機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜   作:かりかりもふもふメロンパン

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ルート座標の解析と月の影

識別コード

宇宙世紀 0080 年 10 月 12 日。

 

深夜。

 

横流し輸送船団の追跡任務を終えたヴァール・レーベン少尉が帰還した後、ディート・ボン大尉は艦艇『ミョルニル』の艦長室で、ヴァールと共に確保した航路情報の解析を行っていた。

 

ロード・バルトは艦橋で警戒に当たっている。

 

ヴァールが持ち帰ったデータは、極秘の緊急通信から抜き取られた座標と、短く暗号化された「秘密の識別コード」だった。

 

ディート・ボン「ヴァール、この座標は...デラーズ・フリートの管理宙域を完全に逸脱しているな。太陽系の辺縁、しかし連邦の警戒網からも微妙に外れた宙域だ。こんな場所に一体何がある?」

 

ディートは、純粋な軍事戦略家としての視点から疑問を呈した。資材を隠すにしては遠すぎる。

 

ヴァール・レーベン「ディートさん。この座標は、単なる隠し場所ではありません。この場所に『極秘の製造拠点』あるいは『改修拠点』を築こうとしている可能性が高いです。横流しされている物資は、普通の MS の整備用資材ではなく、高出力のジェネレーターコンポーネン

トや、特殊な推進剤です。」

 

ヴァールは、TTI 隊が持つ未来の知識を、軍事的な推測としてディートに提示した。

 

ヴァール・レーベン「そして、この識別コード...デラーズ総帥の正規の部隊や、シマ艦隊の所属を示すものではありません。これは、ガトー大尉が私的に確保しようとしている戦力、あるいは特定の技術者のために動かされていることを示唆しています。」

 

月面への繋がり

ディートは、ヴァールの分析に鋭く反応した。

 

彼は、ガトー大尉が総帥の命を待たずに独自の戦力増強を図っている可能性を、改めて認識した。

 

ディート・ボン「ガトー大尉は、ドズル閣下の仇を討つという、総帥の悲願を理解している。それを早期に実現するためなら、総帥の資源を『横領』するという汚名を着ることも厭わないか...。だが、これほど大掛かりな資材を動かして、何を造ろうとしている?」

 

ディートは、宙域図を拡大させた。座標の先は、月面都市フォン・ブラウンから微妙に離れた、人の目の届きにくい宙域だった。

 

ディート・ボン「月面...。ヴァール、この座標は、連邦の目が最も集中している月面都市フォン・ブラウンと、地球圏との中間に位置する。ガトーは、連邦が警戒できない場所で、連邦にとって最も痛手となる何かを準備していると見るべきだ。」

 

ディートは、ガトーの背後に月面都市フォン・ブラウンに潜伏する技術者、そして特殊な機体の存在があることを確信した。

 

ヴァール・レーベン「その通りです、大尉。この情報を総帥に報告すれば、我々シュペーア・シルト隊の忠誠心と実力は証明されます。しかし、『ガトー大尉が裏切り者である』と名指しで報告するのは危険です。総帥のガトー大尉への信頼は厚すぎる。」

 

報告の戦略:忠誠と潜入

ディートは、ヴァールの助言を受け、総帥への報告内容を慎重に練った。

 

ディート・ボン「報告は、我々が追跡の結果、『連邦の工作員と手を組んだ、極めて小規模で独立した残党ゲリラが、資材を秘密の改造拠点へ横流ししていた』という形でまとめる。ガトー少佐の名前は伏せる。そして、このルートの掃討と、最終拠点の特定を、我々シュペーア・シルト隊に一任していただこう。」

 

これにより、シュペーア・シルト隊は総帥の信頼を勝ち取りながら、デラーズ・フリートの指揮系統を外れ、シュテルン・アズールの真の目的である月面都市への情報アクセスと技術収集を、合法的に行うための『公式任務』を手に入れることになる。

 

ディート・ボン「この情報さえあれば、総帥は必ず我々に次の任務を与える。ヴァール、お前の情報解析能力が、我々シュテルン・アズールの『三叉の槍』の刃を、最も鋭く研ぎ澄ませたぞ。」

 

忠誠の報告と戦略ルートの獲得

宇宙世紀 0080 年 10 月 13 日。

 

早朝の茨の園・『ミョルニル』艦長室。

 

深夜の追跡任務から帰還したヴァール・レーベン少尉は、ディート・ボン大尉と共に、艦長室で徹夜の解析作業を行っていた。

 

彼らの手元には、横流し輸送船が緊急通信で発した、極秘の航路座標のデータが残されていた。

 

ディート・ボン「やはりな、ヴァール。この座標は、月面都市フォン・ブラウンの管制圏から外れているが、その経済圏から遠くない。これは、資材の隠し場所ではない。月面で活動している特定の技術者のために動かされている物資だと見るべきだ。」

 

ヴァール・レーベン「ディートさん。情報通り、ガトー大尉は『星の屑作戦』に向けて、総帥に無断で戦力増強を急いでいます。この資材は、恐らく高性能なプロトタイプ MS の改修に使われる。我々の真のターゲットは、このルートの先にいる。」

 

ディートは頷き、すでに用意していたデラーズ総帥への報告書を完成させた。

 

