超次元サッカーTS転生者の便乗ヴィクトリーロード   作:アマシロ

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誤字報告ありがとうございます!
めっちゃ助かってます!(読者にデバッグさせる作者のクズ)


流星落とし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さあ、後半に入って2-0で南雲原がリード。試合再開です! おっと、ここで円堂選手ではなく月影選手がボールを持ちます!』

『南雲原は円堂ハル君に対するマンマーク、更に月影君を封殺するタクティクスで優勢を保っていましたからね。本来月影君がMF、円堂ハル君がFWなので、本来の形に戻そうということでしょう』

 

 

 

 

 

 

――――雲明の予想が当たった。

 

 

 

 雲明の指揮でなんとか封じ込めていたものの、雷門のキャプテンである月影蓮はそう簡単に抑えておける相手ではない。ボールを渡さない方法も、キックオフ時点で持たれれば意味はない。

 FWとして、DFラインぎりぎりに立つ円堂ハルは私がマークするしかない。

 

 

 

 

 

「…………ねぇ君、名前は?」

 

 

 

 

 ……で、私はなんでめっちゃ笑顔の円堂ハルにナンパされているのだろうか。

 今試合中だぞ、集中しろよ。と目線で訴えるが肩を竦められる。

 

 

 

 

「だって君、マーク固すぎだし。今は蓮さんだってこっちにパスする余裕はないよ」

 

 

 

 

 まあそれはそう。

 でも暇なのと気を抜くのは違うのでは?

 

 

 

「―――――うーん。………良い選手に会ったら、名前が知りたいと思うのは変かな?」

「………はぁ。星空。星空真理」

 

 

 

 こう、スポーツマンシップ的なものを出されると弱い。

 一応まだ雲明に暴言吐いてないし……未来の八つ当たりをするのは流石にズルいか。

 

 

 

「真理、真理かぁ……よろしく! 俺のことはハルでいいよ!」

 

 

 

 誰だお前!?

 我らが守護神円堂さん(円堂守)みたいな笑顔するハルとか知らない……こんなのデータにないぞ!?

 

 

 

 

 

 さりげなくマークを外そうとする油断ならないハルにぴったり張り付きつつ、月影蓮相手になんとか食らいついている南雲原の仲間たちを見つめる。

 

 

 

 

「リーダーシップと運動センスのあるMF、緩衝役、機動力と体格のあるDF――――確かに個性があって面白いチームだけど。……違うよね、このチームの中心は」

「………」

 

 

 

 

「監督、いや―――キャプテンかな。蓮さんの動きを上手く封じつつ、西ノ宮のメンバーには―――ある程度の隙を作ってパスを誘導しようとしてる? いや、これは自信か。俺と蓮さんさえ封じれば、南雲原が勝つって」

 

 

 

 

 ふえぇ、怖いよこのサッカーモンスター……サッカーIQも高いの?

 まあガチの時の雲明がそれだけだと思ってもらっちゃ困るけど。

 

 

 

 

 

「でも、蓮さんはそう簡単には抑えられないよ」

 

 

 

 

 

 

 そうだろうね。

 柳生先輩が、木曾路君が、古道飼君が、必死に食らいつくけれど及ばない。

 四川堂先輩との一対一になれば、失点は免れない――――。

 

 

 

 ほぼ同時に、私とハルは動いた。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 ドリブル技、アクロバットキープで南雲原の組織的な―――非常にいやらしいDFを何とか突破しGKと一対一。

 

 

 

 

「――――蓮さん!」

 

 

 

 ハルの声がするということは、マークが外れたということ。

 だが、逆サイドから間に合わせることはできまい。

 

 

 

 

 

 

「―――――バハムートクラッシュ!」

 

 

 

 

 渾身の一撃を放ち、残心と共に割り込もうとする白い影―――星空真理を見る。あの位置ならば間に合わない―――いや、脚を振り上げている!

 

 

 

 

 

「―――――アロンダイト!」

 

 

 

 

 貫くような蒼い衝撃波が、遠距離からシュートに襲い掛かる。

 

 

 

 

(あの距離で、だと!?)

