機動戦士ガンダムの世界へ転生したオッサン3人組の奮闘記 TTI隊「紺藍の四つ星」潜入と暗躍の軌跡〜 作:かりかりもふもふメロンパン
グリプス 2 の巨大な砲門が月面都市グラナダを捉え、カウントダウンが始まろうとしていた。
エゥーゴの命運は、かつて決別した「アクシズ」という劇薬に委ねられることとなる。
第 3 の選択:旗艦グラワンの静観
戦域から離れた位置で、トリアイナの旗艦グラワンは全方位モニターに映る三つの勢力を注視していた。
メグミ・レイ「将軍、エゥーゴのアーガマがアクシズ先遣艦隊に接触しました。……メラニー会長、本気でサイド 3 を差し出すつもりのようです」
ヌーベル・アッメール「……背に腹は代えられぬか。だが、ハマーンという女、タダで動く器ではない。ヴァール、貴公のシュペーア・シルト隊は突出するな。今はグリプス 2の『喉元』を誰が握るか、見極める刻だ」
グワダンの会見:ひざまずく赤い彗星
親書を携えたカミーユと共に、ハマーン・カーンは自らアーガマへと乗り込んだ。彼女の背後には、護衛としてゲネフェア・ガンガン率いるヴァーダリア・ゼニス隊が控えている。
ハマーン・カーン「シャア、私に頼み事があるのではないか? 自分の口で言ってみせろ」
屈辱に奥歯を噛み締め、シャアは静かに頭を下げた。
クワトロ・バジーナ「……頼む、ハマーン・カーン。コロニーレーザーを潰してくれ」
ハマーン・カーン「ふふ……よかろう。サイド 3 の譲渡とザビ家復興の是認。その代価、確かに受け取った」
交渉成立。
だが、ブライトやカミーユの顔には苦渋が滲む。
ファやカツに至っては、ジオンとの野合に激昂し自習室送りとなる始末だった。
死角の毒牙:核パルスエンジン狙撃
作戦が開始された。
エゥーゴ艦隊がわずか 2 隻で陽動を仕掛け、バスクのティターンズ艦隊を誘い出す。
バスク・オム「たった 2 隻で何ができる! 撃滅せよ!」
バスクの無能を嘲笑いながら、ハマーンはグワダンをグリプス 2 の死角へと滑り込ませる。
その動きをアレキサンドリアのガディ艦長は「見えない」として黙殺した。これがシロッコの意図か、ガディの怠慢か――。
戦場では、多勢に無勢のエゥーゴ MS 隊が窮地に陥っていた。
自習室を飛び出したファが、戦気の中でニュータイプ的な感応を見せ、必死に戦線を支える。
その絶好のタイミングで、ハマーンの号令が飛んだ。
ハマーン・カーン「狙うは核パルスエンジン 1 基のみ。……放て!」
グワダンの主砲がグリプス 2 の心臓部を貫いた。
爆炎と共に移動能力を失うコロニーレーザー。
グラナダへの照準は、物理的に不可能となった。
「不幸な事件」と冷徹な観測
怒り狂うバスクに対し、ハマーンは平然と言い放つ。
ハマーン・カーン「アーガマを狙ったビームが逸れて、グリプス 2 に当たったとは。不幸な事件だ」
この光景を、ヴァーダリア・ゼニス隊のゲネフェア、ランス、エレン、ヴォルフは、MSのコックピットから「観測」していた。
ゲネフェア・ガンガン「……ハマーン様らしいやり口だ。完全に破壊せず、自分たちが利用できる余地を残したか。ランス、ヴォルフ。トリアイナ(グラワン)が動く前に、我らも一旦引くぞ」
屈辱の帰還:シャア・アズナブルの孤独
戦闘終了後、アーガマに戻ったシャアを待っていたのは、ミネバ・ザビの無邪気な言葉だった。
ミネバ「シャア、戻ってきてくれたのだな! 私のために、ザビ家のために手柄を立ててくれたとハマーンから聞いたぞ!」
ガルマを、キシリアを葬った自分が、今やザビ家復興の片棒を担いだと称賛される。
その皮肉と屈辱に、シャアは言葉を返せない。
自室に戻ったシャアは、一人、頭を抱えて沈黙した。
ヌーベル・アッメール(グワラン艦橋にて)「……シャア・アズナブルよ。貴公が選んだその茨の道、果たしてどこへ続くのか。シェリンカ、全軍に告げよ。グリプス 2 の『一時停止』を確認。我らもまた、次のチェス盤へと駒を進める」
グラナダは救われた。
しかし、引き換えに差し出した代償は、エゥーゴの理想を根底から揺さぶり始めていた。