僕のヒーローアカデミア カタナ 作:NT-D
暫くは続くかもしれないのである程度期待してもらえると嬉しいです。
入院から2週間程経った。
つまり前世を見てから2週間経ったという事であり、前世の記憶や知識も大分頭に馴染み、そのおかげか思考能力や判断能力やらが向上している気がする。
その結果、いくつか気になる記憶を見つける事ができた。
一つは、この世界が「ヒロアカ」である事。
しかし正直言って僕は漫画もアニメも見ておらず、唯一わかるのは主人公とその幼馴染の名前、そしてグレープヘアの変態ボーイが存在することだけである。
つまり無用の長物と言う訳だ。なんなら長物ですら無いかも知れない。
次に自分の個性について。
自分の個性は、入院中に何度も発動して感覚や強化の範囲について調べた。
結果、身体機能や思考・反応速度は全体的に何倍にもなっており、強化の間は目が赤く光る事が分かった。
また、この個性によりNTに覚醒した事も踏まえ、個性届での個性の名前は「妖刀システム」にした。実際性能もそのままだ。
最後にNTについて。
ハッキリ言って記憶で観たNTは頭がおかしい。
自分の身体をみんなに貸す?人の心の光で隕石を押し返す?光の結晶体?ゼクノヴァ?何やってんるんだよこれ……
もうよく分からないので、取り敢えず色々やって検証しようとした結果、念話・探知・鋭い勘の3つを習得した。
そしてその実験の際に、念話で同じ病室の女の子に話しかけると、なんとそこから友達になれた。名前は柳ちゃん。
「ねえ剣、今日も話聞かせて」
そう考えている内に柳ちゃんがやって来た。
どうやら彼女は怖い話が大好物らしく、初めての念話の時に掴みで「ヒサルキ」を話すとえらく喜んでくれていた。
それ以降、この病室では柳ちゃんの意向で怪談大会が行われている。
「柳ちゃんまた?もうそろそろ僕もネタが尽きるんだけど……」
「いいから早く!」
「分かったよ。じゃあ今日はまずは「リゾートバイト」って話から。これは――」
こうして今日もまた僕らの病室では怪談話大会が執り行われた。
開始から2時間程、ジャンルや雰囲気の違う話を続けると柳ちゃんは満足してくれた。
それにしても、柳ちゃんにも言ったようにそろそろネタに底が見え始めているので、そろそろネタ探しもしないといけない。
いや、これからは逆に柳ちゃんに話を聞いてみるのもありだろうか?この世界の怪談について興味もある。
「そういえば剣はいつ退院するの?」
僕が話を終えて一息ついたタイミングで柳ちゃんから質問が振られてきた。
「もうそろそろかな。あと2~3日ってお医者さん言ってたよ」
「じゃあそろそろ怖い話できなくなるね……」
確かに。僕が退院してしまえば必然と柳ちゃんとの交流のタイミングは少なくなる。せっかくできた怪談友達とそうなってしまうのは寂しい。
「それは悲しいなぁ……そうだ、電話番号教えてくれたらいつでも会えるよ?」
「確かに!でもスマホ持ってないし……あ、住所なら分かるよ」
「そっか、ならどこに住んでるか分かるから、離れてなければいつでも会えるね」
ということで柳ちゃんから住所をゲットした。退院したらこの住所を頼りに遊びに行こうと思う。いっぱい新ネタ仕込んで遊びに行ってやろう。
それから2日後、予定通り僕は無事退院することとなった。
帰ってきてすぐに兄さんと2人で使っている部屋に向かうと、家で僕の退院を待っていた兄さんがいた。
「おかえり剣。幼稚園の奴ら全員心配してたぜ?」
「ただいま兄さん。そっか、明日から行けるから早く会いたいな」
どうやらみんな心配してくれているらしい。少し嬉しいような気持ちになる。
「そういえばさ、聞きたいんだけど」
「何が聞きたいの?」
「お前の個性、身体を強化するだけじゃないだろ?」
まあ聞かれる事だろうと思っていた。個性を使った後であれではそう思うだろう。
「それだけだよ。病院でも個性使ってたけどそれだけ――「違うだろ?」――えっ?」
言い訳しようとしたのを見透かしてか、兄さんが言葉を挿んでくる。
「お前、個性が発現してからなんか変わったよ。なんか賢くなってる。まるで中身が大人になったみたいだ」
大体あってる……なぜ分かったんだ?
もしや僕の個性の「NTにする」効果は自分以外にも効果があるのだろうか?
ともかく、ここで変な嘘で誤魔化したところで、いつかはボロが出る日が来る。
それならば今ここで話して、早いうちから受け入れてもらおう。
「――実は僕の個性には、人を「エスパーみたいな力を持った人間にする力」があるんだ。」
「ホントか?仮にそうだとしてそれがどう繋がってるのさ?」
「うん。だけどそのせいで僕はエスパーになって、いわゆる前世の記憶ってやつを観たんだ。それで僕は頭痛になって、前よりも賢くなったんだと思う」
取り敢えずこれで兄さんは納得するか頭がおかしくなったと思うかの二択だろう。
ここまで話すと兄さんは数秒ウンウンと深く考え、最終的にこう結論付けた。
「よし、じゃあそれが本当なら、俺をエスパーにしてみてくれ。そうしたら信じる」
これは驚いた。ここまで頭が回るとは、どうやら兄さんはかなり頭が良いらしい。
しかし念の為、本人には確認しておくことがある。
「……良いの?兄さんまで頭痛で入院するかもよ?」
「大丈夫だ、問題ない」
「オッケー。それじゃあ、やってみる」
本人から了承を得たので早速個性を使う。
初めての試みで成功するか分からないが、取り敢えず力が外向きになるように意識してみる。
そうして数十秒間お互いに黙ったまま時間が過ぎた。
ふと、湿った空気に触れる様な感触を感じたところで兄さんが声を上げる。
「剣、見えた!これがエスパー、いやNTか!」
どうやら兄さんは頭痛なども無くNTに無事覚醒したようだ。
「これで、信じてもらえた?」
「ああ、凄いなこの力。「何がどこにあるのか」とか「お前が何考えてるのか」まで分かるぞ!」
「え、もうそんな事出来るの!?」
どうやら兄さんは天才の様だ。まさか覚醒すぐに力を使いこなすとは。
それに兄さんの言っていた探知は僕にもできるけど、さすがに読心まではまだできない。
「こんな凄い力があるんだったら俺達最強のヒーローになれるぞ!」
「え、ヒーロー?」
唐突に兄の口から出た言葉に驚く。
「なんだよ、剣はヒーロー好きじゃないのか?」
「いや、カッコいいし好きだよ」
「なら俺達なろうぜ!――
僕ははっきり言って兄さんが大好きって訳ではない。
普通に家族として信頼や好意はあるが異常なくらいに大好きという訳じゃない。
兄さんの僕に言った言葉は、きっと幼少期に誰でもいう筈のどうという事の無い夢の話だ。
それでもこの言葉には、不思議なくらいとても心が躍るものだった。
「うん。なろう!」
恐らくこれが、
・好きな本は「新耳袋」
・好きな本は「ノラネコぐんだん」