機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜   作:かりかりもふもふメロンパン

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月を駆ける矛と盾

宇宙世紀 0081 年 5 月上旬。

 

月面軌道宙域。

 

アクシズでゼナ・ザビの『偽装の死』が公表され、ハマーンが実権を掌握した頃、デラーズ・フリートのディート・ボン大尉率いるシュペーア・シルト隊は、デラーズ総帥から拝命した月面軌道上の重要宙域警備任務を遂行するため、月へと向かっていた。

 

『ミョルニル』の艦橋では、ディートが指揮を執り、ロード・バルトがその隣で艦隊の運用を管理していた。

 

艦長室では、ヴァール・レーベンとユーリ・ブルック、ルカ・ブルックが MS の最終調整を行っていた。

 

この任務の真の目的は、デラーズ総帥への忠誠を示すことではなく、ガトー少佐が横流しした物資の最終目的地を突き止めることだった。

 

ディート・ボン「(艦橋で)ヴァールからの報告通り、この宙域は連邦の監視の目が最も薄くなる境界線にある。我々の任務は、この宙域を『月の盾』として防衛し、総帥の信頼を確固たるものにすることだ。」

ディートは、艦内通信でヴァールに指示を送った。ディート・ボン(通信)「ヴァール。お前の『トゥルム・イェーガー』とユーリ、ルカの

機体は、月面都市フォン・ブラウンの管制圏から隠密裏に情報を集めろ。」

 

英雄の残した物資の航跡

ヴァールは、自身のトゥルム・イェーガーに乗り込み、ディートに状況を報告した。

 

ヴァール・レーベン(通信)「ディートさん。横流しされた資材は、この宙域のどこかで月面へと降下しているはずです。ガトー少佐が頼るのは、デラーズ・フリートの正規の基地ではありません。必ず、月面都市フォン・ブラウンの裏社会、あるいは一年戦争時の極秘の残骸集積地を利用している。」

 

ヴァールは、トゥルム・イェーガーの高性能センサーを、月面に向かう貨物ルートの残存信号に集中させた。

 

その先には、巨大なクレーター群の陰にある、ほとんど放棄されたかのような小型ドックの座標が浮かび上がった。

 

ヴァール・レーベン(通信)「発見しました。ディートさん。この小型ドックの暗号化されたアクセス履歴。これは、横流し輸送船が発信した秘密の識別コードと一致します。」

 

ディート・ボン(通信)「よし。そこが、ガトー少佐の私的な戦力の秘密拠点、あるいはケリィ・レズナーのジャンク屋への補給ルートの終着点だと見て間違いない。ユーリ、ルカ。お前たちの出番だ。」

 

月面への強行偵察と MS の役割

ユーリ・ブルックとルカ・ブルックは、自らのリック・ドムをベースとした『トゥルム・シュペーア』と『トゥルム・シルト』に搭乗した。

 

ディートの搭乗機は艦内で待機している量産型ゲルググをベースとしたカスタム機だ。

 

ルカ・ブルック「我々の MS『シュペーアとシルト』の特殊な構造と、ヴァールの『イェーガー』の異形こそ、連邦の目を欺く盾となります。武人として、総帥の期待に応えます。」

 

【シュペーア・シルト隊 MS の戦略的役割】

「シュペーア・シルト」(隊総称):ユーリが駆る『トゥルム・シュペーア』(リック・ドムベース)と、ルカが駆る『トゥルム・シルト』(リック・ドムベース)を含むディート大尉率いる部隊の MS 群を指す。この機体群は「一年戦争を生き抜いた精鋭が自らの手で改修を重ねた特殊な機体」という体裁を取り、デラーズ総帥への忠誠を示す盾の役割を担う。

 

「トゥルム・イェーガー」(ビグロベース): ヴァールの機体。その異形さと、MFS による高い隠密性で、連邦のレーダー網を欺き、極秘の情報収集を行う矛の役割を担う。

 

ユーリ・ブルック「我々のリック・ドムが、この宙域の防衛を担う。そしてヴァールのトゥルム・イェーガーが、その異形さで連邦の目を欺き、秘密拠点の偵察を行う矛となる。我々は、この宙域を完全に掌握します。」

 

ディートの指令のもと、シュペーア・シルト隊の MS が、月面軌道宙域へと静かに発進した。

 

彼らの任務は、デラーズ総帥の信頼を確固たるものにすると同時に、未来の脅威へと繋がる、極秘ルートの正体を暴くことであった。

 

宇宙世紀 0081 年 5 月中旬。

 

デラーズ総帥から拝命した月面軌道上の重要宙域警備任務を遂行中のシュペーア・シルト隊。

 

彼らの艦艇『ミョルニル』は月面補給ルートの生命線を守るという大義名分のもと、ガトー大尉の極秘ルートに最も近い宙域で活動していた。

 

ディート・ボン大尉は、ヴァールが確保した横流しルートの座標情報を総帥に報告せず、艦長室の極秘通信でヴァールに指示を出していた。

 

ディート・ボン「ヴァール、横流しルートの終着点である月面の小型ドックの存在は、総帥には伏せろ。この情報があれば、俺たちはいつでもガトー少佐、あるいはその協力者と『交渉』に入れる。デラーズ・フリート内部で、誰も持たない最強の切り札だ。」

 

ヴァール・レーベン「承知しました、ディートさん。情報収集は続けます。しかし、総帥への忠誠を示すため、この宙域の連邦の動きを叩く必要があります。我々の存在意義をデラーズ総帥に認めさせなければ、次のステップに進めません。」

 

忠誠を示すための模擬戦

ヴァール、ユーリ、ルカの MA・MS 部隊は、警備任務の一環として、連邦軍の小規模な偵察部隊を襲撃した。

 

