機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜   作:かりかりもふもふメロンパン

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偽装の死とクリソス・ローゼの船出

ゼナ倒れる

宇宙世紀 0081 年 4 月 5 日。

 

アクシズ・医療区画、作戦決行の夜。

 

デラーズ・フリートのディートたちが月へ向かうのと時を同じくして、アクシズ内部の医療区画では、シュテルン・アズールのアクシズ組による、歴史を変えるための謀略が実行に移されようとしていた。

 

ゲネフェア・ガンガン、ネイブル・ローゼ、パプル・ローゼの三人は、ゼナ・ザビの私室へと急いだ。

 

ゲネフェアの指示により、ゼナ様には既に極度の疲労状態を誘発する薬が投与されており、容態は急変したかのように見せかけられていた。

 

ネイブル・ローゼ「ゼナ様、今です。薬の効果がピークに来ています。すぐに搬送を!」

 

ゲネフェアは、ゼナの体を抱き起こし耳元で声をかけた。

 

ゲネフェア・ガンガン「ゼナ様、もう少しの心房です。」

 

トリアイナ総合医療センターへの公然たる緊急搬送

ゲネフェアは、アクシズの通信を通じて、「トリアイナ総合医療センター」の緊急搬送チームを大声で呼び出した。

 

この搬送は、アクシズのトップ層に「ゼナ危篤」を強く印象付けるため、公然と、迅速に行われた。

 

医療区画は騒然となり、マハラジャ・カーンや、警戒の目を緩めないハマーン・カーン、そしてシャア・アズナブルが、事態の深刻さに顔色を変えて駆けつける。

 

ゲネフェアが半年かけて築き上げた信頼関係と、トリアイナ総合医療センターのツートップが、この偽装を支えた。

 

エミール・シバ「マハラジャ様!トリアイナ総合医療センターの医師でセンター長のエミール・シバと申します。ゼナ様の容態が急変いたしました。生命維持装置が必要です。遠隔に設けている『トリアイナ総合医療センター』へ、直ちに搬送します!外部からの感染を防ぐため、面会謝絶とさせていただきます!」

 

ハマーン・カーン「待ちなさい!トリアイナ総合医療センターだと!? なぜ、アクシズ内部の病院では駄目なのだ!」

 

ゲネフェア・ガンガン(ハマーンに悲痛な表情で)「ハマーン嬢!トリアイナ総合医療センターは、我々が極秘でトリアイナ・アセット重工業の隣に設置した最新の隔離治療施設です。このままでは命が危ない!どうか、ゼナ様のお命を優先させてください!」

 

ハマーンは、ゼナの容態とゲネフェアの鬼気迫る迫真の演技、そして「最新の隔離施設」という言葉に動揺し、それ以上反対できなかった。

 

シャアは黙って全体の動きを恐らく冷静に眺め見ているだけであったが、それがゲネフェアにとって緊張の走る、シャアの行動であった。

 

命の盾の完成と旅立ち

ゼナを乗せたトリアイナ総合医療センターの搬送シャトルは、パプル・ローゼが手配した正規の緊急出港名目を利用し、アクシズの管制を無事離脱した。

 

ネイブル・ローゼは、一緒にシャトルに乗り込み、ゼナに付き添った。

 

ネイブル・ローゼ「ゼナ様...私がトリアイナ総合医療センターで、クリソス・ローゼとしての再生を主導いたします。ご安心ください。」

 

アクシズに残ったゲネフェアとパプルは、ハマーンたちに対し、ゼナがトリアイナ総合医療センターで「面会謝絶の集中治療」を受けているという報告を続け、5 月 5 日の公式な死亡公表までの約一ヶ月間、その『命の盾』を守り抜くための情報工作を開始した。

 

ここに、シュテルン・アズールのアクシズ・フェーズ最大の目的、ザビ家の女帝の救出が完了した。

 

最後の面会と覚悟

宇宙世紀 0081 年 5 月 1 日。

 

公式の死亡公表予定日である 5 月 5 日を目前に控え、トリアイナ総合医療センターのセンター長、エミール・シバは、ゼナの容態が一時的に安定したという、偽の報告をアクシズへ送った。

 

この情報を受け、マハラジャ・カーン、ハマーン・カーン、そしてシャア・アズナブルの三者に、最初にして最後の特別面会が許可された。

 

これは、ゲネフェアが仕込んだ、最後の欺瞞であり、ゼナ様が安らかに逝ったことを確信させるための最終演出だった。

 

場所:トリアイナ総合医療センター・VIP 隔離室

隔離室に足を踏み入れた三人は、疲労は濃いものの、どこか穏やかで回復したかのような表情を見せるゼナの姿を見た。

 

これは、ネイブル・ローゼとフロレンツ・ナハティガル看護師長による、周到な準備の賜物だった。ゼナ・ザビは、三人に最後の言葉を伝えた。

 

彼女は、トリアイナ総合医療センターが献身的に治療に当たっていることを強調し、彼らへの信頼を植え付けた。

 

