Project Moon RPGとある男が実況プレイ   作:下手好き

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話の入れ替えってできないみたいですね……無理やり章にぶち込むのも面倒なのでこのままにしておきます。
当然作者は恥と共にボニャテッリから愛を取り上げられ、煙戦争に派遣される罰を受けました。
虫がいっぱいいたので食料には困りませんでした。

簡略版プロムンRPGみたいなサイトあったのでウチの職員たちで試してみました。
デライト→人差し指神託代行者E.G.O.持ち享年91
ノア→特色フィクサー享年73
ソントゥ→孤児享年1

「何でや!僕が何したって言うんや!」


if√:『護り続ける勇気』

 

けたたましい穏やかな子守歌が鳴り響く都市の一角。

 

人々を永眠に導きながら、自らも眠り続けようとするねじれ、『子守歌』。

 

しかし、死人で無い以上永遠に夢を見続けることはできない。

小さな白い影が飛び上がり、まさにその眠りに終止符を打とうとしていた。

 

その様子を少し遠くから、食い入るようにフォードは見ていた。

 

「……。」

 

理由の無い恐怖と不安に駆られるようにして。

 

 

都合の良い妄想ほど無残に引き裂かれ、気のせいと信じたい不吉な予感ほどその通りになる。

都市とは、往々にしてそういう場所である。

 

何を思ったか、力が抜けたのか、自分の敬愛する先輩が武器を零し力なく落ちていく瞬間をとらえたフォードは、刹那の判断で得物の特殊効果を起動しようとした。

 

「(ここからアローニィさんの場所まで即座に辿り着くためには……!)」

 

それが、彼の命もろとも消し飛ばす選択だったとしても。

 

 

「―――なあフォード。護るってのが、具体的にどういうもんか分かるか?」

 

 

不意に、聞き馴染のある声が頭に響いた。

 

 

 


 

 

酒に溺れている幻想体へ悪戯をしかけに行くと、担当部署のチーフであるユルゲンの姿は必ずと言って良いほど見かけていた。

 

「俺の前に出るなよ。敵の攻撃は全部、俺が引き受けるから。」

 

彼の過去はもちろんフォードの知るところではないが。

安全部門チーフの名に恥じないその立ち振る舞いは、完全無欠の騎士のようで。

優しく輝く緑のコートをなびかせて、何事も無かったかのように鎮圧を完了するその姿に、いつからかフォードは強い憧れを抱いていた。

 

あのはた迷惑な女神が収容室に戻って暫くした後で、フォードはユルゲンに声を掛けた。

 

「……ユルゲンさん。僕みたいな人間でも、誰かの役に立てると思いますか?」

 

「は?」

 

いつも通りのイかれた質問をされると身構えていたユルゲンは、予想の遥か斜め上の言葉に思わず素っ頓狂な声が飛び出た。

 

「どうしたよ突然。俺からしちゃあ、お前にそんな殊勝な考えがあるなんて微塵も思って無かったんだが。中の人変わったのか?」

 

「ひ、酷いですぅ。僕は先輩方のことを尊敬してますし、とても大事に思ってるんですよ?」

 

「ノアに影響受けすぎなんだよ。」

 

「まあ良いじゃないですか。」

 

良くねえよ…とユルゲンは一つ溜息をついた。

 

「お前は何だかんだここまで生き残ってるし…不思議な奴だよな。」

 

「僕なんて全然ですよ。アローニィさんみたいに幻想体の料理はできませんし、ノアさんみたいに収容室の外で説教されるほど幻想体と親密になれませんし。」

 

「そっち方面を上達させる必要は無い。……お前が役に立てると思うことは何だ?」

 

それについては答えは出ている。

 

「誰かを危険からを護ることです。」

 

思いの外真っ直ぐな目を向けられて、ユルゲンも真面目に取り合うことにした。

 

「誰か、ってのは具体的に誰だ。人間、誰も彼もまとめて守れるほど器用じゃねえぞ。そんな生半可な気持ちじゃ、誰一人守れねえ。」

 

「……僕の仲間全員、なんて烏滸がましいことは言えません。ただ、僕が特にお世話になっている情報部門の方々…ノアさん、アローニィさん、ジョンソンさんのことは、命を賭しても護りたいです。」

 

「命を賭して、か。それは素晴らしい心がけだが……止めておけ。」

 

意外な回答にフォードは目を丸くする。

 