ディート・ボン「報告はこうだ。『連邦の新型ジェネレーターや特殊部品を欲する、小型で高練度の残党ゲリラが横流しに関与していた』。ガトー大尉の名前は一切出さない。彼を裏切り者と断定すれば、総帥の信頼を失うリスクがあるからな。」

 

デラーズ総帥への報告

早朝、ディートはドライゼ中佐に連れられ、再びデラーズ総帥の執務室へと向かった。

 

エギーユ・デラーズ「ディート大尉。貴様らが追っていた、資材横流し犯の進展はあったか?」

 

ディート・ボン「はっ。総帥。昨夜、我がシュペーア・シルト隊が追跡の末、横流しに加担していた小型の残党ゲリラの輸送船団を捕捉。護衛 MS を一機無力化し、輸送船が逃走中に発信した極秘の航路情報を確保いたしました。」

 

ディートは、解析結果から作成した、連邦の工作員が関与しているかのような虚偽の報告書を提出した。

 

エギーユ・デラーズ「ほう...小型の残党ゲリラが、この茨の園の物資を狙うか。卑劣な連邦の手先か、あるいは連邦の技術に魂を売った者たちだろう。」

 

総帥の怒りの表情を見て、ディートは決然と進言した。

 

ディート・ボン「総帥。彼らが利用している航路は、太陽系辺縁部で、連邦の支配圏からは外れていますが、我々デラーズ・フリートの管理も及びにくい宙域です。これ以上の調査を正規の艦隊に委ねれば、時間がかかりすぎ、資材は失われます。」

 

ディートは力を込めて訴えた。

 

ディート・ボン「どうか、この横流しルートの掃討と、最終的な拠点の特定、制圧を、我がシュペーア・シルト隊に一任させてください。我が隊の MS は特殊であり、隠密行動と機動性に優れています。小規模な敵拠点の制圧こそ、我々の最も得意とする領域です!」

 

デラーズ総帥は、ディートの真っ直ぐな眼差しと、任務への強い意欲を評価した。

 

総帥は、シュペーア・シルト隊の実力を測りたがっていた。

 

エギーユ・デラーズ「よかろう、ディート大尉。その任務、シュペーア・シルト隊に一任する。この横流しルートを断ち、我が艦隊に忠誠を示せ。この任務を完遂すれば、貴様らの地位は確固たるものとなるだろう。」

 

ディート・ボン「感謝いたします、総帥!必ずや期待にお応えいたします。」

 

ディートは、総帥の信頼を勝ち取り、シュテルン・アズールが真に必要としていた月面宙域への公式なアクセス権を手に入れた。

 

ガトー大尉への接触、そして未来の脅威への介入に向けた、最初の扉が開かれた瞬間だった。

 

月の表玄関と隊員の闘志

宇宙世紀 0081 年 4 月 1 日。

 

ディート・ボン大尉がデラーズ総帥への報告を終え、月面軌道上の重要宙域警備という大任務を勝ち取って帰艦した。

 

『ミョルニル』の艦長室には、ディートの帰りを待つシュペーア・シルト隊のメンバーが揃っていた。

 

ヴァール・レーベン(転生者)、ユーリ・ブルック、ルカ・ブルックの三人のパイロット、そして常にディートの側に控えるロード・バルト(青い狼のマスク姿)だ。

 

ディートが入室すると、全員が即座に立ち上がり、ディートの顔を注視した。

 

ディート・ボン「座ってくれ。総帥への報告は済んだ。我々の作戦は成功したぞ。」

 

ディートの言葉に、艦長室に安堵と静かな興奮が広がった。

 

ユーリ・ブルック「大尉!総帥は、あの横流しルートの掃討を認めてくださったのですね?」

 

ディート・ボン「掃討だけではない、ユーリ。この半年の働きが認められた。総帥から、『月面軌道上の重要宙域の警備任務』を命じられた。」

 

ユーリとルカは目を見開いた。デラーズ・フリートにとって、月面宙域は補給と情報収集の生命線であり、最も信頼できる部隊にしか任されない要衝である。

 

ルカ・ブルック「月面軌道ですか…!これは、我々シュペーア・シルト隊の地位が、デラーズ・フリート内部で確固たるものになった証拠です!」

 

ヴァール・レーベン「(静かに)これで、我々はガトー大尉の影を追うために、正規の任務として月の表玄関へと向かうことができますね、ディートさん。情報通りのルートを辿れる。」

 

ディートは頷き、ヴァールの目を見て確信を共有した。

 

ディート・ボン「その通りだ、ヴァール。そして、ロード・バルト。お前にはこの任務で、艦艇の指揮を正式に頼むことになる。」

 

ロード・バルトは、いつも通り無言で、しかし力強くディートに一礼した。彼は、パイロットではないが、戦況判断能力と艦艇の運用知識に長けており、ディートの側近として厚く信頼されていた。

 

ディート・ボン「これで、我々は月面都市フォン・ブラウン近隣へと向かう、公式の通行証を手に入れたことになる。邦軍の GP 計画に関する情報収集。そしてガトー大尉の真の目的を掴む。これからが、本番だ。」

 

ディートは、月面宙域への出撃準備を命じた。

 

シュテルン・アズールの「三叉の槍」の刃は、今、月を目標に据えた。

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