機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
ドズル散る
宇宙世紀 0079 年 12 月 24 日。
戦局はさらに悪化し、運命の歯車は速く回り始めた。
地球連邦軍は、サイド 4 の残骸を盾にし、ソロモンに死角から迫っていた。
ソロモン宙域では、ホワイトベース隊がテキサスコロニーで激戦を繰り広げており、その間に、連邦軍第 3 艦隊がソロモン至近距離まで迫っていたのだ。
ソロモンの状況は風前の灯火だった。
ドズル・ザビ中将は、その巨大な体に武人の魂を宿し、自ら開発したモビルアーマー、ビグ・ザムに搭乗し、出撃した。
ドズル・ザビ「全兵士に告ぐ!ジオンの誇りは我々が守る!我が後に続けぇぇぇ!!」
ドズルの叫びは、ソロモンの全兵士の心に響き渡った。
残存部隊のほとんどが、ドズルの決死の出撃を援護すべく、ビグ・ザムの周囲に集結した。
TTI 隊のメンバーも、それぞれの持ち場にいた。
フィッラとネオガバンは、シン・マツナガをサイド 3 まで護衛した後、ドズルへの忠誠心からシン・マツナガと別れ、ソロモンへの帰還を強行していた。
ゲネフェアはアナベル・ガトーと共に激戦を繰り広げ、ネイブルはゼナとミネバの避難経路を確保するため、護衛任務についていた。
ドズルの出撃を目の当たりにした TTI 隊のリーダーのフィッラは、その決意を瞬時に悟った。
これはドズル閣下の最後の戦いだ。
そして彼は、ゲネフェアがドズルへの忠誠心から、共に散る覚悟を決める可能性を危惧した。
フィッラは、戦場で交戦中のゲネフェアに、通信機を介して必死の命令を下した。
フィッラ・ガンガン「ゲネフェア!ネイブル!聞け!ドズル閣下は…お前たちの命を賭けるに値する方だ。だが、お前たちは、ジオンの未来そのものなんだ!ドズル閣下の想いを無駄にするな!」
ゲネフェア「馬鹿な!ドズル閣下を見捨てるというのか!」
フィッラからの通信に、ゲネフェアは激しく反発した。
彼のゲルググキャノンは、アナベル・ガトーの駆るリック・ドムと共に、連邦軍の艦隊とジム隊を次々と撃破していた。
その瞳には、ドズルと共に散る覚悟が宿っていた。
今となっては彼にとって、ドズルは、ラル亡き後、武人としての道を示してくれた師であり、敬愛する存在だった。
ラルから受け継いだ「誇り」を、ドズルのために使うことこそが、彼の道だと信じていた。
ゲネフェア・ガンガン「どういうことだ、フィッラ!我々TTI 隊の使命は、ドズル閣下をお守りすることではなかったのか!なぜ、今この瞬間に撤退を命じる!」
ゲネフェアの声は、怒りと悲しみで震えていた。
しかし、フィッラは感情を押し殺し、冷徹な声で説得を続けた。
フィッラ・ガンガン「ゲネフェア、よく聞け!これは、ドズル閣下から託されるであろう、ミネバ様の未来を守る任務だ。我々は、閣下の最期の願いを無駄にするわけにはいかない。」
フィッラの説得に、ゲネフェアは言葉を失った。
彼の胸に去来したのは、ラルが語った「兵の道」と、ドズルの「誇り」という言葉だった。
そして、ジャブローで出会ったセイラ・マスの、あのまっすぐな瞳が脳裏をよぎった。
彼女が願う未来は、平和な世界だ。
そして、ドズルが願う未来は、ミネバが生きる平和な世界だ。
ゲネフェアは、ようやく絞り出すように答えた。
ゲネフェア・ガンガン「…ネイブル、少し待っていろ!直ぐに行く。」
その声は、絶望と、そして新たな決意に満ちていた。
彼は、アナベル・ガトーに別れを告げ、ミネバの避難経路を確保するためにネイブルと合流すべく、戦場を駆け抜けていく。
ネイブルはゲネフェアの言葉に対して 。
ネイブル・ローゼ「ゲネ兄、わかった。待ってる。」
と返答した。 ゲネフェアとネイブルに脱出を命じたフィッラは、ネオガバンに振り返った。
フィッラ・ガンガン「ネオガバン…お前は、どうする?」
フィッラの問いに、ネオガバンは言葉少なに、しかし固い決意の眼差しで応えた。
ネオガバン・ガンガン「フィッラと、共に。」
その言葉に、フィッラは静かに頷いた。
ネオガバンと共にドズル・ザビの元へと機体を向けた。
彼らが目指すのは、被弾し、機能を停止しつつあるビグ・ザムが孤軍奮闘する戦場の中心だった。
フィッラとネオガバンがビグ・ザムの周囲を飛び交う連邦軍のモビルスーツを次々と撃墜しながら、叫んだ。
フィッラ・ガンガン「ドズル閣下、TTI 隊フィッラ・ガンガンとネオガバン・ガンガンが参りました!我々が、最後の盾となります!」
その声は、ビグ・ザムのコックピットにいるドズルにも確かに届いた。
ドズルは、彼らが命を賭して戻ってきたことに、驚きと安堵を覚えた。
彼らは、ドズルに殉じることを選んだのだ。
ドズル・ザビ「馬鹿者どもめ…ゲネフェアとネイブルは…!?」
ドズルの問いに、フィッラは答える。
フィッラ・ガンガン「閣下のご命令通り、ゼナ様とミネバ様の元へ行かさせました。ゲネフェアは、アナベル・ガトーに別れを告げ、ネイブルと合流するはずです。」
ドズルは、フィッラの言葉に力なく笑みを浮かべた。
ドズル・ザビ「そうか…そうか…!貴様らは、わしの命令を忠実に守ってくれたのだな…!」
ドズルの眼差しは、フィッラとネオガバン、そして遠ざかっていくゲネフェアとネイブルの姿を追っていた。
彼は、彼らがラルとハモンの意志を継ぎ、ジオンの未来を担うことを確信していた。
ドズルの最後の言葉は、ビグ・ザムの爆発音にかき消された。
ビグ・ザムは、連邦軍のモビルスーツに囲まれ、ついにその巨体を爆発させた。
ドズルは、被弾し機能を停止しつつあるビグ・ザムのコックピットの中で、朦朧とする意識の中で叫んだ。
ドズル・ザビ「ミネバを……頼む……この子に……未来を……ジオンの……」
とドズルの悲願の遺言が、フィッラとネオガバンの耳に直接届いた。
それは、断末魔の叫びというよりも、未来への確固たる願い、彼らに託された最後の命令だった。
フィッラとネオガバンは、ドズルの最後の言葉を聞き、静かに敬礼した。
彼らの眼差しには、悲しみと、そしてドズルの意志を継ぐという固い決意が宿っていた。
彼らの戦いは、もはや「勝つ」ためだけのものではなかった。
それは、彼らの「家族」であり、彼らの「父」であるラルとドズルの意志を継ぐための戦いへと変貌していた。
いつしか TTI 隊はドズル一家に近づき利用して見捨てるという以前の計画は消え失せていた。
それぞれの戦場で散り散りになった TTI 隊のメンバーは、この混沌とした戦局の中で、それぞれが自らの使命を胸に、戦いの幕引きへと向かっていくのだった。