超次元サッカーTS転生者の便乗ヴィクトリーロード   作:アマシロ

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なんかイナズマイレブンで検索しても本作が引っかからない方がいらっしゃるようなのですが、心当たりがなさすぎるので匿名解除してみました。

なんで匿名だったか? 失踪した時の「続きください」が心苦しいからです。
失踪したら蘇らないタイプの作者です。許して♡


新たな誓い

 

 

 

 

 

 

 

「―――――えーと、すみません千乃会長。もう一度お願いします」

「……西ノ宮に、雷門中から、円堂ハルと、キャプテンの月影蓮が派遣されたらしいわ」

 

 

 

 突然押しかけて来た千乃会長だが、とても文句を言う気分にもなれない。

 「なぜ?」という感想で完全に一致しているのは、互いの顔を見れば言うまでもない。

 

 

 

 

「……確かに、派遣制度はありましたけど……円堂ハルを? 九州に? FF予選が始まるこのタイミングで…? 確かに前回優勝校の雷門は予選免除、まだ1年の円堂ハルの実戦勘を養うという意味では……いや、それでも九州に送る理由にはならない……」

 

 

 

 一応、U-15スプリング杯で九州の北陽学園が雷門中と対戦していたが……6-0で敗北しており特筆すべき点があるとも言えない。

 

 頭を悩ませていると、千乃会長はぽつりとつぶやいた。

 

 

 

 

 

「……私の妹が、西ノ宮のサッカー部のマネージャーをしているの」

「ああ、サッカー部連勝の要因と言われている」

 

 

 

 

「……知っていたのね」

「まあ、対戦校の直近の成績程度は」

 

 

 

 

 普段の威厳を出そうとしている千乃会長はそこにはおらず。

 そこにいるのは、あまりにも優秀な妹に追われ続けて疲弊した姉だった。

 

 

 

 

「………あの子は、何をしても上手く行く。私がどれだけ努力して、優秀な成績を取れたとしても。運動でも、勉強でも、運営でも――――まるで神様に愛されてるみたいに、いつだってあの子が超えていく」

 

「……」

 

 

 

 

「ごめんなさい、八つ当たりだったの。……サッカー部のマネージャーになったあの子になら、戦うことなんてないと思ってた。もう、負けたくなかった……サッカー部がなければ、負けなくて済むと思ってた。………南雲原のプライドなんて、冗談も良いところだわ。かかってるのは、私のちっぽけなプライドだけ」

 

 

「必死に足掻いてきたんでしょう。それは、百道さんと四川堂先輩の反応が証明しています。この前の真理が怒った時も、彼女たちは何か言いたげでした」

 

 

 

 

 

 

 文句がある、とまではいかないけれど。

 会長の気持ちも分かって欲しそうにしていた。会長は、そう思わせるだけのものを積み上げてきた。

 

 

 

 

 

「僕には会長の気持ちが分かるとは言えませんが――――どれだけ努力しても、手に入らない苦しさくらいは分かります」

 

「……笹波君」

 

 

 

 

 胸に手を当てる。

 サッカーが、したい。叶わないと分かっていても、それでも願うその気持ち。

 

 

 

 

「―――――いいじゃないですか、小さなプライド。僕にとってのサッカーがそうであるように、千乃会長にとってのそれが、妹に勝ちたいというのであれば――――」

 

 

 

 

 

「少なくとも、手伝う人が二人はいるみたいですし」

 

「「会長」」

 

 

 

 

 

 

 百道さんに、四川堂先輩。

 いつの間にかいた二人に、慌てて取り繕おうとする会長だが。笑顔の二人に諦めたように溜息を吐くと。恨めし気にこちらを睨んだ。

 

 

 

 

「二人ということは、笹波君は手伝ってくれないのかしら」

「そこは千乃会長次第ですね。――――どうせ勝つのなら、サッカー部のマネージャー同士で戦った方がお得だと思うので」

 

 

 

 

「……一応、けっこう重要な情報を提供したと思うのだけれど?」

「妹さんはサッカー部の欠点を的確に埋めているらしいですね」

 

 

 

「……………私、サッカーは素人よ」

「大丈夫です、妹さんも条件は同じなので」

 

 

 

「素人でも、円堂ハルと雷門中は知っているわよ」

「――――必ず勝てる、とは口が裂けても言えません。が――――始まる前から負ける勝負なんて存在しないでしょう?」

 

 

 

 

 それに、四川堂先輩と百道さんがいるので。

 どうせなら参加しておいた方が勝った時にお得くらいに思っておけばいい。

 

 

 

 

 

 

 

―――――円堂、ハル。

 

 

 策は、二つ……いや、三つはある。

 

 相手の監督の性格、情報収集能力、円堂ハルと月影蓮のモチベーション――――情報はいくらあっても足りない。

 

 

 

 

 

 

 真理なら、あるいは―――――円堂ハルと互角に戦えるかもしれない。

 けど、その時。何が起こるだろう。

 

