機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜   作:かりかりもふもふメロンパン

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新生ラル隊、結成への序曲

記憶の年表と作戦会議

宇宙世紀 0079 年 11 月 25 日。TTI 隊はベルファスト沖での任務を終え、一路キンバライト基地へ帰還した。

 

彼らの愛機、特にゲネフェアのグフ「アズール・ソーン」とネオガバンのザク I「アズール・サバイブ」は、基地の整備ドックで徹底的なメンテナンスに入っていた。

 

フィッラは司令官ノイエン・ビッター大佐へ、ベルファストでの活動報告を行った。

 

報告は、シャアの行動と V 作戦の動向に焦点を当てた、極めて高度な情報戦の成果として評価された。

 

その夜、フィッラ、ネオガバン、ゲネフェアの三人は、ネイブルを傍らで休ませながら、基地内の人目につかない倉庫で、前世の知識に基づく極秘の作戦会議を開いた。

 

フィッラは、ジオン軍の代替飲料を一口飲み、緊張した面持ちで口を開いた。

 

フィッラ・ガンガン「ベルファストでの情報収集は、最低限の成果はあった。奪取した連邦の補給リストから見て、ホワイトベースの次の目的地は、十中八九ジャブローだ。このままだと、シャアも奴らを追って、大規模なジャブロー潜入作戦を仕掛けるはずだ」

 

ネオガバンは、壁に貼られた地球地図のベルファスト、そして南米のジャブローのポイントを指差した。

 

ネオガバン「せやな。俺たちが『記憶している史実』では、シャアはジャブローに潜入し、大規模な陽動と戦果を上げつつ、結局ホワイトベースを逃がす。俺らがそこに首を突っ込むのは賢明やない。俺らのソーンとサバイブじゃ、連邦のモビルスーツ隊と正面から撃ち合ったら確実に消耗する」

 

ゲネフェアは、タブレット端末に表示された V 作戦のデータと、頭の中で記憶している終戦時期の極秘情報を照合していた。

 

ゲネフェア・ガンガン「賛成だ。ジャブロー戦は、戦局全体から見ればジオンの負け戦だ。俺たちの最優先任務は、ドズル閣下から命じられた『V 作戦の生産・補給ラインの阻止』だ。ジャブローは連邦の超巨大要塞、潜入は可能でも、生産ラインそのものを叩くのは、現在のTTI 隊の戦力では不可能だ。だから、俺たちはジャブローを追わない」

 

フィッラ・ガンガン「じゃあ、今後の TTI 隊の行動方針を、俺たちだけが知る未来の知識に基づいて決定する。短期目標は V 作戦ラインへの継続的な干渉。中期目標は、シャアの動向監視、そして…一年戦争の終結を見据えた、長期目標だ」

 

フィッラは、一度大きく息を吸った。

 

フィッラ・ガンガン「知っていることだが。この戦争は、あと一年も持たない。史実では、最終的にザビ家は内部分裂と連邦の物量に敗れる。俺たちが今、ドズル閣下に忠誠を誓い、ザビ家の犬として戦い続ければ、戦後に生き残る道はない。そして何より、俺たちはラル大尉の遺志を継ぐと言ってしまった以上、ザビ家の負の遺産も背負うことになる」

 

ネオガバン・ガンガン「…そうなるな。俺たちは、この世界の『親』であるランバ・ラル大尉とハモンさんを失うという、最大の悲劇を経験した。今度は、『家族』であるネイブルを守り、この世界で生き残るため、一年戦争後の世界を見据えて動くべきや」

 

ゲネフェア・ガンガン「反ザビ家。それが、俺たちが生き残り、この世界を修正するための唯一の道だ。ラル大尉は、ザビ家に忠実な武人だったが、彼の根底にあったのはジオン・ズム・ダイクンの思想と、武人としての誇りだ。俺たちをラル隊の遺志を継ぐという名目で、戦後に生き残るための『受け皿』を作る」

 

フィッラは頷き、声を落とした。

 

フィッラ「TTI 隊は、ドズルの『影の部隊』として活動を継続する。しかしその実態は、反ザビ家を掲げるジオン残党の精鋭を集めた、新しい『ラル隊』として再編する。我々が、一年戦争後の混迷の宇宙世紀を生き抜くための、真の拠り所となる部隊だ」

 

三人は、その場で固く手を握りしめ、この極秘の計画を共有した。

 