「……どうしてですか?」

 

「お前が命を賭けて前に出て、もし本当に死んだとき。生き延びたあいつらはどう思うんだろうな。」

 

「僕如きが死んだところで…」

 

「いいや違うさ。ノアはああ見えて繊細だし、アローニィは忘れてるかもしれないがまだ子供だ。自分を明確に庇って死んだとなると一人で責任を背負いこむぞ。ジョンソンはそもそもお前に護られる局面にならないだろう。」

 

「……。」

 

ジョンソンへの評価が2人より高いのは置いといて、ユルゲンの言うことは確かにもっともらしく聞こえた。

 

「死ぬ気でやるな、本気(マジ)で死ぬぞ。」

 

言葉の一つ一つが、鉛のように重くのしかかる。

 

「なあフォード。護るってのが、具体的にどういうもんか分かるか?」

 

「仲間を生き延びさせて、危険を排除するってことかと。」

 

「そういう考え方もあるだろうな。だが、敢えて否定させてもらおう。」

 

「じゃあ、どういうことなんですか?」

 

「別に、危険を排除する必要は無い。大事なのは死なないことだ。泥臭くても、汚らしくても、護ると決めた奴と一緒に拠点に辿り着くこと。お前が護りたい奴はヤワじゃねえ。お前が死なないと死ぬような奴らじゃない。護るってのは…即ち支えることだ。良いか、よく聞けよフォード。」

 

ユルゲンは一つ咳払いをして、フォードの方に手を載せた。

 

 

「一度護ると決めたのなら、そいつが死ぬまで護り続けろ。死なない程度に死にもの狂いに、そいつと生き延びることを考えろ。命ある限り、終わりは来ないんだからな。」

 

 

 


 

 

――護り続ける。

 

もし僕が死んだら、アローニィさんは優しいからきっと悲しむ。そして、苦しみ続けてしまう。

 

死んでしまったら僕はそれまでだったと言うこと。でもそれは、初めから死ぬ前提で行動するというわけじゃない。

命を賭けて、失敗して、責任から逃げようとするな。

 

なによりも、僕が護ろうとしているのはあのアローニィさんなのだ。

 

少しは信頼しないと。

 

フォードは瞬時にプランを切り替えた。

 

 

 


 

 

「不味いっ……!」

 

アローニィが銃剣を手から離した時、ジョンソンの口から苦悶の声が漏れた。

考えるより先に、足が動いた。

 

「……くっ!」

 

ほんの数メートル。

今にも矢のむしろになろうとしている先輩への道のりが、恐ろしく遠く思えた。

 

「(アローニィさん…、少しだけ手荒なことをしますがっ……!)」

 

飛び散る矢を体に受けながら、全速力でアローニィの傍に辿り着いたジョンソンは、勢いのまま彼女を蹴飛ばした。

 

直後、既にいくつかの矢を受けているジョンソンの身体めがけて、おびただしい数の矢が襲い掛かった。

 

「はっ、はっ、はっ…。」

 

体勢を整える暇もなく、座り込んだまま剣を振り回して矢をはじく。

だが、それがその一瞬だけの抵抗であることは明らかであった。

 

合間を縫って矢はジョンソンの身体を貫こうと―――

 

 

ゴッ

 

 

鈍い音と衝撃が伝い、ジョンソンはアローニィと同じ方向へ吹き飛ばされた。

 

「……?」

 

何が起こったのか分からず、ジョンソンが振り返った先に原因となった者がいた。

 

「おや、まさかジョンソンさんを助けることになるなんて。ユルゲンさんにちょっと自慢できるかな?」

 

足を生やし直しているフォードが、気の抜けた言葉とは打って変わって心配そうな表情で2人を見ていた。

 

「お前いつの間に…いや、まずは助かった。」

 

「こちらこそですよ。アローニィさんが少しだけなら耐えると見込んで足にしましたが…ジョンソンさんが代わりに護ってくれるなんて。」

 

2人の後輩は虚ろな表情で横たわっている先輩を見やる。

 

「フォード、アローニィさんを頼む。僕はあれを止めに行く。」

 

「それは任されますが…一人で大丈夫ですか?」

 

「…アローニィさんを早く立ち直らせてくれ、ってことだ。」

 

そう言い残して、ジョンソンは戦地に戻って行った。

 

「流石、頼りになりますねえ。さてと。僕の仕事はまだ終わってないぞ、と。」

 