 

 

 

 

 竜の一撃を貫く、蒼い剣。いや、槍だろうか。

 シュートの勢いを大きく削ぎ落し――――思わぬ反応の良さを見せたGKが飛びついたことで、ボールが大きく弾かれる。

 

 

 

 

 

 

「――――くっ」

 

 

 

 既に必殺技を放った直後の星空真理は、反応が遅れる。

 そして、その好機を見逃すハルではない。

 

 

 

 

「う、おおおお――――っ!」

 

 

 

 

 大きく空に舞い上がったハルが炎を纏う。空気が熱せられるかのような、天空から放たれるその一撃は。

 

 

 

 

 

「――――――ファイアトルネードォッ!」

 

 

 

 

 

 燃え盛る炎の如く、立ち向かおうと思う事すら困難だろうその一撃を前に、白い妖精が青い輝きを両脚に宿して飛翔する。

 

 

 

 

 

「――――――アロンダイト!」

 

 

 

 

 

 星のような、鮮烈な蒼い輝き。

 それと強烈な炎の如きシュートが激突し―――――そのまま、凄まじい音と衝撃とともにボールがゴールネットを揺らした。

 

 

 

 

 

『は、入ったぁあああ! ゴール! ゴール! 円堂選手の凄まじいシュートで西ノ宮中、一点を返しました!』

『前半はギリギリのところで抑えられていた円堂ハル君が、遂に決めました。ここから流れが変わるか!?』

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 その一撃に込められていたのは、何だっただろう。

 鬱屈? 希望? 歓喜?

 

 なんとなく忘れかけてたけど、そういえばハルもサッカーで苦しんでたんだっけか。……うーん、雲明に「サッカー以外のできることやれば?」とか暴言吐いたイメージがこびりついてたけど………うん、反省。大人げなかった。

 

 

 まさかのファイアトルネード治療法されたのは私の方だったか。

 

 シュート同士の激突、まあ勝てそうもなかったので途中であきらめて受け流しに徹したけど、殆ど方向をズラすことすらできなかった。

 

 

 

 

 

「―――――真理!」

 

 

 

 芝の上に転がって空を見上げる。

 笛と歓声から、点を取られたのは分かってる。心配そうな雲明の声に「平気平気」と手を振ってアピールしてから立ち上がろうとしたところ。

 

 

 

 

「大丈夫?」

 

 

 

 

 ハルが手を差し出していた。

 ………ぐぬぬぬぬ。

 

 

 

 

 

 

「ハハッ、めっちゃ悔しそうだけど。怪我は――――してないよね。すごい上手く逸らしてたし」

「おかげさまで」

 

 

 

 

 さすがに差し伸べられた手を拒否するほど大人げなくはない。

 くっ、練習もどうせサボってるんだろと思ったらがっちり固い手しやがって……。

 

 引き上げられて、至近距離で向き合う。

 ニカッと笑うその顔は、その名前に相応しい。でも助っ人のそっちと違ってこっちはチームの命運背負ってるんだけど? 同じ立場になってから出直してきて。

 

 

 

「今度は、俺の勝ち!」

「……じゃあ、私の2勝1敗ね」

 

 

「すぐ追いつくよ」

「どうだろうね」

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「……笹波君」

「―――――なんですか、千乃会長」

 

 

 

「何というか、大丈夫?」

「……問題ありません」

 

 

 

 いつの間にか立ち上がっていた。

 円堂ハルに手を引かれて起き上がる真理。

 

 笑顔の円堂ハルと対照的に、「助っ人のそっちと違ってこっちはチームの命運背負ってるんだけど?」とでも言いたげな真理に、どうしてか安心する。

 

 

 

 

(今は、余計な事を考えている暇はない。――――リスタート。策はあるけれど――――向こうの出方次第か)

 

 

 

 

「千乃会長、細かい部分は伝えた通りです。僕の指示だしが追い付かない部分、お願いします」

「……大声で叫ぶの、得意ではないのだけれど」

 

 

 

「妹さんに勝つんでしょう?」

「………くっ」

 

