Project Moon RPG とある男が実況プレイ   作:下手好き

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――ずっと耐えてきたあなたが、これ以上耐える必要ってあるのかな。どうして現実を見ないといけないの?

――ええそうよ。あなたにしかできない。自分自身を本当の意味で慰められるのは、自分だけなんだから。夢を見続けたっていいのよ。

――ピアノよりも、もっとおあつらえ向きの楽器が、あなたにはあるじゃない。

――任せて。全てはあなたの思うように。


子守歌

 

うん。

 

「完全に見失ったよね。」

 

「そらそうですよ、流石に潜られちゃあ地上から追うのは不可能に等しいですって……。」

 

「なんでGPSとかつけてないの?」

 

「ごっついポジショニングシステム?」

 

「は?」

 

「え?」

 

「「……。」」

 

……これからどうするかなぁ。

フォードのことが心配はあるけど(被る側ではなくしでかす側として)、何だか面倒になったし我関せずでいいかなぁ。

 

「いっそ、ハナに依頼でもしますか?」

 

「こんなことで協会に直接するのも恥ずかしいでしょ。」

 

「あいつのやらかすことが何を生み出すか分かりません。」

 

「まさか、都市の星を生み出すわけじゃあるまいし。」

 

……無いよね?

 

「ま、僕もあいつの技量はある程度買っていますし、フォード自身の心配は無用です。僕らは帰りましょう。」

 

「ちなみにフォードに巻き込まれる人の心配は?」

 

「僕らにターゲットが向かないならもうこの際良いです。」

 

わお珍しく投げやり。

ノアちゃんですらスティーブンソン「ジョンソンです。」の追跡網からは逃げられなかったって言うのに。

念のため、穴を掘る技術でも覚えとこかな?

 

「でも奇遇だね、ちょうど私もそう考えてたんだ。」

 

「それならさっさと引き上げましょう。事務所に戻ってからやることがあるので。」

 

「まだ働くの?オリヴィエさんがもういいって言ってるのに。」

 

「資料の整理然り、買い出し然り、フィクサーとしてではなく事務所の一員としての仕事はいくらでもあるんですよ。アローニィさんも手伝ってくださいね。」

 

「うぇぇぇぇぇ!?さっき、私たちは都市の星案件終わらせたんだから休んでていい、って言ってたじゃん!!」

 

「それはそれ、これはこれです。日曜休みの父親が一切の家事をしないという訳じゃないんですよ。」

 

「資料整理って家事かなぁ!?」

 

「買い出しでも何でもいいんで。アローニィさんが知らないだけで、結構なメンバーがいますからやることが多いんですよ。」

 

「ヤダ。私は寝る。」

 

「いやでも掃除機の音で目覚めますよ。」

 

「こちとら先輩なんだけど、もう少しリスペクトしようという心がけは無いの?」

 

「それくらいありますよ、例えば敬語使ってるところとか。」

 

「笑ってるね?その心笑ってるね!?」

 

「はいはい、帰りますよー。」

 

「どうしてこんな生意気に育ったんだか……あのさぁ!大体ね―――」

 

 

 

 

 

パリリリリリリーン

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

ガラスが連続して割れる小気味の良い音が背後から鳴り響いた。

 

「……面倒事の予感ですね。」

 

「悪態ついてる場合かっ、早く向かうよ!」

 

私たちは音のした方向に走った。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「うえええ……何アレ……。」

 

「最近流行りのねじれでしょう。ここまでの規模は初めて見ましたけど。」

 

「流行りて、あんたねえ…。」

 

その外見は、何て言うんだろう、両翼に巨大な弓がハープ?っていうんだっけ、そんな楽器みたいな感じで生えてて。

中心にドアがむき出しのボロボロな小屋(もちろん一般的なものよりずっとでかいけど)があって、中からオルゴールの音色が聞こえてくる。

その音は、どこか物哀しく、切なくて、聴いてると意識が、……。

 

