機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
作戦に向けて
宇宙世紀 0081 年 4 月 1 日。
アクシズ・居住区。
「トリアイナ作戦」開始から約半年。
デラーズ・フリートではディートが月の玄関口を確保し、地球ではフィッラたちがザク復権計画のデータ収集を進めていた。
アクシズ内部でも、ゲネフェアたちの計画は最終局面を迎えていた。
この日、ゲネフェア・ガンガン、ネイブル・ローゼ、そしてパプル・ローゼの三人は、彼らの居住区にある極秘のミーティングルームに集まっていた。
部屋の中央のテーブルには、精巧な紺藍と金色の仮面が置かれていた。
これは、ゲネフェアがデザインした「クリソス・ローゼの仮面」だった。
ゲネフェア・ガンガン「(仮面を眺めながら)ついにこの日が来た。ゼナ様の病状は、もはや待ったなしだ。我々が用意した偽造医療記録に基づけば、公式な『死亡発表』は、亡くなった 5 月 5 日の当日にマハラジャ・カーンによって行われる。」
ネイブル・ローゼ「準備は全て整いました。ID、経歴、ゼナ様の新しい名前、『クリソス・ローゼ』としてのデータも、既に我々の艦艇のメインシステムに組み込んでいます。」
ネイブルは、ゼナの体調を考慮し焦りを感じていた。
パプル・ローゼは、マスクの下で静かに息を飲んだ。
あと数日後、マハラジャやハマーンやシャアを欺くこの作戦の重さを、誰よりも深く感じていたが、表情には出さなかった。
パプル・ローゼ「問題は、ハマーン嬢の警戒です。この半年間、我々が『トリアイナ・アセット重工業』の交渉を円滑に進めるほど、彼女の監視は厳しくなっています。我々の艦艇の出港理由を『物資調達』で押し通せるか。あとシャア大佐の動きも気になります。」
ゲネフェア・ガンガン「大丈夫だ、パプル。彼女の警戒は、俺たちの MS 技術に向けられている。昨晩、俺はハマーンに、『ザクの性能を連邦の試作機レベルまで引き上げるための極秘技術文書』の一部を、交渉の最終段階として提出した。彼女は今、その分析に集中しているはずだ。シャア大佐については要警戒だな。」
ゲネフェアは、ハマーンの気を逸らすためにあえて高性能な情報を餌とし与えたのだ。
ゲネフェア・ガンガン「俺たちがアクシズの技術陣と結んだ契約は、MS 技術の提供であり、決してゼナ様の救出ではない。彼女の関心は『ザク復権計画』と、我々の『トリアイナ・アセット重工業』がもたらすであろう未来の資金力に向けられている。今が最大のチャンスだ。」
ゲネフェアは、目の前の紺藍と金色の仮面を手に取った。
ゲネフェア・ガンガン「ネイブル、パプル。我々は今夜、医療区画へ移動する。ゼナ様を『クリソス・ローゼ』として生まれ変わらせ、ハマーンの視線、シャアの深謀遠慮、そしてアクシズの厳しい監視から、未来の指導者を守り抜く。」
アクシズ組は、最後の難関、ゼナ・ザビの『偽装の死』を演出するための、命がけの行動を開始した。
アクシズ・ゼナの私室
宇宙世紀 0081 年 4 月 2 日。
アクシズ内部は、静かながらも緊迫した空気に包まれていた。
それは、デラーズ・フリートからの連絡、そして 3 月 28 日に到着した新たなジオン残党艦隊の存在によるものだった。
ゲネフェア・ガンガン、ネイブル・ローゼ、パプル・ローゼの三人は、ゼナ・ザビからの呼び出しを受け、再び彼女の私室へと向かっていた。
ゲネフェア・ガンガン(内心)「読み通りとなったが、この時期に他の残党が来てくれたのは、天の助けだ。アクシズの上層部は、新しい顔ぶれの対応と物資割り当てに追われ、俺たち『トリアイナ・アセット重工業』のような既に信頼を勝ち取ったグループへの監視は、劇的に緩んでいる。」
ゼナの部屋に入ると、ゲネフェアはすぐに彼女の体調が限界に来ていることを察した。
しかし、彼女の瞳は、半年前よりも強く輝いていた。
ゼナ・ザビ「来てくれましたね、ゲネフェア。この半年で、貴方たちがマハラジャにも、ハマーンにも深い信頼を築いたことは知っています。貴方たちの『トリアイナ・アセット重工業』という企業体も、アクシズの未来に必要不可欠なものとして認識されている。」