彼らは、当面ジャブローへ向かうホワイトベースとシャアを追わず、地球各地に潜伏するザビ家への忠誠心に疑問を持つ優秀なジオン兵をスカウトする「残党狩り」を開始することを決めた。

 

スカウト開始、新生「ラル隊」の仲間たち

TTI 隊は、キンバライト基地の司令部を通じて得た情報を精査し、フィッラが選定したジオン軍の特殊な才能を持つ兵士や、ザビ家への不満を抱える技術者たちへの秘密裏の接触を開始した。

 

1 人目、機体の魂を継ぐ者:ネジ・ボルト。

フィッラとゲネフェアが最初に目をつけたのは、キンバライト基地に駐留する整備士のネジ・ボルトだった。

 

ネジは、旧式機であるザク I や、グフの複雑なカスタムに深い理解を示し、ゲネフェアの「アズール・ソーン」の調整にも積極的に協力してくれていた。

 

フィッラ「ネジ。お前の腕は確かだ。この地球方面軍の情勢から見ても、キンバライト基地は間もなく連邦軍の攻撃対象になるだろう。お前のような優秀な人材が、ザビ家のための無駄死にするのは惜しい」

 

ネジ・ボルト「…何の話だ、隊長。私に死ねと?」

 

ゲネフェア「違う。俺たちは、ラル大尉の遺志を継ぐ。そして、ラル大尉が命を懸けて守ろうとしたダイクンの大義を、一年戦争後も守り続ける部隊を作りたい。俺たちには、お前のような旧式機から新型機まで、全てを蘇らせる『匠の腕』が必要だ」

 

フィッラは、ランバ・ラルが自身の哲理と武人としての誇りを語る際に使っていた、いくつかの名台詞を引用し、ザビ家への不満を抱くネジの心を突き動かした。

 

ネジ・ボルトはしばらく沈黙した後、整備服の油を拭き取り、決意の瞳でフィッラを見返した。

 

ネジ・ボルト「…私を、ダイクンの大義とやらを継ぐ、新しい『ラル隊』に入れてくれるというのか。…いいだろう。私の腕は、一介のザビ家の道具ではない。紺藍の四つ星、この名にかけて、お前たちの機体は私が守り抜こう」

 

こうして、ネジ・ボルトは新生ラル隊(TTI 隊の秘密裏の協力者)の一員となり、TTI隊の機体整備と、将来的に合流させるべき技術者のスカウトを担当することになった。

 

2 人目、宇宙から来たエース:ディート・ボン。

ネオガバンは、ドズルの艦隊から地球方面軍へ派遣されてきた元サイド 3特殊部隊所属のエースパイロット、ディート・ボンに接触した。

 

ディートはかつてキシリア・ザビ少将が率いる突撃機動軍に所属し、その優秀な操縦技術でエースとして名を馳せていた。

 

しかし、彼の持ち前である武人としての誇りは、キシリアの冷徹かつ非情な作戦遂行、特に政治的思惑を優先した非人道的なやり方に反発し、公然と反抗した過去を持つ。

 

その結果、ディートは実質的な左遷として、戦局が不利な地球方面軍へと追いやられ、現状に自暴自棄になっていた。

 

彼の愛機は、高性能なゲルググだったが、地球での運用に苦戦し、整備体制も不十分で、持てる力を発揮できずにいた。

 

ネオガバンは、ディートが戦場で愛用していた「ゲルググ」にまつわる前世の知識を披露し、彼が戦後を生き残るべき「ダイクンの遺志を継ぐ戦士」であることを説いた。

 

ネオガバン・ガンガン「…あんたがキシリア様に反抗したのは、あんたの中に武人としての誇りがあったからやろ。ザビ家の非情なやり方に、ラル大尉は最後まで首を縦に振らんかった。あんたのゲルググのポテンシャルは、こんな戦場で散らしてええもんやない。俺らは、戦争後の世界で、連邦と対等に渡り合うための『青い巨星』の魂を継ぐ部隊を作る。あんた

の操縦技術こそが、その核や」

 

ディートは、自らの愛機を知る TTI 隊の存在に驚き、そして、戦後のビジョンを持つ彼らの言葉に、再び戦う意味を見出した。

 

特に、「武人としての誇り」を重んじたランバ・ラル隊の遺志を継ぐという理念は、キシリアの非情さに疲れ果てたディートの心に深く響いた。

 

