機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
宇宙世紀 0079 年。一年戦争が勃発し、TTI 隊はドズルの「影の側近」として暗躍を開始した。
この時点で、メンバーの年齢は以下の通りとなっていた。
フィッラ・ガンガン:17 歳、ネオガバン・ガンガン:16 歳、ゲネフェア・ガンガン:15 歳 、ネイブル・ローゼ:12 歳。
転生したオッサンたちは、少年兵として否応なしに戦場の中心へと駆り出されていく。
宇宙から地球へ、特命降下
宇宙世紀 0079 年 10 月 6 日。宇宙要塞ソロモンのドック。
TTI 隊のメンバー、フィッラ、ネオガバン、ゲネフェア、そしてネイブルの 4 人は、自分たちの愛機ザク I の最終点検を終え、ラルのグフと共に降下艇への搭載を待っていた。
彼らの胸中は複雑だった。憧れの地球へ降りられる高揚感と、戦渦の中心へ向かう緊張感、そして何よりも、信頼する上官であるランバ・ラルの張り詰めた空気が伝わってくるからだ。
ラルとハモンがドックに現れた。
ラルの顔は、いつになく厳しい。
ガルマ・ザビの戦死という報が、彼の中の戦士の魂を激しく揺さぶっているのが見て取れた。
ラルは、TTI 隊の 4 人を前に立ち、その口髭を震わせながら低い声で話し始めた。
ランバ・ラル「聞け、お前たち。先程、ドズル閣下より直々の命令を受けた。ガルマ坊やが地球の連邦軍に討たれた。閣下の怒りは天を衝く。我々は、閣下の命により、ガルマ坊やの仇討ちのため、直ちに地球へ降下する」
フィッラは一歩前に出た。
彼には、これが史実で言うところの「左遷」に近い任務であると知っていたが、同時に、ラルが地球で「青い巨星」として活躍する重要な局面であることも理解していた。
フィッラ・ガンガン「ランバ・ラル大尉!我々TTI 隊も、もちろんお供させていただきます!」
ラルはフィッラを鋭い目で見据えた。
ランバ・ラル「当然だ。TTI 隊は俺の小隊だ。そして、お前たちには、より重大な極秘任務がある」
ラルは声を落とし、四人に向けて耳打ちをするように続けた。
ランバ・ラル「我々の任務は、敵の白いモビルスーツが核となる連邦軍の新型兵器、そして『V作戦』と呼ばれるものの全貌を探ることだ。お前たち TTI 隊は、情報収集と特殊工作を主とする。正面からの撃ち合いは、極力避けてよい。奴らの新型の正体を掴み、ドズル閣下に報告しろ。それが、お前たちがガルマ坊やのために、そしてジオンの未来のために果たすべき、最も重要な任務となる」
ネオガバンは、自分のザク I を見上げながら、その鋭敏な感覚でラルの決意を察した。
ネオガバン・ガンガン「新型…『白い悪魔』やね。了解でっせ、大尉。俺らのザク I が、その悪魔の尻尾を掴んだるわ。『ジオンの魂は、腐っとらへんで!』」
ゲネフェア・ガンガン「大尉。俺らのザク I じゃ、新型相手に分が悪すぎます。具体的にどういう手段で情報収集するつもりですか?」
ランバ・ラル「ふむ、いい質問だ、ゲネフェア。正面衝突を避け、潜入、偽装、そして奇襲。お前たちの頭と特殊技能を使う。お前たちは、生粋のモビルスーツ乗りである前に、優秀な工作員だ。ゲリラ戦の心得を忘れるな」
ラルは最後に、ハモンと目を合わせ、TTI 隊の 4 人を一人一人見つめた。その眼差しには、戦場へと送り出す親の愛情が込められていた。
ランバ・ラル「行け!そして、必ず生きて帰ってこい。お前たちは、ドズル閣下の、そして俺の『紺藍の四つ星』だ。この宇宙で俺が拾い上げた命の星々だ。この戦いの流れを、お前たちが変えるのだ!」
フィッラ、ネオガバン、ゲネフェアは、胸を張って敬礼した。
幼いネイブルも、緊張しながらも真剣な面持ちで敬礼する。
TTI 隊は、ラル隊の一員として、ガルマの仇討ちと極秘任務を胸に、地球へと降下する降下艇へと乗り込んだ。
彼らにとって愛する「家族」との、地球での最初で最後の短い時間が始まろうとしていた。
最後の一家団欒
