機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
ダミー会社、取締役への布石
アクシズの秘密ドックに入港を完了したゲネフェアの艦艇は、厳重なセキュリティの中、静かに係留された。
パプル・ローゼとネイブル・ローゼが MS の最終調整や警戒任務に当たっている間、ゲネフェア・ガンガンは艦長室に戻り、入港後の最初の会談の準備をしつつ、最大の懸案事項であるダミー会社の取締役について思考を巡らせた。
ゲネフェア・ガンガン(思考)「『ザク復権計画』は技術的な目処は立つ。問題は、その成果をどう売り込むかだ。連邦、デラーズ、アクシズ、どの勢力にも売るためには、シュテルン・アズールの名前を隠したダミー会社が必須だ。そして、その会社の顔となる取締役が必要だが…。この手の商売に長け、裏社会にも強いパイプを持つ人材は、やはり木星船団から来た者たちの中にいたはずだ。そういえば、シュテルン・アズールへ合流した木星船団グループのリーダー格であるオービットさんが、連れてきた人材の中に、商才に長けた良さげな人物がいたと記憶している。シゲハルさんも彼が連れてきた一人だ。オービットさんは口が固く、グループのリーダーとしての信頼性も高い。彼に相談すれば、適任者を紹介してくれるだろう。シゲハルさんに個人的に連絡を取り、オービットさんと直接話す機会を作ってもらうのが早いだろう。」
ゲネフェアは、艦内ネットワークではなく、『グワラン』と連携するための極秘の長距離通信回線を立ち上げた。
相手は、シュテルン・アズールの旗艦であるグワランの艦長代理を務めるシゲハル・ヨシタカだ。
ゲネフェア・ガンガン「シゲハルさん、個人的な連絡だ。オービットさんと話したい。ダミー会社の件で、相談したい人材がいる。」
シゲハルからの返信を待つ間、ゲネフェアはコンソールに表示されたダミー会社のロゴ案を眺めた。
彼の頭の中では、ザクの強化プランと、それを宇宙世紀に売り捌くための壮大な商売の設計図が既に描かれていた。
応答、そして水面下の連携
ゲネフェアが極秘通信を送って数分後、艦長室のコンソールにシゲハル・ヨシタカからの返信が届いた。
シゲハル・ヨシタカ(通信)「ゲネフェアさん、承知しました。オービットさんは今、茨の園の貨物管理の件で多忙ですが、すぐに極秘回線での通信を手配します。彼も木星船団グループの将来の道筋について考えているところですから、最適なタイミングでしょう。」
シゲハルが通信を終えると、間髪入れずに別の暗号化された回線が繋がった。
相手は、シュテルン・アズールの旗艦『グワラン』から、オービット・クルーグその人だった。
オービット・クルーグ(通信)「ゲネフェアさん。シゲハルから聞きました。ダミー会社の件ですね。私たちが連れてきた人間が、未来のジオン(シュテルン・アズール)を経済面で支えられるなら、本望です。」
ゲネフェアは、アクシズの基地内部という極限られた空間から、グワランにいるオービットと、極秘のビジネス戦略について話し始めた。
ゲネフェアは、計画の概要、必要とされる人材の資質、そして将来的な顧客(連邦、デラーズ、アクシズ)について詳細を説明した。
オービットは、ゲネフェアの要求を静かに聞き終えると、即座に三人の名前を挙げた。
オービット・クルーグ(通信)「なるほど。裏社会のパイプを持ち、強気の交渉ができ、かつ資金管理に長ける人材ですね。私のグループから、この三名が適任でしょう。彼らは木星船団で厳しい利益追求の経験を積んでいます。まず、ナラモ・キブン。彼は桁外れの交渉力を持つ叩き上げの商人です。次に、マルクス・ポーロ。緻密な会計と物流管理の天才です。そして、アルフレッド・クルップ。彼は裏の供給ルートと人脈に優れています。」
役員人選の提案