ジョンソンはアローニィに向き直る。

 

今もアローニィは、何かうわ言のような言葉をブツブツと垂れ流している。

心ここにあらず、と言う言葉が最もしっくりくる。

 

「アローニィさーん、どうしたんですか?らしくないですよ。」

 

「あ…あれ…あれあれあれ…。」

 

「あれってどれですか。アレと言うたらアレのことよ。ほーん。…いやそうじゃなくてですね。」

 

「シータさん……。」

 

「え、シータさん?」

 

「シータさんシータさんシータさんシータさんシータさんシータさんシータさんシータさんシータさんシータさんシータさんシータさん」

 

「うわあちょっと落ち着いてください!」

 

アローニィの目が小刻みに揺れている。

 

「えーっと、あのねじれがシータさんってことで良いんですかね?」

 

「シータさんシータさんシータさん」

 

「……それがどうしたんですか?」

 

「シータさ…え?」

 

「僕としては、あれはただの敵です。シータさんは死んでます。あれは、シータさんではない何かなんです。」

 

確かに、アローニィは子供だと感じた。

甘さと言うか、いつもタフなメンタルがこういう時に弱くなる仲間意識のしがらみと言うか、凄く不安定に感じた。

 

「で、でも…」

 

「でももしかもも無いです。手を抜いたら僕たちが死ぬんです。」

 

「……。」

 

「それでも、割り切ることができなくて躊躇してしまうのなら…」

 

後輩の立場としては生意気かもしれない。

けれど、道を踏み外しかけた子供を正して、導くのが年長者の役目なのだ。

まあいつもは逆な立場な気がするけどそんなことは今は良い。

 

「シータさんを供養する、そう考えることはできませんか?」

 

「……供養。」

 

「自分の仲間が無差別に人を殺しまくってるのなんて、見てられないとは思いませんか?」

 

「……。」

 

アローニィは無言で立ち上がる。

 

「行けそうですか?」

 

「…やるよ。私はまだ、全てを取りこぼしてわけじゃない。なら、残ってるものだけでも護りきらないとね。」

 

そして、ジョンソンの加勢に向かっていった。

 

「ふぅ、何とかなったみたいですね。そんじゃ僕も行きますか、今度は傍でアローニィさんを護るために。」

 

まあ正直、自分がいなくてもそろそろ終わりそうだと、少し離れたところから走ってくる3人組をチラリと見ながら、フォードも次の仕事に取り掛かることにした。

 

 

 

 

 

 

 

「ん~~あーっ!疲れたなぁ!」

 

「私たちってそんなに頑張ってないですよね。」

 

「疲れたもんは疲れたんだよ…今もあの甘ったるい音が耳に張り付いてやがる。」

 

「こんな時に列車が混むなんて、間に合ってよかったです。」

 

子守歌は鳴りやんだが、路地は未だ眠ったように静かだった。

 

「それにしてもよく持ちこたえたね?3人共。俺はてっきり2人くらいは死ぬかと思ったんだが。」

 

「縁起でも、無い、ですね…はぁ。」

 

「もう体がバッキバキですよ。ハナさんには給料いっぱい貰わないと。」

 

ん~~~っと伸びをしながらフォードはアローニィに目を向ける。

 

「……。」

 

彼女はかつての先輩の残骸である弓の破片にしゃがみこんでいた。

 

「…アローニィはどうしたんだい?酷く参っているようだけど。」

 

「色々あったんですよ。」

 

「色々って?」

 

「もー、色々って言ったら色々ですよぅ。」

 

「そうよお兄ちゃん、乙女の秘密を詮索するなんて紳士じゃないわ。」

 

「ノンデリシスコンキチガイ野郎か。随分とご立派な肩書だな。」

 

「……ははっ、俺泣いちゃいそうだよ。」

 

気分転換にと、口々にアルガリアを非難している3人から少し離れて、ジョンソンはアローニィの傍に歩み寄った。

 

「アローニィさん。」

 

「……。」

 

先輩は応えない。

ただ、シータの遺品を眺めながら、小刻みに肩を震わせていた。

 

無理をしているのが、見て取れた。

 

「…我慢する必要は無いですよ。この際、一度思いっきり吐き出してください。」

 

その言葉を聞いた途端、アローニィは顔をジョンソンの胸にうずめた。

 

そうやって泣き続ける姿は、やはり小さな子供そのものだった。

 