宇宙世紀 0079 年 11 月 3 日。ラルとハモンはソドンの町で、後の「連邦の白い悪魔」となるアムロ・レイと出会う。
同じ日、TTI 隊も含めた一家団欒の食事の中で、4 人はラルに「お父さん」、ハモンに「お母さん」と初めて呼んだ。
呼ばれたラルはハニカミ、ハモンは嬉しそうに微笑み涙ぐんだ。
転生組の 3 人にとって、ラルとハモンは、この世界での新たな「家族」だった。
食事が終わり、簡素な部屋に4人だけの静かな時間が流れた。
フィッラは、震える指を握りしめながら、ようやく口を開いた。
フィッラ・ガンガン「……父さん。次の作戦、俺たちもラル隊と一緒に前線へ出させてくれ」
声が掠れた。
ネオガバンとゲネフェアも、息を詰めてラルを見つめている。
ランバ・ラルは、湯気の立つ茶碗を置くと、ゆっくりと3人を見回した。いつになく真剣な子供たちの表情に、わずかに眉を寄せる。
ランバ・ラル「……どうした、急に。いつもより必死だな」
その一言が、フィッラの胸を抉った。
(知っている。知りすぎている。この先、父さんはホワイトベースに特攻して死ぬ。ハモンさんも……。俺たちがここにいる意味は、これを変えるためだったはずなのに……!)
喉が熱い。
言葉を飲み込んでも、罪悪感が胃の底に重く沈む。
ネオガバン・ガンガン「……親父の力になりたいんや。俺らも、ただ守られるだけじゃ嫌や。戦いたい」
ゲネフェア・ガンガン「……俺らが作戦を成功させて、必ずお父さんたちを基地に帰すよ」
ラルはしばらく沈黙した後、静かに首を横に振った。
ランバ・ラル「馬鹿を言うな。お前たちはまだ子供だ。TTI隊は俺の切り札だ。表舞台で無駄に消耗させるために育てたわけではない」
その声は厳しかったが、どこか優しかった。戦士としての誇りと、父親としての愛情が混じり合った眼差しだった。
フィッラは唇を噛んだ。史実を知っているのに、変えられない無力感が、胸の中で渦を巻いている。
(……ごめん、父さん。俺たちは知ってるのに……変えられない……!)
涙を堪えるので精一杯だった。ネオガバンは拳を震わせ、ゲネフェアは無表情のまま指先を白くなるほど握りしめていた。
ランバ・ラル「任務を遂行しろ。それが、お前たちが俺にしてくれる、唯一の、そして最も重要なことだ」
その言葉が、最後の別れになった。
ラル隊の最後
宇宙世紀 0079 年 11 月 5 日。この日、彼らの「父」ランバ・ラルは、連邦軍強襲揚陸艦ホワイトベースへの単独特攻を敢行する。
史実の知識を持つ転生組も、この無謀な作戦を止められなかった。
ラルは敵艦に肉薄し、ホワイトベースから飛び降りて自爆、壮絶な最期を遂げ、殉職した。
宇宙世紀 0079 年 11 月 6 日。
ラルを失い、悲しみに暮れる中、クラウレ・ハモンは残された TTI 隊を案じながらも、ラル隊の残存兵力と共に敵の追撃隊と交戦し、ラル隊のクラウレ・ハモンもまた、彼の後を追うように命を落とした。
白い悪魔
宇宙世紀 0079 年 11 月 7 日。
オデッサ作戦が始まる。
オデッサ作戦の激戦の中、TTI隊は黒い三連星の支援に回っていた。
荒れ狂う大地を三連星のザクが疾走する。
ジェットストリームアタック——赤い彗星の残光を思わせる高速連携突撃だ。
フィッラ・ガンガン「援護する! ネオ、左翼を抑えろ! ゲネ、右から牽制! ネイブルは後方待機!」
ザクIのコックピットは振動と熱気に満ち、警告音が耳障りだった。
少年の体は限界に近かったが、オッサンの魂が無理やり機体を動かしていた。
三連星が連邦の陣地に突入した瞬間——フィッラの視界に、異様な白い影が飛び込んできた。
フィッラ・ガンガン「……あれ……?」
高速で移動する白いモビルスーツ。
その動きは、ザクとは明らかに次元が違った。
人間の反射神経をそのまま機体に落とし込んだような、滑らかで、凶暴で、予測不能な軌道。
フィッラ・ガンガン「——ガンダム……!」
心臓が激しく鳴った。憧れと恐怖が、頭の中で爆発する。
(あれが……俺たちが何百回も画面越しに見た、あの白い悪魔か……! リアルに動いてる……! なんて綺麗で、なんて恐ろしい……!)