ディート・ボン「…面白い。俺の腕を、ザビ家ではない、ラル大尉の遺志を継ぐ者たちが望むというのか。よかろう、フィッラ隊長。俺は、お前たちの一つの星となろう」

 

新生ラル隊の着実な精鋭化が、TTI 隊の暗躍によって進められていった。

 

TTI 隊は、「紺藍の四つ星」としてドズルの忠実な部隊を演じつつ、その影では着実に反ザビ家を旗印とする新生ラル隊の基盤を築き始めていた。

 

ドズルの召集と宇宙への再出発

新生ラル隊の精鋭化が進む中、宇宙世紀 0079 年 11 月 29 日。キンバライト基地全体に、まるで宇宙から重力がかかったかのような緊迫した空気が流れ始めた。

 

連邦軍のジャブロー攻略の成功を受け、宇宙の最前線であるソロモンから、地球方面軍全体に増援の要請が厳しくなっていたのだ。

 

その日の午後、フィッラ、ネオガバン、ゲネフェアの三人は、司令官ノイエン・ビッター大佐の執務室に呼び出された。

 

ビッター大佐は、いつになく憔悴した表情で、ドズル・ザビ中将からの暗号文を三人に示した。

 

ノイエン・ビッター「TTI 隊、貴様らにドズル閣下から直々の命令が下った」

 

フィッラ・ガンガン「命令でありますか?」

 

ノイエン・ビッター「『紺碧の星は、速やかにソロモンへ帰投せよ』。これが全文だ。閣下は、地球での潜伏活動より、ソロモンの防衛を優先しろと仰せだ」

 

ネオガバン・ガンガン「ソロモンへ…。この時期に宇宙へ上がるのは…」

 

ノイエン・ビッター「承知している。ソロモンは極秘情報によれば、間もなく連邦軍の総攻撃の的となる。しかし、これはドズル閣下の最後の召集かもしれない。行くか行かないかは、貴様らに任せる。だが、我々地球方面軍は、閣下の命によって作られた。行くのであれば、11 月 30 日には地球を立つ手筈を整える」

 

フィッラは即座に返答せず、ビッター大佐に敬礼をすると、作戦会議室に戻った。

 

緊急会議

ソロモンか、地球か 緊急会議室となった倉庫で、TTI 隊の三人は改めて頭の中の『極秘年表』を照らし合わせ、重い沈黙の中で議論を始めた。

ゲネフェア「俺たちが記憶する年表によると、ソロモン総攻撃は 12 月 24 日だ。今から約三週間後。ドズル閣下の命に従えば、俺たちは確実にソロモンで玉砕することになる。これは史実の修正という目的に反する」

 

ネオガバン・「ドズルの召集は、俺たちが『影の部隊』としてドズルに利用され、ソロモンの防波堤として散ることを意味する。ここで拒否するのが、生き残るための合理的な判断や」

 

フィッラは、ラルとハモンの遺影と、ネイブルの真剣な顔を交互に見て、静かに口を開いた。

 

フィッラ・ガンガン「待て。俺たちはドズル閣下の忠実な部隊を演じ、新生ラル隊のための人材を集めた。もしここで、ドズルの最後の召集を拒否すれば、我々はザビ家に対する裏切り者として地球方面軍全体から指名手配される恐れがある。新生ラル隊の構想も、反ザビ家ではなく脱走兵という汚名で崩壊するのではないか?」

 

フィッラ・ガンガン「そして、俺たちがここまで活動できたのは、全てドズル閣下の支援あってこそだ。MS の物資も、資金も、全て閣下が個人的な裁量で与えてくれた恩義がある。あの武人としての誇り高いドズル閣下を、見捨てるわけにはいかない」

 

ゲネフェア・ガンガン「…つまり、ドズルの命令に従うという建前と、恩義に報いるという大義名分が必要だと?」

 

フィッラ・ガンガン「そうだ。そして、何よりも…ラル大尉とハモンさんの遺志を継ぐ部隊として、ドズル閣下の最期に立ち会うことは、後の新生ラル隊の正当性を確立するために必要だ。ドズル閣下はザビ家の中でも武人としての誇りを持ち、ラル大尉を理解してくれた数少ない人物だ。彼の死は、ザビ家体制の終焉の象徴になる。その場に立ち会い、その『魂』を汲み取ることが、俺たちの『継承』に繋がる」

 

フィッラは、改めてネイブルを見た。

 

ネイブルは、フィッラたちが広げた年表と地図を真剣な表情で見ていた。

 