 

 

 

 

 

『さあ、2-1と西ノ宮が一点を返して南雲原からのキックオフとなりますが――――おおっと!? これまで見事な守備を見せていた星空選手が前に出ているぞぉ!?』

 

『これは……やはり円堂ハル君対策でしょうか。いずれにしても彼女の動きに注目ですね』

 

 

 

 

 

『さあ、再びキックオフですが――――おおっとぉ!?』

 

 

 

 

 試合がキックオフの瞬間、柳生先輩と古道飼君が円堂ハルと真理の間を遮り。桜咲先輩と忍原先輩が月影蓮を全力でマーク。

 

 いわば、ブロック・ザ・キーマンを同時に2か所で発動する――――。

 

 

 

 

「――――必殺タクティクス、流星落とし(シューティングスター)!」

 

 

 

 

 相手の星を落とし、こちらの星を突っ込ませる。

 戦術もクソもない強行突破だが――――“最も効果的なライン”をぶち抜く。

 

 

 

 

 

 

 さすがに全力マークされれば、円堂ハルでも真理の速度に追いつきようがない。

 後は互いの守備陣がどれだけエースを足止めできるか―――――そして、その場合抜くべき場所は決まっている。

 

 

 

 

 敵陣のど真ん中、ボールが脚に吸い付くような、ドリブルしているとは信じられない速度で白い妖精が疾走する。

 その先にいるのは、西ノ宮のキャプテンであり、ゲームメイカー。

 

 

 

 

「――――西ノ宮の強さの秘訣は、ゲームメイカー金星やつるを中心とした攻めの動き。けれど、本来いないはずの異物である円堂ハルと月影蓮が前にいる以上、彼の指揮範囲は後方に移った――――そしてそれは本来のディフェンスラインを統括するセンターバックと重複する」

 

 

 

 

 その場合、どちらが指揮をとる?

 僕は西ノ宮ならキャプテンの金星と読んだ。そして実際に、これまでの動きで確認できている。

 

 

 もちろん、金星が抜かれればすぐにセンターバックも思考を切り替えるだろう。だが、その一瞬は真理の前にはあまりにも致命的だ。

 

 

 

 

 

 

 金星もなんとか防ごうとするものの、ドリブル技ですらない――――と、真理は言う――――空中にボールを浮かして、自身も跳躍して相手を飛び越える。簡易版『スカイウォーク』とでも言うべきそれに、金星やつるは呆然と空を見上げることしかできない。

 

 

 

 

 

「本来いない、強力すぎる増援の弊害で、指揮が混乱しやすくなっている。その状態で司令塔が抜かれれば――――」

 

 

 

 

 

 組織的な守備なんてできるはずもない。

 少しでも真理を足止めして、円堂ハルか月影蓮をたどり着かせなければいけない。だが、円堂ハルと月影蓮は前半の攻撃で西ノ宮の選手たちを全く頼らなかった。

 

 正確には頼れなかったんだろうけれど―――――士気の低下、指揮の混乱、崩れ切ったDFなんて、真理の前では豆腐よりも柔らかい。

 

 

 

 

 センターバックが防衛線を張ろうとするが、間違いだ。

 こちらは真理しか上がっていない。遮二無二ゴール前に全員で集まるくらいが唯一打てる手だろうけど。

 

 

 

 

 

『―――――止まらない! 止められない! 星空選手、西ノ宮の金星選手をなんと飛び越えて、あっさりとDFを抜きさり! そのまま西ノ宮陣地を切り裂いた! GKと一対一だぁ! さあ、シュートか!?』

 

 

 

 

 

 真理が素早く脚を振り抜こうとし、勘で跳びつくGK――――だが、その先には何もない。

 シュートはフェイントで、ドリブルからあっさりと反対側に流し込む。

 

 

 

 

 

 

 

『き、決まったあああ! 西ノ宮の反撃から、即座に取り返しました! 南雲原が3-1でリードです!』

 

 

 

 

 

 

 笑顔でVサインを送ってくる真理に、手を挙げて応えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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