ネオガバン・ガンガン「うわっ……! あれがガンダムか……! 動きが化けもんや……! 俺らが愛したもんが、今、敵として目の前に……胸が熱いのに、腹が冷えるわ……!」
ゲネフェア・ガンガン「……性能差が絶望的だ。黒い三連星でも……勝てない。この距離で視認できただけで、俺たちはもう十分脅威なんだ……」
その直後、ガンダムのビームライフルが閃いた。
近くにいた味方のザクが、胸部を貫かれて爆散する。衝撃波が自機を揺らし、フィッラは歯を食いしばった。
ザクIの左腕に被弾。警告灯が赤く点滅し、機体が悲鳴を上げる。
フィッラ・ガンガン「くそっ……! 動け、動けよ……!」
無力感が全身を包む。
史実を知っていても、ラルもハモンさんも救えなかった。
今、この戦場で、目の前の「伝説」を相手に、自分たちはただの少年兵でしかない。
(俺たちは……本当に、この世界を変えられるのか? それとも、ただの観客のまま、すべてを見届けるしかないのか……?)
悲壮感と興奮、憧れと敵意が混じり合い、3人の胸を激しく掻き乱した。
大切な相棒との別れと出会い、そして旅立ち
オデッサ作戦終盤。フィッラ、ゲネフェア、ネイブルのザク I は、度重なる交戦により、もはや原型を留めないほどに大破した。
辛うじてパイロットは生還したものの、機体の再起は不可能だった。
しかし、ネオガバンのザク I だけは、機体各部に大きなダメージを負いながらも、彼の類まれな操縦技術と幸運によって無事に作戦を乗り切った。
オデッサ作戦後、TTI隊は深い喪失感に包まれていた。
戦場から生還した直後、彼らは基地の片隅で互いに言葉を失っていた。
ラルとハモンの死から、まだ数日しか経っていない。
夜になると、ネイブルが静かに泣き、3人のオッサンたちはその小さな背中を抱きながら、自分たちの無力さを噛みしめていた。
そんなある夜、ドズル・ザビ中将から緊急の通信が入った。
彼らの功績を認め、新たな機体の供与が決定したという。
しかし、フィッラたちは素直に喜べなかった。
新機体が届くまでの数日間、彼らはまるで魂が抜けたように過ごした。
フィッラ・ガンガン「よし。新しい機体が届いたら、宇宙に上がるためにキンバライト基地に向かおう」
ネオガバン・ガンガン「そやな」
ゲネフェア・ガンガン「そうだね・・・新機体が届くまでまだ時間があるから、親父とお袋のお墓とラル隊の仲間たちの追悼碑を建てないか?」
ネイブル・ローゼ「お墓?追悼碑?」
ゲネフェア・ガンガン「そうだよ、ネイブル。亡くなった人を祀るところだよ。家みたいなものかな。」
ネイブル・ローゼ「それ、いいっ♪」
フィッラ・ガンガン「いいね!そうしよう。ランバ・ラルとクラウレ・ハモンと隊の仲間たちのか・・・。どこに建てる?」
ネオガバン・ガンガン「ホンマにいい案やね、建てましょ!場所は・・・どこしましょか?」
ゲネフェア・ガンガン「やっぱり思い出の地だな・・・。」
ネイブル・ローゼ「ソドンの町は?あそこで最後に皆んなでご飯食べて、いっぱいお話したよ!」
フィッラ・ガンガン「ネイブル、いい案だ!ソドンの町の近くに建てよう」
ネオガバン・ガンガン「ネイブル、冴えてんな~」
ゲネフェア・ガンガン「そうと決まれば、ソドンの町へ向かいましょう」
TTI 隊はソドンの町へ向かった。
月明かりだけが頼りのソドンの町外れ。
4人は静かに石を積み上げていた。
ランバ・ラルの愛機グフの破片を墓標の中心に置き、その周りに丁寧に石を重ねる。