ゲネフェア・ガンガン「ありがとうございます、ゼナ様。全てはミネバ様の未来のために。」
ゼナ・ザビ「今日、貴方たちを呼んだのは、私の最終的な決意を伝えるためです。病の進行は止められません。これ以上延期すれば、脱出の機会を失い、ミネバを危険に晒すことになる。」
ゼナは、ゲネフェアが考案した「クリソス・ローゼ」としての新たな人生を受け入れる覚悟を固めていた。ゼナ・ザビ「貴方の提案通り、私の死を偽装し、ゼナとしてはアクシズを離れます。私の病死は、マハラジャに知らせがいってから、直ぐにマハラジャから公式に発表されるで
しょう。貴方たちの脱出計画の最終実行を命じます。全て、貴方たちに託します。」
ゲネフェア・ガンガン「承知いたしました、ゼナ様。必ずや、クリソス・ローゼとして、未来に繋がる新たな命を繋いでみせます。」
作戦実行のための最終会議
ゼナの部屋から出たゲネフェアは、すぐにネイブルとパプルを艦艇の極秘艦長室に集め、最終会議を行った。
ゲネフェアは、ゼナの病状の深刻化と、公式な死亡公表日までのタイムリミットを前に、最後の指示を出した。
ゲネフェア・ガンガン「聞いてくれ。ゼナ様の最終的な了承は得た。作戦決行は、4 月5 日深夜だ。ゼナ様に倒れていただき、我々が準備している病院スタッフを呼び、救急搬送する。」
ゲネフェアは、この半年間で『トリアイナ・アセット重工業』の設立と並行して進めてきた、秘密裏の準備について明かした。
ゲネフェア・ガンガン「搬送先は、我々が中立宙域に設営中の小惑星基地の近く、『トリアイナ・アセット重工業』の近隣に建てた病院『トリアイナ総合医療センター』だ。」
ネイブルとパプルは、その大胆な計画に息を飲んだ。シュテルン・アズールの「金の盾」が、そのまま「命の盾」として機能することになる。
【トリアイナ総合医療センターの設立経緯】
このトリアイナ総合医療センターはゲネフェアが、ゼナ様救出を唯一の目的として『トリアイナ・アセット重工業』の秘密拠点と同時進行で進めてきたプロジェクトである。
スタッフはアクシズ内で現地調達されており、ゲネフェア自らが面談を重ねて厳選した人材だ。
作戦決行前の段階で、まずはセンター長(ドクター)と看護師長の 2 人。
そしてゲネフェアはセンター長と看護師長の 2 人と共に、各専門医を 1 人ずつと、看護師を 10人を厳選し集めることに成功していた。
彼らは、ゼナの病状の秘密を共有し、偽装工作に全面的に協力する。
ネイブル・ローゼ「ゼナ様には、事前に極度の疲労状態を誘発する薬を投与する必要があります。そして、緊急搬送を装うために、すぐに協力者を得なければなりませんね。彼らはすでに、この病院での偽装工作を承諾しています。」
ゲネフェア・ガンガン「そうだ。トリアイナ総合医療センターのツートップ、医師兼センター長:エミール・シバと、看護師長:フロレンツ・ナハティガルの指示のもと、作戦は実行される。彼らの助けが不可欠だ。」
パプル・ローゼ「問題は、ハマーン嬢の目です。ハマーンは今、提供された『ザク復権計画』の技術文書に集中しているはず。我々がゼナ様を外部の病院へ連れ出すことが、他の残党艦隊の対応で手一杯のマハラジャに悟られなければ、成功する。」
偽装の死へ向けて
ゲネフェアは、この「容態急変と緊急搬送」こそ、ゼナをアクシズ内部の監視から完全に切り離す唯一の方法だと判断していた。
ゲネフェア・ガンガン「そうだ。ゼナ様がトリアイナ総合医療センターで隔離状態に入り、ネイブルが付きっきりで看護に当たる。その間に、『クリソス・ローズ』としての最終的な変装と ID データの組み込みを完了させる。そして、予定通り 5 月 5 日に、ゼナ・ザビの死亡が公表される。この一ヶ月強の猶予が、我々の作戦の全てだ。」
ネイブル・ローゼ「承知いたしました。私がトリアイナ総合医療センターへ同行し、クリソス・ローゼとしての再生を主導します。」
パプル・ローゼは、マスクの下で深く頷いた。
マハラジャとハマーンを欺き、ジオンの過去と未来を賭けた最も危険な謀略の最終実行が、4 月 5 日深夜に始まろうとしていた。