「アローニィさん!?こんな状況で寝ないでください!」

 

「……はっ!!いかんいかん、危ない危ない。」

 

「あんなに暴力的に矢を飛ばしているのに、聴こえてくるのは子守歌、ですか。」

 

矢が発射されるたび、ハープの音が響く。

 

「あの矢……撃った相手を音符に変えてる?」

 

「死体が残らないからエコですね。」

 

「お前こんな状況で冗談を言えるようになったんだね。」

 

「まあ色々ありましたので。ところで、どうします?あの弓、とめどなく一度に大量の矢を吐いているようですけど。何なら撃たれた人が音符になってる言ってましたけど、あれかなりの威力の爆弾のようですよ。」

 

ニクソン「ジョンソンです。」の言う通り、音符は音を響かせるときに爆発して、さらに中から音符が出てきて、さらに中から……。

音符爆弾のマトリョーシカとか旧ソに失礼じゃないかなあ!!

 

……ところで、あの弓、どっかで見たような。

 

「とりあえず動かない事には何もない!行くよ!」

 

雑念を振り払って、銃剣を構える。

 

「喰らいな、騒音問題!」

 

まず挨拶代わりに放った銃弾は、すぐ現れた音符に眠くなりそうな旋律を残してかき消された。

 

「チッ、そう簡単にはいかないよね。」

 

ふと目をねじれの傍に向けると、孫「ジョンソンです」懐に潜り込もうと物陰に隠れているのが見えた。

でも、ねじれはまるでどこに誰がいるのかを正確に把握しているように矢や音符を飛ばしてくる。

 

「おっそろしい空間把握能力だなぁ。でも銃弾は消されちゃうし……行くっきゃないね。」

 

遠距離で削るのは諦めて、近接で勝負を決めようと私は駆けた。

矢の精度は馬鹿みたいに高くて、何本か喰らっちゃったけど幸い後回しにできるレベル。

 

『結局また特攻するのね……。』

 

なんか頭の中で文句を言う声が聞こえたけど、そんなのは無視して小屋の内部に向かう。

こういうタイプは、どこかしこに弱点的なのがあるはずだから。

 

「っ!あぶな!」

 

小屋に近づくごとに攻撃は私に集中して苛烈になってくる。でも、これで確信した。

間違いなくあそこはこいつの泣き所だ。

 

「悪いけど、私にとって多少の無茶は無茶の範疇に入らないの!!」

 

あまり大きくよけようとせず、最小限の被弾に留めて突っ込む。

 

「防げるもんなら防いでみな。」

 

そして、飛び上がってむき出しの小屋に銃口を向ける。

一撃で決める。

引き金に手を掛ける。

狙いを澄まして、小屋の中を睨んで。

 

 

一瞬、中にオルゴールと、それのレバーを回している誰かと目が合った。

 

「……ぁ。」

 

その者は、真っ青な顔に目だけが血走っていた。ついさっきまで寝ていて、起こされたみたいな不機嫌な顔。

 

見たこと無いほどおぞましい顔なのに、私はそれが誰かを知っていた。

 

 

「シータ……さん?」

 

右手から、銃剣が力なく滑り落ちた。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「さぁて、任された仕事は終わったかな。」

 

家屋の中から、ホクホクした表情でフォードは出てきた。

今日帰ってきた長い出張の中で、彼はとある人物に頼まれたことがあり、それを丁度今終わらせたところだった。

 

――君の持ってるそれ……。ああそうか、君が託されたんだな。それじゃあ、一つ頼みたいんだけど……。

 

「あの人、おじさんの知り合いだったのかなあ。どっかで見たことあるような気がしたんだけど、気のせいかな。」

 

家の場所を知ってて、頼み事も大分私的なものだったことから、親族なのかもしれない。

そんな簡単なことを思いつくはずも無く、フォードは呑気に帰路に着く。

 

「ところで、さっきから聞こえるこの音色は何だろ。」

 

