機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
指導者との謁見
宇宙世紀 0080 年 10 月 1 日。
アクシズ・カーン執務室。
シャア・アズナブルに先導されたゲネフェア・ガンガン、ネイブル・ローゼ、そしてパプル・ローゼの三人は、厳重な警備を通り抜け、アクシズの指導者であるマハラジャ・カーンの執務室へと入室した。
マハラジャ・カーンは、老齢ながらも鋭い目を持つ穏健派の指導者であり、玉座のような巨大なデスクの奥に座っていた。
彼の傍らには、まだあどけなさを残しつつも凛とした雰囲気を持つ、後の実権を握る少女、ハマーン・カーンの姿があった。
ゲネフェアたちは、ジオン軍人としての礼をもって頭を下げた。
マハラジャ・カーン「遥々、木星圏を超え、このアクシズまで。君たちがゼナ様が話されていた者たちか。シャアから話は聞いている。長旅、ご苦労であった。」
ゲネフェアは、シャアが既に自分たちの素性をカーンに伝えていることを察し、落ち着いて答えた。
ゲネフェア・ガンガン「ありがとうございます。ゲネフェア・ガンガンと申します。我々は、アクシズの技術交流と、未来の戦力確保のために参りました。もちろんパイロットととしても、それなりの腕はあると自負しております。」
ゲネフェアに続き、ネイブルとパプルも自己紹介を済ませた。
ネイブル・ローゼ「ネイブル・ローゼです。」
パプル・ローゼ「パプル・ローゼです。」
パプルはマハラジャとハマーンの姿を見て体を震わせながら瞳を潤ませるがマハラジャとハマーンに仕草を勘付かれないよう振る舞った。
ゼナからの伝言
マハラジャ・カーンは、ゲネフェアとネイブルの名前を聞くと、その表情を緩めた。
マハラジャ・カーン「うむ。ゲネフェア、そしてネイブル。その名前は、ゼナ・ザビ様から直々に聞いている。君たちが、我が君ミネバ様を無事にアクシズまで送り届ける道筋を作った功労者だと。」
ゲネフェアとネイブルは、ゼナ様が自分たちのことを覚えていてくれたことに、安堵と感激を覚えた。
パプルは、ゼナの名を聞き、マスクの下で表情を引き締めた。
マハラジャ・カーン「ゼナ様は、君たちがジオン再興のためにアクシズに来る可能性を危惧し、『もし彼らが来たら、身元を詮索せず、手厚く迎えてほしい』と、私に懇願されていたのだ。シャアもその意向を尊重し、優遇措置を取っている。」
ゲネフェア・ガンガン「ゼナ様の、お心遣いに感謝いたします…」
マハラジャ・カーン「さて、シャアから君たちの能力と、技術的な目的は聞いている。しかし、まずはゼナ様に会っていただきたい。」
マハラジャ・カーンは、隣に立つハマーンに視線を送った。
マハラジャ・カーン「ハマーン。彼らをゼナ様の部屋へ通してあげなさい。君たちの技術的な話は、ゼナ様の目線で進める必要があるだろう。」
ハマーン・カーンは静かに頷き、その澄んだ瞳でゲネフェアたちを鋭く見つめた後、退室を促した。
ゲネフェアは、この思わぬ展開に、未来の知識を活用した行動が、いかに強力な後ろ盾を生んだかを実感した。
シャアとハマーンに導かれる形で、ゲネフェアたちはアクシズの生活区画へと向かっていった。
彼らにとって、ゼナ・ザビとの再会は、亡くなる運命にある彼女を救出するという、困難な任務の第一歩となる。
アクシズ・ゼナの私室
マハラジャ・カーンとの謁見を終えたゲネフェア・ガンガン、ネイブル・ローゼ、そしてパプル・ローゼの三人は、シャア・アズナブルとハマーン・カーンに導かれ、ゼナ・ザビの私室へと通された。
ゼナ・ザビの部屋は、豪華ではないが清潔で厳粛な雰囲気があった。
幼いミネバは既に部屋にはいなかったが、ゼナは疲労の色を浮かべつつも、ジオンの旗を背負う者としての気高さを保っていた。
シャアとハマーンは、面会の直前で立ち止まった。
ハマーン・カーン「ゲネフェア・ガンガン。ゼナ様はお疲れだ。面会は短く済ませろ。」
シャア・アズナブル「ゼナ。ゲネフェア・ガンガン、ネイブル・ローゼ、パプル・ローゼの 3 人を連れてきた。」
ゼナ・ザビ「おお!本当か!?ゲネフェアにネイブル。よく来てくれた!」
やつれたゼナ・ザビが出迎えてくれた。
シャアとハマーンが立ち去ると、部屋にはゲネフェア、ネイブル、パプル、そしてゼナの四人だけが残された。
ゼナ・ザビ「(優しく微笑み)よく来てくれました、ゲネフェア。そしてネイブル。貴方たちのおかげで、ミネバは無事です。感謝してもしきれないわ。」
ゲネフェア・ガンガン「ゼナ様。ご無事な姿を拝見でき、光栄です。これも全て、ラル大尉とハモンさんの遺志を継ぐ我々の使命ゆえです。」
ゲネフェアは、ゼナの体調を観察した。前世の知識では、彼女は 0081 年に亡くなる運命にある。残された時間は少ない。
ネイブルは、かつて可愛がってくれたゼナの姿に、思わず涙腺が緩みそうになるが、ゲネフェアに目配せされ、堪えた。
パプル・ローゼは、ゼナの視界に入らないよう、静かにゲネフェアの背後で頭を垂れていた。
彼女はマスクとキャップで瞳や髪の一部以外の顔を隠している。
ゲネフェア・ガンガン(内心)「ゼナ様には、パプルの素性を知られてはならない。そして俺は、ゼナ様を救出しなければならない。」
ゲネフェアは、ゼナの体調について尋ねる。
ゲネフェア・ガンガン「ゼナ様、体調はいかがでしょうか。戦争での心労と長旅の疲れが、まだ残っておられるのでは。」
ゼナ・ザビ「大丈夫よ。ミネバのためにも、弱っているわけにはいかないわ。それで、ゲネフェア。貴方たちが私に会いたいと望んだのは、ただ会いに来ただけではないのでしょ?何か、私にできることがあるのかしら?」
ゲネフェアは、ここぞとばかりに本題に入った。
彼は、ビッター少将の件と同じく、ゼナの武人の魂と、ミネバへの愛情に訴えかける必要があった。
ゲネフェア・ガンガン「はい、ゼナ様。我々がここに参りましたのは、ゼナ様の命を、ミネバ様の未来のために守り抜くためです。そして、私たちが『第三の旗』を掲げる、その中核になっていただきたいのです。」
ゲネフェアは、ゼナの病状が深刻化する未来、そしてアクシズ内でのゼナの権力基盤が弱いことを指摘しつつ、「ゼナ様の死を偽装し、別人としてアクシズを離れ、宇宙のどこかでミネバ様を支える」という、彼の計画を提示した。
ゲネフェア・ガンガン「我々には、ゼナ様が『亡くなられた』という既成事実が必要です。それは、ミネバ様をハマーン様の完全な庇護下に置き、同時にゼナ様ご自身をアクシズ内部の謀略から切り離す、唯一の道です。」
ゼナは、ゲネフェアのあまりにも大胆で、そして現実的な提案に、静かに目を見開いた。
その提案は、娘を守るために、己の存在を捨てるという、母としての究極の選択を迫るものだった。