機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜   作:かりかりもふもふメロンパン

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茨の園の横領者と潜入の深層

作戦前のデラーズ組

宇宙世紀 0080 年 10 月 10 日。

 

デラーズ・フリートの拠点、茨の園・シュペーア・シルト隊艦内。

 

シュペーア・シルト隊の艦艇『ミョルニル』艦内では、ディート・ボン大尉が隊員たちを集めていた。

 

この日、10 月 10 日は、地球のフィッラから極秘の「トリアイナ作戦」開始指令が届いた日だった。

 

ディート・ボン「フィッラからの指示が届いた。今日から我々の活動を本格化させる。まずは、総帥から受けた『秘密ルートでの資材横流し犯の捕縛』指令をこなす。」

 

ディートは、隊員たちの顔を見渡した。

 

ヴァール・レーベン、ユーリ・ブルック、ルカ・ブルックのパイロット陣と、付き人のロード・バルト。

 

全員の瞳には、緊張と任務への集中が宿っていた。

 

ディート・ボン「この横流しは、総帥が言う通り、今後の作戦の準備を遅らせる裏切り行為だ。そして、我々シュペーア・シルト隊にとっては、デラーズ・フリートの深部に食い込むための唯一のチャンスだ。」

 

ヴァール・レーベン「ディートさん。総帥は横流し犯を、内部の裏切り者か連邦の工作員かと疑っておられますが、我々の情報が正しければ…この行為の裏には、より戦略的な意図があるはずです。」

 

ヴァールは静かに、しかし確信をもって続けた。

 

ヴァール・レーベン「横流しを行っているのは、デラーズ総帥が最も信頼を寄せ、『ソロモンの悪夢』として名高いアナベル・ガトー本人、あるいは彼に連なる人物だと推測されます。もしくは、ガトーという存在の影に隠れて、他の者が横領、横流ししている可能性も排除できません。 我々はまだガトー本人の姿を確認できていませんが、デラーズ・フリートの資源を横領、横流ししていると見て間違いありません。」

 

ディートは眉をひそめつつも、ヴァールの情報に信頼を置いた。

 

ディート・ボン「つまり、この裏切り行為は、総帥の指揮を待たず、ガトー自身の『信念』に基づき、作戦の早期実行に向けた、自前の戦力と物資を密かに確保しようとしているのだろう。この横領は、デラーズ総帥のためではなく、ガトー自身の信念のために行われている、ということだな。」

 

ヴァール・レーベン「この任務は、我々にとって二重の目的があります。総帥の信頼を得て、デラーズ・フリート内での地位を確立すること。そして、横流しルートを追うことで、総帥が最も信頼するガトー大尉へ接触する手がかりを得ることです。」

 

英雄の影を追う

宇宙世紀 0080 年 10 月 12 日。

 

深夜。ディートは、部隊に最後の指示を出した。

 

ディート・ボン「行くぞ。シュペーア・シルト隊。デラーズ総帥への忠誠を示し、同時に未来の敵、そして仲間に近づく。作戦開始だ!」

 

ディート、ヴァール、そしてロード・バルトの三名は、偵察用の簡易シャトルに乗り込み、ドライゼ中佐から得たヒントを元に、予備ドック周辺へと向かった。

 

ディート・ボン「ヴァール。監視任務には、お前の『トゥルム・イェーガー』を使え。あれはビグロの残骸を基にしているため、デラーズ・フリートの MS とは形状が大きく異なり、夜間の宙域での隠密行動に適している。」

 

ディートから指令を受けたヴァールは、トゥルム・イェーガーで予備ドックの方向から発せられる微弱なシグナルを追跡していた。

 

その時、予備ドックのハッチがわずかに開き、小型の輸送船が一隻、滑り出してきた。

 

船体はジオン軍の規格外であり、護衛には、一般のザクやリック・ドムではない、高機動型の MS がたった二機ついていた。

 

ヴァール・レーベン(艦隊通信・極秘)「こちらトゥルム・イェーガー。不審な動きを捕捉した。予備ドックより、輸送船一隻と高機動型 MS 二機が発進。これが横流しルートだと見て間違いありません。」

 

ディート・ボン(艦内・通信)「捕捉したな、ヴァール。MS は確認できるか? 無闇に接触するな。情報収集が最優先だ。」

 

ヴァールは、トゥルム・イェーガーのスラスターを調整し、極限まで燃焼音を抑え込みながら、輸送船団の後方を追尾した。

 

船団は、デラーズ・フリートの管理宙域から離脱し、小惑星帯の複雑なデブリフィールドへと侵入した。

 

瞬時の制圧と情報の確保

護衛 MS は不規則な索敵パターンを取り始め、ヴァールの隠密を脅かした。

 

敵 MS の一機が、トゥルム・イェーガーが隠れている巨大な岩塊の影へと猛スピードで接近してきた。

 

ディート・ボン(艦内・通信)「ヴァール、状況はどうだ? 無闇な接触は避けろ!」

 

ヴァール・レーベン(通信)「接触寸前です、ディートさん!ルート情報確保のため、一機を無力化します!」

 

ヴァールは瞬時に決断し、トゥルム・イェーガーの改良型ヒートホークのワイヤー射出機能で、敵 MS のメインスラスターユニットを絡め取り、高電圧でスラスター制御システムを焼き切った。

 

機動力を失った敵 MS は、デブリ帯の中へと漂い始めた。

 

残りの護衛 MS は混乱し、輸送船は速度を上げて逃走ルートへ突入した。

 

この混乱の瞬間こそ、ヴァールの狙いだった。

 

輸送船は警備体制が乱れたため、デラーズ・フリートの公式な暗号通信システムではなく、短距離・高出力の緊急回線で、次のチェックポイントへの航路情報を発信した。

 

ヴァールはトゥルム・イェーガーの高性能センサーを、その短波の緊急通信へと集中させた。

 

通常のデラーズ・フリートの艦艇では、ノイズとしてしか捉えられない極秘の暗号信号を、ヴァールはシュテルン・アズールの解析技術を用いて瞬間的にデコードし、航路座標と、わずかな秘密の識別コードを記録した。

 

ヴァール・レーベン(通信)「ディートさん、こちらトゥルム・イェーガー。護衛 MS 一機を無力化しました。そして、敵の緊急通信からルート座標を確保しました。これ以上の追跡は危険です。直ちに離脱します。」

 

ディート・ボン(艦内・通信)「了解した、ヴァール。よくやった。すぐに帰還せよ。」

 

シュペーア・シルト隊は、デラーズ総帥の任務を果たしつつ、シュテルン・アズールの真の目的である「未来の脅威」への手がかりを、確実な情報として掴み取ったのだった。

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