眠くなるから止めて欲しい、と思いながら音の出所に向かう。

 

「うわデッカ。デカすぎんだろ……。」

 

初めて見る規模のねじれに、思わず引いてしまう。

とりあえずどこから攻めようかと目を凝らす。

 

「……あれ?ジョンソンさんにアローニィさんがいる。奇遇だなぁ。」

 

雨のように矢をふらすねじれの傍に、先輩方がいた。

あの人らに任せれば大丈夫か……なんて呑気に構えていると、アローニィがねじれが突っ込んでいくのが見えた。

 

「負傷上等の特攻……大丈夫でしょうか。」

 

アローニィを信用していないわけじゃない。彼はノアとジョンソン、そしてアローニィを強く信頼している。

彼は3人の背中を見て育った。

 

それとは別で彼には憧れている人がいるが。

 

信用してないわけではないが、自分の心配はしないくせにフォードは仲間のことに関しては心配性である。

最近のことではあるが。

ただ、それ以上に何か、不安が……。

 

 

嫌な予感ほど良く当たるものである。

 

アローニィが、武器を手からこぼした。

 

「……!!」

 

隙を逃すまいと、一斉にアローニィに矢が襲い来る。

 

 

半ば本能で、フォードは武器を起動した。

 

この場から一瞬で追いつくための出力を出すためには……。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

力なく、私は地上に落ちた。

 

銃剣はすぐ傍にある。

けれど、拾い直そうとは思えなかった。

 

目の前の音楽を奏でているねじれ。

あれは、かつてシータさんだったものだ。

 

殺らなきゃ殺られる。

分かってる、そんなこと。ねじれてしまった人は、かつての仲間にだって容赦はしないって。

 

それでも、こんな……非情な……。

 

仲間だって殺す。

理想のためなら、誰であろうと邪魔は許さない。

 

そう、あの時心に決めたのに。

 

私の身体は動かない。

自分に矢が飛んできているのを感じながら、ピクリともしない。

 

私の身体はまもなく串刺しに――

 

 

 

「……は、はは。何とか間に合いました。」

 

 

 

声が聞こえた。

顔を上げると、何かが矢をせき止めている。狂ったように青白い剣を振り回して。

 

そして、それに気づくと同時に。

 

……目の前に、生首が転がってきた。

 

「……え……ど…して…。」

 

「誓ったんです、おじさんに。守るって。アローニィさんを。」

 

フォードは首だけで言葉を紡ぐ。

 

「前、言いましたよね。僕の武器、飛ばす部位によって攻撃力が上がるって。頭を飛ばしたら、こんなこともできるんですね。」

 

矢を堰き止めてるのはフォードの首から下。

 

「フォ、ド、待って、今治すから。」

 

「いえ、無理です。今体は動いてますけど、効果が切れたら僕は頭を飛ばした分のダメージが一気に来ます。僕の頭は多分負荷に耐えられずに……だから、今癒しても意味は無いんです。」

 

嫌だ……私を庇って、死ぬなんて……。

 

あの時、私が躊躇しなかったら……。

 

「アローニィさん、自分を責めないでください。これは、僕が望んでやったことです。……憧れを追いかけただけなんで。」

 

そんな目、しないで。

いつもの馬鹿みたいにキラキラしてる目に戻ってよ……。

 

「…ごめんなさい、そろそろみたいです。」

 

「何諦めてんのよ…、まだ、まだ何か…!」

 

「今までお世話になりました。迷惑も色々かけたかもしれません。」

 

「遺言みたいなこと、言わないでよ……。」

 

「でも……こうして、最期の最期で……。」

 

いつもの、あの呑気な笑顔に戻って、

 

 

 

 

 

 

 

「僕も、役に立てましたよね?」

 

グシャッと音を立てて、潰れた。

 

私は、ただへたり込んで動けなかった。

 

私のせいで………私のせいで………?

私が、後輩を、フォードを殺した……?