ユーリ・ブルックが駆るリック・ドムベースの『トゥルム・シュペーア』(矛)と、ルカが駆る『トゥルム・シルト』(盾)は、ディートが指示した「一年戦争を生き抜いた精鋭の戦術」を徹底的に演じた。

 

彼らは、連邦の MS を全機撃破せず、武装と機動性を奪うに留めた。

 

ヴァールが駆る『トゥルム・イェーガー』は、その異形をあえて連邦のレーダーに短時間捕捉させ、連邦側が「ジオンの規格外の残骸が運用されている」と誤認するよう、カモフラージュを施した。

 

任務を完遂したディートは、速やかにデラーズ総帥へと報告を上げた。

 

ディート・ボン(総帥通信)「総帥。この宙域に連邦軍の偵察艦隊が侵入、補給ルートを脅かそうと試みておりました。我がシュペーア・シルト隊がこれを迎撃、MS 三機を無力化し、艦隊を追い払うことに成功いたしました。連邦の活動は活発化しておりますが、この宙域は我が隊が掌握しております。」

 

ディートは、連邦の偵察部隊の行動を「大規模な工作活動」として誇張し、シュペーア・シルト隊の『月の盾』としての役割を強調した。

 

デラーズ総帥は、この報告に深く満足した。

 

ゲネフェアがアクシズで経済的な「盾」を築き、ディートが宇宙で軍事的な「盾」を築くという、シュテルン・アズールの「トリアイナ作戦」の成果が着実に現れていた。

 

ガトーへの交渉準備

デラーズ総帥からの信頼を確固たるものとしたディートは、次の段階、すなわちガトー少佐への交渉準備に入った。

 

ディート・ボン「ヴァール、総帥は我々の忠誠を完全に信じた。これで、我々はガトー大尉の私的なルートを追跡しても、誰も疑わない『月の警備』という最強の隠れ蓑を手に入れた。お前には引き続き、月面の小型ドック周辺の情報収集を任せる。」

 

ヴァール・レーベン「承知しました、ディートさん。資材横流しの現場を押さえるだけでは交渉できません。我々には、ガトー大尉が求めるものを提供できるという優位性が必要です。」

 

ディート・ボン「その通りだ。ガトー大尉が求めるのは、高性能な MS と、勝利への道筋だ。俺たちが提供できる情報と、地上組が開発している『トリアイナ・ザク』の技術を持ってすれば、ガトー大尉も我々と組む価値があると判断するだろう。」

 

ディートとヴァールは、月面での潜入と情報収集を続けながら、ガトー大尉と対等に交渉するための準備を着々と進めていった。

 

潜入の報償とガトーへの布石

宇宙世紀 0081 年 5 月下旬。

 

ディート・ボン大尉が率いるシュペーア・シルト隊は、デラーズ総帥から拝命した月面軌道上の重要宙域警備任務を、連邦偵察部隊の撃退という形で完遂し、茨の園へと報告を上げた。

 

この一連の軍事行動は、ディートが立てた情報欺瞞戦略に則って行われた。

 

彼らは横流しルートの全容を掴んでいるが、その事実は総帥には一切伏せられ、「連邦の工作活動を水際で食い止めた忠実な部隊」としてのみ報告された。

 

総帥からの信頼獲得

報告を受けたデラーズ総帥は、ディートの功績を高く評価した。

 

デラーズ総帥(通信)「ディート大尉。貴様らの働き、まことに見事である。この半年間の忠勤、そして月面宙域での迅速な対応は、我が艦隊の士気を大いに高めた。貴様は、我が艦隊の月面防衛における功労者だ。」

 

デラーズは、ディートたちの部隊を、デラーズ・フリートの近衛艦隊に近い、戦略情報へのアクセス権を持つ立場へと昇格させた。

 

これにより、シュペーア・シルト隊はデラーズの軍事計画の中枢に、一層深く食い込む足場を得た。

 

ディート・ボン「恐縮に存じます、総帥。今後も忠誠を誓い、総帥の悲願達成のため、粉骨砕身いたします。」

 

横領ルートの利用

総帥への報告と昇格の手続きを終えたディートは、艦艇『ミョルニル』の艦長室で、ヴァール・レーベン少尉と向き合っていた。

 

ディート・ボン「これで総帥は、我々がガトー少佐の横領ルートを完全に断ち切ったと信じた。だが、横流しルートの終着点である月面の小型ドックの情報は、まだ我々の手の中にある。」

 

ヴァール・レーベン「その通りです、ディートさん。横流しは、総帥の目を欺き、ガトー大尉の私的な戦力、すなわち月面に潜む協力者と、彼らが改修を進める特殊な MS・MAの準備のために続けられています。我々が、その秘密拠点の存在を知っているという事実こそが、ガトー大尉に対する最強の交渉材料となります。」

 

ディートは、月面宙域の地図を広げ、横流しルートの座標を指し示した。

 

ディート・ボン「これからは、総帥に命じられた『月面警備』の任務を遂行するフリをして、横流しルートの終着点周辺で、ガトー大尉の動きを追う。そして、交渉のタイミングを計る。ガトー少佐が、連邦の新型 MS に対抗できる高性能な MS 技術を渇望していることは間違いない。」

 

ディート・ボン「ヴァール、地上組のフィッラとネオガバンが、『トリアイナ・ザク』の設計を急いでいる。あのザクの技術を、我々がガトー大尉に提供できると示唆すれば、彼は必ず我々の話に乗るだろう。」

 

ディートは、総帥への忠誠を完璧に演じきり、裏では TTI 隊の使命である「ガトー大尉への介入」という、最大の目標達成に向けた最終準備に入った。

 

デラーズ総帥の信頼を盾に、ディートの「矛」は月面へと静かに向けられた。

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