 対等な相手がなく、サッカーに価値を見いだせていない真理は、僕のサッカーを綺麗だと――――見ていたいと言ってくれた。けれど。

 

 

 

 

 

 

 サッカーを失ったと、失うかもしれないと思った時に覚えた恐怖が、忍び寄る。

 最強の怪物と、楽し気に渡り合う真理の姿が、いやにはっきりと脳裏に浮かぶ。

 

 

 

 

―――――僕は、サッカーだけじゃなく。真理も失うかもしれないのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

――――――高く、高く舞い上がる。

 

 

 この身体は、望むがままに宙を翔ける。

 練り上げられた力を炎として脚に纏い、翼として空を舞う。

 

 

 

 

「――――――ファイアトルネード!」

 

 

 

 放ったボールのクオリティは、豪炎寺大先輩のそれに見劣りしない……ハズ。

 

 それもこれも、試合後に「サッカー以外のことをやれば?」とか円堂ハルが舐めたことを言った瞬間、天誅――――ファイアトルネード治療法を実行するためである。

 

 

 今の貴様は、腑抜けている。

 雲明が許しても、この私が許せぬ。

 

 星空真理は激怒した。真理は政治が分からぬ。だが、サッカーと雲明に関しては人一倍敏感であった。

 

 

 

 蓮さんも言ってたような気がするけど、つまらないならサッカー止めてみればいいんだ。

 もしかしたら元凶のアレのアレがアレとかの悲しい理由があるかもしれないから、ファイアトルネード治療法で許してあげるけれども。

 

 

 

 

 

 

 もちろん本来の必殺シュートは別である。

 ファイアトルネードはいわばアビラーボードで設置した仮のもの……奴は今使える必殺技の中でも最弱……ではないけれども。まあ本家本元には劣るだろうけど、今のサッカーと雲明への想いの全てを込めて放てる。

 

 

 

 

 

 ふっふっふ、待っていろ円堂ハル……。

 すぐに治療してあげるからね……ファイアトルネードでなぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「――――と、いうわけで千乃会長もマネージャーになりました。二戸川中との練習試合の予定も組みました」

 

「これが、ユニフォームになるわ。一応サイズは確認してあるけれど、問題があったら私か百道さんか四川堂君に伝えて頂戴」

 

 

 

 

「い、いやちょっと待って雲明!? 今なんか円堂ハルって言った!?」

「言いました。初戦の相手に何故か雷門中からキャプテンと円堂ハルが来ます」

 

 

「なんで!?」

「僕も知りたいです。とはいえ、来るものは仕方がないので。ひとまず課題を一つずつこなしていきましょう」

 

 

 

 

 あれ、この時点でハルが来ること知ってたっけ?

 というかなんか会長来るの早くない?

 

 

 

 何か変だなーと思いつつも、どこか不安げに見える雲明にこっそり近づく。

 

 

 

「ということは、必殺技だね~!」

「はぁ。それしかねぇか……」

 

 

 

「可能であれば二戸川中との練習試合までに必殺技が完成、そのまま実践できるのが望ましくはあります。が、正直焦ってもしょうがないものです。最悪、柳生先輩と真理がいます」

 

 

 

「むむっ。そう言われて大人しく引き下がるなんて思ってないよね?」

「ああ。負けられねぇな」

 

 

 

 

 うんうん、忍原先輩も桜咲先輩も大丈夫そう。

 

 

 

 

「で、雲明は何が心配なの?」

 

 

 

 せっかくなので背後から肩に触れて耳元で囁くと、びくっと雲明が露骨に跳ねた。

 

 

 

「あ、ごめん。……大丈夫?」

「……大丈夫だけど、驚かそうとするのは正直勘弁して」

 

 

 

 

 そうだね心臓に悪いよね。……私クソかな?

 

 

 

 

「――――西ノ宮中のこと、不安?」

「……まあ。円堂ハルは、流石にね」

 

 

 

 

 うーん。確かに私一人だと分が悪いかもだけど。

 二人でも、ブランクがあってとても勝てると言えるようなコンディションではない。

 

 

 

 

「どんな作戦でもいいよ。もし失敗しても、私がなんとかする」

「……真理」

 

 

 

「それで、私がダメだったら雲明がなんとかする。――――いつだって、そうしてきたでしょう?」

「……そうだね」

 

 

 

 

 

 

 実際、雲明がいればどんな難局にだって、必ず光が差すって信じられる。

 誰よりもサッカーが大好きで、誰よりも諦めが悪くて、誰よりも――――。

 

 

 

 

 

「――――信じてるから」

「……ありがとう、真理」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






次回予告




「勝機は、二つ。真っ向勝負か、あるいは搦め手か」


「お願い。私にできることは、ここまでだけれど――」


「―――ひとつ」


「私たちなら」


「勝負だ、円堂ハル―――いや、西ノ宮中!」




次回、「決戦! 西ノ宮中!」



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