 

 


 

 

――あれからどれくらい経ったんでしょうか。

 

10年くらいの月日がたったようにも思えるし、ほんの2,3カ月のようにも思えた。

 

『子守歌』討伐後から今日まで、都市にしては平和な日々が続いた。

 

「フォード!あなたの武器って遺物ですよね!?」

 

「異物?確かに変な物ですけど。」

 

「違います、『遺物』ですよ!はぁ~、こんなに間近でお目にかかることができるなんて!」

 

「……なあフォード。幾らでそいつを売ってくれるかい?」

 

「売りませんけど!?」

 

「……。」

 

「そんな顔してもダメです、アンジェリカさん!」

 

特色兄妹に武器を狙われたり、

 

「全く、今日もこんなにボロボロで帰ってきて…私がいないと駄目なんじゃない?」

 

「たまには単独依頼もこなさないとですし。一人の方が身軽なこともあるんで...ちょっ、何で殴るんですか!」

 

「……生意気。」

 

「ジョンソンって何歳くらいなんだ?」

 

「今年で17になりますね。」

 

「……ふむ。」

 

「何のつもりだ、ローラン。」

 

「いや、お似合いだと思ってな。」

 

「…余計なお世話だろ。」

 

「安心しろよアローニィ!お前が成人するまで、ジョンソンは他の女に近づけさせないからな!」

 

「うええぇっ!?ななな、何で私!?」

 

「……顔赤いぞ。」

 

「そ、そりゃあこんな恥ずかしい勘違いされたら顔も赤くなるってぇ!」

 

「お幸せにな。」

 

事務所の先輩にアローニィさんがからかわれたり、

 

「えーっと…ローランさん、アンジェリカさん、オリヴィエさん、アストルフォさん、ナモさん、オジェさん、ナルトさんですよね!」

 

『ブフッ』

 

「てめえ俺をおちょっくってんのか、あぁ!?」

 

「す、すみませんドナルドさん!」

 

「俺はリナルドだっつってんだろ!」

 

「もう…ドナルドで良いんじゃないか?ほら、有名人じゃないか…赤いピエロの…くくっ…ww」

 

「あれ言ってみなよ…ww ランラン…笑」

 

「てめえら後で覚悟しやがれ…。」

 

「まあまあそんなかっかしないでくださいよリカルドさん。」

 

「何回死ぬ気だ?この野郎…!」

 

イカルドさんの名前を覚えられなかったり。

 

そんな、とりとめのない愉快な生活が続いていた。

 

 

「――図書館?招待状?」

 

だから、こんな大きな依頼は久しぶりだ。

 

「ああ、何でも大分前にL社跡に突然現れたらしい。」

 

「都市の星か…久しぶりに滾るねえ!誰がいくんだ?私はもう決めたから。」

 

「俺も行く。最近温くて退屈だったからな。」

 

「俺は子供もいるし…今回は遠慮しようかな。」

 

「あ、それは大丈夫ですよ。お兄ちゃんに預けてきたから。」

 

「絶妙に安心できないな?それ。ま、それならパパは稼ぎに行きますか~。」

 

「私ももちろん行きますからね。あなたが無理をしないか監視する人が必要でしょう?」

 

「はぁ…折角幸せな生活を手に入れたってのに、ご苦労なことだな。俺も行くよ、お前が死ぬのは報われなすぎる。」

 

「もうこの際全員で行かないか?」

 

「……人数が多すぎないか。」

 

「良いじゃないですか、備えあれば嬉しいなしって言いますし。」

 

「憂いなしだぞ。」

 

「お、皆行くの?じゃあ私も行こうかなー。」

 

「『子守歌』以来の大仕事、絶対に生き残りましょう。」

 

きっと今回も上手く行きます。

この生活を、僕は最後まで護り抜くと決めたから。





ハッピーエンドだぞ、泣けよ。

こちらはフォードが頭を飛ばさなかった世界線です。
バタフライエフェクトってすごいですね(白目)

フォード君の深堀、もといユルゲンさんとの絡みも書きたかったので、こういう形で描くことになりました。この世界ではまだアーちゃんは特色じゃないです。本編アーちゃんより若干弱い程度ではあるけど。

フォード君はやるときはやりまくる男なんだよって。
余談ですが、タイトルの元ネタは安全部門セフィラの鎮圧時に手に入れるアレです。
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