簡素な十字架を立て、ネイブルが摘んできた野花をそっと供えた。
フィッラは膝をつき、震える声で呟いた。
フィッラ・ガンガン「……父さん、ハモンさん……本当に、ごめん。俺たちがもっと強ければ……もっと早く動けていれば……」
声が詰まる。
目から熱いものが溢れ、止まらなかった。
ネオガバン・ガンガン「親父……お母さん……俺ら、ずっと迷惑かけてばっかやったよな……。前世でも家族作れへんかったクソオッサンやのに……ここでやっと家族もろうたのに……」
彼は拳で地面を叩き、声を殺して泣いた。京都弁がより強く出ていた。
ゲネフェア・ガンガン「……自分は、いつも淡々と振る舞ってるけど……本当は怖かった。史実を変えられるって思ってたのに……結局、何もできへんかった。ラル大尉……ハモンさん……ありがとう。俺たちを拾ってくれて、家族にしてくれて……」
ゲネフェアの目からも、静かに涙が零れ落ちた。
いつも冷静な彼が、初めて見せる本音だった。
ネイブル・ローゼ「……お父さん……お母さん……もっと一緒にいたかったよ……ネイブル、頑張るから……お兄たちと一緒に、強くなるから……」
幼い声で泣きながら、ネイブルは墓に何度も頭を下げた。
4人は長い間、墓の前で語りかけた。
ラルに教わった戦い方、ハモンに優しくされた日々、家族で過ごした短い食卓の時間……。
涙が枯れるまで、彼らはそこで過ごした。
やがてフィッラがゆっくりと立ち上がり、夜空を見上げた。
フィッラ・ガンガン「……行こう。父さんたちが見守ってくれているはずだ。俺たちは……史実を、絶対に変える」
ネオガバン・ガンガン「……せやな」
ゲネフェア・ガンガン「……ああ」
ネイブル・ローゼ「……うん!」
4人は墓の前で深く頭を下げ、ランバ・ラルとクラウレ・ハモンの魂に誓いを立てた。
基地に戻った。
翌日には、彼らの元に性能を大幅に向上させた機体が届けられていた。
フィッラには、指揮官機にふさわしい高機動型ザク II「アズール・ファントム」。
この高機動型ザク II には地上戦もできるように手を加えられていた。
ネイブルには、最新技術を反映したザク II「アズール・ワスプ」。
ゲネフェアには、ラルへの深い敬意を示すためのグフが与えられた。
ゲネフェアは、このグフを「アズール・ソーン」と名付け、ラルと自分たちの出発点であるザク I の頭部に換装する改良を施した。
これは、ラル隊の「グフ」としてではなく、TTI 隊の「ザク I」の誇りを継ぐ機体として、ゲネフェアの決意を示していた。
アズールという冠名はゲネフェアが TTI 隊の機体に付けようと考え提案した。
唯一、ネオガバンは愛着と修理・改造によって更に自分用に性能上げを維持できることから、長年乗り慣れたザク I の運用を継続した。
この機体には「アズール・サバイブ」と命名した。
4人は新機体を見ながら、今後のことを改めて話し合った。
フィッラ・ガンガン「……これで、また前に進めるな」
ネオガバン・ガンガン「父さんと母さんの分も、ちゃんと背負うで」
ゲネフェア・ガンガン「……ああ。絶対に、史実を変えてみせる」
ネイブル・ローゼ「……うん! みんなで頑張ろう!」
翌朝、彼らは一家団欒の時にランバ・ラルから受け取った書状を胸に、キンバライト基地へと向かうためラル隊の基地を後にした。
新たに手に入れた「アズール」シリーズの機体を背負い、ジオンの影として、そして自らの運命を変えるために。