機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
在庫確認
宇宙世紀 0081 年 4 月 2 日。
アフリカ・キンバライト基地。
茨の園でディートたちが月面への公式任務を獲得し、アクシズでゲネフェアがゼナの極秘脱出計画を実行に移したまさにその夜明け前、地球のキンバライト基地でも、重要な局面を迎えていた。
フィッラ・ガンガンとネオガバン・ガンガンは、極秘の MS 開発ドックで、整備士長からの報告を待っていた。
ドックには、これから改修の核となるザク II F2 型が鎮座している。
フィッラとネオガバンが前日に依頼した、基地の残骸置き場と倉庫の徹底的な調査結果が、今、整備士長によってもたらされようとしていた。
整備士長「フィッラ殿、ネオガバン殿。お呼びにより、基地の物資在庫と残骸の調査結果を報告させていただきます。」
整備士長は、汚れの目立つ分厚い報告書を二人に提出した。
フィッラ・ガンガン「お疲れ様です。まず、MMP-80 マシンガンとヒートホークの予備弾薬と予備武器の状態はどうですか? 我々の MS の火力と継戦能力に直結します。」
整備士長「MMP-80 マシンガンについては、幸い、弾薬は十分な数が残っています。しかし、新品同様の機銃本体は数丁のみで、大半が修理を要する状態です。ヒートホークは、ビッター少将の部隊が使用していたものが数本、残骸として回収されています。」
ネオガバン・ガンガン「やはり新品は少ないか。次に、高効率プロペラントタンクや、強化型ジェネレーター部品についてですが。ザク II 改(FZ 型)の部品や、連邦からの鹵獲品で流用可能なものはありましたか?」
ネオガバンが最も知りたいのは、ザクの致命的な欠点である航続距離の短縮を克服するための技術的ヒントだった。
整備士長「それが…残骸置き場の奥、長らく手付かずだったコンテナから、わずかですが興味深いものが発見されました。」
整備士長は、報告書の中の図面を指し示した。
整備士長「FZ 型(ザク II 改)の部品そのものはありませんでしたが、ザク II F2 型のスラスターユニットに、外付けで増設できるプロペラントタンクの試作図面が発見されました。これは一年戦争末期に、ここキンバライト基地の技術班が、F2 型の航続距離を一時的にでも伸ばそうと試みた、極秘の設計図だと考えられます。実物は製造されていません
が、これがあれば、我々の F2 型に、独自の増設タンクを組み込める可能性があります。」
フィッラとネオガバンは、顔を見合わせた。
これは、連邦の EXAM 解析とは別に、ジオンの残党が抱えていた長年の課題を解決する、大きな手がかりだった。
フィッラ・ガンガン「試作図面か…。それは素晴らしい! ネオガバン、FZ 型の設計を参考に、この試作案と、我々の持つ高性能なプロペラント素材の知識を組み合わせれば、F2 型を短時間で運用できる、新たな高機動ザクを造り上げられるぞ!」
ネオガバン・ガンガン「ああ、プロペラント問題に光が見えた。これで、リーゼの OS開発と並行して、機動性の基礎設計を進められる。整備士長、ご苦労だった。この試作図面は、極秘裏にドックに持ち込み、すぐに解析を開始する。」
フィッラは、整備士長に感謝の意を伝え、すぐにドックの奥へと向かった。
フィッラ・ガンガン「これで、『トリアイナ・アセット重工業』の最初の設計案が、キンバライトの砂塵の中から生まれた。ネオガバン、急ぐぞ。ザクを『真の兵器』とするために、次はリーゼに OS 開発の進捗を確認させる。」
二人の転生者によるザク復権計画は、偶然発見された古い設計図によって、具体的な設計フェーズへと移行した。
機体設計会議と EXAM の応用
整備士長から「ザク II F2 型用プロペラントタンクの試作図面」という予想外の貴重な設計情報を受け取ったフィッラ・ガンガンとネオガバン・ガンガンは、その日のうちに技術協力者のリーゼ・ブラウニングを MS 開発ドックに呼び集めた。
ドックの中央では、改修のベースとなるザク II F2 型の機体が照明に照らされ、彼らの興奮を映し出していた。
フィッラ・ガンガン「リーゼさん。朗報だ。ネオガバンの鋭い指摘に基づいて、整備士長が残骸の奥から探し当ててくれた。これを見てくれ。F2 型の航続距離という致命的な弱点を克服する可能性を秘めた、キンバライト基地の極秘試作図面だ。」
フィッラは、古い設計図をリーゼの前に広げた。
リーゼ・ブラウニング「(目を輝かせながら)これは…プロペラントタンクを、メインスラスターの配置に干渉せずに増設する設計ね。非常に巧妙だわ。一年戦争末期のジオンの技術者が、必死に継戦能力を確保しようとしていたのがわかる。これと、私たちを持つ高性能なプロペラント素材の知識を組み合わせれば、ネオガバンが懸念していた問題は解決
できるわ。」
ネオガバン・ガンガン「機体設計はこれで進められる。俺とフィッラが、この試作図面を基に、耐久性と運用性を高めた『トリアイナ・ザク』の設計図を完成させる。問題は、リーゼ、お前が主導している OS 開発だ。連邦の EXAM を応用し、ニュータイプでなくともその恩恵を受けられる、新たな技術を生み出す。その進捗はどうなっている?」
EXAM 応用技術の可能性
リーゼは、手にしていたタブレットを操作し、解析データと、彼女が開発中の OS の初期コードを表示させた。
リーゼ・ブラウニング「EXAM システムは、ニュータイプの存在を感知すると暴走・強制起動する。開発者のクルスト博士が『NT を裁くためのシステム』として設計した、極めて危険で排他的なシステムよ。しかし、その根幹には、パイロットの思考パターンや危機感を、機械に直結させるバイオセンサー的な機能がある。」
リーゼは、興奮気味に続けた。
リーゼ・ブラウニング「私たちの目標は、この『暴走と殺意』の部分を完全に切り離し、『反応と機動』の部分だけを抽出すること。連邦は、この技術を特定の NT 専用機に封じ込めようとしているが、私たちは、既存の量産機であるザク II の汎用 OS として組み込む。これは、連邦にもジオンにもない、全く新しい技術よ。」
フィッラ・ガンガン「それは、パイロットの反応速度を限界以上に引き上げられるということか?」
リーゼ・ブラウニング「そうよ。正確には、パイロットが『動きたい』と思った瞬間に、機体が先回りしてリアクションを起こす。特に、ヴァール少尉が要求している高機動戦闘において、ザクを『真の兵器』へと生まれ変わらせる鍵となるわ。」
最終目標の確認
フィッラは、リーゼの技術力と熱意に改めて感銘を受けた。
フィッラ・ガンガン「これで機体設計と OS 開発、両輪が揃った。ネオガバン、俺たちは今日から、このキンバライト基地に眠る全ての残骸と部品を、トリアイナ・アセット重工業の最初の製品、『高機動型ザク II』へと昇華させる。ゲネフェアが宇宙で金を生み出す間、俺たちはここで、その『金で売る価値』を生み出すのだ。」
二人の転生者と、天才技術者リーゼ・ブラウニングは、ザク復権という壮大な計画の実現に向け、本格的な設計と開発作業に突入した。