ゲネフェアは、コンソールに表示された三人のプロフィールをその場ですぐに解析し、彼らの経歴と能力に頷いた。
TTI 隊の主要メンバーである自分たちが技術顧問として隠れる以上、この三人を表の顔として使うのは極めて理に適っている。
ゲネフェアは、すぐに自身の案をオービットと、通信に控えさせていたシゲハルに提示した。
ゲネフェア・ガンガン「ありがとうございます、オービットさん。あなたの推薦に間違いはないでしょう。そこで私の案ですが、この三名に、設立するダミー会社の主要なポストに就いてもらいたい。」
ゲネフェアは具体的に役職を提案した。
社長:ナラモ・キブン
副社長:マルクス・ポーロ と アルフレッド・クルップ
ゲネフェア・ガンガン「ナラモ社長には強引にでも道を切り開いてもらい、マルクス副社長とアルフレッド副社長にはそれを支えてもらいたい。そして、残りの重役や経営に関わる人選は、この三名にすべて任せたい。彼ら自身の信頼できるネットワークで固めてもらう方が、我々が介入するよりも、より強固で独立した組織になるはずです。この案で、シゲハルさん、オービットさん、よろしいでしょうか。」
シゲハルとオービットは、ゲネフェアの大胆な権限委譲の提案に驚きつつも、その合理的かつ現実的な判断に感嘆した。ダミー会社が TTI 隊から独立した経営基盤を持つことこそ、連邦やデラーズ、アクシズの誰にもその素性を悟られないための最良の策だったからだ。
ゲネフェアの案に寄せられた感銘
ゲネフェアの取締役人選と、残りの重役を推薦された三名に一任するという大胆な提案に対し、シゲハル・ヨシタカとオービット・クルーグは、その合理性と深慮遠謀に深く感銘を受けた。
シゲハル・ヨシタカ(通信)「ゲネフェアさん… 見事な判断です。ダミー会社が我々の直接的なコントロール下にない独立した組織となることで、連邦側からの疑いの目を逸らすことができます。ナラモたちに権限を与えることで、彼らも本気でビジネスを拡大しようとするでしょう。異論はありません。」
オービット・クルーグ(通信)「私も同感です、ゲネフェアさん。彼ら三人は元々、自由な裁量のもとで最大の利益を追求することに慣れています。彼らに重役人選まで任せれば、木星船団グループ内の信頼できるネットワークがそのまま会社の基盤になります。この案は、最速かつ最も堅牢な組織を構築するでしょう。」
二人の信頼を得たゲネフェアは、自身の戦略が完全に受け入れられたことに満足し、残るは TTI 隊のリーダーであるフィッラへの報告のみだと考えた。
地上組への最終確認を依頼
ゲネフェアは、アクシズでの行動に入る前に、この最重要戦略であるダミー会社設立を確定させる必要があった。
ゲネフェア・ガンガン「ありがとうございます、オービットさん、シゲハルさん。これで役員人事の方向性は定まった。あとは、フィッラとネオガバンにこの案を伝え、最終的な会社の設立を決めたい。」
ゲネフェア・ガンガン「シゲハルさん、グワランからキンバライト基地にいるフィッラとネオガバンへ、このナラモさんたちの人選案と、残りの重役人選を一任する旨を伝えてほしい。フィッラが承認すれば、すぐにでもの準備に入れる。地上組の状況は把握できていますか?」
シゲハル・ヨシタカ(通信)「もちろんです。フィッラたちからは定期的に極秘連絡が入っています。すぐにこの案件をフィッラさんとネオガバンに伝達し、承認を取り付けます。ゲネフェアさんのアクシズでの活動の開始に間に合わせましょう。」
ゲネフェア・ガンガン「頼みます、シゲハルさん。アクシズ側の技術者との接触はこれからだ。ダミー会社を動かせる状態にしておいてくれ。」
ゲネフェアは通信を切り、窓からアクシズ内部のドックを見下ろした。いよいよ、技術調達と交渉のフェーズが始まろうとしていた。