(尋問)「お前たちが向かっていた宙域、そして残党狩りを続けている理由は?デラーズ・フリートとは関係ないようだが。」

 

捕虜「俺たちはただ、生きるために戦っていただけだ……。ただ、仲間のうち何人かは、茨の園の噂を聞いて、そちらに流れていった。彼らは、そこで『新たな決戦兵器』の開発が進んでいる、と信じていたようだ。あと、アナベル・ガトーが、極秘裏に連邦の情報を持ち出そうと動いているという噂も、上層部で囁かれていた……」

 

その瞬間、隣にいたヴァール・レーベンの目が鋭くなった。

 

ヴァール(内心)「アナベル・ガトー……やはり出てきたか。つっちーの言っていた通りだ。『0081 年に復帰するが、その前から水面下でデラーズ・フリートと繋がっている可能性が高い』と。これはディート隊長が集めるべき情報とは別に、俺が個人的に探るべき情報だ。」

 

ディートは、情報を得て冷静に反応した。

 

ディート・ボン「『新たな決戦兵器』……か。フッ、皆、どこかで起死回生の一発を夢見ている。よし。」

 

彼はすぐさま通信士官に命じた。

 

ディート・ボン「シゲハル艦長代理へ、至急極秘通信を開け。この捕虜から得た情報を全て送る。特に『ガトーの個人的な動き』と『決戦兵器の噂』について、彼の指示を仰ぐ。」

 

シュペーア・シルト隊、作戦会議

シゲハル艦長代理からの指示を待つ間、ディートは艦隊の小会議室にシュペーア・シルト隊のメンバーを招集し、茨の園潜入の最終確認を行った。

 

ディート・ボン「我々の任務は、有能な傭兵部隊としてデラーズ・フリート内部へ潜入し、彼らの信頼を得て足場を築くことだ。戦闘は可能な限り避け、情報収集とシュテルン・アズールの戦力になる人材を見つけることに注力する。」

 

ディートから意見を求められたヴァール・レーベンは、表情を変えずに答えた。

 

ヴァール・レーベン「ディートさん。連邦は一年戦争後、大規模な新型開発計画を進めているはずです。ガトー少佐が連邦の情報を追っているとすれば、それはデラーズ・フリートにとって、連邦に対抗するための決定的な切り札になる可能性が高い。我々も、その情報を得るための動きをしなければ、傭兵として信用は得られないでしょう。」

 

ディートは満足そうに頷き、ヴァールたちの結束は変わらぬことを確認した。

 

ヴァール・レーベン、独自の整理

ディートとの作戦会議が終わり、ヴァールは小会議室に一人残り、ホワイトボードの残された情報を見つめながら、改めて状況を整理していた。

 

彼はゲネフェアから渡された小型のタブレット端末を取り出した。

 

そこには、ガンダムの知識を持たない彼にも理解できるよう、未来の事件に関する「簡易解説データ」がまとめられていた。

 

ディスプレイには、ケリィ・レズナーと彼の MA ヴァル・ヴァロ、そしてアナベル・ガトーの写真が表示されている。

 

ヴァールが特に注視したのは、ケリィの運命に関する「展開分岐点」についての記述だった。

 

ヴァール・レーベン(内心)「(タブレットを見ながら)つっちーから聞かされた通りだ。ケリィ・レズナーの末路は二つある。一つはアニメ版の結末――連邦のガンダムによってヴァル・ヴァロと共に撃破され、英雄的に散る。もう一つは漫画版の結末――ガンダムに追い詰められた時、ガトーが現れて彼を救い、その後のデラーズ・フリートの戦力になる……。」

 

ヴァールは画面をスクロールさせ、ケリィとガトーの関係性に関する記述を読んだ。

 

ヴァール・レーベン(内心)「つっちーは、ケリィとガトーが強い戦友関係にあること、そしてガトーがケリィをデラーズ・フリートへ熱心に誘っていることも言っていた。つまり、ケリィを助けることは、ヴァル・ヴァロの技術を得ることに加え、ガトーという重要人物へのパイプを間接的に作ることに繋がる。シュテルン・アズールにとって、ケリィは単なるMA 乗りではない。彼とガトーの関係性こそ、デラーズ・フリート内部で動くための貴重な『人脈』になる。」

 

彼は、ケリィの運命の分岐点、「ガトーが助ける展開」こそが、最も価値ある結果をもたらすと確信した。

 

ヴァール・レーベン(内心)「僕と同じ MA 乗りであるケリィとの接触は、TTI 隊の戦力増強に不可欠だ。そして、その接触を通じて、ガトー少佐の動向も探る。全ては、フィッラ隊長たちの計画のために」

 

彼は静かにホワイトボードの情報を消し、潜入後の行動計画を密かに練り始めた。

 

グワランのシゲハル(艦長代理)の判断

ディートからの報告を受けたグワランのブリッジ。

 

シゲハル・ヨシタカは、この重大な情報について、独断で動かず、最優先でキンバライト基地のフィッラ隊長へ報告するよう指示を出した。

 

シゲハル・ヨシタカ「通信士!この情報を最優先でキンバライト基地のフィッラ隊長へ送れ。ディート隊長へは、フィッラ隊長からの返答があるまで、潜入を強行せず、警戒態勢を維持するよう指示を出せ」

 

ディート・ボン「了解しました、艦長代理。フィッラ隊長からの指示を待ちます」

 

シュテルン・アズールの未来は、地球の地下深くで始まった建設と、宇宙で二重構造の情報戦を開始しようとするシュペーア・シルト隊の双肩にかかっていた。

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