ゼナ・ザビ「マハラジャ殿、ハマーン、シャア大佐...。貴方たちの支えに感謝します。ミネバのためにも、ジオン再興の使命を...」

 

彼女の力強い言葉に、三人は安堵と悲しみが入り混じった複雑な表情を見せた。面会が終わると、ゼナは再び面会謝絶の隔離状態に戻った。

 

ゲネフェア・ガンガン(ゼナに)「ゼナ様、素晴らしい演技でした。これで、彼らは貴方が安らかに逝ったと信じるでしょう。貴方はもう、『ゼナ・ザビ』ではありません。」

 

ゲネフェアは、ゼナの顔にそっとクリソス・ローゼの仮面を被せた。

 

ゲネフェア・ガンガン「予定通り、5 月 5 日。アクシズにゼナ・ザビの死が公表されます。そして、クリソス・ローゼは、ミネバ様の未来のために、ここトリアイナ総合医療センターで、新たな命を生き始めます。」

 

シュテルン・アズールによるゼナ・ザビの救出と、「クリソス・ローゼ」としての再生は、ここに完了した。

 

永久の別れと再生の誓い

宇宙世紀 0081 年 5 月 5 日。

 

アクシズ・マハラジャ執務室。

 

ゼナ・ザビがトリアイナ総合医療センターに緊急搬送されてからちょうど一ヶ月が経過した。

 

この日、アクシズ内部の主要な士官、そして 3 月 28 日に到着した新参の残党艦隊の代表者たちが、マハラジャ・カーンの執務室に集められていた。

 

ハマーン・カーンは、悲しみを押し殺した厳しい表情で、マハラジャの傍らに控えている。

 

ゲネフェア・ガンガン、パプル・ローズも、ゼナの忠実な側近として、最前列に立っていた。

 

彼らは、この儀式的な瞬間を、冷徹な仮面の下で静かに見守っていた。

 

マハラジャ・カーンは、疲労困憊した様子で玉座から立ち上がり、重々しい沈黙の中、口を開いた。

 

マハラジャ・カーン「…諸君。静粛に。本日、私は我がアクシズ、そしてジオン再興の悲願にとって、最も痛ましい事実を伝えなければならない。」

 

マハラジャの声は震えていた。

 

マハラジャ・カーン「先月、容態が急変し、ゲネフェア殿たちトリアイナ総合医療センターの献身的な治療を受けていた、ゼナ・ザビ様が、本日未明、静かに息を引き取られた。」

 

マハラジャの言葉が響くと同時に、執務室全体が悲痛なざわめきに包まれた。

 

ドズル・ザビの妻、そしてミネバ・ザビの母であるゼナの死は、ジオン再興を目指す全ての人々にとって、大きな喪失であった。

 

ハマーン・カーンは、唇を強く噛み締め、涙を決して見せなかったが、その拳は硬く握りしめられていた。

 

彼女にとって、ゼナは姉のように慕う存在だった。

 

マハラジャ・カーン「ゼナ様は、最後までミネバ様の未来、そしてジオンの理想を信じ、安らかに逝かれた。彼女の魂は、必ずや我が君ミネバ様をお守りくださるだろう。」

 

マハラジャは、ゼナの生前の遺言(ゲネフェアたちが偽装したもの)を読み上げた。それは、「ミネバ・ラオ・ザビの未来と教育を、ハマーン・カーンに全幅の信頼をもって託す」という内容だった。

 

マハラジャ・カーン「これより、ゼナ様の遺志を尊重し、我が娘ハマーン・カーンが、ミネバ様の後見人として、実質的な指導権限を掌握する。そして、ゼナ様が生前、その将来性を深く信じられた『トリアイナ・アセット重工業』は、引き続きアクシズの技術と経済を支える、最も重要なパートナーシップとして活動を継続する!」

 

ゲネフェア・ガンガンは、無表情を保ったまま、マハラジャの言葉に深々と敬礼した。

 

彼の完璧な偽装作戦は、ここに完了した。

 

シャアの洞察

シャア・アズナブルは、部屋の隅で静かにこの一連の流れを見つめていた。

 

彼は、ゲネフェアたちの尋常ならざる献身ぶりと、ゼナが死の直前にトリアイナ・アセット重工業を強く推した事実に、不自然さを感じ取っていた。

 

シャア・アズナブル(内心)「ゼナは、この数日間、奇跡的に回復したかのように見えた。そして、死の直前にハマーンに全権を託す遺言…。すべてが美しすぎる。」

 

シャアは、ゲネフェアの忠誠心自体は疑わなかったが、その「忠誠心」の裏に、何らかの巨大な欺瞞が隠されている可能性を深く推測した。

 

しかし、ゼナの死が公表された今、その真実を追う術はない。

 

アクシズは、ゼナ・ザビの死を契機として、ハマーン・カーンが実質的な指導者となり、新たな時代へと動き出した。

 

そして、クリソス・ローゼという新たな仮面を被ったゼナは、シュテルン・アズールの秘密の拠点、トリアイナ総合医療センターで、ミネバの未来のために、静かに治療と再生の時を過ごし始めたのだった。

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