 

「嫌……嫌……、嫌………!!」

 

 

 

「アローニィさん!!」

 

 

 

別の人影が、私の前に立って防ぐ格好になる。

 

「いつまでもうじうじしてないでください!人の死は辛いですし、身内の死はもっと辛い、分かります!けど、フォードが作ってくれた時間を無駄にしないでください!!」

 

「あ、れ、シータ、さ……。」

 

「関係ありません、あれはねじれです。もうシータさんでも何でもないです。フォードの命を奪った敵です。」

 

そんな、淡々と言わな…。

 

涙でにじんだ目でも、ジョンソンの目の辺りが光っているのが見えた。

 

「ここは都市です。人の命は紙切れの如く飛んで行ってしまいます。だから、一々動揺してちゃいけないんです……!」

 

声を震わせながら矢を防ぐジョンソンを見て、少しずつ私も気を取り直してきた。

……後輩にここまで言われちゃ、先輩の立つ瀬が無いよね。

 

銃剣を拾い直す。

 

「ごめんションション、もう私は大丈夫だよ。」

 

 

 

 

 

 

いつもの訂正の声が聞こえない。

 

「あれ、ジョンソ……」

 

見上げると、矢に刺されながら飛んでいく物体が見えた。

 

 

水色の輝きが、遥か遠くに消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「チッ、何でこういう時に限って混んでんだよっ!」

 

「急ぎましょう。既に被害は酷いみたいです。」

 

「緊急の呼び出しだったし、相当な相手なんだろうね。」

 

ローラン、アンジェリカ、アルガリアの3人はハナ協会の要請で9区に向かっていた。

何でも、巨大なねじれが暴れていてかなり不味いらしい。

 

列車から降りた3人は、即座に現場に向かった。

 

 

が。

 

「……なあ。ハナ協会が嘘吐くことってあるのか?」

 

「そんなわけありますか。でも何でいないんですかね。」

 

「簡単な話だ。ほら、そこを見てみなよ。」

 

ねじれの姿の代わりにアルガリアの指した方にいたのは、生気が抜けてへたりこんでいる少女だった。

 

「…………アローニィ?」

 

ローランが声を掛けるも、返事はない。

 

「凄いですね!特色が動く案件のねじれを、1人で片づけるなんて!」

 

アンジェリカが称賛を浴びせても、反応は無い。

 

「なあアローニィ。……誰が死んだ?」

 

「……。」

 

「…そういや、お前1人じゃなかったよな。」

 

「まさか……。」

 

アローニィは、3人の質問に答えない。

 

「ローラン。」

 

ただ、ゆっくりと振り返って、感情の読めない顔を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの仮面、まだ持ってる?」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

《シータ》

 

L社前には別の翼で働いていた。

感覚が異様に鋭いのは、彼女が施された施術によるもので仕事に活かされていたらしい。もっとも、その仕事は戦闘などではなく、別で受け持っていた交渉の場でもなく、他の職員たちの……。

心身共に傷つき果て、とうとう翼の禁忌を破ってしまう。

何をしでかしたかは定かではないが、運命は残酷なもので彼女の母親がタブーハンターとして処分に赴いた。が、情に流された母親はシータをL社に逃がしてしまう。

自責の念はL社の仲間と離れ離れになったあと、再び彼女を苛み、やがて綺麗な声に耳を貸してしまった。

幸せだった夢に逃げようとして、幸せだった時間を共にしたアローニィに2回醒まされたというのだから皮肉なものである。





アーちゃん、フレンドリィトリプルキルとはたまげたなぁ(小並感)

ローラン()幸せなので、嘘は吐いてません。


え?仲間が氏んだんだから幸せじゃない?

うっせアンジェリカ生きてんだから良いだろ彡(゚)(゚)


L社禁止要項の初めのあれがちょっと笑えなくなるなこれ。
まあ都市に住んで長い人にとっちゃただの愉悦対象か(同じ穴の狢)

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