彼女の瞳には、時折、微かな光が宿り、空間を読み取っているかのような鋭さがあった。

 

フィッラ・ガンガン「ネイブルを地球に残すのは危険すぎる。ソロモンが陥落すれば、ここキンバライトも連邦の激しい攻撃に晒される。ネジ・ボルトとディート・ボンにネイブルを託すのは、彼らの潜伏活動のリスクを上げることになる」

 

ゲネフェア・ガンガン「…宇宙へ連れて行くということか?激戦地だぞ。あの子はもう、ラル大尉とハモンさんの遺志を継ぐ未来のジオンの灯火であり、俺たち 3 人の大切な家族だ。そして、俺たちの最年少の隊員でもある」

 

フィッラ・ガンガン「そうだ。家族であり、隊員である。俺たちがソロモンへ行くなら、家族は一緒だ。そして、何より、ネイブルの能力が必要だ。あの子の持つ強化人間としての『力』は、ソロモンでの情報戦、特に連邦軍の奇襲やニュータイプ部隊の動向を探る上で、絶対に欠かせない。危険は承知だが、彼女の能力を活かしてこそ、俺たちは生き残れる」

 

ネオガバン・ガンガン「ネイブルの能力を活かして、ソロモンの玉砕戦から最悪の事態を回避する、ということやな。ドズル閣下の妻、ゼナ様もミネバ様もおられる。一時的にネイブルを閣下のお膝元に置くことで、俺たちの行動はより正当化され、家族としての安全も確保しやすいわけや。ネイブルはもう、只の遺児やない。TTI 隊の強力な戦力として、戦場を生き抜く術を学んでいる」

 

ネイブルの強化人間としての能力を戦闘の耳目として最大限に活用するという、極めて危険な綱渡りの道を選択した。

 

TTI 隊は即座に役割分担を決めた。

 

フィッラ、ネオガバン、ゲネフェア、ネイブル:11 月 30 日に宇宙へ上がり、ソロモンで『影の部隊』として活動。ネイブルはドズル夫人のゼナに一時的に預けられ、基地内の情報通信補助および精神感応による情報収集の任務に就く。

 

ネジ・ボルト、ディート・ボン:キンバライト基地へ潜伏し、TTI 隊のモビルスーツと共に、新生ラル隊の残存戦力として機能する。

 

彼らの任務は、TTI 隊が地球へ戻るまでの間、連邦軍の目を欺き、潜伏拠点の整備をすること。

 

フィッラは、ネジとディートに極秘任務を伝え、改めて固い握手を交わした。

 

フィッラ・ガンガン「頼んだぞ。俺たちが地球へ戻ってくるまで、必ず生き残れ。そして、新生ラル隊の基盤を頼む」

 

紺藍の四つ星、宙へ

宇宙世紀 0079 年 11 月 30 日。 キンバライト基地の小型シャトル発射ベイに立った。

 

ネイブルは、ハモンからもらったぬいぐるみを抱きしめ、不安そうにフィッラを見上げていたが、隊員服をしっかりと着込み、ヘルメットを小脇に抱えていた。

 

その小さな身体には、連邦軍の動向、そして宇宙の戦場の機微を探るという、重責がのしかかっていた。

 

彼らの愛機は、ネジ・ボルトとディート・ボンによって秘密裏に格納され、TTI 隊は宇宙でのモビルスーツの運用は行わず、人員と最低限の装備のみでシャトルに搭乗した。

 

これは、激戦が予想されるソロモンで旧式 MS を運用することの無意味さを理解し、モビルスーツの消耗を避けて新生ラル隊の戦力を温存するという、彼らの長期戦略に基づいた判断だった。

 

彼らはドズルの召集に応じる『忠実な部下』として、故郷である宇宙、そして前世の記憶の中の史実である、破滅の激戦地ソロモンへと舞い戻る。

 

フィッラは、ネイブルの小さな手を握り、目を閉じた。

 

フィッラ・ガンガン「待っててくれ、ソロモン。史実の通りにはいかせない…。俺たち、新生ラル隊の『父』の最期に、必ず立ち会ってみせる。未来のジオンの灯火は、俺たちが、この大切な家族と共に守り抜いてみせる」

 

彼らを乗せ、シャトルは轟音を立てて大気圏へと上昇していった。

 

地球の影の部隊「紺藍の四つ星」は、モビルスーツを持たない特殊工作員として、宇宙という舞台で、一年戦争最大の悲劇に立ち向かおうとしていた。

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